あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのチェリーな使い魔-14



フーケ事件から10日程経過したある日のこと。

フリオニールはオスマン院長とコルベールからの情報を待ちつつルイズの身の回りの世話を
中心とした生活を送っていた。
ここトリステインは貴族が幅を利かせているとはいえ平和な国家だ。フリオニールは段々と
ここでの生活も悪くないと感じ始めていた。

(まぁ、向こうにはマジックマスターのマリア、豪腕ガイがいるし何とかなっているのかも)

事実、フリオニールが消息を絶ってからヒルダ王女が捜索隊を出して行方を調査している
ものの一向に手がかりが掴めない状況の中、仲間達は着々と任務を遂行し、ついには
『クリスタルロッド』を入手。一路「ミシディアの塔」へ向かうところだった(現在、
マリア達はリヴァイアサンの腹の中。リチャード・ハイウィンドと問答中)。

久々に授業にでもお供しますか、と考え洗濯を早朝に終わらせルイズに同行するフリオニール。
本日の授業は、フーケ討伐の際にルイズが向かうことをいの一番に反対していたギトーが講師だった。
(ああ、あの腰抜けか。でも何か情報を持っているかも)
フリオニールはかすかな期待を込めて講義に聞き入る。
しかし、内容は『風』の系統こそが最も優れたものであり至高であることを延々と繰り返す
だけの退屈なものだった。
(これじゃまるで売れない営業マンのセールストークだな)
どのようなものであれ長所と短所がある。それをきちんと説明した上で上手い使い道を
提案するのがその道のプロというものだろう。
(この人は絶対に「イエローソウル」に『ブリザド』をかけるタイプだな)
フリオニールが期待はずれのギトーをジト目で見ながら耳垢をほじっていると、突然、
教室のドアが開いた。
そこにはロールしたウィッグをかぶり、レースの飾りや派手な刺繍を施したローブを身に
まとったコルベールの姿があった。
授業を妨害されたギトーはいきり立ってコルベールに抗議した。

「ミスタ・コルベール!授業中ですぞ!冗談はハゲ頭だけに」
「オホン!本日の授業は中止と相成りました!」

ギトーの非難の声を遮りコルベールはご託宣を告げた。歓喜の声をあげる生徒達。
続けざまにコルベールは
「本日はアンリエッタ姫殿下が当学院にお見えになります。皆さん、成長した姿を
 お見せできる絶好の機会ですぞ。しっかりと杖を磨きお出迎えの準備をするように」
と言い残し足早に去っていった。ギトーもこうしてはいられないとばかりに後を追う。
そして、

門から本塔へ向かう道の両脇に生徒達が一糸乱れぬ整列をしてアンリエッタ王女を出迎えた。
王女が馬車から降りて姿を現すと一斉に歓声が揚がった。
(王女というのはどこでも人気者なんだな)
フリオニールは自身が仕えるヒルダ王女より少し若いアンリエッタを見て感想を漏らす。
列の後ろではフリオニールとキュルケをはじめとした留学生数名が手持ち無沙汰で王女
一行を
見物していた。タバサは通常どおり読書だ。王女へのこの関心の無さはひょっとして
タバサもこの国の人間じゃないのかも、とフリオニールは思った。
そして、フリオニールは王女に付き従う護衛の兵士に目を向けた。その中でも立派な
グリフォンに跨った、羽帽子を被り立派な口ひげを生やした青年に着目した。

(かっこいいなぁ)

フリオニールは思わずため息を吐く。男子たるものあのように堂々と振舞いたいものだ。
キュルケも同じ感想を抱いたようで例によって頬を染めて青年を見つめていた。
ルイズはというと、キュルケと同じような態度ではあるが若干落ち着きがない様子だ。
そんなフリオニール達を傍目に王女一行は颯爽と院長室のある本塔へ入っていった。

その日の夜

グリフォンに跨った青年を見てから何かと落ち着きがないルイズ。
これは一目惚れか?とからかってみたくなったフリオニールだったが、そんなことを言えば
お目玉を喰らうことは判りきっているのであえて無視し、話し相手をデルフリンガーに求めた。

「ああ、俺も王女に逢いたい」
「なんでぇ、今日会ったんじゃねぇのかよ」
「ヒルダ王女さ」
「ああ、相棒の世界のか」
「うん。この国の王女も美人だけど、セクシー度でいえばヒルダ王女の方が・・・」
「俺っちも会ってみてぇな、その王女!」
「ムフフ。デルフのはしゃぐ姿が目に浮かぶよ」
「そうかいそうかい、そりゃ楽しみだ」

二人(?)が他愛もない世間話をしているところに突然珍客が訪れた。
フード付ローブに身を纏った謎の人物が『アンロック』の魔法を使いルイズの部屋に入ってきたのだ。
「どちらさん?」
フリオニールは警戒し探るような目つきで問うた。場合によってはデルフリンガーで
迎撃する構えだ。
不審者の侵入にようやく我に返ったルイズ。怯えるルイズを傍目に不審者は無言で室内を
見回すと、二人に構うことなく懐から杖を取り出し『ディテクトマジック』の魔法を唱えた。
「ち、ちょっと!」
怒気を含んだ声で制止するフリオニールであったが、不審者はフードを取り
「どこに眼や耳があるかわかりませんものね」
正体を明かした。アンリエッタであった。
「ひ、姫様!」
ルイズは膝をつき恭しく礼をする。
「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
アンリエッタも膝を曲げルイズをひしと抱きしめる。

「ごめんなさいね、ルイズ。『アンロック』なんて下品な真似をして」
「いいえ、お気になさらないで下さい。それよりもなぜこんなむさ苦しいところへ?」
「ああ、ルイズ。私のかけがえのない心の友よ」

そして、ルイズとアンリエッタは昔話に花を咲かせる。なんでもアンリエッタの幼少時の
遊び相手をルイズが務めていたとのこと。
(さすが「ご主人様」。名家のお嬢様の看板は伊達じゃない!)
フリオニールは「ご主人様」が急に偉くなったような気がしてちょっぴり嬉しくなった。
テンションの揚がるフルオニールとは対照的に、アンリエッタは急に暗い表情をして
「私、結婚いたしますの」
と幼馴染に報告をした。ルイズはアンリエッタの陰のある雰囲気を敏感に察知し
「・・・おめでとうございます」
戸惑いながら祝辞を述べた。久しぶりの再開であるのに一気にトーンダウンした乙女達。

「おい、相棒。この王女は政略結婚をさせられるぜ、たぶん」
「本当か?デルフ」
フリオニールとデルフリンガーはひそひそと王女の噂話を始める。
一方、アンリエッタは重くなった場の空気を何とかしようとフリオニールに目を移し、

「ごめんなさいね。お楽しみ中だったのでしょう。『アンロック』なんて使うものではありませんね」
「お楽しみ中?」
「ルイズの恋人でしょう?」
「いいえ。俺は使い魔として召還されましたフリオニールと申します。あと、この剣は
インテリなソードのデルフリンガーです」
「よろしく哀愁!」
「あら!人間の使い魔とはこれまた珍しい。ルイズのこと、よろしくね」
「はい!」「イエッサー」

話題を変えようとしたがルイズはアンリエッタのことが気がかりで話を元に戻そうとする。
「ところで、姫様。わざわざお忍びでいらっしゃったということは・・・」
「まさか、「ご主人様」が替え玉に・・・ゴクッ」「結婚式を妨害してくれ、とか?」
「あんた達は黙ってなさい!」
無遠慮な発言にキッと睨みつけ二人(?)を黙らせるルイス。アンリエッタは頭を振り

「ああ、私としたことがあなたにこんなことを頼めるわけがないわ!忘れて頂戴!」
「姫様、おっしゃってください!」
「いいえ。話すわけには参りません!」
「昔は何でも話し合ったではございませんか! 私を心の友と呼んで下さったのは姫様です」
「ああ、ルイズ。あなたは芯が強くて優しい人。私を心の友と呼んでくれるのね」

アンリエッタは嬉しそうに微笑むと、決心がついたようで真顔になり
「今からお話しすることは他言無用です」
と言った。フリオニールはお邪魔してはいけないと思い、デルフリンガーを持つと
「じゃあ、俺、外で待ってますよ」
ドアへと向かう。
(まさかアンリエッタ王女までラミアクイーンに化けてるなんてことないよな・・・)と
フリオニールは呟きドアを開けると、目の前には真剣な表情で中腰になっているギーシュがいた。
「何やってんの?」
「うわっ!」
ギーシュは慌てふためき尻餅をついた。そして、その姿を鋭い目つきで睨むルイズが
「ギーシュ!あんた何やっているのよ!」
非難する口調で問い詰める。
「す、すみませんでした!僕は何も見ていないし何も聞いていません!」
と言い残し急いで立ち上がるとこの場から駆け足で去っていった。
「まったく!レディの部屋を覗き見するなんていやらしい男!」
「よろしいではないですか、ルイズ。これで心置きなく話ができるというものです」
「フリオニール!見張りをしておきなさい!」
「わかりましたよ」
フリオニールは手を上げてそれに応えると部屋を出てドアを閉めた。

数十分が経過し、アンリエッタがローブに身を纏い部屋から出てきた。
「使い魔さん、ルイズのことくれぐれもよろしくお願いしますわ」
「了解しました・・・そうだ、部屋までお送りしますよ」
「結構ですわ。明日旅立つでしょうから、もうお休みになって英気を養って下さい」
「旅、ですか・・・」
フリオニールは立ち去るアンリエッタの後ろ姿が視界から消えるのを確認すると部屋に入り

「それで、王女の頼みって何だったんですか?旅って言ってましたけど」
「明日からアルビオンへ行くから」
「アルビオン?」
「そう。わたしは大使に任命され姫様から託された任務を遂行するの」
「へぇ、そうですか。どんなところなんですか?」
「それは行ってのお楽しみ。けれど、戦地とだけは言っておくわ」
「戦地!」

フリオニールは戦地という単語を聞き驚愕した。この娘は本気で戦地へ向かうつもりなのか?

「戦地へ赴くということは命を張れということですね」
「そうね。けれど、わたしは必ず任務を果たすわ!」
「さすがです、ルイズさん!と言いたいところですけど、命を賭ける程のことなんですか?」
「国家の一大事よ。トリステインの命運がかかっているといってもいいわ」
「でも、大勢の兵士がうごめく場所へ行くんでしょう?状況によってはその兵士達と
戦うことに・・・」
「別に戦争をしに行くわけじゃないわ。書簡を届けてある物を引き取るだけよ」
「そうですか・・・けれど、俺、「ご主人様」を守りきれないかもしれませんよ」
「何よ、ずいぶん弱気ね。強いくせに」
「戦場というのはそういうところです。兵士の実力も未知数だし。けれど、そんな危険な
任務を幼馴染の親友に託すって・・・」
「姫様の悪口を言うつもり?だったら許さないわよ!」
「こういう任務は俺みたいな平民のソルジャーがやるのが俺の住む世界の常識でして」
「ハルケギニアではメイジが戦場の最前線に立つものなの。あんたにはわからないでしょうけど」
「わからないです・・・はぁ、帝国を倒す前に命尽きてしまうことになるのか・・・」

主人と使い魔がそれぞれの思いを胸の内に秘める中、ひっそりと夜が更けていくのであった。



新着情報

取得中です。