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ゼロのチェリーな使い魔-12



結局、タバサの風竜が馬車を持つのをゴネた為、馬車は後で使いを出して引き取らせる
ことにして森から飛び立ったルイズ一行。
大きな被害もなく帰路につけることに安堵し、風竜の背中の上で思い思いに休息を取っている。

「フーケを飲み込んだ液体、あれは間違いなく『クラウダ』…」
一見何の変哲もない平凡なデザインの『破壊の杖』を手に取り独り言を呟くフリオニール。
自身が最近まで愛用していた『まじゅつのつえ』より武器としての性能は一段上だろうと
感じ取った。すさまじい魔力が込められている。道具として使った際の威力はもちろん
『まじゅつのつえ』の『サンダー』(熟練度5レベル)を超えている。
フリオニールは『破壊の杖』を床に置くと思いついたようにデルフリンガーを抜く。

「おっ!やっと俺っちの出番だな」
「もう終わったよ」
「えっ!そりゃないぜ、相棒!」
「ごめん。今回は敵が強すぎた」
「だったらなおさらじゃねぇか!」
「まぁまぁ落ち着いて」

2人(?)のやり取りをじっと見ていたキュルケが意を決してフリオニールに近づき
「ダーリン、あなたが何者なのか説明して!」
真剣な表情で問い詰めた。
「う~ん、そうだな。キュルケとタバサは強敵を一緒にやっつけた戦友だ。隠し事はし」
フリオニールは己の素性を明かそうとしたが、ルイズが遮った。
「ダ、ダメよ!」
「戦友に隠し事はできないよ。言うよ、俺は」
「ち、ちょっと!」
「俺、異世界から来たんだ」
止めるルイズを無視して真実を告げるフリオニール。キュルケはそれを聞かされ鳩が豆鉄砲を
食らったような表情になった。
タバサは読書中だったがページを捲ろうとした手をピタッと止める。
「たまに異世界から人や物が召還されることがあるって院長が言ってた。この『破壊の杖』も
たぶん俺の住む世界の物だと思う。けれど、まぁ、これは秘密ってことで」

フリオニールは人差し指を唇に当てた後、かいつまんで身の上話を始めた。
例によって魔法の本を買って覚えれば平民でも魔法を使えることに驚いた様子だ。
ハルケギニアでは魔法を使える=特権階級(落伍者は除く)なので、フリオニールの住む
世界は一体どのような政治形態をとっているのかキュルケは興味を引かれた。キュルケの
母国であるゲルマニアは金を出して領地を購入すれば平民でも貴族になれる制度である為、
フリオニールもきっとそのような環境で暮らしているのだろうと思った。
フリオニールから返ってきた答えは、王政ではあるものの貴族と平民の垣根はハルケギニアの
それよりも低くおおらかな人が多い世界である、というものだった(パラメキア帝国と
一部の貴族を除く)。
「そうよね。みんな魔法を使えるんですもの。メイジの権威はないわね」
「そうでもないよ?ミンウはみんなから慕われてるし。それにミシディアっていう魔法国家も
あるみたいだし」
「ダーリンはその魔法国家に行ったことないの?」
「そこに行く前に召還されたわけで…」
「そうか…でも、ハルケギニアに来て良かったでしょう?」
「魔法学院はいいところだね(可愛い娘多いし)。でも、俺はやらなきゃいけないことがあるんだ」
「やっぱり帰っちゃうの?」
「反乱軍は俺で保っているからなぁ、なんて冗談だけど」
フリオニールとキュルケは顔を見合わせて笑った。笑ったがキュルケの表情は寂しそうだ。
フリオニールは気まずくなった空気を何とかしようと話題を変えた。
「魔法は得意じゃないんだけど、この世界に来てから魔法の成功率が高くなったような気がする」
「ハルケギニアがメイジの治める世界だから何か影響しているのかしら?」
「そうかもしれない」
フリオニールとキュルケの会話を黙々と聞いていたタバサが突然、
「毒は治せる?」
「『バスナ』か『エスナ』の魔法であれば治せるけど、俺は使えないんだ」
「そう」
タバサにしては珍しくがっかりした表情を一瞬であったがみせたので、親友のキュルケが
不思議そうにタバサを見つめた。

「ご主人様」のルイズはひとりボーッとしている。キュルケの「やっぱり帰っちゃうの?」の
言葉を聞いて、フリオニールとのいつかやってくるであろう別れを想像すると心臓を
圧迫さそうな気分になった。
そんなことは認めまいと頭を振り
「あ、あんた達。説明は終わったんでしょ?だったら必要以上にくっつかない!」
「あら?やきもち?」
「ち、ちちち違うわよ!だ、誰が、そそそそんなお調子者の使い魔なんか!」
「そう?じゃあ、私がいただいちゃおうかしら」
「また発情期がやってきたのね!ああ汚らわしい」
「恋愛は人間の持つ自然な欲求よ。私は自然に従うわ」

女三人寄ればかしましいとはいうが(一人は蚊帳の外であるものの)、賑やかなひとときと
ともに学院へ向かうルイズ達であった。
時刻がおやつタイムにさしかかろうかという頃にルイズ達は魔法学院へ帰還した。
フーケと『魔法の杖』を持参し院長室へ向かう一行。
院長室ではオスマン院長とコルベールが待機していた。

「…ミス・ロングビル?」

ミス・ロングビルの正体がフーケであったことに絶句する二人。
「あ~、その、あれじゃな。ミス・ロングビルを採用したのは確かにわしじゃが…」
「…ああ、私の想い人が…」
何か言葉を繋ごうとするが非常に歯切れが悪い。痺れを切らしたルイズが
「どうなされたんですか?」
とつつけんどんに伺った。すると、オスマン院長はおずおずと
「酒場でウェイトレスをしておった彼女を秘書としてスカウトしたのじゃよ。セクハラ要因
 …だって、お尻撫でても怒らないんだもの…柔らかくて気持ちいかった」
フーケを登用した言い訳を始めた。それを聞き軽蔑の眼差しを院長に向ける3人のレディ。
フリオニールは無言を貫いたが、内心(いいなぁ。うらやましい)と羨望の眼差しを院長に向けた。
「私は騙されたのか…」
どうやらフーケは『破壊の杖』に関する情報(セキュリティなど)をコルベールから
聞き出していたようだ。色仕掛けを使ったようで、コルベールもボソッと「柔らかくて
気持ちいかった」と呟いた。片思いをしていた女性が実はビッチであることを知った時のような
失望感に苛まれるコルベール。ぶつぶつと独り言を呟き始めた。
室内がどんよりした空気になったので、フリオニールは流れを変えようと懸命に笑顔を繕って
「院長、その杖ですが、どうやら俺の住む世界の物のようです」
院長に返還した杖を指差した。
「おお、フリョウチーム君」
「フリオニールです」
「そうか、君の世界の物か」
「それに、フーケの使い魔もそうでした」
「何と!フーケの使い魔が…」
院長は捕縛され床に横たわっているフーケを一瞥した。すると、フーケは
「そこの…小娘が…変わった使い魔を…召還…だからあたしも…」
モンスターを召還した理由を途切れ途切れに語った。依然ダメージが残っているようだ。
「それは大変な任務じゃったのぅ。それでは、勇気ある諸君を称え『シュヴァリエ』の爵位申請を
宮廷に出そうではないか!と言ってもミス・タバサは『シュヴァリエ』の爵位を持って
おるから精霊勲章を申請しよう!」
院長の発言にルイズ、キュルケ、タバサの3人は先程の軽蔑の眼差しから一転、希望に
満ちた輝く瞳になった。
やっと威信を回復できた、と胸を撫で下ろす院長にルイズが
「オールド・オスマン。彼には何もないのでしょうか?」
フーケを見張っているフリオニールを見て尋ねた。
「うむ。彼は貴族ではないからのぅ。残念じゃが何かを授けるわけにはいかん」
無念とばかりに頭を振る院長にフリオニールは
「お礼なんていいですよ、院長。その代わり元の世界に帰れる方法、お願いしますよ」
爽やかな笑顔で懸案事項の情報収集を念押した。
「もう!良い気分になっているのに水を差さないで!」
フリオニールのマイペースな発言にルイズは思わず大声をあげた。
「寂しいこと言わないで、ダーリン」
キュルケは目に薄っすらと涙を浮かべている。
「KY。DT」
タバサはいつもどおりの無表情でぼそっと呟いた。

(な、何か俺が悪者になってるぞ!)

うろたえるフリオニールであったが、ようやく我を取り戻したコルベールが
「もうしばらくゆっくりしていってもいいではないですか。なにせ君はあの伝説のガンダ」
「オホン!」
フォローし何かを言いかけたが院長に阻止された。
「???ガンダム?」
「その件は後でわしから話そう。それでは諸君、今夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。
 主役はもちろん君たちじゃ。精一杯着飾ってくるのじゃぞい」
『フリッグの舞踏会』の単語を聞き、笑顔ではい、と返事をすると3人の乙女は院長室を後にした。
「ミスタ・コルベール。君はフーケを牢に繋いでくれたまえ」
「承知いたしました」
コルベールは院長に会釈をし、フーケに『レビテーション』の魔法をかけると部屋を出て行った。

院長は部屋に自身とフリオニールしかいないことを確認すると、
「さっきの話じゃが、君の『使い魔のルーン』は伝説の使い魔『ガンダールヴ』のものじゃ」
「へぇ~、それで?」
「伝説によると『ガンダールヴ』はあらゆる武器を使いこなし…」
「俺、今までもそんな感じだったけど…」
「…そうか。なら相乗効果を生むかもしれんのぉ」
「それで、院長。元の世界…」
「そうじゃ!『ガンダールヴ』を使い魔に持つメイジは伝説の魔法『虚無』の担い手であり…」
「はぁ。うちの「ご主人様」伝説なんですか。確かにすごい爆発起こしますけど(性格も)」
「何じゃ、フニオチンチン君。全く興味なさそうじゃの」
「フリオニールです」
「君が『ガンダールヴ』でミス・ヴァリエールが『虚無』の担い手かもしれんことはわしと
 ミスタ・コルベールしか知らん。このことは内密に頼むぞい」
「言われなくても大丈夫ですよ。貴族の友達少ないし」
「そうか」

(このじいさんを頼ったのは失敗なのかもしれない)

フリオニールは故郷フィンと仲間の無事を思い巡らし深くため息を吐くのであった。


追記:数十年前、ワイバーンの群れからオスマン院長を救ったのはミシディアの魔導師だった。
   魔法で撃退を試みるも数で圧される魔導師。奥の手である「サンダーギガース」に
   変身し、いなずまと岩石で反撃をした。とどめに『まどうしのつえ』を使ったが
  (巨人なので杖は爪楊枝の要領で持っている)、それが仇となりあえなく自爆。
   後日、院長は亡骸を手厚く葬り『まどうしのつえ』を形見として入手した。



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