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ゼロのチェリーな使い魔-07



オスマン院長との話し合いから数日が経過した。

フリオニールは学院内で孤高の存在となっていた。
コルベールの尽力によって、自身が非人間である疑いは晴れたものの、豪腕な魔法使い
であるという認識までは覆せなかった。
学院内でフリオニールに気さくに話しかけることができるものは「ご主人様」以外に
キュルケ、ギーシュ、事情を知っているオスマンとコルベール、使用人達のみであった。
それと引き換えに、ルイズに対するからかいがごく一部の間で復活してきていた。
特に『風上』のマリコヌルという太っちょカウボーイばりの立派な(?)腹をした少年の
口撃は執拗だった。

「強力な使い魔を引き連れている割には魔法の方は相変わらずだね、ミス・ヴァリエール」
「うるさいわね!風邪っぴきのマリコヌル!」
「俺は『風上』のマリコヌルだ!」

フリオニールはまた始まった、とうんざりしながら

「君、うちの「ご主人様」に気があるんだね。わかるよ、可愛いもんね」
「な、何を言っているのかね、君は。東方の人間の思考回路はよくわからない。難しいものだな、ははは!」

と言って黙らせた。マリコヌルもフリオニールの実力は知っているのでそれ以上の挑発はしない。
すると、すかさずルイズから

「平民が貴族の世界に口出ししないでちょうだい!」

とお叱りの言葉が返ってきた。

確かにフリオニールの出自は平民だ。しかし、己の住む世界での王族や貴族の体たらくを
嫌というほど見てきた(ヒルダ王女やスコット王子のような人格者は少数派だ)。
帝国との戦争が開始すると、あれよあれよという間に城を追われ、挙句にボーゲン伯爵の裏切り。
そして、自分の家(城)の案内もできないというアホ王子の世話役(潜在能力の高さは
さすが王族だけあるというのはフリオニールも認めるところであったが、やはり貧弱貧弱ゥと
思わざるを得ない)をするにつれ、ああ、この戦争は敗れるべくして敗れたのだなと痛感した。
(この国も戦争に巻き込まれたらフィンやカシュオーンの様になってしまうのだろうか)

とトリステインの行く末を案じるフリオニールにルイズはボソっと

「ああ、わたしもあんたの世界に生まれればよかったわ。お金を出せば魔法が使えるんだもの」
「ルイズさん。自分の故郷を焼かれたいですか?平和が一番ですよ」

ルイズはフリオニールから生い立ちを聞いてはいた。孤児、義理の両親との死別、
行方不明の幼馴染、そして帝国軍の跳梁跋扈。
歳が大して違わないのに自身と正反対の過酷な生を歩む一人の青年。果たして自身が
その環境に置かれたらフリオニールのように目が濁ることなく明るく振舞えるだろうか。
その世界に身を置きたい、なんて口に出してはいけないことであるとルイズは重々承知であるが、
自身の置かれている環境と魔法の才能の無さを鑑みるとつい愚痴が出てしまった。

(自分の使い魔、しかも平民に愚痴をこぼすなんてヴァリエール家の名折れだわ。しっかりしないと!)

ルイズは心を奮い立たせ勉学に勤しむのであった。


そんなことがあった日の午後

フリオニールは朝に洗濯したルイズの服(と自分の服。乾いたらシエスタに決闘で破れた
箇所を補修してもらうことになっている。今着ている服はコルベールから借りたもの)を
取り込みに向かうところであった。

廊下を歩いていると、キュルケの使い魔であるサラマンダーがフリオニールの前に立ちはだかった。

「やぁ」
「きゅるきゅる」

フリオニールの住む世界にもサラマンダーは生息しているが、フィン城奪還時の
フリオニールにはその知識は無い。本能的に刺激しない方が良いと判断し笑顔を送ると、
サラマンダーはフリオニールの袖を噛んで引っ張った。

(?どこかへ連れて行こうとしているのか?)

サラマンダーに促されついて行くとそこはキュルケの部屋の前だった。ドアは開いている
「入れ、ってこと?」
「きゅるきゅる」
「わかった・・・失礼します」
フリオニールは一声かけて部屋の中に入った。中は真っ暗だ。
「いらっしゃい」

挨拶と共にベッドサイドランプが点いた。ベッドの上にはベビードール姿のキュルケが横たわっている。
「・・・やぁ。何のようだい?」
フリオニールはキュルケの姿態を見て彼女に飛びつきそうになるのを必死に理性で抑えた。
キュルケとは関わらないようにルイズから口を酸っぱくして言われている。またメシ抜きに
されるのは嫌なので要件をさっさと済ませようと思った。残念だが今は色気より食い気だ。

「フリオニール。貴方に話があるの」

(またか!)

「何かな?」
「どうしたの?傍に来て」
「・・・」
「早く来て。じらさないで」
「もう騙されないぞ!」
「???うふふ。貴方、ひょっとしてチェリーボ」
「さぁ!用がないなら失礼しよっかな!」

受け入れたくない現実を指摘されそうになったのでフリオニールは大声で遮った。
すると、キュルケはきょとんとした表情をすると、クスクスと笑い出した。

「ごめんなさい。純情なのね、貴方って。でも、戦っている時とのギャップが堪らないわ。
 ああ、私の『微熱』が今にも燃え上がりそう」
「俺も正直に好意を持ってもらってうれしいよ。ラミアクイーンじゃないみたいだし。
けど、とても残念だけどダメなんだ」
「あら?どうして?」
「う~ん・・・色々あるんだけど」
「ミス・ヴァリエールのこと?」
「それもあるし・・・」
「他には?」
「まぁ、それは内緒」
「秘密にされるのだけはイヤ」

キュルケは悲しそうな顔を作りベッドから起き上がると、フリオニールに接近し指先で
フリオニールの胸元を円を描くように撫でた。例によって「ゴクッ」をするフリオニール。
「私は決闘より前から貴方が只者じゃないってわかってたわ。これはきっと運命よ」
「・・・運命か。俺の運命は一体どうなっているんだろう」

鼻息を荒くし、1回くらいいいじゃないか!誰にもばれやしないさ、きっと!と思いかけていた
フリオニールであったが、キュルケの運命の一言に反乱軍のメンバーを思い出し我にかえる。
そして、膝をつきキュルケの手の甲を取って軽く唇をあてたかと思うと、きびすを返して部屋を出た。

「もう・・・いくじなし」

キュルケの『微熱』は『情熱』へと変化していくのであった。

一方、キュルケの部屋から出たフリオニールは偶然にもルイズと鉢合わせてしまった。
ルイズとキュルケの部屋は隣同士。よく考えればこのようなシチュエーションになることは
想定できるのだが若さゆえの過ちか。
ルイズは能面のような表情でフリオニールの前にやってくると、無言で腕を掴み自室へと
引き入れた。

そして、能面は一気に般若へと変貌し

「あんた・・・ツェルプストーの部屋で何をしてたの?」
「なにもしてないです!」
「う、ううう嘘をおっしゃい!こ、ここここの変態バター犬!」

(やばいぞこれは!ヒルダ王女がアホ王子・・・じゃなかったゴードンを叱った時なんて
目じゃないくらいに怒っている!)

身の危険を感じたフリオニールは懸命に誤解を解こうと試みる。
「だから誤解ですって!俺が何者か聞いてきただけなんです!」
「よ、よよよよくも、そ、そそそそんな下手な言い訳を言えたものだわ!」
いきり立ったルイズは机から鞭を取り出すと、
「そこに這いつくばりなさい!わたしがあんたの腐った性根を叩き直してあげるわ!」
「俺にはそんな趣味はないですよ!」
「この期に及んでまだそんなことを!しかも、よ、よりにもよってツェルプストーの女と!
 こ、この性病コレクター!」

(厄日だ。チェリー扱いされたり性病持ち扱いされたり)

フリオニールは無我の境地に達するも振り下ろされる鞭を避けつつルイズの説得を続け、
数時間かけてやっと怒りを抑えることには成功したが3日間の食事抜きを宣告された。

(ああ、こうなるんだったらキュルケとこんなこととかあんなことをしておけば・・・)

後悔するフリオニールであった。



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