「ダーーーリ~~ン お砂糖、何個入れる?」
ヤンはダルそうに、のそりとベッドから起き上がる。
窓の向こうから朝日が差し込む。
(かぁ~~~ 今日も晴れてるネェ あーーー 朝日ウゼェ……)
上半身は素っ裸のままボサボサ頭を掻きながら窓に近づく。
「ダーリン? お砂糖要らない?」
再度キュルケに聞かれて、ヤンはようやく返事をする。
「あーー じゃあ6個」
「6個? わぁ ダーリンって結構甘党なのね」
言いつつキュルケは紅茶を持って奥から現れる。
その格好はショーツ一枚。
その上からワイシャツを羽織っているだけ。
つまりは裸ワイシャツ。
その扇情的な姿を見てぼんやり思う。
(うーむ やはりスゲーな胸 あの婦警といい勝負だな)
「はい ゲルマニアから取り寄せてる最高級品よ トリステインのものにも負けはしないわよ♪」
ぐいー
キュルケの口上を聞き流して、ヤンは受け取った紅茶を一気に飲み干した。
「あ! ちょっとダーリン……もうちょっと味わってよ……結構いいモノだったのよ… もう!」
頬を膨らませ抗議する。
「うるせーブルジョワジー 紅茶の味なんてどれも一緒だ カンケーねー」
(ダーリンったら… でもこんな所もダーリンの魅力よね♪ やっぱり素敵……)
飲み終わったティーカップをキュルケに投げてよこすと、ヤンは脱ぎ散らかしていた服を着始める。
「あら? ダーリンひょっとしてもう行っちゃうの? もうちょっとゆっくりして行けばいいのに……」
「俺ももっとダベりてェンだがよーー 今日はルイズが街に連れてってくれるッつーから 起きる前に戻っとくわ。」
「…………ふーん ま、しょうがないわね ヤンはヴァリエールの使い魔だものね……」
「おいおい すねんなすねんな 今日だって朝から可愛がってやったじゃねーか」
その言葉に少し頬を赤らめながらキュルケはやや俯く。
「す、すねてなんかいないわよ? 私はそんな子どもじゃないから…」
そんな彼女を見てヤンはニンマリと笑う。
ヤンはダルそうに、のそりとベッドから起き上がる。
窓の向こうから朝日が差し込む。
(かぁ~~~ 今日も晴れてるネェ あーーー 朝日ウゼェ……)
上半身は素っ裸のままボサボサ頭を掻きながら窓に近づく。
「ダーリン? お砂糖要らない?」
再度キュルケに聞かれて、ヤンはようやく返事をする。
「あーー じゃあ6個」
「6個? わぁ ダーリンって結構甘党なのね」
言いつつキュルケは紅茶を持って奥から現れる。
その格好はショーツ一枚。
その上からワイシャツを羽織っているだけ。
つまりは裸ワイシャツ。
その扇情的な姿を見てぼんやり思う。
(うーむ やはりスゲーな胸 あの婦警といい勝負だな)
「はい ゲルマニアから取り寄せてる最高級品よ トリステインのものにも負けはしないわよ♪」
ぐいー
キュルケの口上を聞き流して、ヤンは受け取った紅茶を一気に飲み干した。
「あ! ちょっとダーリン……もうちょっと味わってよ……結構いいモノだったのよ… もう!」
頬を膨らませ抗議する。
「うるせーブルジョワジー 紅茶の味なんてどれも一緒だ カンケーねー」
(ダーリンったら… でもこんな所もダーリンの魅力よね♪ やっぱり素敵……)
飲み終わったティーカップをキュルケに投げてよこすと、ヤンは脱ぎ散らかしていた服を着始める。
「あら? ダーリンひょっとしてもう行っちゃうの? もうちょっとゆっくりして行けばいいのに……」
「俺ももっとダベりてェンだがよーー 今日はルイズが街に連れてってくれるッつーから 起きる前に戻っとくわ。」
「…………ふーん ま、しょうがないわね ヤンはヴァリエールの使い魔だものね……」
「おいおい すねんなすねんな 今日だって朝から可愛がってやったじゃねーか」
その言葉に少し頬を赤らめながらキュルケはやや俯く。
「す、すねてなんかいないわよ? 私はそんな子どもじゃないから…」
そんな彼女を見てヤンはニンマリと笑う。
「クックックッ… 『子どもじゃない』ねぇ? 確かに立派に成長してるけどな 体とか。 けどよォ所詮はまだまだお子チャまよ…
そのギャップは結構カワイーぜ?」
「お、お子チャま…! わ、私はツェルプストーの人間なのよ!? 子ども扱いなんて…!」
キュルケは真っ赤になって否定する。
百戦錬磨の恋愛上手がツェルプストー家の矜持の一つなのだ。子ども扱いなんてトンデモナイ。
「うるせーー テメーはまだ乳クセーガキだ 素直に俺に甘えてりゃいいんだよ。 じゃーな 行ってくるぜ」
そう言ってヤンはキュルケの頭をわしゃわしゃっと撫でてやると扉に向かって歩いていく。
キュルケは、それこそまるで小さな子どもの様にぷーッと膨れてヤンを見送る。
(……ダーリン……私をとっても甘えさせてくれる人……私は…本気よダーリン。 ルイズ…負けないからね……)
ヤンの背中を見つめる瞳には激しい情熱の炎が宿っていた。
そのギャップは結構カワイーぜ?」
「お、お子チャま…! わ、私はツェルプストーの人間なのよ!? 子ども扱いなんて…!」
キュルケは真っ赤になって否定する。
百戦錬磨の恋愛上手がツェルプストー家の矜持の一つなのだ。子ども扱いなんてトンデモナイ。
「うるせーー テメーはまだ乳クセーガキだ 素直に俺に甘えてりゃいいんだよ。 じゃーな 行ってくるぜ」
そう言ってヤンはキュルケの頭をわしゃわしゃっと撫でてやると扉に向かって歩いていく。
キュルケは、それこそまるで小さな子どもの様にぷーッと膨れてヤンを見送る。
(……ダーリン……私をとっても甘えさせてくれる人……私は…本気よダーリン。 ルイズ…負けないからね……)
ヤンの背中を見つめる瞳には激しい情熱の炎が宿っていた。
***********************************************************
「起きろーーー 朝だぞー 馬鹿ルイズー うんこルイズー 糞虫ルイズー ぺたんこルイズー」
ぐっすり眠り扱けているのをイイことにヤンは好き勝手言っている。
そして、やおらルイズの両頬を抓むと、そのまま持ち上げた。
「ふぎ、ふぎぃぎぎぎぃ…………うみゃあ…クックベリ~パイ…お腹いっぱい………すぅ」
ルイズは相も変わらず夢の中。
起きる気配は無い。
「カァーーーー ったくコイツはホンット起きねーーなーー! たいしたもんだ ホレホレ 起きろ ホレ!」
以前やったように両頬を抓んだまま上下にシェイク。
「ほーらほらほら どーだ? まだオネンネでちゅかぁーーーー ルイズちゃーーん?」
上下運動はどんどん激しくなる。
ルイズの頬っぺたがぐぃんぐぃん伸びる。
「ふ、ふぇ!? ふひぃ、ひやいひゃいいひゃいいひゃいッ!! ヒャ、ヒャン!? ひゃにやってんひょよッ!!!」
パッ
ドサッ
「おはようルイズちゃん 今日も胸クソ悪ィぐらいイイ天気だぜぇ? さっさと着替えな どっか連れてってくれンだろ?」
ルイズは頬をおさえて涙目でヤンを上目遣いに睨む。
ぐっすり眠り扱けているのをイイことにヤンは好き勝手言っている。
そして、やおらルイズの両頬を抓むと、そのまま持ち上げた。
「ふぎ、ふぎぃぎぎぎぃ…………うみゃあ…クックベリ~パイ…お腹いっぱい………すぅ」
ルイズは相も変わらず夢の中。
起きる気配は無い。
「カァーーーー ったくコイツはホンット起きねーーなーー! たいしたもんだ ホレホレ 起きろ ホレ!」
以前やったように両頬を抓んだまま上下にシェイク。
「ほーらほらほら どーだ? まだオネンネでちゅかぁーーーー ルイズちゃーーん?」
上下運動はどんどん激しくなる。
ルイズの頬っぺたがぐぃんぐぃん伸びる。
「ふ、ふぇ!? ふひぃ、ひやいひゃいいひゃいいひゃいッ!! ヒャ、ヒャン!? ひゃにやってんひょよッ!!!」
パッ
ドサッ
「おはようルイズちゃん 今日も胸クソ悪ィぐらいイイ天気だぜぇ? さっさと着替えな どっか連れてってくれンだろ?」
ルイズは頬をおさえて涙目でヤンを上目遣いに睨む。
「うう~~~! ア、アンタねぇ!! もっと優しく起こしなさいって前も言ったわよねぇ!?」
「あ~? 言われたよーな言われてないよーな…… でも俺の『優しく』はお目覚めのキスになるんだけどOK?」
シレッと答えた瞬間、ルイズの顔が真っ赤に染まる。
「ッ!? そ、そそそそそそこまで優しくなくていいのよ! もっと普通に起こしゃあイイ話でしょおがぁぁぁぁぁぁ!!!」
と叫びつつヤンの顔面目掛けて鉄拳が飛んできたが、華麗に回避。
どうやら以前の濃厚なお目覚めのキッスを思い出したらしい。
「おぉ あぶねーあぶねー。 じゃあさっさと支度しろよ 俺ぁ外で待ってっから」
そう言うとヤンはさっさと部屋を出て行こうとしたその時、ルイズがヤンを呼び止める。
「あ! ちょっと待ちなさいよ! 使い魔の仕事しなさいよ!!」
ルイズの言葉にヤンはあからさまに怪訝な顔をする。
「は? 仕事?」
「そうよ! 言ったじゃない! もう忘れたの!? 使い魔は主人の身の回りの世話をするって言ったでしょ!?」
ルイズはがなりたてる。
「あーー……それも言われたよーな言われてないよーな」
「言った! 絶対言った!!」
「…………で? だったらどうだってゆーんだ? 俺何すンの?」
「だ、だから……その……えと……」
ここまで言ってルイズは言葉に詰まってしまった。
使い魔として、馬鹿犬としてしか思っていなかった為着替えやら洗濯やらをやらせようと思っていたのだ。
最初は。
しかしディープキスをこの短期間で3回も決められてしまった少女は、この使い魔との結婚を想像するまでになってしまっていたのだ。
少女の脳ミソはオメデタイのだ。
「わ、私をき、き、ききききき着替…き、き着替えぇぇぇさせ~~うぅーーっっ~~何でもない! この馬鹿犬!! さっさと出て行きなさいよ!」
「はぁ? 仕事はいいのかよ?」
怪訝な顔をするヤン。
「い・い・か・らっ! 出て行きなさい! 着替えるんだから!」
ヤンの背中を力いっぱい押し部屋からの追放を試みる。
「あーはいはい 出てく出てくよぉー 押すなって」
ずりずり押されながらヤンは部屋の外へフェードアウトした。
扉を乱暴に閉じ、ルイズは息荒くごちる。
「あ~? 言われたよーな言われてないよーな…… でも俺の『優しく』はお目覚めのキスになるんだけどOK?」
シレッと答えた瞬間、ルイズの顔が真っ赤に染まる。
「ッ!? そ、そそそそそそこまで優しくなくていいのよ! もっと普通に起こしゃあイイ話でしょおがぁぁぁぁぁぁ!!!」
と叫びつつヤンの顔面目掛けて鉄拳が飛んできたが、華麗に回避。
どうやら以前の濃厚なお目覚めのキッスを思い出したらしい。
「おぉ あぶねーあぶねー。 じゃあさっさと支度しろよ 俺ぁ外で待ってっから」
そう言うとヤンはさっさと部屋を出て行こうとしたその時、ルイズがヤンを呼び止める。
「あ! ちょっと待ちなさいよ! 使い魔の仕事しなさいよ!!」
ルイズの言葉にヤンはあからさまに怪訝な顔をする。
「は? 仕事?」
「そうよ! 言ったじゃない! もう忘れたの!? 使い魔は主人の身の回りの世話をするって言ったでしょ!?」
ルイズはがなりたてる。
「あーー……それも言われたよーな言われてないよーな」
「言った! 絶対言った!!」
「…………で? だったらどうだってゆーんだ? 俺何すンの?」
「だ、だから……その……えと……」
ここまで言ってルイズは言葉に詰まってしまった。
使い魔として、馬鹿犬としてしか思っていなかった為着替えやら洗濯やらをやらせようと思っていたのだ。
最初は。
しかしディープキスをこの短期間で3回も決められてしまった少女は、この使い魔との結婚を想像するまでになってしまっていたのだ。
少女の脳ミソはオメデタイのだ。
「わ、私をき、き、ききききき着替…き、き着替えぇぇぇさせ~~うぅーーっっ~~何でもない! この馬鹿犬!! さっさと出て行きなさいよ!」
「はぁ? 仕事はいいのかよ?」
怪訝な顔をするヤン。
「い・い・か・らっ! 出て行きなさい! 着替えるんだから!」
ヤンの背中を力いっぱい押し部屋からの追放を試みる。
「あーはいはい 出てく出てくよぉー 押すなって」
ずりずり押されながらヤンは部屋の外へフェードアウトした。
扉を乱暴に閉じ、ルイズは息荒くごちる。
「うーーー……無理よぉ…ヤンに私を着替えさせるなんて………」
年頃全開の少女はガックリうな垂れるのであった。
年頃全開の少女はガックリうな垂れるのであった。
***********************************************************
「なんか体のアチコチが痛ぇーんだけど……乗馬なんてハイソなことやる羽目になるなんてよぉ さっすがファンタジー」
黒尽くめの男は体をごきごきと鳴らしてほぐしている。
隣の桃髪の少女は男の言葉を聞くと顔をニパーッとさせる。
「まぁ粗暴なヤツだからこんなもんだと思ったわ でもまぁまぁ頑張ったわね! これからみっちり仕込んであげるから覚悟なさい!」
召喚されてから押されっぱなしだったために、少しでも優位に立てる所を見つけご満悦だ。
「ケッ 馬なんていらねーよ 大体さぁ。 走った方が速いっての 俺は!」
「……アンタが言うと冗談に聞こえないわね……」
「冗談じゃネーもん」
大きな街に軽妙な会話のキャッチボールをする珍妙なカップルがいる。
ルイズとヤンだ。
トリステイン王国王都トリスタニア。
その大通りに二人はいる。
なかなかの人通りだ。
王都というのは伊達ではないらしい。
しかし彼が知る大都市のメインストリートと比べると人数は少ない。
少ないとは言っても、牧歌的な雰囲気がどこと無く漂っており寂寥感は感じられない。
「へー 結構人いんなぁ 意外だわ。 活気あんじゃねーの」
「ふふん♪ 当然よ! ここはトリスタニアなのよ! 王都なのよ! わかる? 王都よ王都 アンタなんか足を踏み入れるのも憚られる都なのよ!!」
ルイズは無い胸を反って得意気だ。
別に自分が都市計画やら整備やらをやったわけでもあるまいに。
「嘔吐?」
「アクセントを変えるんじゃないの! 王都よ! お・う・と!」
「ほー へー なるほどねー ソイツァスゲェヤ」
「…………アンタ絶対そう思ってないでしょ…………」
黒尽くめの男は体をごきごきと鳴らしてほぐしている。
隣の桃髪の少女は男の言葉を聞くと顔をニパーッとさせる。
「まぁ粗暴なヤツだからこんなもんだと思ったわ でもまぁまぁ頑張ったわね! これからみっちり仕込んであげるから覚悟なさい!」
召喚されてから押されっぱなしだったために、少しでも優位に立てる所を見つけご満悦だ。
「ケッ 馬なんていらねーよ 大体さぁ。 走った方が速いっての 俺は!」
「……アンタが言うと冗談に聞こえないわね……」
「冗談じゃネーもん」
大きな街に軽妙な会話のキャッチボールをする珍妙なカップルがいる。
ルイズとヤンだ。
トリステイン王国王都トリスタニア。
その大通りに二人はいる。
なかなかの人通りだ。
王都というのは伊達ではないらしい。
しかし彼が知る大都市のメインストリートと比べると人数は少ない。
少ないとは言っても、牧歌的な雰囲気がどこと無く漂っており寂寥感は感じられない。
「へー 結構人いんなぁ 意外だわ。 活気あんじゃねーの」
「ふふん♪ 当然よ! ここはトリスタニアなのよ! 王都なのよ! わかる? 王都よ王都 アンタなんか足を踏み入れるのも憚られる都なのよ!!」
ルイズは無い胸を反って得意気だ。
別に自分が都市計画やら整備やらをやったわけでもあるまいに。
「嘔吐?」
「アクセントを変えるんじゃないの! 王都よ! お・う・と!」
「ほー へー なるほどねー ソイツァスゲェヤ」
「…………アンタ絶対そう思ってないでしょ…………」
ヤンの適当さが滲み出まくっている返答に青筋をたてる少女。
可愛い顔が台無しだ。
「しかしよぉ」
「なによ?」
「貴族様の都の割りにスリ多くね? さっきから何度か財布がふわ~って飛び出そうなんだけど。 これって魔法だよなぁ?」
「そ、それは…その…王都にもなると色々な人が集まっちゃうから……」
ルイズは少し俯く。
この後ヤンの口から出てくる台詞がルイズには予想できたからである。
「ふーん でも魔法が使えんのって『由緒正しい貴族様』だけなんだろ? その『貴族様』がスリとはねぇ」
ニタニタと下婢た笑みを浮かべるヤン。
ルイズは何故か自分が悪いことをして、それを攻め立てられているような、そんな気分になる。
「い、色々事情があるのよ! 没落しちゃったり……勘当されちゃったり……貴族の次男とか三男とか……!
貴族の誇りが足りない連中なのよ! そんな奴らと私を一緒にしないでっ!」
ルイズは怒る。
実際、そんな元貴族どもを軽蔑しているのだろう。
「事情ねー まーいーけどなー クククク……」
「うっさいわね! ほらこっちよ!」
まだ嗤うヤンに憤慨しながら、ルイズは裏通りを勢い良く指差す。
ルイズに手を引かれ入った裏通り。
薄汚い男達が地べたに座り込んで、こちらに退廃的な視線を向けてくる。
ヤンはこの空気に郷愁を感じた。
割れた酒瓶、腐った食いモンの欠片、汚ねェドブネズミやゴキブリ共。
やせ細った野良犬。 片目が潰れた猫。 道の隅に巻き散らかされた臭ェゲロ。
全てに無気力で諦めていて、それでも何かを掴みたくて無駄にギラついた目。 目。 目。
まるで『スラム』だ!
落ち着く。 なんて落ち着く空気だ!
ここ数日、貴族の世界とやらを覗いてきたがやはり自分にはこの空気こそ相応しい。
「おお~ いい場所知ってンねぇールイズぅー! なんかステッキーなお店連れてってくれんの?(主に裏社会的な意味で)」
ヤンはとても上機嫌そうに見える。
ヤンが子どものようにコロコロと喜ぶ様子を見て、ルイズもまた顔をパーッと綻ばさせる。
可愛い顔が台無しだ。
「しかしよぉ」
「なによ?」
「貴族様の都の割りにスリ多くね? さっきから何度か財布がふわ~って飛び出そうなんだけど。 これって魔法だよなぁ?」
「そ、それは…その…王都にもなると色々な人が集まっちゃうから……」
ルイズは少し俯く。
この後ヤンの口から出てくる台詞がルイズには予想できたからである。
「ふーん でも魔法が使えんのって『由緒正しい貴族様』だけなんだろ? その『貴族様』がスリとはねぇ」
ニタニタと下婢た笑みを浮かべるヤン。
ルイズは何故か自分が悪いことをして、それを攻め立てられているような、そんな気分になる。
「い、色々事情があるのよ! 没落しちゃったり……勘当されちゃったり……貴族の次男とか三男とか……!
貴族の誇りが足りない連中なのよ! そんな奴らと私を一緒にしないでっ!」
ルイズは怒る。
実際、そんな元貴族どもを軽蔑しているのだろう。
「事情ねー まーいーけどなー クククク……」
「うっさいわね! ほらこっちよ!」
まだ嗤うヤンに憤慨しながら、ルイズは裏通りを勢い良く指差す。
ルイズに手を引かれ入った裏通り。
薄汚い男達が地べたに座り込んで、こちらに退廃的な視線を向けてくる。
ヤンはこの空気に郷愁を感じた。
割れた酒瓶、腐った食いモンの欠片、汚ねェドブネズミやゴキブリ共。
やせ細った野良犬。 片目が潰れた猫。 道の隅に巻き散らかされた臭ェゲロ。
全てに無気力で諦めていて、それでも何かを掴みたくて無駄にギラついた目。 目。 目。
まるで『スラム』だ!
落ち着く。 なんて落ち着く空気だ!
ここ数日、貴族の世界とやらを覗いてきたがやはり自分にはこの空気こそ相応しい。
「おお~ いい場所知ってンねぇールイズぅー! なんかステッキーなお店連れてってくれんの?(主に裏社会的な意味で)」
ヤンはとても上機嫌そうに見える。
ヤンが子どものようにコロコロと喜ぶ様子を見て、ルイズもまた顔をパーッと綻ばさせる。
「ふっふっふっ! 楽しみにしてなさい! ・・・・・・えーと確かここの隣だった・・・・・・・・・あったわ! ここよ!!」
ずびし。
ルイズの指が示す方向。
そこにはお店。
ぐいっとルイズに引っ張られ入店する。
そこは様々な刀剣等が置かれている武器屋だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「どう? ここでアンタにピッタリの剣を買ってあげるわ! ヤンがいくら強いっていってもずっと素手ってわけにもいかないでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ヤン?」
黙っている自分の使い魔にルイズは不安そうな視線を送る。
「あぁ いや何でもねー。 ちょっと俺の予想と違ったモンでな」
(ま そーだよな こんな乳臭ェガキに期待した俺がバカだったわ。 ドラッグとか女とか扱ってるわけねーか)
ヤンの返答にルイズは先程よりもさらに不安げな表情になる。
「…どこか行きたい場所あったの?」
「いやーまー そーゆーわけじゃないデスヨ(そーゆーわけナンだけどな 本当は)。 まぁお前にしちゃあ上等だ 合格。 こういう店嫌いじゃネェ」
完全に上から目線の言葉だったがルイズもいい加減慣れてきた。
だからヤンに『合格』と言われただけでルイズの表情は、再び輝きを取り戻すのだった。
ずびし。
ルイズの指が示す方向。
そこにはお店。
ぐいっとルイズに引っ張られ入店する。
そこは様々な刀剣等が置かれている武器屋だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「どう? ここでアンタにピッタリの剣を買ってあげるわ! ヤンがいくら強いっていってもずっと素手ってわけにもいかないでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ヤン?」
黙っている自分の使い魔にルイズは不安そうな視線を送る。
「あぁ いや何でもねー。 ちょっと俺の予想と違ったモンでな」
(ま そーだよな こんな乳臭ェガキに期待した俺がバカだったわ。 ドラッグとか女とか扱ってるわけねーか)
ヤンの返答にルイズは先程よりもさらに不安げな表情になる。
「…どこか行きたい場所あったの?」
「いやーまー そーゆーわけじゃないデスヨ(そーゆーわけナンだけどな 本当は)。 まぁお前にしちゃあ上等だ 合格。 こういう店嫌いじゃネェ」
完全に上から目線の言葉だったがルイズもいい加減慣れてきた。
だからヤンに『合格』と言われただけでルイズの表情は、再び輝きを取り戻すのだった。
店の奥に居る中年の男は、でこぼこな珍客を観察していた。
いらっしゃいませー!と元気良く言ったのだがスルーされた。
一瞥もされなかった。
接客とはそんなことも間々あるので別に気にしなかった。
黒尽くめの男の方は、こういった店にもまったく違和感の無いアウトロー臭のする男だ。
しかし、桃色髪の少女はこの店には異質だ。
身長、ソコから推測される年齢、容姿、来ている服、仕草。
全部場違いだった。
貴族。
貴族の娘がこんな裏通りの平民の為の武器屋に来るなど。
この二人、最初はお上の監査か何かと思ったが違うようだった。
いらっしゃいませー!と元気良く言ったのだがスルーされた。
一瞥もされなかった。
接客とはそんなことも間々あるので別に気にしなかった。
黒尽くめの男の方は、こういった店にもまったく違和感の無いアウトロー臭のする男だ。
しかし、桃色髪の少女はこの店には異質だ。
身長、ソコから推測される年齢、容姿、来ている服、仕草。
全部場違いだった。
貴族。
貴族の娘がこんな裏通りの平民の為の武器屋に来るなど。
この二人、最初はお上の監査か何かと思ったが違うようだった。
会話の内容や少女の様子からはとても主従には見えない。 あまりに「近すぎる」感じだ。
兄妹かとも思ったが身に纏う空気を始め、容姿も違いすぎる。
だったら恋人同士なのか、と聞かれれば・・・・・・・・・よくわからん・・・というのが正直なところだ。
しかし貴族の(と思われる)娘とアウトローな男のカップル・・・。 奇妙だ・・・。
(ん? 貴族っぽい嬢ちゃんだけくるぞ・・・やっぱ客なのか?)
「・・・・・・ここは平民の武器しか扱ってませんぜ? 貴族様のお目には・・・」
ガサ入れだったらどうしよう・・・(別に後ろめたいことはないが)面倒だ・・・。
「客よ。 剣を見せて頂戴」
「へ? 貴族の方が剣を持つので?」
つい素っ頓狂な声がでてしまう。
「違うわ。 こいつに持たせるのよ」
桃髪の少女は黒尽くめの男をズビッと指差す。
一瞬、反応に困ってしまう。
護衛に持たせる・・・と考えるのが普通なのだろうが、明らかに「主人と下僕」という雰囲気ではない。
男がふてぶてし過ぎるのだ。
だから咄嗟につい言葉に出てしまった。
「へぇ 恋人さんに贈り物ですかい?」
桃髪の少女はポカーンと間の抜けた顔になる。 そして次の瞬間、端正な顔が真っ赤に茹で上がった。
「な! な、ななななななんななななんであんなヤツと私が恋人なのよ!!? どう考えても吊り合わないでしょ!?」
やっべぇ!
ミスった!
貴族怒らせた! 俺死ぬ!
さようなら母ちゃん、子どもたち!
ひょっとしたら連座で殺されっかも・・・そしたらゴメンね家族達・・・父ちゃんバカなこと言っちまったよ!
「ひぇぇぇえええ~~~~~~! し、失礼致しやした!! そうですよね!? あんなチンケな男とお嬢様が恋人だなんてねぇ!?
あるわけないっすよねぇぇぇ!!」
美少女のコメカミがピクッと動く。
「”チンケな男”ですって!? アンタに何がわかるっていうの!? 人の使い魔をチンケ呼ばわりするとはいい度胸だわ! 平民の分際で!!」
えー? 使い魔・・・? そんなのわかる訳ないじゃん・・・。
どうみても人間じゃん。
兄妹かとも思ったが身に纏う空気を始め、容姿も違いすぎる。
だったら恋人同士なのか、と聞かれれば・・・・・・・・・よくわからん・・・というのが正直なところだ。
しかし貴族の(と思われる)娘とアウトローな男のカップル・・・。 奇妙だ・・・。
(ん? 貴族っぽい嬢ちゃんだけくるぞ・・・やっぱ客なのか?)
「・・・・・・ここは平民の武器しか扱ってませんぜ? 貴族様のお目には・・・」
ガサ入れだったらどうしよう・・・(別に後ろめたいことはないが)面倒だ・・・。
「客よ。 剣を見せて頂戴」
「へ? 貴族の方が剣を持つので?」
つい素っ頓狂な声がでてしまう。
「違うわ。 こいつに持たせるのよ」
桃髪の少女は黒尽くめの男をズビッと指差す。
一瞬、反応に困ってしまう。
護衛に持たせる・・・と考えるのが普通なのだろうが、明らかに「主人と下僕」という雰囲気ではない。
男がふてぶてし過ぎるのだ。
だから咄嗟につい言葉に出てしまった。
「へぇ 恋人さんに贈り物ですかい?」
桃髪の少女はポカーンと間の抜けた顔になる。 そして次の瞬間、端正な顔が真っ赤に茹で上がった。
「な! な、ななななななんななななんであんなヤツと私が恋人なのよ!!? どう考えても吊り合わないでしょ!?」
やっべぇ!
ミスった!
貴族怒らせた! 俺死ぬ!
さようなら母ちゃん、子どもたち!
ひょっとしたら連座で殺されっかも・・・そしたらゴメンね家族達・・・父ちゃんバカなこと言っちまったよ!
「ひぇぇぇえええ~~~~~~! し、失礼致しやした!! そうですよね!? あんなチンケな男とお嬢様が恋人だなんてねぇ!?
あるわけないっすよねぇぇぇ!!」
美少女のコメカミがピクッと動く。
「”チンケな男”ですって!? アンタに何がわかるっていうの!? 人の使い魔をチンケ呼ばわりするとはいい度胸だわ! 平民の分際で!!」
えー? 使い魔・・・? そんなのわかる訳ないじゃん・・・。
どうみても人間じゃん。
明らかな怒気を纏い始めた美少女は杖を取り出し構えた。
平民が貴族に杖を構えられる。
これはつまり死刑宣告。
完全に怒らせちゃった・・・。
詰んだわコレ。
やっべーまじっべーわ。
あーホントごめん家族。
このキレ具合だと多分みんな殺されるわ。
貴族の気分次第で生殺与奪権が右往左往。
それぐらい平民の命って軽いのだ。
死を半ば覚悟した時、奇跡は起きた。
ボカッ
「いたっ!」
黒尽くめの男が桃髪の少女の頭を叩いたのだ。
結構な力で。
「バカかテメー いきなり爆殺しよーたぁ俺よりキレてやがンなぁ・・・・・・ちったぁ落ち着け」
少女は頭をさすりながらムクれ面だ。
「い、いきなりご主人様の頭叩くなんてどういうこと!?」
「超ゴメンなさい」
「全然謝ってないでしょーがぁぁぁぁ!」
目の前でケンカ・・・というよりは漫才にしか見えない何かが始まった。
助かった!
救われた!
どう見てもカタギに見えない男の方が話が分かるお人でしたぜ!
いやホント。
あとちょっとで漏れてた。
正直少しちびった気がする。
後でパンツ変えようっと。
目の前の喧騒を暫し眺める。
使い魔の男とのやり取りも終わり、ようやく一息ついた少女がこちらに向き直り。
「ふー・・・ まぁいいわ。 とにかくこの店で一番いい剣をちょうだい」
平民が貴族に杖を構えられる。
これはつまり死刑宣告。
完全に怒らせちゃった・・・。
詰んだわコレ。
やっべーまじっべーわ。
あーホントごめん家族。
このキレ具合だと多分みんな殺されるわ。
貴族の気分次第で生殺与奪権が右往左往。
それぐらい平民の命って軽いのだ。
死を半ば覚悟した時、奇跡は起きた。
ボカッ
「いたっ!」
黒尽くめの男が桃髪の少女の頭を叩いたのだ。
結構な力で。
「バカかテメー いきなり爆殺しよーたぁ俺よりキレてやがンなぁ・・・・・・ちったぁ落ち着け」
少女は頭をさすりながらムクれ面だ。
「い、いきなりご主人様の頭叩くなんてどういうこと!?」
「超ゴメンなさい」
「全然謝ってないでしょーがぁぁぁぁ!」
目の前でケンカ・・・というよりは漫才にしか見えない何かが始まった。
助かった!
救われた!
どう見てもカタギに見えない男の方が話が分かるお人でしたぜ!
いやホント。
あとちょっとで漏れてた。
正直少しちびった気がする。
後でパンツ変えようっと。
目の前の喧騒を暫し眺める。
使い魔の男とのやり取りも終わり、ようやく一息ついた少女がこちらに向き直り。
「ふー・・・ まぁいいわ。 とにかくこの店で一番いい剣をちょうだい」
「は、はい ただいま!」
そそくさと店の主人は奥へと消えていく。
「はッ 『一番いい剣』・・・ねぇ いやー貴族様は違いますねー御主人様」
「当たり前よ 私はヴァリエール公爵家の三女なのよ? 誰よりも貴族なのよ やっと私の凄さがわかったみたいね? ふふん♪」
いや 嫌味で言ったんだけど・・・。
拍子抜けを喰らったヤンは大して反応もせずスルー。
店内の武器群に目をやる。
光モンばっか。
P90とかやっぱねーか。 つまんねー。
まぁ刺す時のアノ感触も悪かーねーけど。
「ん?」
特に目的も無く見回していたヤンの視線が止まる。
片刃の剣。
なんの変哲もない見窄らしい剣。
じ~~。
「何よ ヤン。 そんな剣が欲しいの? もっといい剣買ってあげるわよ?」
店主を待っているだけのルイズも手持ち無沙汰となりヤンを観察していた。
「んー いや別に欲しいって訳でもねーんだが。 何となく気になってよ」
そうこうしてる間に店主到着。
「お待たせいたしました。 こちらが当店で一番の品になります」
そう言って男が取り出したのは豪奢な造りの両刃剣。
「こちらかの有名なシュ・・・」
「おいオヤジ この剣くれ」
店主の説明のターンを無視してかぶせて来るヤン。
「は? ちょっとヤン 欲しい訳じゃないって言ったじゃない! そんな汚い剣ヤメなさいって!」
店主より早く口を開いたルイズ。
その途端。
「あ゛? こら娘っ子! 汚い剣とは何事だ!! このデルフリンガー様に向かって大層な口をきくじゃねーか!!」
「「しゃべった!」」
ヤンもルイズもびっくりだ。
そそくさと店の主人は奥へと消えていく。
「はッ 『一番いい剣』・・・ねぇ いやー貴族様は違いますねー御主人様」
「当たり前よ 私はヴァリエール公爵家の三女なのよ? 誰よりも貴族なのよ やっと私の凄さがわかったみたいね? ふふん♪」
いや 嫌味で言ったんだけど・・・。
拍子抜けを喰らったヤンは大して反応もせずスルー。
店内の武器群に目をやる。
光モンばっか。
P90とかやっぱねーか。 つまんねー。
まぁ刺す時のアノ感触も悪かーねーけど。
「ん?」
特に目的も無く見回していたヤンの視線が止まる。
片刃の剣。
なんの変哲もない見窄らしい剣。
じ~~。
「何よ ヤン。 そんな剣が欲しいの? もっといい剣買ってあげるわよ?」
店主を待っているだけのルイズも手持ち無沙汰となりヤンを観察していた。
「んー いや別に欲しいって訳でもねーんだが。 何となく気になってよ」
そうこうしてる間に店主到着。
「お待たせいたしました。 こちらが当店で一番の品になります」
そう言って男が取り出したのは豪奢な造りの両刃剣。
「こちらかの有名なシュ・・・」
「おいオヤジ この剣くれ」
店主の説明のターンを無視してかぶせて来るヤン。
「は? ちょっとヤン 欲しい訳じゃないって言ったじゃない! そんな汚い剣ヤメなさいって!」
店主より早く口を開いたルイズ。
その途端。
「あ゛? こら娘っ子! 汚い剣とは何事だ!! このデルフリンガー様に向かって大層な口をきくじゃねーか!!」
「「しゃべった!」」
ヤンもルイズもびっくりだ。
「あぁ・・・お客様・・・その剣は・・・口も悪いし何より見た目がきっっっっっったねーーーので貴族の従者様にゃあ相応しくありやせんぜ」
店に置いてあるのに酷い言われようである。
「ンだとテメー! 俺様こそこんなきっっっっっったねぇぇぇぇ店に善意でいてやったってぇのに あーもーあーー ヤル気なくした もう出てくわ もう出てく」
「おー出てけ出てけ 毎度毎度、営業妨害しやがる恩知らずなんざいらねーっつーの テメーを手入れするだけ時間の無駄だしな!」
「言ったなコノヤロー! おう黒いの! ってことで今からアンタが俺の持ち主だ! そうと決まりゃーこんなトコとはオサラバだぜ!」
「へ! 折れな! うんこデルフ!」
「は! 潰れな! クソ武器屋!」
店に置いてあるのに酷い言われようである。
「ンだとテメー! 俺様こそこんなきっっっっっったねぇぇぇぇ店に善意でいてやったってぇのに あーもーあーー ヤル気なくした もう出てくわ もう出てく」
「おー出てけ出てけ 毎度毎度、営業妨害しやがる恩知らずなんざいらねーっつーの テメーを手入れするだけ時間の無駄だしな!」
「言ったなコノヤロー! おう黒いの! ってことで今からアンタが俺の持ち主だ! そうと決まりゃーこんなトコとはオサラバだぜ!」
「へ! 折れな! うんこデルフ!」
「は! 潰れな! クソ武器屋!」
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「はい というわけで剣をゲットしましたねルイズたん」
「・・・・・・良かったのかしら・・・お金払って無いけど・・・ しかもそんなボロっちいの・・・・・・」
「ボロっちいって言うな! しかしおでれーたな 勢いで飛び出してきちまったが黒いあんちゃん。 オメーさんまさか・・・」
王都のとある喫茶店で一人の人間と一人の吸血鬼と一振りの剣が雑談に興じている。
剣を買うつもりの資金がまるまる浮いたので割と豪華なランチが楽しめていた。
ガツガツとマナーも何もあったもんじゃなく食い散らかすヤン。
かなりの速度で次々と料理を平らげ。
「ごちそーさん」
ドッカ
食い終わった側からテーブルに足を投げ出しくつろぎだす。
「ちょっと! 行儀が悪いわよヤン!」
「うるせー。 で・・・えーと なんだっけ デル・・・デルゥ・・・デルゥ」
「おい・・・そんな複雑な名前じゃなかったろ・・・しかも、デルの言い方ちょっとおかしいぞ なんか汚らしいモンが出そうだろうが! デルフリンガーだよ!」
彼、デルフリンガーは鞘にシッカリと収められると喋れないらしく、今は僅かに刀身を覗かせいる。
そして椅子をまるまる一つ占領し、背もたれに立て掛けられいる。
つまりデルフリンガーは椅子に座っている。
一応そのつもり。
「ああそーそーデルフリンガーね。 で、俺が何だって?」
「・・・・・・良かったのかしら・・・お金払って無いけど・・・ しかもそんなボロっちいの・・・・・・」
「ボロっちいって言うな! しかしおでれーたな 勢いで飛び出してきちまったが黒いあんちゃん。 オメーさんまさか・・・」
王都のとある喫茶店で一人の人間と一人の吸血鬼と一振りの剣が雑談に興じている。
剣を買うつもりの資金がまるまる浮いたので割と豪華なランチが楽しめていた。
ガツガツとマナーも何もあったもんじゃなく食い散らかすヤン。
かなりの速度で次々と料理を平らげ。
「ごちそーさん」
ドッカ
食い終わった側からテーブルに足を投げ出しくつろぎだす。
「ちょっと! 行儀が悪いわよヤン!」
「うるせー。 で・・・えーと なんだっけ デル・・・デルゥ・・・デルゥ」
「おい・・・そんな複雑な名前じゃなかったろ・・・しかも、デルの言い方ちょっとおかしいぞ なんか汚らしいモンが出そうだろうが! デルフリンガーだよ!」
彼、デルフリンガーは鞘にシッカリと収められると喋れないらしく、今は僅かに刀身を覗かせいる。
そして椅子をまるまる一つ占領し、背もたれに立て掛けられいる。
つまりデルフリンガーは椅子に座っている。
一応そのつもり。
「ああそーそーデルフリンガーね。 で、俺が何だって?」
「・・・オメーさん・・・まさか・・・・・・。 ・・・・・・・・・えーと・・・まさか・・・・・・・・・えー あー ・・・・・・・・・なんだっけ?」
「はぁ? テメェから言い出したんだろうが 俺が知ってるわきゃネーー」
「・・・・・・やっぱり別の剣にしましょうよヤン・・・。 インテリジェンスソードっていってもボケてるんじゃあ・・・ ボロっちいし」
「ま、待て待て! 眠りすぎたせいでまだ頭がシャンとしてねぇんだ! それだけだ! 暫く経てば思い出すから! ね?ね!?」
ガチャガチャとあからさまに慌てる剣。
おもしれー。
「ところでヤン」
「あ? なに?」
「いつまでテーブルに足乗っけてるのよ! さっさと降ろしなさいバカ犬! みんな見てるじゃないの!!」
そう言われて周りを見渡してみる。
ゆっくりじっくりと。
ガンを飛ばすような感じで。
ヤンと目が合うとサッと逸らしてしまう。
当然である。 怖いお兄さんのガン飛ばしは避ける。 体がぶつかったら謝る。
コレすなわち小市民の知恵。
だがルイズの言う通り、皆さんの注目を集めてしまっているようだ。
「・・・あー これはアレだわ。 ほら 俺達美男美女カップルだからヨォ ヒャハハハ!」
一瞬固まるルイズ。
その後瞬速で顔が赤くなる。
「え、ええええええええぇぇぇぇぇ! カ、カカカカカカップル!!? カップル!? ッカカカカカカカカップルって! わ、わわわわ私は えと その・・・!!」
一人で大騒ぎを始める。
ヤンの無作法以上に人目を引いてしまうのは、もはやしょうが無い。
どう見ても迷惑バカップルです本当にありがとうございました。
「なぁーデルフ。 コイツって変わってるよな」
「いやどっちもどっちじゃね?」
どう見ても貴族の少女。
どう見ても怖いお兄さん。
周りの人々は生温かい目で見守ることしか出来なかった。
「はぁ? テメェから言い出したんだろうが 俺が知ってるわきゃネーー」
「・・・・・・やっぱり別の剣にしましょうよヤン・・・。 インテリジェンスソードっていってもボケてるんじゃあ・・・ ボロっちいし」
「ま、待て待て! 眠りすぎたせいでまだ頭がシャンとしてねぇんだ! それだけだ! 暫く経てば思い出すから! ね?ね!?」
ガチャガチャとあからさまに慌てる剣。
おもしれー。
「ところでヤン」
「あ? なに?」
「いつまでテーブルに足乗っけてるのよ! さっさと降ろしなさいバカ犬! みんな見てるじゃないの!!」
そう言われて周りを見渡してみる。
ゆっくりじっくりと。
ガンを飛ばすような感じで。
ヤンと目が合うとサッと逸らしてしまう。
当然である。 怖いお兄さんのガン飛ばしは避ける。 体がぶつかったら謝る。
コレすなわち小市民の知恵。
だがルイズの言う通り、皆さんの注目を集めてしまっているようだ。
「・・・あー これはアレだわ。 ほら 俺達美男美女カップルだからヨォ ヒャハハハ!」
一瞬固まるルイズ。
その後瞬速で顔が赤くなる。
「え、ええええええええぇぇぇぇぇ! カ、カカカカカカップル!!? カップル!? ッカカカカカカカカップルって! わ、わわわわ私は えと その・・・!!」
一人で大騒ぎを始める。
ヤンの無作法以上に人目を引いてしまうのは、もはやしょうが無い。
どう見ても迷惑バカップルです本当にありがとうございました。
「なぁーデルフ。 コイツって変わってるよな」
「いやどっちもどっちじゃね?」
どう見ても貴族の少女。
どう見ても怖いお兄さん。
周りの人々は生温かい目で見守ることしか出来なかった。