あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの天使試験-3

 錬金の授業にて、色々なゴタゴタから、遊羽はルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれ、嘲笑されている事を知った。しかし遊羽には何も出来なかった。
 というより、持ち前の明るさで何度も話しかけたのだが、耳に入っていないのか聞こえてないのか、罰の教室片付けの時も終了後に食堂へ向かう時も、ルイズは返事も反応もしてくれなかった。
 こうなると沈黙するしか無いわけだが、そんな状況に耐えられる彼女では無かった。
 だから、強行手段に出る。

「―――えいやっ!」
「!? 何すんのよ!」
「抱き締めてるのよ?」
「何で……!」
「だって、何にも話してくれないし」
「……」

 また沈黙か、と思った矢先、ルイズは重い口を静かに開いた。

「……見たでしょ」
「何を?」
「さっきの見たでしょ。私は貴族なのに、魔法が使えないのよ!」
「なんだ、そんな事?」
「―――っ! そんな事って」
「あたしだって、天使なのに天使らしい事、何も出来ないわよ?」
「……」
「多分ルールーは、配線をかけ違えてるだけだと思うのよね。
 本当に使えないのなら何も起きない。けど爆発が起きてるなら、やり方が違うだけでそこには何かがある。
 聞くけど、突然爆発する魔法ってあるわけ?」
「無い筈よ。爆発を起こすならともかく、突然ってなると」
「じゃあ、何でルー子はそうなる訳? みんな、何で新発見でびっくりしないんだろ?」
「それは……」

 その答えは考えなかった訳では無いが、切り捨てていた。元々魔法はどのように使うかが世間では重要であり、新しい魔法発見に関しては気にしてもらえなかった。
 だから、私も考えなくなっていた。
 何故不発ではなく爆発なのか、改めて考え直し、調べなければ、これは解決しないのかもしれない。
 しかしまあ、ただの脳天気だと思ってた遊羽からこう言われるとは、

「……ふふ。あんたって案外ちゃんと考えられるのね」
「それってあたしがアホの子って思われてたって事? メガむかつくぅ~!」
「普段の様子見てたら、ね。後あだ名は統一しなさい」
「けど、やっぱりルイズっちは笑ってる方が可愛いわよ」
「―――~っ!」

 遊羽の思わぬ反撃に、ルイズはトマトより顔を赤くしてたじろいだ。

「う、うるさいうるさいうるさい!さっさと昼食べに行くわよ!」



 昼には少し遅れて来たものの、食堂は多くの生徒で賑わっていた。が、ルイズは席に着く前に、遊羽を連れて厨房の方へ向かった。

「ちょっと失礼するわよ」
「はい……あ、ミス・ヴァリエール」

 ルイズの呼び声に、厨房の奥からメイドが現れる。この胸のサイズ……食堂の平民は化け物か!

「やっほー、しーちゃん。さっきはありがとね」
「あ、ユンさん。いえいえ、こちらこそ」

 初対面では無いように話す二人を見て、さっき井戸の場所を教えたのはこの子かと理解。


「頼みがあるんだけど」
「た、頼みですか!?」
「別に取って食べたりしないわよ。
 これから食事の時、『これ』に使い魔用じゃなくて、普通の食べ物あげてくれない? 貴族用じゃなくて、普通のでいいわ。
 えっと……」
「シエスタです。分かりました、頼んで来ますね」

 これって何よー、という横からの抗議は黙殺する。注文自体はすぐに通った様子で、程なくしてトコトコとメイドが戻って来た。

「はい、許可貰えました」
「ん、ありがとね。じゃあユン、席座るわよ」
「しーちゃん、おっさきー」
「私は仕事のつづきなので、失礼します。ユンさんの分は、後でお届けしますね」

 やがて食堂の客の数がピークとなり、店員が先程にも増して動き回る様子が見られた。シエスタも、右に左にと両手の料理を持って大変そうだ。

「ユン、昨日あんた、占いが得意って言ってたわよね?」

 昼食を終わらせ、体を落ち着かせていたルイズが興味を持って尋ねる。

「そうよ。一回タダよ、お客さん」
「どんな占いなの?」
「スルー多いわね……あたしの占いは、その人を見るのよ」
「水晶とか、カードは?」
「いらないわ。使うとすれば……神力ね」
「シンリキ?」

 少しうさん臭げなルイズの様子を察知し、遊羽はさっさと説明に移る。


「すべての天使が神様に与えられた力……なんだけど、最近は全体的に減少気味ね。
 例えば、あたしはその力で占いを当てやすくするのが得意だけど、友達のヒナは力が強いから空を飛べるの」
「うーん……こっちの魔法みたいなもの?」
「属性ってのは無いけどね」

 やっと少しは天使らしい話が出て来たが、未だに信憑性が足りないとは思う。もしかして、天使って大した事無い?

「けど、地上って随分習ったところと違うのね。びっくりよ」
「そっちじゃ、どう習ったの?」

 実技は無理でも座学で優秀なルイズにとっては、違う世界(仮)の違う学校の学習内容の違いに強く興味を持った。

「そうねぇ……地上は人間が暮らしてて、竜とか妖精とかは伝説でしか無いとか」
「数多くは無いけど、いるわよ。天使はいないけど」
「後、機械を使ってて、魔法とか不思議な力は使えなくて、貴族とか王様はほとんどいないって。それからお月様は一個」
「キカイとか言うのは知らないわ。魔法使いや貴族、王様は普通にたくさんいるし。月は二個ね」

 しばし、沈黙。ルイズのジト目が鋭く遊羽に突き刺さる。

「ホントに勉強してたの?」
「一応……ね。だから、驚いてるのよ。
 やっぱり実際見るのとは違うわねえ」
「その学校のカリキュラムがおかしいんじゃないの―――」

 その時、突然の騒音とざわめきがルイズの会話を切り裂いた。

「何かしら」
「あれ、しーちゃん?」


 何だ何だと人混みに近付くと、シエスタがキザっぽい貴族に怒鳴られていた。
 周囲の噂話や本人らの途切れ途切れの話を総合すると、その貴族ギーシュが二股の自慢話をしている際、香水の瓶を落とした。
 それをシエスタが拾い、届けた事によって二股相手双方から殴られる。それを逆恨みし、怒鳴り散らす。このままではシエスタはどうなるか……との事らしい。

「って、完全にギーシュが悪いじゃない……」

 ルイズは嘆息した。貴族が平民に強気に出られるとはいえ、あれはただの醜いヤジ以下だ。周りも同様。
 同時に、自分が誇りとする『貴族』というモノが汚されるように感じた。貴族たるもの、もっと優雅にいるものじゃなくて?
 決して平民の為じゃないわ、貴族の誇りの為なのよとルイズは足を一歩踏み出し、前に黒ゴスロリの自分の使い魔がいるのを見つけた。

「―――って、ユンー!? ああ、もう!」



「ちょっと、そのぐらいにしたら?」

 突然の珍入者に周囲の観客は少し驚いたが、ギーシュは何事も無かったかのように対象を遊羽に変えて話し出す。

「おや、ヴァリエールの使い魔の平民じゃないか。何の用だい?」
「浮気と二股とかよく分かんないけど、しーちゃんに怒り過ぎじゃない?」
「ふん、この平民のせいで、僕は美しい華を二人失ったのさ。理由には十分じゃないかな?」

 遅れてルイズも飛び出す。

「二股してバレてフられたってだけじゃない。しかも腹いせにシエスタに怒鳴り散らして、みっともないったらありゃしないわ」


 が、ルイズのセリフは火に油を注いでしまった。

「そこまで言うならいいだろう、決闘だ!」

 周囲がざわめき出す。
 それもその筈、この学院では貴族同士が決闘するのは許されてはいないのだ。つまりギーシュは遊羽の主であるルイズとは決闘出来ない。

「ただし、相手は君だ、ヴァリエールの使い魔!」

 そのルールを逆手に取り、貴族が平民に決闘するのは前例が無いとはいえ、禁止されていなかった。
 平民は貴族には勝てない、ギーシュも大人気ないなとのヤジが飛び交う中、遊羽は一言で返事した。


「やだ」


 凍り付く空間。怯むギーシュ。
 まさかこうも簡単に切り捨てられるとは思わなかったのだろう、顔をひくつかせている。

「……は、ははっ。所詮主がゼロの主なら使い魔も臆病者の使い魔か―――」
「いや、あたし関係ないし。
 当事者は貴方としーちゃんね、オーケイ?」
「いや、だから―――」
「大体、貴方は女の子に好かれたいのよね?」
「はっきり言うな、君は……」
「ちょっと気に食わないからって女の子に怒鳴り散らしてるの、他の女の子が見たら、どー思うのかな?」
「ぐっ……」


 顔色を悪くしたギーシュの前でにひひと笑う遊羽を見て、ルイズは思う。今の光景見たら、間違いなく遊羽が悪人よね。

「今のうちに、しーちゃんに謝った方がよくない?」
「ぐぐっ……」

 ギーシュは見るからに葛藤していた。確かにやり過ぎたとは思わないでもない。だが、それを平民に言われる筋合いは無い、というよりムカツク。
 何、目の前の少女はただの平民だ。特に何の威圧感も感じない。だというのに、何故『言う事を聞かねばならないように感じる』のか……!
 ギーシュは何時間も―――実際は数分も経っていないが―――葛藤を感じた末に、決心したかようやく口を開いた。

「ふん……少し言い過ぎt」
「ギーシュっ!!」
「うわっ! な、何だいモンモランシー!」

 更なる乱入者が現れ、食堂はカオスの様相を呈していた。皆が行く末を見守る中、モンモランシーは騒ぎの中央に割り込んで来る。

「食堂で騒ぎを起こしていると聞いたから……」

 言いながらギーシュを、そしてシエスタを交互に二度、三度と見回し、へぇと納得いったように頷く。遊羽の時とは違う、痛いような寒気が周囲を凍り付かせる。
 が、空気の読めないのがここに一人。

「やあモンモランシー! 僕の魅力を分かってくれて、戻ってきてくれたんだね!」
「ええ、よく分かったわ……嫌と言う程ね!」
「え―――」


 二の句をつぐ暇なく、モンモランシーの拳の一閃がギーシュに突き刺さる。
 呆然とする一同を前に、「あら、ごめんあそばせ」と余りにもわざとらしく言い残し、「うげ」と潰れた蛙の悲鳴を上げて気絶した浮気者をバキボキ周囲にぶつけながら引きずって帰って行った。

「何ていうか……無茶苦茶ね」

 同じく唖然とするルイズと遊羽の元に復帰したシエスタが駆け寄り、

「あ、あの、ありがとうございました」
「気にしないで、こっちの勝手だし。
 ……ところで」
「?」
「遊羽、よくギーシュを説得出来たわね。謝りかけだったじゃない―――ああなったけど」
「あれは、授業の応用……かな、うん。ちょっと強引だけどね」

 いったい何を教わっていたんだ、とこの瞬間ルイズとシエスタの心は一つになった。

「後は……ちょっと秘密がね」

 今ここでは話せないと小声で告げる遊羽に、ルイズは納得する。まだ、天使の事で秘密があるらしい。

食堂は騒ぎが終わり、静寂を取り戻し始めていた。


***************


 わたしは、ふしぎなおへやにいます。へんなにおいが、いっぱいするおへやです。
 わたしがどうしてここにいるのかは、よくおぼえてません。こるべーるってはげたおじさんにたすけられて、きがついたらここにいました。
 それから、わたしはそとにでてません。からだがなおってないから、だめだっていってました。


 おじさんはやさしいひとだけど、ときどきこうふんします。
 まえはわたしをみて、「人を、人が造ったのか……!」「まさに、神をも恐れぬ所業……!」とうなっていました。そんなときだけは、こわいです。
 さいきんは『るーん』とかいう、ちがうしらべものができたといって、よくへやをるすにします。
 ひまだから、わたしはおふとんのなかで、おもっていたことをよくかんがえます。

―――わたしはだれ?


―――レゥ? リース? それとも…ライカ?


 ときどき、あたまのさきがぴきーんってします。だれかが、わたしをよぶの。
 よくわかんないけど、なつかしいだれかが、わたしをよぶの。なんていってるか、わからないけど。


―――ぴきーんって。


「おにいちゃん……どこ……?」

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