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ゼロの賢王 プロローグ


船のデッキに1人の中年の男が佇んでいた。
金色の長い髪が風にそよいでいる。
男の名はポロンと言った。
その日ポロンは長旅を終え、久し振りに我が家へ帰ろうとしていた。

ポロンは妻サクヤとの間に子供が出来ない後ろめたさから世界を放浪するようになっていた。
最初は逃避したいという気持ちもあったが、ランシールへ行った際に赤ん坊であったレーベンを拾ったことで吹っ切れ、
今では自ら進んで世界を旅しては孤児を拾い、自分たちの家族としていた。
また、旅の目的はそれだけに止まらず、世界の情勢やモンスターの分布などの調査も行っていた。
今回もそれらが目的で旅をしていたのだった。
なお、今回の旅では孤児と出会うことは無かった。

「ま、今回は縁が無かったってこったな」

ポロンは残念そうに言うと、帰りの船へと乗り込んだ。
このまま2日ほど波に揺られていれば、家に着くだろう。
ポロンは船室へ入ると、すぐに横になり目を閉じた。

暫くした後、急に目が覚めたポロンは気分転換に船室から出た。
その日の夜は不気味なほど静かであった。
ポロンは星一つ無い不吉な夜空を見上げていた。
ふと、思い出したかのように右手をかざした。

「あれからもう3年・・・か」

そう呟くと、自分の右手をじっと見つめる。

『失われし日』

その日を境に全世界から呪文が消失した。
ある者は嘆き、ある者は絶望した。
そしてそれは、ポロンも例外ではなかった。
ポロンは右手を漆黒の空へと向けた。

「メラ!」

しかし、何も起こらない。
ただ不意に吹いた風がポロンの頬を撫でただけであった。

「・・・ハァ、分かっちゃいるんだが、やっぱり落ち込むねえ」

ポロンは苦笑する。
今でこそ呪文は使えないが、在りし日の彼は賢王と呼ばれ、どんな呪文も使いこなせる使い手であった。
だが『失われし日』により彼もまた、ただの人となった。

ポロンとて、最初から呪文を使いこなせていたわけでは無かったのだが、
やはり力を失うということはとてつもない喪失感をもたらしてしまうものである。
かつて、勇者アルスとともに命を懸けて異魔神と戦ったあの賢王ポロンはもういないのだ。

「賢王ポロン様ももう廃業だな・・・。今更遊び人って歳でも無いし、
 そうだな、次は海賊王にでもなるか!」

ハハハと笑う。
すると、突如ポロンの目の前に鏡が現れた。

「ん?何だこりゃ?悪魔のカガミか?」

鏡にはポロンの訝しげな顔が映し出されている。
ポロンは恐る恐る鏡に手を触れてみた。
すると次の瞬間、鏡から白い光が放たれた。
ポロンの姿が光に包まれる。

「うわあああああああ」

突き刺すような光が弱まっていくと、今までそこにあった鏡は消えていた。
そして、ポロンの姿もまたその場から消えていた。


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