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聖樹、ハルケギニアへ-06


聖樹、ハルケギニアへ―6




ヴェストリの広場での決闘後の夜。
ルイズは夕食を済ませて部屋に戻ってきた。
「あー・・・疲れた・・・」
「随分と早くに戻ってきたようだが、夕食はあまり食べなかったのか?」
ベッド兼ソファーに腰掛けたエクスデスは刃の付いた杖を手入れしながら問いかける・
マントを外したルイズは自分のベッドに倒れこみながら答える。
「別に急いでたわけでもあまり食べなかったわけでもないわよ
 ・・・誰かさんの所為で食べる暇がなかっただけ」
「それは大変だったな 誰に困らされたのかは知らんが」
「あんたよ!」
びしっとエクスデスを指差す。

決闘から戻った後、ルイズはエクスデスに部屋待機を命じていた。
そして自分は嫌な予感をしつつ食堂に夕食を採るため足を踏み入れたのだが・・・。
「来たぞ!」
「ルイ・・・じゃなくてヴァリエール!」
「あれ?あのデッカいのは!?」
「いろいろ聞きたい事が!」
「僕も!」
「私も!」
「おい!順番だぞ!」
ルイズの顔を見るなり昼間の騒ぎの場にいた者、人づてに話を聞いた者、とりあえず騒ぎに便乗する者などが殺到したのだ。
お目当てはルイズの使い魔ことエクスデス。
あの強さの秘密、ギーシュとのやりとり、中身等の質問が洪水のように浴びせられる。
予想が的中したルイズはこめかみを押さえつつ溜息を吐く。
(連れて来ないで正解だったわね・・・)
もし連れてきていたら今以上の騒ぎになっていただろう。
わーわー騒ぐ生徒たちはルイズを包囲するような形で質問しまくっている。
本来ならこういう時は教師が率先して生徒たちを沈めるのだが、教師たちも実は気になっていたのだ。
しかし立場上質問しにくいというのもあり、あえて学生たちをそのままにして質問に対してルイズが答えるのを聞こうと集中しているところだった。
人波をかき分けながらなんとか自分の席に着こうとするルイズだが、それに合わせるように人波も移動してくるので動きづらいことこの上ない。
一度答えてしまえばもう止まらなくなることは明白なのでルイズは目をつぶって耳をふさぎながらずんずんと進んで、
「「「「「あ」」」」」
「あ?」
ルイズは見事に顔から床にダイブした。
「・・・・・・・・・・・」
どうしたらといった感じの微妙な沈黙に食堂が静まる。
むっくりとルイズが起き上がるが、何故か微妙にぶるぶると震えている。
「・・・・い」
(い?)
何か言いかけたようだが、うまく聞き取れない何人かが一歩前に出た直後。


「いいぃ加減にぃいい・・・しなさいよぉおおおおおお!!!!」


ルイズの怒りが爆発した。
怒声と同時に魔法も発動したのか、食堂も爆発した。
正確には爆発したような大きな音が起きた。




そして再びルイズの部屋。
「それは中々大変だったようだな」
顛末を聞いたエクスデスだが、さっきの爆音はそれかと考えながら杖の手入れを終えて次は腰に下げていた短刀の手入れを始めている。
「・・・誰のせいでこうなったか分かってる?」
エクスデスの様子にベッドからごろりとうつ伏せになりつつジト目で睨みつける。
「私が原因といえば原因かもしれないが、爆発騒ぎはお前の仕業ではないか
 それに昼間のあれは」
「分かってるわよ、あんたはそんなに悪くないから」
「分かっているなら最初から言わなければいいではないか」
「でも言いたかったの!」
その後もルイズの愚痴がしばらく続き、やれやれとエクスデスは手入れを続け他のアクセサリー類の確認も小一時間程で終わった。
そこでふとベッドのルイズに目をやる。
さっきからやたらと静かなのだ。
説教だか愚痴だか分らない文句のようなものがまだ続いてるかと思えばまるで音沙汰が無い。
「ルイズ?」
声をかけるが返事はない。
ソファーから立ち上がってルイズに近寄ってみると、理由は分かった。
「・・・すぅ・・・すぅ・・・んぅ・・・」
眠っているのだ。
「・・・・」
頬を指で軽く撫でてみる。
普段なら幼さがまだまだ残る顔が、目を閉じてランプの光にうっすらと照らされる顔には何かしらエクスデスにも感じるところがあった。
「・・・・」
エクスデスはうつぶせになっているルイズをゆっくりと支えて仰向けにすると枕に頭がくるように横たえる。
前に寝ていた時のようにネグリジェというものに着替えさせることも考えたが、意識がない時に身の回りをあまりいじくりまわられるというのも好まないだろうから、マントを外して胸元を少し緩め、ソックスを脱がせる程度に留めることにした。
脱がせている最中起きるかもしれないと思っていたが、疲れていたのか少し身じろぎする程度だった。
簡単にだがルイズを寝かせた後、エクスデスは外していた短刀やアクセサリーを身につけるとマントを纏って杖まで持ち出し、ランプに軽く手をかざして灯りを消した。
灯りが消え暗くなる室内、窓からうっすらと入って来る月明かりに窓から目をやれば二つの月が輝いている。
しばらく月を見た後、再びルイズを見る。
すやすやと寝息を立てている少女。
「・・・・」
かつては世界を、全てを無に帰そうとした自分が今はこんな一人の少女に従っている。
そして、そんな状況を悪いとも思わない自分がいる。
何とも言えない感覚、これの所為かと手のルーンを見るが、これがそこまで自分を支配しているとは思わなかった。
扉を開けて廊下に出る。
極力大きな音を立てないように静かにドアを閉めた時、ひゅうと冷気を持った風が吹きマントを揺らす。
「・・・・・」
少し考え自分の魔力でドアを施錠すると、また冷たい風が吹いた。
そしてエクスデスは歩き出す。
風の出所へと向かってゆっくりと、しかし油断無く誰もいない通路を歩く。
静寂の中エクスデスの足音だけが響く。


学生寮の出口の戸を開けた先に風の出所が立っていた。
こちらから動けば誘いに乗るかと賭けてみたが当たりのようだ。
「やはりお前か」
エクスデスは目の前に使い魔の竜の横に立つ青い髪の少女を見る。
「分かっていた?」
「この地に来た時から既にな
お前の視線が一際刺さるので少し気にはなっていた」
「そう」
「このまま見ているだけなら構わなかったが
 こうして現れる、ということは何か用があるのだろう?」
 表情も変えずにこくりと頷く。
「ただの話ならこのままでも構わぬが
 それが望みではないな」
「ここだと少し厳しい」
「・・・良かろう、これの端を掴め」
そう言って自分のマントをタバサの前に出す。
タバサがマントの端を掴む、するとタバサの使い魔の竜が反対側のマントの端を咥えた。
「駄目」
注意に嫌々と首を振って放さない。
エクスデスが竜の顔を見るとキッと目つきが鋭くなった。
「シルフィード」
「別に良い、 お前の事が心配なのだろう
 私がお前を傷つけるのではと心配しているようだ」
「・・・・」
タバサはシルフィードを残していくつもりだった。
元より呼ばなかったのだが、寮から出たところで既にタバサの事を待っていたのだ。
戻るように言ったが聞かず、そのままこの状況になった。
「では行くぞ、 学園で事を起こすのは私もあまり気乗りではなかった
 観客もいるようなのでな」
「・・・・」
付近には覗いている者がいる気配は無い。
気にはなったがただ見ているだけならば構わなかった。
それよりも今はこの時が大切。
魔法陣がエクスデスの足元に出現する。
それがタバサとシルフィードの足元まで広がった途端、光に包まれ二人と一匹は跳んだ。

「ここでよかろう」
光の眩しさに目を瞑ったタバサが次に目を開けると、そこはそれなりの広さの草原だった。
夜風が吹いて草がサワサワとなびいている。
シルフィードも後から恐る恐る目を開けたが、先ほどとは全く異なる風景が広がっているのに目をぱちぱちさせて辺りを見回している。
そんな使い魔はさて置きタバサは正面のエクスデスを見据える。
「さて、ここならば邪魔もそうそう入らぬ
 聞こう、お前は私に何を望む?」
問いにタバサが答える
「わたしは」
小声で何かを早口で唱える。
直後、不意に突き出されたタバサの杖から大きな氷の槍が生まれエクスデスに襲いかかって来た。
タバサの得意とする氷雪魔法の一つ、ジャベリンだ。
「あなたの力を見たい」
「そうか」
攻撃をされたというのにもかかわらず、むしろ予想通りと言わんばかりな落ち着いた動きで、自身の剣を突き出して飛んで来たジャベリンに突き刺すように割る。
「ふん!」
そして勢いそのままにタバサへと撃ちだす。
「!」
すんでのところでフライで飛び、かわす。
タバサが居た場所に剣が深々と突き刺さる。
剣が刺さると同時にフライを解除していたタバサが空中からのジャベリンを打ち出す、今度は巨大では無いが複数にエクスデスを狙う。
「いい反応だ、だが」
避けようともせず立ったままのエクスデスにジャベリンが襲いかかる。
「この程度ならば避けることも防御も必要ない」
が、命中した先から氷は粉砕していく。
自分の得意とする攻撃をまるで苦も無く耐え抜く、しかしタバサも予想通りだと言うように表情に変化はない。
「デル・ウィンデ」
次の呪文が放たれる、がこれもエクスデスはガードもしようともせず真正面から受けた。
直撃したと同時に反発で生まれた乱れた風が周囲に吹き荒れる。
腕で顔を守りながらもしっかりと前を見据える。
「・・・・」
風が収まった先にいる相手は、健在だった。
先程と全く変わらない状態で立っているエクスデスがそこにいるのだ。
周囲の地面は草が吹き飛んで地肌が露出している。
エア・カッターによる切断は全く効いていない。
「戯れに私を倒すことは出来ん」
エクスデスが右手を頭上に掲げると、手を中心に火の渦が出現した。
触れただけで何もかも焼き払ってしまいそうな真紅の炎。
「攻撃をしないとは言っていないのでな」
「分かってる」
生半可な攻撃は通用しない、ならば全力でかかるしかない。
あの炎はだんだんと大きくなり始めている。
まだ攻撃するレベルまで炎が育っていないのかもしれない。
下手に左右や背後に回り込んでも結果は同じ。
ならこの時を逃す方法は無い。
自分の全力を込めて。
タバサが杖を構えアイス・ストームの詠唱を始める。
「ラグーズ・ウォータル・デル・ウィ・・・」
「それ」
タバサがアイス・ストームを唱えようとした直後、両膝を背後から何かに押されバランスを失った。
「つっ!?」
尻もちをつくようにして倒れるタバサ。
体勢を立て直しすぐさま詠唱をやり直そうとしたが、それは不可能だった。
「・・・・!」
目の前に浮かんでいる剣が抵抗することを許してくれるとは到底思えないからだ。
「終わりか?」
エクスデスは炎を展開したまま問いかける。
掲げた右手をとは逆に下ろされた左手を見れば指をクイクイと動かしている。
その動きに合わせて剣が少し前後する。
つまりは指一本でどうとでもできると、タバサは実力の差を見せつけられたのだ。
「降参する」
杖を地面に置いた。
タバサの反応を確認したエクスデスは剣を自分の手元まで引き寄せ、炎も握るようにして一瞬でかき消した。
そしてタバサの前までやって来る、
「炎に気を取られ過ぎたようだな、・・・これで満足か?」
月明かりを遮るようにタバサの前に立つエクスデス、何とも言い難い威圧感が自分を覆う。影が闇そのものに思えた。

呑みこまれそう

今まで相対したどんな相手にも該当しないこの感覚。
このまま続けても勝ち目は無い。
立ち上がってタバサは頷く。
到底及ばない。
でも、これではっきりとした。
「あなたは一歩も動いていない、それに実力の半分も出していない」
「出す必要はなかった、それだけだ
 ・・・・悔しいのか?」
「そうじゃない」
悔しさはない、むしろ確信ができて良かった。
あとは考えていた事を実行することにする。
「そうか」
落ちた剣を拾う。
「気が済んだのならばこれで終いだ、学園に戻るとしよう」
「待って」
エクスデスが背を向けようとしたのを呼び止める。
「?・・・まだ何かあるのか」
見ればタバサが真直ぐな目でこちらを見ている。
「わたしを弟子にしてほしい、あなたの技や魔法を習いたい」
この状況は考えていなかった。
何かを求めて戦いを挑んできたのだとはエクスデスは思っていた。
そして気が済んだのならこれで終わりだと。
「・・・諦めろ教える気はない」
弟子の様なものを取る気など微塵もなかった。
「諦めない、教えて」
しかしタバサも譲る気は無いようだ。
「先のお前の魔法、この程度とは言ったが中々の実力だと思っている
 学園でも相手できるものはそうそういまい
 あれを更に突き詰めて実力を身につけ・・・」
説得でもすれば分かるだろう。
が、
「読んで」
目の前に本が一冊突き出される。
表紙から察するにそれはエクスデスが最初にタバサを見た時に読んでいた本。
「・・・・」
受取り、最初のページに目を通す。
「声に出して」
「・・・・」
正直言って、読めない。
実はこの世界の文字はまださっぱり解らないのだ。
本とにらみ合いを続けるエクスデスにタバサがボソリと言う。
「あなたは字が分からない」
「!」
「だから交換条件、わたしが読み書きを教える
 あなたはわたしに技や魔法を教える」
最初から要求を通す秘策をタバサは持っていたのだ。
「別に必要など・・・」
「これはあなたの為にもなる
 抗議の時、あなたは内容が気になっていた
 わたしの事を探しながらも」
「ぐ・・・」
確かに気になっていた。
異世界での魔法とその行使、自身の力をふるうにあたって世界の状況を理解するのに
学園という場所は幸運だった。
だが、図や言葉で説明されればそれなりに理解できるかもしれないが。
あくまで学園の生徒向け、高度な術式等は書物に納められている場合が多い。
シエスタと話しているときに図書館の話を聞いて興味はあった。
が、文字の事を思いルイズの部屋の本に目を通してみればさっぱりだ。
そう言われると確かに読み書きできて損はない。
ルイズに聞く・・・ということも考えたがあれがどんな要求をしてくるか分からない。
どちらかと云えば自分にやや畏怖に近いものを持っているだろうルイズに、読み書きを教えて下さいなどと云えばどうなることやら。
自分が優位になってはっちゃけるだろう、間違いなく。
ならばこの娘は、とタバサを見る。
普段見掛けるにおしゃべりというわけでも無さそうだ。
交友関係も一人の時が多いようだ。
折れることにした、さっきまで自分が優位に立っていたはずなのだが。
「しかし教えても身につくかどうかは保証できんぞ」
「分かってる」
「ならば聞く、何故私なのだ?
 学園ならば教員に個別指導を頼めば良いのではないか?」
「これを」
そう言ってタバサは懐から一本の小枝を取り出す。
見たところ何の変哲も無い木の枝。
だがエクスデスはそう捉えなかった。
「どこで手に入れた」
声ににわかに重みが増す。
「今は話せない」
「・・・・」
力づくで吐かせることも考えたがそうやって割らせた話に真実があるかどうか。
「もっとあなたの事を知ることができれば」
こちらからいろいろ話したら教える、ということなのか。
魔法や術だけを知りたいだけでは無いようだ。
さらに他にも隠していることがあるかもしれない。
それらを知るについてもこの娘と一対一ならば得るものは大きそうだ。
「我々の立場はお互いを教え合うということで良いな?」
「それでいい」
「では戻るとするか・・・」
「タバサでいい」
「そうか、習う立場から言って指導する相手の呼び方、「先生」とでも呼ぼうかと思ったのだがな」
「それならわたしも習う立場でもあるから、呼ぶ」
「・・・まぁ好きにすればよいか、これは」
会話はそこで終わったかと思いきや、
「やっぱり芸人じゃない」
ポツリと呟くようにタバサが言う
流石に誤魔化しても無駄かと、エクスデスは無言をもって肯定とした。


そして帰ることにしたが来た時より一匹が足りない。
タバサがシルフィードを探したときにはシルフィードは目を回してのびていた。
最初に砕かれたジャベリンの破片が頭に命中したのだ。
「・・・・」
「・・・これでも飲ませておけ、治癒の霊薬だ」
青い小瓶に入ったポーションをタバサに渡して、二人と一匹は学園へと戻った。






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