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ゼロの怪盗-02



海東は左手に刻まれた印を見ながら考えていた。

(この世界のお宝は……っと。この印も気になるけど、まずはお宝だね)

細かいことはあまり気にしない性分らしく、海東の思考は印の存在よりもお宝を優先していた。
そうやって歩いていると、目の前に物憂げに佇む人影を発見した。
どうやら女性のようである。
こちらの存在には気付いていないみたいで、海東は気配を消して女性の動向を伺った。
女性は扉の前で何やらブツブツと呟いている。
海東は注意深く彼女の近くまで移動した。
すると、かすかに声が聞こえてくる。
海東は耳をすます。

「…………宝物庫の扉。やはり…………」

途切れ途切れに聞こえてくる言葉から、海東は宝物庫という単語を聞き取った。

(なるほど、ここが宝物庫か。やけにあっさりと見つかったね)

その中に自分が求めるお宝があるかも知れないと思うと、海東は胸が高鳴るのを止められなかった。
お宝へと繋がる情報を出来るだけ逃さぬよう、海東は更に耳をすます。

「…………ったか。…………破壊の杖。…………ねば」

(破壊の杖……)

その言葉の響きに海東はいたく惹かれるものを感じた。
間違いなくそれは手に入れるべきお宝である。と海東は確信した。
女性が残念そうに宝物庫から去っていくのを確認すると、早速海東は扉の前まで駆け寄る
そして、何処からかディエンドライバーを取り出した。

「破壊の杖は僕が頂こう」

海東は扉へ向けてディエンドライバーの引き金を引いた。
銃口から光弾が発射され、扉へ着弾すると激しく火花を散らした。
しかし、扉は傷一つついていない。
海東は納得したように2、3度頷いた。

(……ま、だろうね。この程度で手に入るならお宝とは呼べない。……それよりも)

海東は印の刻まれた左手を確認する。

(ディエンドライバーを撃った時、確かにこの印が光った。心なしか、体も軽くなった気がするけど……ま、どうでもいいか)

相変わらずお宝以外のことには無頓着な海東であった。

(本気でやったらこの扉を破壊出来るかも知れないけど……、力付くってのは美しくない。それにここで騒ぎになるのも面倒だ。取り敢えず別の方法を探してみるか)

海東はディエンドライバーを仕舞うと、ひとまず宝物庫の前から去ることにした。
その海東の背中を見つめる影。
それは先程まで扉の前に佇んでいた女性であった。
彼女は巷で噂の土くれのフーケその人であった。
今はロングビルという名前で学院長の秘書を勤めている。
勿論、彼女の目的は宝物庫の中の破壊の杖である。
だが、今は突如目の前に現れた謎の男への興味が勝った。
正確には男の持っていたモノにである。

(……あの武器は一体何だい?それにあの武器から放たれた光の玉。下手すりゃ魔法よりも強力だった)

あれは新手のマジックアイテムなのだろうか?と、彼女は思った。
非合法で取り引きされているマジックアイテムの中にはあんなのがあってもおかしくないかも知れない。
だが、その手の情報に自分は詳しい方だし、何より、マジックアイテムにしては強力過ぎる。
もしかすると、この世のものですらないのかも知れない。
流石にその考えは突拍子が無さ過ぎると一笑に付した。

(……いずれにせよ、ややこしいことになりそうだね)

心の中でそう呟くと、彼女は緑色の髪をかきあげ、注意深く海東の後をつけていった。
暫く歩くと、突然海東が立ち止まった。
「こそこそとしてないで出て来たらどうだい?」
海東はそう言うと、後ろを振り返った。
その視線は明らかに彼女の方を向いていた。
誤魔化すことは出来なさそうだ。

「……いつから気付いていたのですか?」

彼女は土くれのフーケではなく、ミス・ロングビルとして海東の言葉に答えた。
自分が宝物庫の前で何か企む姿を見たのは目の前の男しかいない。
その気になれば、自分のことは棚に上げて、この男を盗人として突き出せばいい。
そういう考えもあった。それは、学院内ではこの男より自分の方が信頼されている。
という確信あっての計算だった。

「さあね」

素っ気無く返答する海東。
その表情から心中を読むのは難しい。

「君に興味は無い。だけど、君の言っていたモノには興味がある」

そう言うと、海東は一歩ずつ近付いてくる。
彼女は背中で杖を構える。
何かしてきたら、すぐに反撃が出来るように。
海東は目の前にやって来た。
しかし、特に何もしない。

「破壊の杖について教えてくれたまえ」

それだけ言うと、海東は軽く口元を歪ませて彼女の顔を見た。
その表情は相変わらず飄々としていて、逆に何か恐ろしいものを感じる。
彼女は海東の視線から逃れるように顔を背けた。



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