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ゼロの黒魔道士 エピローグ


目覚めた朝はいつも喜びを願うんだ。
今日もいい日でありますようにって。


ゼロの黒魔道士
~エピローグ~ Message~虹~


でも、『いい日』ってなんだろう、とも思うんだ。
毎日が、毎日来て、毎日毎日、どれも違っていて……
どれが良いかなんて、決めきれないくらいなんだ……




復興著しいトリスタニア。
カンカンとハンマーの音が平和なリズムを刻んでいる。
と、その平穏に似つかわしくない気忙しい駆け音が。

「畜生!!なんであんなガキにっ!!」
「お前のせいだろがウェッジ!!」

この二人が這い出して来るということは、ある意味平和なのであろう。
ネズミが穴倉から出てくるということは、表が平穏であるときなのだからだ。
“くすねとり”のビッグスと“かっぱらい”のウェッジ。
ちょっとは知られた、小銭稼ぎの小悪党共だ。
そろそろ配給のパンとチーズに晩酌の酒でもと、久方ぶりの『仕事』でもしたのだろう。
ただ、少々間が悪かった。

「待てーっ!!」
「そこの泥棒ー!!待ちなさいー!!」

タマネギ隊。
子供自警団という名よりも、
失せ物、困り事には片っぱしから何でも首をつっこむ、
好奇心旺盛な愛すべき糞ガキ共という名が相応しい。
子供の視線は大人よりもはるかに低い。
だからこそ見えるものもあるのだ。
例えば、ビッグスが袖の下へ滑り込ませた婦女用の財布、
例えば、ウェッジがポケットから落としかけたペアリング、などだ。

しかる後、大人の視線から見れば『逃走劇』、子供目線で言えば『鬼ごっこ』がはじまった。
片や裏路地まで知り尽くしたプロの悪党だが、
片や街を遊び場としてきたプロのお子様達だ。
両方が必死であればあるほど、なんとも微笑ましい。
往来の住民や買い物客がクスクス笑う。
中にはからかい半分に「がんばれよー!」とどっちに当てたものか分からぬ応援をする輩まで現れる始末。
走る当人達も嬉しいやら恥ずかしいやら。

何しろ顔が割れれば商売がしにくくなるのがスリの辛い所。
勝負を決めると、自ら窮地に飛び込んだ。
針路を急変させ右へ。日の射さぬ路地。犯罪者共の穴倉。
もちろんタマネギ隊もこれを追う。
追うが……忽然と逃亡者共の姿が消える。
目の前にあるのは、壁。
大人ならやすやす越えられるほどの高さの壁。
城下町ならではの地形だ。
侵入者の足を止めるための障害物の名残。
それが犯罪者共の助けになるのだから皮肉なものだ。
鬼ごっこの鬼達は、悔しそうに壁を見上げた。

一方の壁の向こう、
お子様達と久々の運動を楽しむハメになった大人達が息を切らしていた。
壁の向こうで悔しがっているであろうぼっちゃんじょうちゃん達をニヤリと嘲笑う。

「へっ、ここまで逃げりゃこっちの……」

日の射さぬ場所、そこは犯罪者達のオアシス。
だが真の闇など、早々存在するものではない。

「そうはいきませんよ!!」

ガキ共が、もう二匹。壁のこっち側。
読んでやがっただと?この逃走劇の行く末を?
ハメられた!!

「なっ!?バックアタックだっ!?!?」
「汚い、ガキ共汚いっ!?」

壁を背にし戦うのが有利なのは、あくまでも戦闘の備えがある場合。
この場合は単に逃げ場を失った馬鹿というだけだ。

「――……よしっ!これで終わりっ!!」

ものの数分後。
子供たちのリーダーが勝利のガッツポーズを取っていた。
4人揃ってズルズルと、駄目な大人2人を引きずる様は、
大通りの市民から暖かく迎えられていた。
「またお手柄だな!」とか「この間はありがとうね!」などという声もかけられる。
タマネギ隊の隊員達は、凱旋さながらに、手を振ってこれに答えていた。

「がんばってますねー、皆さん!」

こう声をかけたのは、見目麗しい女性だった。

「あ、副長!!」
「ミシェルさん、お疲れ様です!!」

トリステインでは最早お馴染となったマントと制服……
女王直下の銃士隊、その副長の姿である。
この実に均整の取れた形で、ドラゴンをも狩るなど、誰が信じられよう?

「隊長見ませんでした?非番でこの辺にいるとは聞いたんですが――」

だが、今手にしているのは剣ではなく、数枚の書類を束にして紐で綴じたもの。
どうやら、上へ報告すべき内容について隊長殿にいくつか質問があるようだ。

「あぁ、アニエス先生なら――」

噂をすれば、何とやら。
大抵は悪しき物が登場する場合に使われる諺であるが、
別段悪に限った話では無いようだ。

「――だーかーら!?何故わたしがっ!?」

大通りに、悲鳴とも怒声ともつかぬ声が響く。

「良いじゃないか。うん、大変よろしい」

それを向けられたと思われる男性は、
そんなアニエスに対し髭を面白そうによじっていた。
実に、実に楽しいと、そう言いたげに。

「確かに、蛸の件でも、リッシュモンの件でも感謝はする!」

何しろ、どこに出しても恥ずかしくない美人でありながら、
普段はもったいないほど仏頂面である美人の赤面顔。
これを見て喜ばない男子などいようか?というものだ。
法院の暗部に探りを入れるなど危険を侵した甲斐があった。

「その件で恩を着せるつもりは無いさ。貴族の嗜みだ」

従ってモット伯は至極満足していた。
「少々買い物に付き合って欲しい」と言うだけでこのような眼福に浸れた今日に。
自分の趣味の確かさ、自分の計画性、自分の才能そのものに。
そして目の前の一級品の素材を、磨き上げた己の手腕を誇らしく思いながら、
髭をクルリと、楽しげによじっていた。
誰が恩に着せよう?むしろこちらからお代を支払いたいぐらいだというに。

「だが、一介の騎士が非番だからと言って、こ、このような服など……」

スレンダーな体は、むやみに隠すものではない。
そのラインに沿うよう、それでも動きを妨げること無いように計算を重ねられた服は、
ただ単に露出を多くした下品なものではなく、機能性をも備えた美となっている。
そこに、ごくごくささやかに、フリルやコサージュといった女性らしさをあしらっていく。
所為、ナイトドレス。メイド服をイメージしたと思われるカチューシャがアクセントだ。
色気と可愛らしさ、そして何より、モット伯の趣味を詰め込んだ一級品だ。

モット伯は下から上へと視線を舐めるように上げていきながら、
満足気に頷いた。
未来ある若手仕立職人に投資し続けた甲斐があったというものだ。
再び視線を上から下へ。
うむ、生地の皺が体の線を強調して良い具合に……

「似合うから問題無い!むしろこれも貴族の嗜……」

首筋から鎖骨、そのまま脇のラインから太ももへと移った辺りで、その先が急に消えた。
そして太ももの先にあるふくらはぎ、その先の踵が、
モット伯の頭蓋を上から振り落とされた。

「やっぱり貴族なぞ嫌いだぁ~!!」
「む、この感触は良いなっ!しかもこの眺めはなかなか……」

想像してみていただきたい。
踵落しのために、足を振り上げ、やや無防備になっている女性を。
踵落しのために、ひねられた腰、そのラインを。
ピッタリとした服にわずかにできる、皺の優美な曲線を。
その先の、普段感情を抑えている女性の、泣き顔と赤面を。
そして何より、モット伯は痛みを快感に変えることのできる人物。
うむ、実に生きてきた甲斐があるというものだ!

「死ねっ!死ねぇええっ!!」
「良いぞぉぉ!!もっと、もっと罵ってくれっ!」

洋服店の店先で、彼らはそれを見てしまった。
この破廉恥なる営業妨害を。

「ミシェルさーん、あれ何ー?」
「……はい、タマネギ隊ご苦労さまですー。今日は解散ということでー」

流石に、教育上悪い。
副長は書類をマントの中にしまって、手をパンパンと叩いた。
子供たちが変な道に進まれても困る。

「えー?」「なんでー?」
「いいですから。後で報告書だけお願いします」
「はーい!!」

何はともあれ、トリスタニアはもうすぐ秋。
賑やかな声と、ハンマーのカンカンという平和なリズムが響いていた。



例えば、好きなことをやれた日。
例えば、好きな人と過ごせた日。
例えば……えーとー……
うん、そう、『生きてるんだな』って思えた日。
どれもいい日なんだなぁって、そう思うんだ。



は~い☆みっなさ~ん!!
あなたのアイドル、ケティちゃんだよぉ~♪
はい、まみむめもー!!!!(挨拶)

……ん?元気が無いぞー?もう一度ー!!
まーみーむーめーもー!!!(挨拶)

え……うそ、この流行の挨拶が通じないなんて!?
ケティショック、超ショック、ウルトラショック。
え、違うって?流行って無い?うそ、この華麗なる挨拶が!?
むぅ、『おハロー』の方がナウかったのでしょうか……

って分析かましてる場合じゃござんせんことよっ!!
えぇ、うっかり流行遅れになってる場合じゃないんですよ!!
むしろ何冒頭から無駄口聞いちゃったんですか、ケティの大馬鹿っ!!

そうそうそう、言いたかったことは別にあるのよっ!!
それはモチのロンロン!!ギーシュさまのことを置いて他に無いのですわよっ!!!

「――つまり、ジョウキキカンで無駄となってしまう熱量も、この理論ならば……」
「精密ですね……これは錬金のやりがいがありそうだ!」

もう、何?夏って男も女もこれほど変わってしまうものなのかしら?
殿方はさらに魅力的に、そして、乙女のハートは……あぁ、さらに燃え上がるほどにバーニングに!!
何、この溢れだすワイルドかつクールな魅力?
同じ空気を吸っているというだけで……嗚呼!!
このケティの小さな胸は、爆発、暴発、大爆発!
もういつ止まってもおかしくありませんわ~♪

「すまないね。課外で学生にこんなことをさせて……」
「いいえ!これはこれで練習になりますし……単位をオマケしてくれるならなおさらですよ!」
「正直だな、君は……ハハ、よしはじめよう。まずは燃料部から……」
「はいっ!」

あぁ、でも、でも、私はこの高鳴る胸をそっと押し隠して、ここで見守るだけしかできないのかしら!?
あぁ、あぁ、でもでもでも!お邪魔をするのは悪いですし、でもしかしそれでも!
あぁ、小さなケティは悩みが溢れて溺れ死にかねませんわっ!!

「あら?ダーリンに用事?」
「んなっ!?」

ほ、ほう、やるじゃないですか……
物陰にひっそりこっそり半日ばっかし隠れていたこのケティを見つけるとは!
確か二年生のキュルケとか言う女でしたね、この鬱陶しい赤髪女は!
くっ、伊達に……伊達に……畜生、所詮脂肪の塊なのにっ!?
何たわわに実ってけつかかりやがるんですかっ!?

「ダーリンは忙しそうだから、アタシが何か伝えておきましょうか?」
「だ、ダーリン!?」

な、なんですと!?
ダーリン!?ダ、ダーリン!?
運命のダダダダーリン!?
おらちょっと待てやコラ手前表出ろや!?
私の、わ・た・し・の!!ギーシュ様をダーリンとな!?
それとも屋上行って飛び下りりてぇかゴルァ!?

「ん?あぁ、そういうこと――ま、いいけど……」
「な、何ですか、その勝ち誇った顔はっ!?」

笑ってやがります、この女!
ほくそ笑んでます、この牛!
余裕で笑ってます、この婆!
クッ、ギーシュ様も所詮殿方……脂肪の誘惑には勝てないのですかっ!?
おのれ、もっと豊かに育ちくされ、私の儚い希望っ!!
おのれ、もっと弾けて飛んでけ、この胸いっぱいに満ちていけ!!

「フフ、いーこと?恋は当たって砕けろよ?黙って見てたらはじまらないの」
「はぁ?何言いくさ……言ってるんですか、センパイー?」

勝者ぶってんじゃねぇーですよ、このアマがー!
思わずケティ、やさぐれますわよ?ささくれますわよ?乙女のハートが荒みますわよ?

「恋は何度も当たるもの。そう、理想の殿方に出会うその日までのね――
 ダァ~リ~~ン!!!」

ちょっ!?
なんたる不意打ち、なんたる仕打ち!?
ちょっと乙女ハートが荒野になってたところで牛乳女がラブ・ダイブをかましてるではないですか!?
おのれ、先んじられてなるものかっ!?
私のダーリンに、ダーリンに、ダァァリンにぃぃぃぃぃぃぃ……

ダーリン?

「わわっ!?ミス・ツェルプストー、いきなり後ろからは……」
「あら、怪我は治ったんでしょ?いいじゃないの、ダーリン!それに、キュルケって呼んでと――」
「――キュルケ君、コルベール先生と何時の間に……」


……ケティ、勘違いしてましたわ。
そう、乙女は勘違いをするものです。
それもまた美学です。美点なんです。むしろ美女です。
そうか、キュルケ先輩はコルベール先生と……
いやー、結構結構!歳の差カップル万歳!
そうよね、愛に障壁なんてないもの!
よし、先輩に続けですわ!
ケティも決めるわラブ・ダイブ!
飛びこめギーシュ様の胸の中☆、その腕の中にレッツ・ゴー!
思いを乗せて飛んでけこのバディ&SOUL!!
バネのようにパワーを込めるはカモシカのような私の足!
愛の大砲着火5秒前!4,3,2……

「――誰かと思えば、泥棒猫ね」

あー!あー!あー!もう、もう、もうっ!!
なんでこう出てきますかねー、こーゆーときにー!
この陰気くさーいウェットなアバターがーっ!アバタ娘がーっ!

「あぁら――誰かと思えば、モンモンせんぱーい。おひさしぶりー?」
「ふん、今更私のギーシュを狙おうなんておこがましいのよ!」
「恋は何度も当たるもの、だそうですよー、せんぱーい?
 私は諦めが悪いんですのー」
「ふふん、いいこと?私はギーシュとこの夏……」

ケティ、頭にちょっと血が昇りました。
バーニングです。ワーニングです。危険取扱注意です。
ギーシュ様と一夏!?しかもギーシュ様を呼び捨てに!?

こうなってはもう、ケティを止めることはできません!!
止めてくれるなおっ母さんです!もう触るな危険です!!
乙女の戦がは始まっているのです!!
愛しい人をその瞳に留めた瞬間からっ!!
頂上取る戦いは始まっているんですっっ!!
乙女のガンの付け合い飛ばし合いっっ!!
逸らせばたたっ切るぞホトトギスってなものなんです!!

「あ、あぁら!!それならこの前の週末、
 ケティは忘れることができませんわ!ギーシュ様は私と一晩……」

ちょっとの嘘は許されます。
えぇ、乙女は嘘を纏って美しくなるのです。
お化粧です。メイクです。特殊効果なのです。
ましてや敵は恋仇、いや仇なんてもんじゃないですわっ!
もう、エネミー!モンスター!いいえ倒すべき害虫っ!!

「そ、それなら私だって――」
「いえいえ、ケティはもっとあーんなことやこんなことまで――」

恋のバトルはロイヤルにしてロワイヤルっ!
ルール無用の闘技場っ!
負けるなケティここにあり!!

「み、ミス・ツェルプストー、そ、そのの当たって……」
「当ててますのよ♪――ギーシュ、あれは止め無くていいの?」
「……正直、ちょっと怖い……」

乙女の毎日はラブ&ファイト!!
これからもケティの戦いは続きますのよ!
そう、ギーシュ様の腕の中、最高の形ですっぽりしっぽりおさまるその日まで!!

「いいこと、私が――」
「ケティこそが――」
「「ギーシュ(様)の恋人よっ!!」」



こんな毎日が永遠に続けば良いねって、そう思うけれども、
生きるって、永遠の命を持つことじゃないよね?
助け合って生きていって、毎日が良いなぁって思えるのが、生きるってことだと思うんだ……



色合いこそは単調だが、起伏に富んだ景色が後ろに流れていく。
風は砂っぽくて乾いている。時折、チリチリと顔に当たる粒子がこそばゆい。
ハルケギニアでは想像もつかなかった景色と風。
顔に巻きつけた布の下で、男は豪快に笑っていた。

「ははは、悪くないなっ!このショコボとやらはっ!!」

股の下で、クェっと鳥馬が鳴く。
人の足が沈み込む砂地をも踏み越える、広く逞しい蹴爪。
その速力、その力強さを、ジョゼフは気にいっていた
エルフの住まう地のその先、ロバ・アル・カリイエへと至るその大地。
ジョゼフはその地を、神の視点を得られる空からではなく、
自ら駒となった錯覚を覚えるような大地から見ることを望んだ。
神々の遊戯は終わった。今は、人として世界を楽しみたい。
子供のような好奇心を満たすこと。それが彼の望みであった。

「あ゛ーづーい゛~……日陰入りたい~……」

ジョゼフより離れて数メイル。
ジョゼフが駆るよりもやや小さい鳥馬に乗る少女の1人が、
飴玉みたいに溶けていた。
日焼けをしないようにか、手袋にローブ、顔中をヴェールで覆うという重装備だ。

「不便だねぇ、吸血鬼は」

もう1人の少女が呆れたようにぼやく。
それだけ着こめばそりゃ暑かろうといった風に。
こちらの少女は、やや広い額を隠すこともなく、
ごくごく簡単にバンダナなんぞを巻くだけで済ませている。
今まで感じたことも無い風を、日の光を、景色を、
その五感で抱きしめたいという現れだった。

「あんただってヘバってたでしょうが。ここんとこずっと」

そんな彼女に、重装備の吸血鬼がツッコんだ。
確かに、ヘバっていた。昨日まで。
はしゃぎすぎ、バンダナやローブすら身に付けない軽装。
注意も受け入れず、そんな格好をしてればヘバるのも当然だ。

「あ、あれはほら、水が合わなかっただけだっての!!」

だが彼女、イザベラはあくまでもこう主張する。
断じて自分のミスでは無い。
単純に今までと違う暮らしをしているからその環境の差なのだ。
断じて浮かれ気分と言う訳ではない。そう、断じて。

「ちょっとぉ、健康には気を付けてよー。アタシの食糧なんだからー」

それに対し、吸血鬼であるエルザはダレたまんま忠告した。
イザベラとエルザの関係は奇妙なものだ。
一応は主従関係になるのだが、食われる者と食う者の関係でもあり、
それでいて互いにタメ口でしゃべるという関係。

「そうゆー言い方されると、なんか腹立つねぇ」

イザベラは、そんな関係を笑った。
それは今まで狭い王宮では見せたことも無い、
何も背負うことも気負うことも無い、軽い笑い方だった。

「イザベラー!何をしているー?行くぞー!?」
「はいっ!!ただ今参ります、父上っ!!」

そして、頼れる者の傍にいることから見せる、安堵の笑みだった。
笑顔のまま、イザベラは鳥馬の手綱を握る。
砂漠の太陽は、どこまでも明るかった。

「……健康にはなってるみたいね。精神的にも」
「そいつが一番でございますね」

それを見守るのは、吸血鬼が一匹としゃべるナイフが一本。
どうしようも無いほど我儘な女王様についてきた、
奇妙な家来たち。
どうしようも無いほど我儘で、どうしようも無いほど泣き虫な彼女の、
どうしようも無い友人達。

「行くぞー!地平線の彼方まで、突っ走るぞぉぉっ!!」
「待ってください父上~!!」

チェス盤からこぼれた王の駒と女王の駒、それに従う小さい駒。
彼らの遊戯は終わらない。
女王の道は、どこまでも真っ直ぐと。
それは、遥か彼方の未来へと続く道だった。



時間があったら、色々なことを考えるんだ。
ボクが何をするために生まれてきたのか、とか、
孤独を感じた時はどうしたらいいか、とか。
この世界に来るまでも色々考えたけど、やっぱり今も答えは出ないままだ……
その答えを見つけるのも、生きるってことなのかもしれないね……



聖地――あるいはエルフ達の言で言うところの『悪魔の門』。
今回が災厄の根で、会談を持つことができたのは僥倖と言えることだろう。

「――以上がネフテスの要求だ」

エルフの世界と、ハルケギニア。
いがみ合っていた両者が、忌まわしい事件が契機ではあるものの、歩み寄る。
このような歴史的な会談に立つことは、政治屋として誇るべき仕事なのだ。
そう、政治屋としては。

「ちと辛いのう。そちらに有利すぎではないかの?」
「蛮人……失礼、ハルケギニアに対する差別が厳しくてな」
「ふーむ……マザリーニ殿。
 ワシとしてはこの第三項だけは削ってもらうべきかと……」
「では明日の会議にはマザリーニ殿が直接……」

だが、一人の人間として考えた場合、政治屋としての重荷は時に背負いきれなくなりそうになる。

「――胃薬」
「む?」
「胃薬を、くだされ」

翌日に控えたエルフの老評議会の面々との会議、それに当たっての会談。
我が政治屋人生で最も胃が痛んだときであったと記憶している。
オールド・オスマンを友人兼アドバイザーとして侍らせ、
エルフにしては(これも今となっては失礼な物言いになるのだが)
優しかったビダーシャル殿と打ち合わせをしながらも、
我が胃袋はは来る重圧に耐えきれず悲鳴を上げていた。

だが、これが政治屋というものだ。
古い幻想は終わり、新たな未来を作るために。
例えこの胃が壊れようとも重圧に立ち向かうこと。
これこそが、私が政治屋である理由であるのだと、今ならそう言える。

「頼むぞ。政治家さんが仕切ってもらわねばな」
「貴方の方が適任では……」
「ワシはほれ、エルフの女性を相手にするので忙しくての!ほっほっほっ!」

エルフの女性は、確かに美しい。
絵本に描かれる妖精が現実に現れたかのように。

「――頭痛薬も頼みます、ビダーシャル殿」
「よく効くのを、渡そう」

しかし、なんと前途多難であったのだろうか!
もっと早く引退すべきであったと、私の胃袋と痛む頭が訴えていた。
                  マザリーニ回顧録 第五集『幻想の終焉』
                  第六章 『新たなる幻想へ』より抜粋・編集




色々なことを考えたり、色々なことを知ったり、
まるで毎日って虹みたいだなぁって思うんだ。
赤に、黄色、青に、紫に……
何回見ても、どれだけ色の種類があるのか数えきれない。
毎日って、虹みたいだなぁって、そう思うんだ……



「――引くことの雑費その他、っと……黒字御礼ありがとうございます、だぁね」

ノートの一番下が、黒ペンで締めくくられたことにマチルダは満足していた。
キングス商会の業務はどれも順調そのもの。
都市復興に伴う土木事業も、ヨルムンガント部隊によって快調。ボランティア同然で行える。
裏稼業をしていた頃のような、明日への不安ばかりの生活から逃れ、
マチルダの毎日は充実していた。
何も心配は無い。そう、何一つとして――

「っん~!!――テファー、そろそろお茶にしようかー?」
「はーい!今日はスコーンを焼いたの!」
「お、いいね――っ!?テファ何それっ!?」

いや、たった一つ、心配があった。

「?」

マチルダの義妹、ティファニア。
ハーフエルフであり、王族でもあり、というややこしい生い立ちが将来に影響しないかどうか心配。
うん、それも一つだ。そう考えると心配は二つに増えるのかもしれない。

「そ、その格好どうしたのさっ!?」
「クジャさんの服、着てみたくて自分で……変、かな?」

もう一つの心配は――マチルダの目の前に堂々とぶら下がっていた。
ティファニアはずっとここ、ウェストウッド村と呼ばれる森の奥で過ごしてきた。
それであるが故、世間知らずに育ってしまった。
そこまでは良い。
服装の趣味が悪くなることは、良くこそは無いがまぁ許せる。
だが、それとティファニアが重なると、これはいけない。
むっちり白磁のような太ももを強調するブーツときわどいビキニパンツ、
上に身につけているベストから健康的なお腹が臍とともにベルトの影から見え隠れし、
その上の、どう形容しようが兵器なのであろう双球の下半分が存在感を示すかのように露出している。
その胸単体でも革命を起こせるほどの逸材なのに、ここまで来たら国がひっくり返るどころではない。
もう世界の終焉だ。ハルマゲドンだ。
そう女性のマチルダにすら思わせてしまうような破壊力が、そこにはあった。

「――はぁ」
「ど、どうしたの姉さん!?変なら言って!?ごめんなさいっ!?」

世間知らずなだけなのだ。マチルダはそう思った。
狼を知らない羊。自分の破壊力に気付いていない爆弾だ。
少々世間に出してある必要があるだろうか。
マチルダは考える。
何時ぞや忍び込んでいた学院にでも、ティファニアを預けて世間を教えてやるべきだろうかと……



そういえば、記憶の色っていうか、魂の色も虹色だっけ。
色々なことを考えたり、色々なことを知った人の記憶って、
それこそ虹よりも虹色になってるんじゃないかなぁって、そう思うんだ……



それはまた何時かの、星蛍が降りそうな夜のこと。
水面に寄り添うは双月の影か、
愛しの君か。

「風吹く夜に」
「水の誓いを」

何時かと変わらぬ逢引の文言に、
何時の頃からか、加わった一文がある。

「「偽らぬ月の下で」」


いずれが真と問うことなく、寄り添う月のように、
それが二人の合言葉となっていた。

「――ようやく、といったところですね」

国の復興もようやく軌道に乗り、こうして時間を作ることもできる。

「君とこうして会える日が愛おしいよ」

ただただ水面に寄りて、そっと触れあう。
それが永遠であればと願うように、柔らかく、優しく。

「もっと頻繁に会えれば良いのですけど……」
「分かっているさ。お互い、守る物が増えた」

共に、年若いが、やがて国を背負う者達。
未だ頼りないが、それでもその背は、受け入れる覚悟を帯びていた。
大切なものを、守るという使命を背負う覚悟を。

「でも、この時だけは」
「あぁ、この時だけは……『裸のアンリエッタ』だな?」
「もう……」

クスリ、と笑いあいながら、そっとその唇を寄せる。
ふわりと虹色をした光が蛍のように天に降っていった。
水精霊に惹かれた、恋人達の記憶の欠片だろうか。
それは、彼らの幸せを祈るように、どこまでも高く、高く……

この瞬間、抱き合う二人にとって世界は彼ら二人だけのものであった。
だからカサリと藪が揺れたことなど、気付かなくてもしょうがない。

「こげな大物ば釣れるなば……
 はぁ~、張っておくもんだべなぁ~!!」

『釣りおじさん』と呼ばれた特派員が書き上げたスクープは、
瞬く間にハルケギニア全土へと広まった。
『アンリエッタ王妃とウェールズ皇太子、双月の下愛を誓い合う!』
この報は、復興の象徴として、概ね好意的に捕えられることとなるだろう。
二人はやがて、薄暗い月影の下だけではなく、
晴れ渡る太陽の下で抱き合うのだろう。
二人と、彼らの背負う者に幸あらんことを、
そう言いたげに、虹の欠片が優しく飛び交っていた。



ボクは……今度死ぬまでに、どれくらい色々な色を見られるんだろうね?
そう考えていくと、たまんなく不安になってしまうんだ……
命って、永遠なんかじゃない。永遠じゃないから意味がある。
そんなことは分かってるんだけど……お別れのときはいつか来るって分かるんだけど……
やっぱり、孤独を感じてしまうことは、たまんないくらい怖いんだね……



貴族、ましてや騎士と呼ばれる身分に就くような貴族は、
それなりの行儀というものを求められる。
とは言うものの、行儀というのは至極当たり前のものが多い。
『口に物を入れたまましゃべらないこと』、
『破れたままの靴下を履かないこと』などと言ったごくごく単純なことばかりだ。

「……」
「お嬢様、お待ちをっ!お嬢様っ!!」

そしてもちろん、『廊下を無暗に走らないこと』という行儀もある。
あくまでも『無暗に』であり、絶対に走るなというわけではないのではあるが。
彼女には、廊下を走る理由があった。
行儀というものをかなぐり捨ててでも、急く理由があった。

「……」
「おじょうさ」

以前より少し伸びた髪が乱れるのも厭わず、
彼女はその扉を破れんばかりに開けた。
薄い雨雲から漏れる陽光が、慈しみをもってベッドを照らしている。

寝たきりであった病人の姿は、もうそこには無かった。
そこにあったものは――

「――あら」
「……母様」

まだ、血色が良いとは言えない。
やや乱れた髪にも、まだ艶が戻ったわけではない。
それでも彼女はベッドの中、上半身を持ち上げていた。
狂ったような奇声を上げることもなく、
以前のような、理知的な光をその瞳に宿して。

「シャルロット……大きくなったわねぇ」

ゆっくりと、ゆっくりと、それは春の暖かさのごとく。
『騎士』の名を受けた少女の心が溶けていく。
『雪風』に封じ込められた針が、また時を刻み始める。
『人形』と揶揄された無表情な仮面が崩れていく。
おかしいぐらいにぐちゃぐちゃだ。
笑いたいのか、泣きたいのか、何がなんだか分からない。
行儀なんてどうでも良い。
タバサは、いや、シャルロットは、ようやっと自分の名を取り戻したのだから。


「お母様……!!」
「まぁまぁ、この子ったら――」
飛びついた衝撃で、ベッドが大きく軋んだ。
涙でシーツが染まっていく。
そんな娘を、母は優しく優しく撫ぜた。
それは時計の針が戻ったかのように、昔そのままに。

「やれやれ――シルフィード、邪魔をしないようにな」
「きゅいっ!」

窓の向こうと扉の向こう。
これ以上は野暮天も良い所だと、執事と使い魔が場を辞する。
もう大丈夫。そう、悲劇の幕は閉じられたのだ。

~~~~~

にんぎょうげきは もうおわり!
にんぎょうげきは もうおわり!
ぼっちゃん、じょうちゃん ありがとさん!
にんぎょうげきは もうおわり!

これでこちとら みせじまい!
にんぎょうは もういないんだからさ!
これでこちとら みせじまい!
にんぎょうが もうにげたんだからさ!

え?おはなしのつづきはって?
おいおい それをきくのは おかどちがいさ!
にんぎょうのことは しってるが
かのじょは もう じぶんのみちを あるきだした
どうなろうと しるはずがないだろう?

でもそうだな ふつうにんぎょうげきなら こうはなしをしめくくるかな?

――こうして みんな すえながく いつまでもしあわせにくらしましたとさ
めでたし めでたし――



でもね、怖がってちゃしょうがないんだよね?
折角、毎日が毎日来るんだもんね?
ボクは……ボクの物語を生きているんなら……
おしまいのところがめでたしめでたし、で終わるようにしたいなぁって、そう思うんだ……


――こうして、アクイレイアの住民を救った彼女、
『水都市の聖女』と呼ばれるようになったエレオノールは、
いくつもの栄誉と、いくつもの称号を受けます。
それは、彼女が求めていたもの。
彼女がどんな男よりも優れていると、自身で証明した光であったのです。

ですが、今の彼女にとって、最も必要なものは……他にあったのです。


  ♪栄誉などいりはしない♪

細い体で、歌いあげます。

  ♪そんな実にならぬもの 男にくれてやればいいのだ!♪

望んでいたものを、全てを退けて。

  ♪あぁ 男なんて 男なんて♪

真に必要なものは、“愛”であると、そう歌いあげるのです。

  ♪あの人の他に誰も要らない!!♪

歌劇では、この後ピーコック卿の腕の中に抱かれるに至るまでを描いていくのですが――
史実では、どうだったのでしょうか?

実を言えば――彼女がその後結婚したのかどうか、全くの“謎”に包まれているのです。
これは、政治的な理由によりあらゆる資料がもみ消されたからとも、
エレオノール自身が、それ以上世間の表舞台に出ることを望まなかったからとも伝えられますが、
真相は、最早誰も知ることはできません。

――ですが、1つ、おもしろい手掛かりが。
歌劇“エレオノール”の初演が行われたタニアリージュ・ロワイヤル座、
その眼と鼻の先、丁度トリステインが誇るアカデミーの見える通りに、そのお店はあります。
昔ながらのドアを開けると、すっぱくてほろ苦い、
なんとも刺激的で不思議な香りが、あなたを出迎えてくれます。
エレオノールの功績にはもう一つ、珈琲の焙煎を産み出したということが挙げられます。
すなわち、それまで薬用に煮出すだけだった豆を、炙ることでその香りを引き出す手法。
直接鉄板の上で、じっくりと火を通し、その後特殊なミルで粗く挽きます。
やや低温のお湯を空気とともに高いところから注ぎ入れると――まさに“刺激的で不思議な香り”。
たっぷりのミルクとも相性の良い、極上の一杯はエレオノールが産み出した製法そのままに、
今も多くの地元民や観光客に愛されています。

ところで、このお店、どう呼ばれているか、想像がつきますか?
エレオノール自らが命名したと言われるお店の名前は、

『銀の羽根亭』。

――たまには、歴史に想いを浸らせながら、
刺激的で不思議な香りのする珈琲も、悪くはないのかもしれません。



毎日、笑ったり、怒ったり、泣いたり……
うまく、言葉にできないんだけどね、言いたいなぁって思ってたんだ……
僕が、とっても嬉しいってことに、
そんな毎日が送れることに、
ボクの物語が続けてゆけるってことに……



ポチョン、ピチャン。

遠くで誰かが泣いている。
誰が泣いているのだろう。
――昔の自分?子供の頃の自分か?

「――ジャ」

遠くで誰かが呼んでいる。
誰を探しているのだろう。

「クジャ!!」

熱い鼻息で、まどろみの中から引きずり降ろされた。
目の前にあったのは、笑ってしまうほどの牛の面。
夢の方がまだ現実味がある。

「――あぁ、寝起きに君の顔はよろしくないな」

ミノタウロスの面構えというものは、
お世辞にも美的とは言い難い。
苦笑しながら、目を窓の外へ。
どうやら、雨が降ってきたらしい。
なるほど、空が少し泣いているというわけか。

「暢気なものだ。他人に準備をさせておいて二度寝とは」

別に、二度寝をするつもりだったわけではない。
たまりにたまった書類を――
何しろ、王も王女も公務をクジャに押し付けて探求の旅へと出かけてしまったのだから
――徹夜続きで片づけていれば眠くもなろうというものだ。
だが、クジャとしては睡魔に襲われたというのは、弱みを見せるようでおもしろくない。
居眠りというのはそう美しい物でも無い。
だから、あくまでも格好をつけ、彼はこう言い訳をする。

「――今日という日を噛みしめての二度寝さ。至福だろ?」

実際、至福なのだ。
眼を閉じても、また開くことができるという安心感。
それが、たまらなく愛おしい。

「噛みしめるほどのものかね、今日という日が」
「あぁ、素晴らしいよ。詩にもあるだろ?」
「詩?」
「うん、こういうのだ――」

呆れたようなラルカスの溜息に、
クジャは笑いながら、朗々と歌いだした。

奇妙なことに、それはハルケギニアとは異なる言語で組み立てられていたにも関わらず、
音と一緒に、その意味も浸み渡るように伝わった。

 Yesterday is history.≪昨日は過去のこと。≫
 Tomorrow is a mystery. ≪明日は未知のこと。≫
 Today is a gift. ≪だが今日は贈り物だ。≫
 That's why it is called the present. ≪だからそれを「プレゼント」と呼ぶんだ。≫

歌い終わると、クジャは満足そうに笑った。
いつもの妖艶な笑みではなく、子供のような笑顔。
プレゼントを受け取った、子供のような顔だった。

「――今日という日に『ありがとう』ってわけさ」

そう、『ありがとう』。

『あの、さ……』
『ん?何だい、ビビ君?』

『……ありがとう!』

かつて、他者を貶めることでしか自身を証明できなかった男にとって、
何よりのプレゼント。
それはたった一言の、感謝の言葉だった。
かつて、この世にいらぬ者として生を受け、
生まれ変わってもなお、その呪縛から抜け出しきれなかった者はこのとき救われた。

子は、親から産まれれば子となるが、
親は、子に認められて初めて親となる。
これほどのプレゼントがあるだろうか?
今日という日を、生きていても良いという、その喜びを受けること以上の?

「――さて、トリステインで美味しい珈琲が待っている。
 準備は出来たんだろ?行こうか、僕達の舞台に」

今日はトリステインの王立アカデミーとの技術提携会議だ。
クジャはこの仕事に満足していた。
今までは他人から奪うことを主な仕事としてきた。
だが、今はこう思うのだ。
『誰かに感謝されるのも、悪くない』と。

「勝手な男だな……」
「それが、僕さ」

とはいえ、周囲の評価はそうそう変わることはない。
それでも構うもんか。
昔と違い、今の自分には『今日』がある。
無限の可能性に彩られた今日という素晴らしいプレゼントが。
だから、いつかその内、その『勝手だ』という評価を覆してやるぞなどと、
勝手気ままな野望を抱きつつ、クジャは執務室を後にした。



『ありがとう』
……うん、一番、しっくり来る言葉だなぁって思うんだ。
毎日が毎日来るってことに、ボクがどう思うかって。
ずっとずっと続く毎日じゃなくて、一日しかない毎日が来るってことに。


「あいにくの雨、ねぇ」
「まぁ、ちょいと暑い日が続いたからいいんじゃねぇの?」
「出かける予定だったのに――」
「あ、でもほら……」
「あー、こりゃすぐ晴れそうだな」
「じゃぁ、晴れたら出発ね!」

雨だったり、晴れだったり。

「今日はまず仕立て屋でしょ、それと靴屋と……あぁ、お化粧品!これは外せないわ!」
「わざわざ買わなくてもいいんじゃねぇのー?」
「ビビ・シュヴァリエ・ド・オルニティアの名を受けるのよ?着飾らないでどうするの!」
「相棒の受勲式であって娘っ子のじゃねぇと思うんだがなぁ~……」

暑かったり、寒かったり。
毎日って本当に色んな色だよね……
それこそまるで……

「良いじゃない!折角の晴れぶた……ビビー?行くわよー?」
「……あ、うん!」
「どうしたってのよ……あら!」
「お、こいつぁなかなか見事な……」

雨上がりの空にかかる、この大きな虹みたいに、ね……


みんな……
     ありがとう……
            これからも、よろしくね!

ボクの記憶は……

空の続いている、この場所に、あるよ!!


Thanks to All "Final Fantasy IX" staff ,All "The Familiar of Zero" staff
...and of course, ALL OF YOU!!

THE END


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