あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

『ダイ爆発!!!』の巻


「ルイズ~起きてください。もう日が昇っていますよ~」
「ん~あと五分……」
「ノンノンそんなことばかり言っていると何時までたっても起きられませんよ?ほらこれで顔を拭いて…」
「ん…大丈夫よぉ~顔ぐらい自分で拭くわぁ~」
「ほらまだ目やにが付いてる……これでよし、と」

目をこすりながらようやく体を起こすルイズ。
「おはようございますルイズ、洗濯物は畳んでしまっておきましたからね」
「ん~~~着替え……」
「制服と下着でいいならもうここに用意してありますけど…まず洗面所でその寝ぼけ顔をどうにかしてきてください」
「ふぁ~~~い……」

アバンに助け起こされ洗面所に向かうルイズ。
ノッソリと歯ブラシを取り出しシャコシャコと歯を磨き始める。
「着替えは後ろの棚に置いときますからね」
居間に戻って(何処から持ってきたのか)手馴れた手つきで二人分の紅茶をセットするアバンを鏡越しに眺めつつ、ルイズは思った。

(……アイツ誰だっけ?)


「あ~アバンね、昨日召喚した」
「まるで『今の今まで忘れてた』みたいな言い草ですねぇ~」
「そそそそんなことないわよ覚えてたわよ痴呆症じゃあるまいしそれにしてもおいしいお茶ね」
「いえいえ、もう一杯注ぎましょうか?」
勿論今の今まですっかり忘れていたルイズである。

(くっそ~こいつに着替えを手伝わせる予定だったのに寝ぼけて自分で着替えちゃったじゃない!)
絶対的な地位の差を演出するルイズの作戦その二『とっとと着替えを手伝いなさい』は不発に終わった。

おいしいと言って貰ったはずのおかわりを不機嫌にズズズと飲み干し、プリプリと怒りながら朝食に出かける準備を終え部屋を出た。


ルイズが部屋を出て直ぐ、同じく部屋から出てきた褐色の美人がこちらに気付いて挨拶してきた。
「あら、おはようルイズ」
「…おはよう。キュルケ」
「どうしたの? 朝っぱらから機嫌が悪いみたいね~オネショでもしたのかしら?」
「たった今不快なものを見て気分が悪くなっただけよ。心配には及ばないわ」

うふふとと笑って挑発するキュルケと苦虫を噛み潰したようなルイズ。

「で、そちらがあなたの召喚した使い魔かしら?」
「……………」
「ええ私が彼女の使い魔を務めるアバンと申します。貴女は…ルイズのご学友といったところですかねぇ?」
ムスっと黙ったルイズの横から出てきたアバンの返答に一瞬キョトンとした表情を見せたキュルケは、次の瞬間爆笑した。


「ちょっともう止めてよ腹がよじれるかと思っちゃったじゃないのw ルイズが平民を召喚したってだけで笑えるのに、私とルイズが友達? ルイズったら友達が1人も居ないからって使い魔に嘘吹き込むのは止めてよね~」
「あ、あ、あアタシはアンタなんかと友達だなんて言ったことないわ! こいつが勝手に勘違いしただけよ!!」
「あ~~ルイズったらなんて可哀想な子なのかしら! ど~してもって泣いて頼むなら考えてあげてもいいわよ?」
「ち、ち、違うって言ってんでしょうが!!! 誰がそんなこと頼むもんですか!!!」

真っ赤になって否定するルイズをニヤニヤとからかうキュルケだったが、
「あんれ~そうだったんですか? 早朝に部屋を出入りする度に隣から様子を窺う気配がしたものですから、てっきりルイズが出てくるのを待っているご友人の方かと思っていましたよ」
の一言にギクッと動きが止まった。

「ふ~ん、随分注意深いのね、それによく見たら中々ハンサムな顔立ちしてるじゃない……」
「それはどうも。ところでその後ろに居るのが貴女の使い魔ですか?」
「うふふ、そうよ~この子があたしの可愛い使い魔よ。ね~フレイム~?」

名前を呼ばれてキュルケの後ろから姿を現したそれは、トカゲというにはあまりに巨大な、見るからに立派な赤いモンスターだった。

「見てよこの尻尾。ここまで鮮やかで大きな炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? これぞブランド物よね~好事家に見せたら値段なんかつけられないわ~」
そう言って嬉しそうにフレイムを撫でるキュルケの表情は、ルイズへの自慢以上に自分の使い魔への愛が表れていた。


「きゅるる~」
「ふふふ、見かけの割りに随分と人懐っこそうな子ですね~」
「そうよ~契約を交わした使い魔は主に忠実、勝手に人に危害を加えるなんてまずないわ~」
「そうですか、それでは同じ使い魔同士、宜しくお願いしますねフレイム君」
「きゅる~」

「…って何和やかに歓談してんのよ!」
「もう五月蝿い子ね~まぁいいわ。じゃあ、お先に失礼するわね」

自慢の使い魔を存分に見せつけ満足したのか立ち去ったキュルケの後姿を悔しげに見送り地団駄を踏んだルイズ。

「くやしー! 何よあの自慢げな態度!! 腹立つわね~もう、アンタのせいよ!!!」
「はいはい、それより朝食を食べに行くんでしょ? 私達もそろそろ移動しましょう」

歩きながらもキーキー文句を飛ばすルイズをなだめすかしながらアバンは心中密かに苦笑した。
(ど~見ても本当に仲が悪いようには見えませんよね~まったく素直じゃない子”達”です)


アルヴィーズの食堂に着くとそのあまりの大きさに思わず感嘆するアバン。
「感謝しなさいよね!本来ならアンタみたいのは生涯入ることができないんだから!!」
と、部屋の装飾から料理の豪華さまでルイズが豪語するのもある意味納得の内容だった。

「見ろよ、あれルイズとその使い魔じゃねw」
「平民を召喚するとか何かのギャグよね~ww」
「平民と一緒にお食事ですかwww」

生徒達の激しい好奇の目線と暴言を意識的に無視したルイズが席までたどり着くと、サッと彼女の椅子を引くアバン。
(やるわね! しかし!! このくらいは今までの様子からして想定通り!!!)
絶対的な地位の差を演出するルイズの作戦その三『気を利かせて椅子を引きなさい』は
絶対的な地位の差を演出するルイズの作戦その四『アンタの食卓は床よ』の二段構えなのだ!

「ところでルイズ」
「……何?」

「私もう既に朝食済ませてますンで外で待ってますね」

勿論承服せざるを得ないルイズは、
「おんや~? 誰かこんな所に犬の餌を置き忘れてますね~私が片付けて置きましょうか」
と床に置かれた食事を片付けるアバンに呪詛の念を送りつつ食前のお祈りを始めた。


無事に朝食も終え召喚の儀式以降初めての授業に出席したルイズとアバン。
適当な席に座ったルイズはもう既に半ば絶対的な(ry 作戦を諦めていたが、案の定、
「こらこらそんなにマントを引っ張るんじゃありません…もうしょうがないですねぇ~」
「きゅるきゅる♪」
とフレイムに連れられ自主的に使い魔の群れでその他使い魔たちと戯れていた。

(アイツ…もしかして気付いててワザとやってんのかしら?)
そんなことをルイズが考えているとミセス・シュヴルーズが入って来て挨拶を始めた。

この人は非常に温厚で、決して悪い人間ではないのだが、
「……今年は随分変わった使い魔を召喚した方もいらっしゃるようですね」
(こういうところ、ちょっと気が利かないわよね~)

「おい『ゼロのルイズ』! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよなw」
早速調子にのったマリコルヌが茶化し、教室が笑いに包まれた。

カチンときたルイズはもう我慢ならんと一発くれてやるために立ち上がろうとしたが、何時の間にか後ろに立っていたアバンによって止められた。

「落ち着いてルイズ」
「なによ! アイツがイケナイんじゃない!!」
「静かにしないと授業の妨げになりますよ、それに……」
ルイズの耳元に手を当てるアバン。

「あれは気になる女の子にちょっかい出してからかうタイプの男の子ですから。構ってあげても喜ぶだけです」
「~~~~ッッッ!!!」

態度のわりにしっかり教室中に聞こえるように呟いた一言で、今度は一転マリコルヌに冷やかしの声が飛ぶ。
いつの世何処の世界でも思春期の少年少女の関心は色恋沙汰を最も好むものである。

結局はやし立てる周囲と猛抗議しようとしたマリコルヌ本人はシュヴルーズ先生から魔法で口に粘土を押し込まれ、ルイズは無事に授業を開始できのだった。


そんなこんなで始まったミセス・シュヴルーズの授業は非常に基礎的かつわかりやすいものであり、この世界の魔法原理を良くしらないアバンにとっては非常に有意義なものだった。
ある意味で生徒達より真面目に授業を聞いていたアバンだが、人間の使い魔をこちらも珍しがったのか、やたらと他の使い魔に懐かれて難儀していた。

(気分は魔物使いか獣王か…ってとこですかねぇ…あ、痛いやめて~そこは引っ張らないで~)

(アイツは一体何やってんのかしら?)
実に特徴的なカールをフレイムに噛まれ引っ張られるアバンは、ルイズから見ればなにやらふざけているようにしか見えず、その姿をほんのひと時眺めていただけなのだが、

「では、実際に誰かにやってもらいましょうか。……聞いていますか? ミス・ヴァリエール」
「え? あ、ハイ」
「よろしい、では貴方にやってもらいましょう」
タイミング悪く「授業を聞いていなかった」と思われたようだ。

「先生、やめた方がいいのでは…」
「それは無茶ですよ、先生!」
「そうだそうだ!」
「彼女にやらすくらいなら私がやります! いえ、やらせてください!!」

先ほどのものとはうって変わって「ルイズを馬鹿にしてる」のではなく「本気で危惧している」ように騒ぎ出す一同。
しかしシュヴルーズ先生の目にはそうは映らなかったらしく、
「貴方達いい加減にしなさい!! …さあ、ミス・ヴァリエール前に出て来てください」
と彼女には珍しく声を荒げ、意を決して前に出たルイズを優しく励ました。

「周りの声を気にする必要はありませんよ? ミス・ヴァリエール。失敗を恐れていては何時まで経っても成功はしないのです」
その声に勇気付けられたルイズは杖を振り上げ、渾身の魔力を詠唱に込めて振り下ろし、教壇が木っ端微塵に吹き飛ぶ大爆発を起こした。


「…こ、これはまた…ど派手にやりましたねぇ……」
またもいつの間にやらルイズを爆風からマントで覆うようにして立っていたアバンは煙に巻かれてゴホゴホと咳き込み、当のルイズはアバンを見上げ、もはや跡形もない教壇を見、その脇で目を回してるシュヴルーズを確認して、

「ちょっと失敗したみたいね」
とのたまった。

当然のごとく雨のように降ってくる非難の嵐、爆音を聞きつけて慌てて駆けつけた教職員の手によって、ルイズが教室の後片付けを命じられてその場は収まった。



「…………………………」
「ふ~ここはこれで良し、と」
「…………………………」

淡々と片付け作業を続けるアバンと、黙って机の上で体育座りで俯いているルイズ。
しばらくその状態が続いていたが、

「あ~~~もう!! また失敗したわ~~~!!! ホントに腹立つ~~~!!!」
ガバッと顔を上げたルイズが雄たけびを上げた。

「おやおや、随分静かなのでよっぽど落ち込んでるのかと思いましたが、案外元気そうですねぇ」
「ふん! こちとら一回や二回の失敗じゃないんだから!! あのぐらいじゃへこたれないわ!!!」
えへん! とばかりに胸を張るルイズに苦笑するアバン。


「いや~いいですね~ルイズ。その意気ですよ。ネバーギブアップのその精神が素晴らしい!」
「そ、そう?」
実のところ若干虚勢も混じっていたルイズは、思いのほか強く賛同されて少し気恥ずかしげな表情を見せたが、アバンはさらに力説するようにこう言った。

「ええ、勿論です。大事なのは一回で成功することじゃない、成功するまで諦めずに挑戦し続けることこそ大事なことなんですよ。強い心を持ち、決して焦ることなく、時間をかけて自分の問題点をしっかりと見極めて一つ一つ解決していけば、いつか必ず成功へと結びつくはずです」

「………………………………」
ルイズはアバンの話が段々熱気を帯びてきたのにあてられて黙って聞き入っていたが、アバンの方が自分が思いのほか多弁になっているのに気付き、オホンと一息ついて空気を誤魔化した。

「…ところでルイズ。貴方は魔法に失敗すると何時も今回のように爆発するんですか?」
「そうよ。……というか今まで使った魔法全て失敗したわ。アンタも聞いてたでしょ? 『ゼロのルイズ』って…」
「違いますね」
「は?

「まず『ゼロ』というのはね、『なにも無い』じゃありません。『無限の可能性を秘めている』ということなんです。だから『ゼロのルイズ』というのはむしろ貴方の可能性を大きさを皆が知らず知らずの内に暗示してるのかもしれません」
「……ものは言いようね」


「次に貴方は少なくとも『サモン・サーヴァント』の魔法を成功させています。それは私という確たる証拠がある以上間違いありません。それに『コントラクト・サーヴァント』も入るならば二つですが、これらを一連の儀式としても、少なくとも一つの成功は疑いようありません」
「呼ばれて出てきたのは胡散臭い平民だけど…」
「ふふ、どうやら私ではご期待に沿えなかったようで申し訳ないですねぇ~。それはさて置き、ここまでをまとめるとこうなります。まず貴方が今日みたいに小石を金属に錬金しようとしたり、所謂「普通の魔法」を唱えようとすると例外なく失敗して爆発し、ただ『サモン・サーヴァント』という特殊な魔法だけが成功した」
「そうなるわね」

「ところでここにランプがあります」
突然またどこからかランプを取り出し話題を変えるアバン。

「このランプの中には液体の燃料が入っていて、ひも状の芯がそれに漬され、びんの上の部分に火をつけることで火が灯り続けるわけですが、これを火属性の魔法に例えると、中の燃料がこの世界でメイジと平民を隔てている魔法の源たる魔力そのものであり、燃料を吸い上げて適度に炎を燃焼させる芯が「火」の属性の才能、火をつける行為が魔法の詠唱です」
「ふむふむ」

「この場合火の魔法を失敗するというのは、
  1. 燃料たる「魔力」がない、あるいは足りない、つまり燃料が入ってないので火がつかないか、
  2. 火の系統の才能がない、つまり芯が上まで繋がってないので火をつけることができないのか、
  3. 火をつけてない、つまり詠唱する呪文を間違えてるかで、
 間違っても『火をつけたらビンが爆発しました』なんて自体にはならないはずです」


「そんな自体があるとすれば可能性は二つ、中の燃料がべらぼうに爆発性の高いか、もしくは芯を通さずに直接マッチを放りこんだか、です。つまり貴方は常人とは比べ物にならない高すぎる魔力を秘めていて制御しきれていなかったり、かなり特異な系統を持ってる可能性が高い…私はそう推察しますね」
「一つ良いかしら?」
「なんでしょう?」

「長すぎて途中からよく聞いてなかったの」

「………………」
「………………」

最後にとても気まずい空気が流れたが、アバンの励ましの気持ちだけは十分に理解できたルイズは心中感謝を述べつつ、後片付けも終わったので先に昼食に繰り出した。

「………………まぁいいんですけどねぇ…………………」
哀愁を漂わせながら掃除道具を片付けるアバンだった。



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