あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

悪魔の虹-01



 ここ、トリステイン魔法学院では今年二年生となった生徒達が<<春の使い魔召喚>>の儀式で様々な使い魔達を呼び出し、契約していた。
 ある生徒は火竜山脈に棲むとされるサラマンダーやら絶滅したとされている古代の幻種に属する風韻竜を召喚したり、またある生徒は仕草などが微妙に愛らしいジャイアントモールを召喚したりと賑やかだった。
 そんな中ただ一人、どれだけ時間をかけても使い魔を召喚できない者がいる……。


「いつまで経かってるんだ、あいつは……」
「所詮はゼロのルイズだ。あいつなんかにサモン・サーヴァントが成功するもんか」
 既に使い魔を召喚し終えていた生徒達からぼそぼそと、陰湿な悪口が飛ぶ。


 桃色のブロンドを揺らす少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは幾度もの召喚の儀式に失敗していた。生徒達はもちろん、初めは彼女を励ましてくれていた教師コルベールも今では彼女の失敗に辟易としていた。
 コルベールがまた後日に行おう、と持ちかけてもルイズは諦めずに続ける。
 しかし、いくらやっても爆発が起きるだけで使い魔は召喚されない。
 他の生徒達にもこれ以上、時間を割く訳にもいかない。コルベールはルイズに「次で最後ですよ」と通告する。


 これで最後だと言われ、ルイズも息を飲みながら杖を構える。
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!」
 もう失敗は許されない。このまま、ゼロのままで終わる訳にはいかない。
「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!」
 この際、どんなものが呼び出されても構わない。魔物だろうが悪魔だろうが。
「私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!!!」
 ――お願い! 出てきて! あたしの使い魔!!
 ルイズは杖を振り、そしてまた爆発は起きた。


 また失敗か、と誰もが思っていた。が、今度は違うようだった。
 爆発の煙の中から現れたのは――人のようだった。それも、ただの平民。見た事のない変な服を着ているのだから間違いない。
「見ろよ! ルイズが召喚したのは平民だぜ!?」
「さすがはゼロのルイズだな! 平民を呼び出すとは!」
 ドッ、と生徒達が爆笑していた。そして、召喚したルイズを馬鹿にしたように野次が飛ぶ。


 多くの生徒達が爆笑する中、たった一人だけ笑っていない生徒がいた。
 青い髪をした眼鏡をかける小柄な少女。風韻竜を召喚したタバサは興味も無さげに読書を続けていたが、野次を耳にしてちらりとそちらへ視線をやる。
 青い変な服を着た平民の少年だった。召喚したルイズがコルベールにもう一度だけやらせて欲しいとかみついているが、一度呼び出したからもうやり直しは認められない、と言って彼女を諭している。
 ルイズは渋々と平民にコントラクト・サーヴァントの儀式を行おうと口付けをしている。一応、儀式は成功したようだ。苦痛に喘ぐ彼の左手にもルーンが浮かんでいる。
 別にどうという訳ではない。……ただ、彼の足元に転がっている小さな物体がタバサは気になっていた。

「ふむ、珍しいルーンですね……。では皆さん、教室に戻りましょう!」
 コルベールはルイズが召喚した使い魔(といっても平民だが)の少年の左手のルーンを確認すると、生徒達を促す。
「わぁー、何これ?」
「きれーい」
 すると、女子生徒達が見惚れたような声を上げている。
 コルベールはそちらを振り向き、顔を顰めた。
「綺麗なオパールね……」
 赤髪に褐色の肌をした女子生徒、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーも見惚れたようにそれを手にし、指先でなぞっていた。
「しかも、こんなに大きい……」
 彼女の手にあるのは、ちょうど手の平程度の大きさをした虹色の光沢を放つ卵上の物体だった。
 多くの女子生徒達がその物体に惹かれて集まり、取り合いになっている。
 あれは、ただの宝石とは思えない。コルベールはそう感じた。
「君達、ちょっと待ちなさい!」
 コルベールは慌てて彼女らの元へと駆け寄り、虹色の物体を取り上げる。
 自分の手の中にあるその物体を近くで凝視するコルベール。
 確かに、見た目は美しく大きな宝石に見えるが……。
「……これは、宝石ではないな」
「ええ? それでは、何なのですか」
 取り合いに混じっていたルイズが尋ねてきた。
 眼鏡を掴み、さらにじっと睨み付けるように観察するコルベールはその形状、大きさなどからこの物体が何なのかを断定する。
「……何かの、卵だね」 
「卵?」
「あ、そいつは俺の傍に転がってたやつ……」  
 ルイズが召喚した使い魔の少年が、コルベールの手にするそれを不思議そうな目で見つめてくる。
 そういえば彼がルーンを刻まれている時に苦しんでいた際、彼の傍らに虹色の光沢を放つ物体があった。それがこれだろう。
「と、いう事はこれは君と一緒に召喚された物なのかな」
「そ、それじゃあ!」
 顎をつまみながら推測するコルベールだが、召喚したルイズ本人は途端に狂喜乱舞したようにはしゃぎだす。
「この中に、凄い幻獣とかが眠っているんですね!?」
 コルベールの手からその物体を引ったくり、愛おしそうに間近でそれを見つめている。
「卵のままじゃ、孵化するのにどれだけ経かると思ってるの……」
「やっぱり、ゼロのルイズだな。卵のまま召喚しちまうとは……」
 そんな陰口が野次馬達の中から飛ぶのが聞こえた。
「何をしているんだ、君達。教室に戻りなさいと言っただろう?」
 すぐ様コルベールが野次馬の生徒達を再度、叱るように促していた。生徒達は次々と中庭を後にしていく。
 そして、ルイズの手から虹色の物体を取り上げる。
「ミズ・ヴァリエール。たとえこれが君が召喚した物だとしても、君は既に使い魔と契約をしている」
「いいえ! こんな平民は、使い魔じゃありません!」
 平民の少年を指差し、喚くルイズ。
「その幻獣が、あたしの本当の使い魔なんです! こいつは間違って召喚されてしまっただけです!」
「しかし、二体も使い魔を持つなんて特例は許されないし、そもそもこれがまだ幻獣の卵だと決まった訳ではないのだよ?」
 と、諭されてルイズも低く唸りながら不満そうにしていた。
「とにかく……これが何なのか分からない以上、私達が預かっておくから、君も教室に戻りなさい」
 渋々とした顔で頬を膨らませるルイズはようやく納得したのか、平民の使い魔を連れて中庭を後にしていた。
 同じように中庭を後にしていくコルベールは、手の中に納まる物体を睨んでいた。
 こんな卵は、見た事がない。動物なのか幻獣なのかは分からないが、綿密に調べてみる必要がありそうだ。
 もし本当にミス・ヴァリエールの言うようにとてつもない幻獣か何かだとしたら……。


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