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孤独のグルメ・異世界編

俺は家具の買い付けにトリステイン魔法学院に来ていた。
ここでは使い古された家具でも、日本ではアンティークとして人気が出るのだ。
個人の貿易商にはおいしい取引先だ。ただ、さすがに商談でいちいち異世界まで召喚されるとヘキエキする。
俺はまたも腹をすかせていた。ささっと何かかき込みたいところだが、近場の王都でもかなり遠い。
帰りの時間までそれほどあるわけではないので王都までいくわけにもいかない。学食でもないものだろうかと探し回っていると、使用人の少女に話しかけられた。黒髪のメイド服の少女だ。……どこかで見覚えがある気もする。
「あ、出入りの商人さんですか? どうされたんです?」
「あ・・いえ、食事ができるところがないかと」
「まぁ、それじゃあ賄いでよろしければごちそうします。こちらへどうぞ」
断り切れず、俺は厨房の一角に連れてこられた。ガンコそうな料理人が気前よく賄いを分けてくれた。パンとスープといういかにも賄いといったものが出てきた。
 ・パン
いわゆるライ麦パン。かたい。噛んでいるだけでアゴが疲れてくる。
 ・スープ
野菜たっぷり。味は濃いめ。
(ほー、いいじゃないか。どれどれ)
俺はさっそくスープをいただく。使い込まれた木の器とスプーンが嬉しい。ごろごろと大きな野菜は食べ応えがある。味はちょっと濃い目だが、きっと疲れた使用人にはこれくらいが丁度いいのだろう。
(では、お次にパンをと)
パンをちぎって口に入れる。
(む……)
思っていた通り、というか、スゴイかたさだ。日本のパンになれた俺にこれは少しつらい。スープを飲みながら少しずつパンを食べているとアゴが疲れてきた。
(そうだ、これを)
俺はちぎったパンをスープにひたしてみた。思った通り、パンはスープを吸ってすぐにふやける。食べると、スープの味と柔らかくなったパンの食感がなんともいえない。
(うんうん。こりゃあいいぞ。最初からこうすれば良かったんだ)
スープでどんどんパンをかき込んでいく。腹がふくれてくると、ちょっと周りを見る余裕ができた。東京の飲食店のようなあくせくした雰囲気はなく、みんな自然に働いている。恐らく、自分はこんな風には見えないのだろう。
(あっ)
調子に乗って食べていたらスープが無くなってしまった。パンはまだ少しのこっている。
(しまったなぁ。最初に飲み過ぎた。ペース配分を間違えたか・・・)
仕方なく、残りのパンをそのまま食べる。疲れたアゴで礼を言って、俺は厨房をあとにした。
満腹になった腹を抱えながら、俺は塀の外に停めておいた車に乗り込んだ。
10メートルほど走ったところで振り返る。生徒や教師、使用人たちが俺の方をのぞき込んでいた。
おそらく、俺はあの学院には不釣り合いな商人だったのだろうな・・・


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