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ゼロの双騎士 第五話

(何じゃ…あの攻撃は…)

オスマンの目は見開かれていた。
決闘の一部始終を観察し、彼の剣の腕に感嘆を禁じえなかったオスマンだが、最後のあの技は驚愕に値した。
比較的柔らかい青銅とはいえ、溶かすのではなく文字通り「焼き尽くした」のだ。
どれほどの力を込めればあれほどの火力を生み出せるのか。
その秘密が彼の異質な魔力にあるであろうことは何となく察しがついた。

(アレはわしでも防ぐ自信が無いの…)

フレイムヒット、とかいう名の技だったか。
詠唱している様子はなかった。杖も持ってはいなかった。
レイピア型の杖も存在するが、あくまで敵と切り結びながら魔法で攻撃するためのもの。
パルパレオスの帯びていた剣は、敵をその刃で切り捨てることを目的とした武器だ。
故に、あれは少なくとも系統魔法ではないだろう。
であれば、先住魔法かとも思ったが、それにしても様子が違った。
ともあれ彼のあの力、学院関係者には「東方のメイジの魔法」とでも説明するしかあるまい。
オスマンだから見抜けたが、そう言って違和感を感じ取る者は多くないはずだ。
コルベールが持ってきたルーンの調査結果に関しても、彼とよく話して口裏を合わせておかねばならない。

(達人級の剣に強大な火力、しかもガンダールヴのルーンまで…とんでもないことになったのう)


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「パルパレオス!待ちなさいよ!!」

最近聞き慣れてきた声に振り向くと、主人が走ってきた。

「どうしたルイズ?そんなに息を切らして」

「どうしたじゃないわよ!あんたメイジだったの!?何で隠してたのよ!」

隠していたわけではなく言う必要が無かった。
メイジではなく自分はあくまでクロスナイト、双剣を扱う騎士である。
…というような事を話したが、まぁ納得してもらえるとは思っていない。
案の定、嘘だそんなわけがないなどと騒ぎ立てる。
見れば、周りの生徒達も自分を驚愕の目で見ているようだ。
まぁそんなものは気にしないから構わないが、平民だの何だのとちょっかいを掛けられることは減るだろう。
主人の小言を聞き流しつつ、そんなコトを考えていた。

「ちょっと聞いてるのパルパレオス!!…あれ、コルベール先生?」

禿頭に眼鏡がトレードマークの中年男性教師が、こちらへ走ってくる。
コルベールと言うのか。ふむ、コッパゲールと覚えよう。
そんな酷いことを考えつつ、彼のその様子からただ事ではないと察した。

「コルベール殿。どうなさった?」

「ミス・ヴァリエール、ミスタ・パルパレオス。学院長がお呼びです。至急学院長室へ」

…さては覗いていたな、あの老人。
どうやら私はまだ信用されていないようだ。
こちらも信じてはいないのだからお互い様ではあるが…さて、何の話だろうな。



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「ふむ…あれは魔法ではなくクロスナイト独自の技であると?」

「そういうことだ。現象だけ見れば魔法にも近いが、魔法とは違う」

オレルスにおいて、戦竜と共に戦う戦士は、皆多かれ少なかれ竜の魔力を借りて特殊能力を行使する。
魔法に似たものも多いのだが、魔法と技の一番の違いは「どこまで竜に依存するか」という点にある。

ナイト、クロスナイト、ランサー、ヘビーアーマー、などの戦士。ウィザード、プリーストなどの魔法使い。
オレルスにおける戦士の分類(ジョブ)は多岐に渡るが、ここで挙げた中では魔法使い以外は竜の魔力無しには技を行使できない。
魔法使いは己一人の魔力で攻撃魔法を操る。そこに竜の魔力を上乗せすることで魔法を大幅に強化し、実用レベルまで高める。
竜の魔力が無くても魔法は使えるが、基本的に攻撃魔法も回復魔法も威力は大きく減じられる。

一方戦士達は、基本的に竜の魔力なしに技を使うことができない。
戦闘中に竜が死ねば、後は己の得物一本で切り抜けるしかなくなってしまう。
流れ込んでくる竜の魔力を己の意思と魔力で操り、超常現象を引き起こすのだ。
そして使える技は竜の魔力の質に大きく左右される。威力も同じである。
己の意思の差、己の魔力の差はジョブによって決まるから、使える技もジョブによって決まる。
激しい攻めを身上とするナイトは、竜の魔力を己の魔力で「研ぎ、磨き上げて」切り裂く。
堅固な守りを身上とするヘビーアーマーは、竜の魔力を己の魔力で「押し固めて」叩きつける。
そして統率・協調を身上とするクロスナイトは、竜の魔力と己の魔力を「織り合わせて」絡め取るのだ。
戦士の技はあくまで竜の魔力。己の意思と魔力は形を定める型枠のようなものなのだ。

「ふむ…竜の魔力を使って威力を増しておるのか…だからあれほどの威力を出せたのじゃな」

無論、竜の魔力が無くては使えないなどという不利な話はしていない。
過ぎた力を削ぎ落とすためにサラマンダーを殺そう、などと考えられては甚だ困るのだ。
最も、恐らく殺せないだろうが。
かつて、フェニックスであったサラマンダーに不死の力が宿っていたことは知っている。
「恐らく」と言ったのは、マスタードラゴンに進化した今のサラマンダーも同じ力を宿しているかどうか分からなかったからだ。
まさかサラマンダーに斬りかかるわけにもいかないから、現状それを確認する手段はない。
まぁ仮に宿していなかったとしても、伝説級の力を持つ竜を殺すなどそうそうできることではない。
だから、その点は余り心配していなかった。

一方、オスマンはある程度疑問が氷解していくのを感じていた。
パルパレオスが持っていた異質な魔力が、竜の魔力であったことが分かったからだ。
質・量ともに人間レベルでないのも当然である。
また、竜の魔力を利用して魔法を行使するのであれば、その魔法の質は竜の魔力の質に依存する。
瞬間移動魔法があるのに空を飛ぶ魔法が無いのも、恐らく竜の魔力に向いていない魔法であったからだろう。
というか、竜とそれだけ深く関わりながら生きているなら竜に乗って飛べば済む話で、魔法で飛ぶ必要が無かったというのもあろう。
ともあれ、パルパレオスの話はかなり有用であった。
他者の魔力を借りて己の魔力と重ねて魔法の効果を顕著にする。これはハルケギニアには無い発想なのだ。
コルベールも興味深そうな目をしている。

(これは、拾い物かもしれんの)

今後の話の展開に期待を膨らませつつ、オスマンは言葉を継ぐ。

「魔法ではないのは分かったが、こちらの人間からすればアレは魔法にしか見えん。しかも恐ろしく強力な、な。
 メイジではないお主があの力を衆目の前で使ってみせた以上、お主はメイジということにせねば収まりがつかん。
 今後、お主は『東方から来たメイジ』であると名乗って欲しいのじゃ。
 恐らくそれでごまかせるであろう」

「…承知した」

少し調子に乗りすぎていたかも知れん。
パルパレオスは少し反省していた。
無用に力をひけらかすような真似をすれば好印象を持たれないであろうことは分かっていたのだが。
ともあれ、これはオールドオスマンに感謝すべきかもしれない。
そんなことを考えつつ、パルパレオスとルイズは学院長室を退出した。


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(竜の魔力を借りた魔法…そんなことができるものなの…?)

ルイズはパルパレオスと共に廊下を歩きつつ、先ほどの使い魔の話を反芻していた。
もし自分も竜の魔力を借りることができたら。
自分の魔力に竜の魔力を上乗せすることができたら。

(ゼロの名を返上できるかも知れない…!)

折を見てパルパレオスと話をしておかなければ。
ルイズは、ない胸が期待に膨らんでいくのを感じつつ、授業のために教室へ向かった。


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