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ゼロの銃-02


『ゼロの銃 第二話』


目  目    目
目玉
無数の目玉が、ギースを見つめていた。
闇魔法『ブオーゾ』
怪物に喰われ咀嚼された人間の、目玉が蛙の卵のように連なり敵を見つめる。
それは罪悪や恐怖心といった人の心の影を縫い付ける魔法。
『ぎゃああああああああああああああああああああ』
『ひぃいいぃぃいいっ!!』
傍らに立っていた味方が、胸から上を抉られ喰われた。
地獄の剣谷のような鬣を持ち、己が肉を喰らう大蛇を纏う六つ目の獅子。
降り立つ大地にねばついたタールを撒き散らす。
喰われた兵の足元は影の代わりに黒い蛇がまとわり付き、肉を食まれて骨が見えている。
『神獣ギャンベロクウガ』悪意の塊とも言えるその怪物の王は、齢17の少年だった。
ギャンベロクウガは敵を喰らい肥え続け、少年は呪いのように次の怪物を呼び出している。
向けられた5万もの兵を、あの少年は『何割』削いだのだろう。
戦闘開始から大して時間が経っていないのに、そこここで積みあがった『肉片の塔』を見、ギースの背筋を恐怖が走った。
「殺せ!!死ね!!しね―――」
少し前まで交渉をしていた相手を……否、自分の傲慢さ故に生きて欲しいと願った相手に曇りの無い殺意を投げる。ナイフほどの力も無いそれが、ギースの心を燃え上がらせる。
最初に会ったときは普通の子供だった。青い理想論を振りかざし、無謀とも言える戦いを挑んできたのだ。
今も彼は、曇りの無い理想を抱いて、あの闇を吐き出し続けているのだろう。
ぎろりと、ブオーゾの睨みに据えられる。罪を暴く審判者のようにギースを大地に縫い付ける。
おまえの罪はなんだ。オレの罪は、この目をどこで見た!?

『どうしたのギース?』
母の優しい目がぼくに向けられた。
甘ったれの弟から視線を奪うことが出来たのに、ギースの心は満たされた。
途端に弟が喚きだす。鳶色の瞳が悔しそうに潤う。
『おかあさん! ぼくのレースを見てよ! 今日は一番うまくできたんだ!』
幼い嫉妬に歪んだ目、それが鬱陶しくて意地悪な気持ちになる。
「それでうまくだって? 目はばらばらだし、椿がまるまった紙くずみたいだ!」
『ばか! おにいちゃんのばか! 』
『おまえら止めろ! 母さんが困ってるだろ! 』
兄の怒った眼がこちらを向く。兄さんは怒るととっても怖い。
お母さんは笑っている。兄さんは怒っている。プルートは

頭 か ら 血 を 流 し て、瓶 に 入 れ ら れ る
声を上げそうになったところを、背後にいた兄に口を塞がれる。
『仕方が無いんだ。こうしないとオレたちまでガリアン人にされてしまう』
外ではスラファト兵が騒いでいた。スラファトがガリアン人を連行している噂を、大人たちがしていたのを思い出した。それでも混血が多いこの村が、振り分けにかけられるとは思いもしなかった。
弟は一人だけ、髪の色が亜麻色だった。他の家族は血を薄めたような赤毛なのに。
スラファト人の特徴は燃えるような赤毛だ。対してガリアン人の髪は麦の穂の亜麻色――
それでも肉親であることは変わらない。幼い頃取り上げられたばかりの弟を抱いたことを今でも覚えている。
今、弟は血を流しながら、母に抱えられ瓶に入れられていく。
目が、合った。
家族によって殺されようとしている弟が、薄目を開けてこちらを――――――
「――――っ! 」
ざわり、と無数の目で睨まれたような寒気に、ギースの意識は覚醒する。
目なんてどこにも無い。窓から覗くのは朝焼けの光だけだ。
「…………」
嫌な夢を見た。冷や汗で毛布が湿っている。……服も
しかし現実とどちらがマシだろう。比べても虚しいだけだが。
まだ起きるには早い時間のようで、ベッドの上の少女は健やかな寝息を立てている。
床で寝るのは結構体に負担がかかることのようだ。節々が軋んで仕方ない。ふと傍らに放られている下着を見つけ、自分の置かれてる状況に思いっきり眉をしかめた。
「くそっ! 」
毛布を払いのけ、千切るように下着を掴み取る。
……折角だから毛布も干しておくか。あと汗も拭いたい。
ドアの鍵を外し、出て行こうとしてふと思いつきベッドへと戻る。
天蓋の豪華なベッドで惰眠を貪る新たな主、ルイズを見る。
淡い光を弾く白いかんばせ、シーツに広がるローズ・ブロンド。伏せられた瞼の奥には鳶色の瞳――
(この世界に来て初めて見たものが、こいつの目だった)
なぜか弟と間違えて、思わず名前を呼んでしまったのだ。
縋るようなその目を、弟は死の際まで見せなかった――見せてくれなかったのに。
この少女も、あんな不安そうな目をしたということは、何かを耐えられない重圧を背負っているのだろうか?
(だとしても、オレには関係ない)
只でさえ奇妙な自体に混乱しているのだ。これ以上厄介事は被りたくない。
ドアに向かいノブに手をかけ、一瞬止まり……静かに部屋を出て行く。

出てきたはいいが、洗い場の場所なんか知るわけが無い。
人気の無い女子寮の廊下を、コツコツと革靴の歩く音が響く。
すると、通りかかった部屋のドアがガチャリと開いて一人の少女が出てきた。
「……」
ルイズよりも小柄で特徴的な水色の髪をした少女は、いるはずの無い男の存在に驚愕することもなく、一瞥して去ろうとした。
「待ってくれ、一つ聞かせて欲しい。……洗濯をしたいんだが、洗い場はどこにあるか教えてもらえないか? 」
「………」
不躾な物言いかと思ったが、それを不快に思ったかを表情から悟ることは出来ない。
青髪の少女は無言で持っていた杖を窓に向ける。
その先を見ると、メイド姿の女性が洗濯をしているのが見えた。
「ありがとう。助かった ――そうだ。これを」
「…… ?」
シャツのポケットからレースのリボンを取り出し、小さな手に握らせる。
「他にやれるものが今は無いんだが……女の子はこういうのが好きだろう」
「………」
無言で手の上を見つめているが、嫌悪感のようなものは見られない。
「……外に出るのはどっちに向かえばいい?」
思い出してもう一つ質問する。リボンに伏せられた瞳をあげ、あっちというように杖を廊下の先へ向ける。
再び礼を言うと、もう用は受け付けないとばかりに別方向へと行ってしまった。
寡黙な少女だが、不躾というわけではない様だ。誰よりも早く起きて、あんな巨大な杖を持って何をしにいくのだろうか。
思案にふけるのもいいが、今は己の仕事をしよう。
示された方へ向かって歩き出した。
外に出ると、朝霧の引いた後の空気に爽やかな気持ちになった。
(満月より滴る王女のヴェール、淵に沈む聖女の息吹……)
水魔法《目覚め》の詠い始めを、そらでなぞる。
水分を含んだ空気を水底に沈められた水の精霊王、メルメットの王女の息吹に見立てた魔法式だ。発動すれば感覚が研ぎ澄まされ、また軽度の怪我なら回復する。
水の素質があまり無いギースでも、状況が揃えば封呪できる。
川の傍や湖のほとり、雨や朝霧の引いた後など漂っている水のロクマリア(魔法元素)が多いときのみ、威力は弱いがカートリッジに封呪出来るのだ。
(……カートリッジも、代わりになる銀も宝石も無いがな)
くさる気持ちが抑えられない。出来ることといえば、小娘の下着の洗濯だけとは……
一時でも惜しい――そんな体で洗濯をしているメイドの少女に声をかけた。
「すまないが……」
「っ! きゃっ!」
突然声をかけられて驚愕したらしい少女が、手に持っていた洗物物を落としてしまう。
ぼちゃん、と水しぶきをあげて金盥の泡の中に沈んでいく。
「あ、あ、申し訳ございません! 貴族の方と話すのにこんな格好で!」
泡に濡れた裾をはらいもせず戸惑いながら頭を下げる。
「いや、急に声をかけたのが悪かった。頭をあげてくれ。それに私は貴族でもなんでもない 」
「えっ!でも、この学院に平民なんか……護衛の傭兵ですか? 」
「……それも違うんだが」
10代そこらの小娘に召喚された使い魔です。と申告する勇気は無いし、平民だとか貴族だとか、重要な問題とは思えなかった。
「洗濯をさせて貰いたい。邪魔でなければ盥の端を貸してくれ」
「せっ! 洗濯なら私がさせていただきます! 今は使用人の分を洗ってるんですけど、とても貴族の方にそんな真似は」
させられません!と悲鳴のように宣言する彼女の気迫に、危うくルイズの下着を渡しそうになる。
『早朝仕事をしていたら、女子寮から出てきた不審な男が女物の下着を渡してきたんです!』
どう見ても下着ドロです。本当にありがとうございました。
(……冗談じゃない)
自分が新聞の記事になってるのを想像し眩暈がした。新聞がこの世界にあるのかは疑問だが。
「本当に貴族じゃない。そもそも、この世界の人間ではないんだ」
「世界……? 不思議なことを仰るんですね」
言外に失笑されたのを気取り、ギースの眉がつりあがる。咄嗟にズボンのポケットからハンカチを取り出して、メイドの眼前に掲げた。
「わぁ……すてきなレースのハンカチですね」
「スカロップエッジング」
「え?」
ぽつりと呟いた言葉は、呪文か何かだろうか?
「クロッシェ・タッチングは古く、歴史を辿って歴史書が一冊書きあがるほど変容してきた技術だが、その歴史の中で研磨された最新の技術がこの一枚に透けるようだろう。
見ろ!この華やかでありながら決して押し付けがましくない淑やかな可憐さの薔薇を!!」
得体の知れない『なにか』に押されて、火を噴くサラマンダーのようにレースへの美辞麗句が飛び出す。
本格的にレースの商売を始めてから、似合わないことをする羞恥心は消え失せたようだった。
「この技術は、歴史はこの世界に無いはずだ!」
くわっ!と凄むギース。異様な熱気に加え生来の目つきの悪さで、恐ろしさ5割増しである。
「よくわからないけど……すてきですね」
そんな熱気を物ともせずにうっとりとハンカチを眺める少女にガクッとギースの肩が落ちる。(そもそもレースに証拠を求めるのがお門違いなのだが)
が、尚も羨望のまなざしで見つめる少女に幾分溜飲が下がった。
「……欲しいならやってもいい。それは一昨日私用に作ったばかりだが、一度も使ってない」
「えっ!そんな、いいんですか!?でも、高価なものなんじゃ」
少女の顔が喜びに湧き、次いで不安げな色がそれをかき消す。……価値がどれくらいのものか尋ねられたが、金を求める気にはなれない。
「言っただろう、私用に作ったものだと。」
素っ気無い言葉だったかもしれない。気を悪くしたか?と思って少女を見ると
「うれしい……大切にします!」
嬉しくて堪らないといった体の顔を向けられた。真っ向から向けられる好意が気恥ずかしくて顔を逸らす。
「盥と、井戸の場所を教えて欲しい。……石鹸もあれば」
「はい、どうぞ。――お名前、聞いてもよろしいですか?」
「……ギース=バシリスだ 」
「ギースさん……私、シエスタって言います!」
そう言ってシエスタは派手ではないけど愛嬌のある顔を、可憐に綻ばせた。
ギースが洗濯を終えて部屋に戻ると、ルイズは起きていたがあまり朝が強くないらしく、寝ぼけたような顔でぽつりと呟いた。
「……あんた誰だっけ?」
「……まだ頭が眠っているようだな。貴様に無理矢理呼び出された哀れな一般人だ」
「ああ、仕立屋だったわ。仕立屋、服着せて」
「ッ! 仕立屋では無いと言ってるだろうが!!」
噛み付くような恫喝も軽くあしらわれる。
怒りを堪えて辺りを見遣ると、椅子に大雑把な具合に掛けられてる制服があった。
それを取ると、ベッドの上のルイズに渡してやる。
「先に下着取って。そこのクローゼットの一番下に入ってるから」
「……羞恥心の消失はいつかお前を破滅させるぞ」
下着を洗わされたギースに戸惑いはもう無い。不本意であることは変わらないが。
クローゼットを探ると適当に取って乱暴に放り投げる。
「……ちょっと! なにすんのよ!……ハッ」
運悪く顔にぶつかってしまい、粗雑な扱いに抗議するが
(5段レースの下着!?)
投げられた下着を見て驚愕した。適当に取ったように見えてきっちり選んでいたのでは?と思うと、言葉が出なかった。

「着せてと言った割には、随分素直に着替えてたな」
「……うるさい。わたしの許可無く喋ったらご飯抜くわよ」
「傲慢というより暴君か貴様!?」
憤慨を通り越してただ驚愕する使い魔に、言ったばかりのことも覚えられないのかと鼻で笑う。いや、あんまりな言い草に驚くしかなかったんだろうけど。
最初に呼び出してから随分と感情を出すようになったなと思った。分が悪い立場にいてもずけずけと物を言うし、声を荒げることも多い。こんな他人は……初めてだ。
ルイズの周りにいる『他人』は、能力について馬鹿にしてくる奴か、家名に媚びへつらう狐ばかりだ。そのどちらも疎ましいと思ってたし、突っぱねることが出来ない自分を歯痒く感じていた。
この男は、わたしのことを殆ど知らない。わたしが『ゼロ』と呼ばれていることも。
『ゼロ』のわたしに仕えることを、嘆くだろうか?
魔法が使えたという、この世界の貴族と同じく実力を示さないと評価されない世界で生きてきたこの男……
疑問――不安は止め処なく溢れる。焦燥や悲哀と共に黒々とした釜から出てくるのだ。。
隠さないと、こんな思いは。貴族の誇りが傷ついてはいけない。
「……朝食を楽しみにしてなさい」
にやりと口元に笑みを張り付かせて言う。男…ギースは言葉も出せず凶悪な眼光をむけてくる。
何か言いたそうな瞳を無視し、ドアを開けて廊下に出ると、ちょうど今起きてきたらしい隣人の、キュルケ・ツェルプストーと鉢合わせた。
「げ」
下品なうめきが出て後悔するが、音が戻って来る訳がなくキュルケに届いてしまった。
「げっ…て、蛙でも潰したのかしら?」
胸元にかかる赤毛をかきあげて気だるげな目線を向けてくる。そのいちいちの仕草が胸焼けするほどの色気を放っていてうんざりする。褐色の肌とメロンのような巨大さのバスト、その谷間を惜しげもなく覗かせて数多の男を毒牙にかけるのだ。
(まさに食虫植物のような女だわ)
南国の奥地に咲くという巨大なラフレシアを脳裏に浮かべる。褐色のラフレシアは値踏みするような視線をルイズ……否、ルイズの後方に注いでいた。
嫌な予感がしてキュルケの顔を見上げると、ふふんとバカにしたような笑みが浮かべていた。
「ルイズも意外とやるわねぇ。部屋に男連れ込むなんて。ルイズの成長が嬉しくてたまらないわ!」
祈りを捧げるように胸の前で手を組むキュルケ。……とうとう脳にいくはずの養分まで胸に吸い取られたのかしら?
「でも知らなかったわ。ルイズって年上が好きなのね。だから勉強ばかりしてたのかしら?同級生なんか相手にならない?」
はた、と止まりすべての意味を理解した。こここ、ここ、この女――!!
「な、何言ってんのよ!ああああんたって奴は何でも色恋沙汰にしないと理解できないの!?脳内万年発情期も大概にしなさいよね!!」
「照れなくていいのよ? 人生には愛が必要なの。時には熱に浮かされることも」
「……盛り上がってるところ悪いが、私はただの使い魔だ。」
騒々しい喚き合いに剣を刺すように、不機嫌な声が割り込む。
「初めまして元気なお嬢さん。想像力に溢れててとても愉快な方のようだ。あなたのような人がいてルイズもさぞ楽しい生活を送れていることだろう」
胡散臭すぎて布で擦れば簡単に禿げそうな爽やかな笑顔と、一見絶賛してるような最低の皮肉の羅列に、案外こいつ子供っぽいなと頭が冷える。
「ふふ、面白い使い魔さんね。……そういえばあなたは何を召喚したの?」
ギースの言ったことを冗談と受け取ったらしい。ギースにまだ濡れた視線を注いでいる。
「……だから、これよ。名前はギース。職業、仕立屋」
「 仕 立 屋 じ ゃ な い !!」
「…………」
いちいち訂正するギースと、聞いたきり固まるキュルケ。彼女の中にも色々と葛藤があったらしい。なにか言う前にギースの左手を掴んで眼前に晒す。何をするんだ!と言いたげなギースを目で黙らせる。
「ほら、使い魔のルーンよ。」
「……ルイズ、あんたがここまで思いつめてると思わなかったわ。そんな、恋人を使い魔なんて言って連れてくるなんて…っと、フレイム、ごめんね。お腹すいた?」
まだ誤解が解ききれてないキュルケのマントが、背後に引っ張られる。のそりと出てきた巨体は――鮮やかな赤色のサラマンダーだった。
「あたしの使い魔はこのコよ。『微熱』に相応しい使い魔だと思わない?」
誇らしげにサラマンダーの背を愛撫するキュルケ。熱くないのかしら?顔と同じく手の皮まで厚いの?
「これは……サラマンダーか !?」
驚愕の声をあげたのはギースだ。双月を見上げたときのような驚きを瞳にたたえている。
「あんたの『世界』にもサラマンダーがいたの?」
「……本物を見るのは稀だが、火の初歩魔法だからよく――なっ!? 熱!」
急に叫んだギースを見ると、サラマンダーにズボンの裾を噛まれ……というか、舐められていた。
「やっ!やめろ!!舐めるな!!ズボンが溶けてる!?」
右足の脛の辺りだけ特徴的な透かしが入れられたズボンは、かっちりした印象だったギースにあいまって、その、なんというか自己愛者のようなザマになっていた。
「あっはははははははははははははは! 片足だけ透かし入り! あははははははははははははは!! ださい!!」
「サラマンダーの舌は焼け石の熱さなのよ。駄目よフレイム!舐めちゃ駄目!」
「あっははははははははははははははは!」
「いつまでも笑ってるなァ!!」
「フレイムは人懐っこいコだけど、こんなに好かれるなんてあなた、火の血が流れてるのかしらね?」
くすくすと笑いながら愉快気にギースを見る。
「……火属性の濃い血なんだ。」
「あら、貴族なの?どちらの方かしら?」
あまりこの話題は――したくない。
「……行くわよ、ギース」
「お、おい」
会話を強引に途切れさせて、不満な様子のギースの手を強引に引いて歩き出す。
背後で、「またお話しましょう」とキュルケが告げた。

ルイズより早く朝食を平らげたギースは、優雅に食事を続けるルイズを適当に言いくるめ食堂から抜け、朝洗濯をした洗い場へと向かった。
綺麗に整列して干されたシーツを突風がはためかせている。
誰もいないことを確認し、一人嘆息した。…ひどい朝食だった。
豪奢な食堂に迎えられ、磨かれた銀食器が並ぶ席に着こうとした途端、椅子をひかれ尻餅をついた。椅子を引いたのはルイズで
「使い魔の癖にメイジと同じ食事とる気でいるんじゃないわよ」
と見下ろした時の冷たい目を忘れない。
続いて床に並べられたほぼ具無しのスープと、硬い二切れのパン。あまりの硬さにレストランのディスプレイかと思ったほどだ。
(味以前に、量が足り無すぎだ……オレは犬か!?)
空腹のせいで気が立って仕方ない。イラつきを散らそうとズボンの腰ポケットに忍ばせたあるものを取り出す。
「《網のようよりは切っ先のように、からまるのではなく研ぎ澄まされよ。かの風神ゼノクレートの息吹はかくも凄まじ……》」
吹きすさぶ風の中、てのひらに魔力を寄り合わせる。シーツをはためかせる風は、故に乱流になって他方向から撫で荒れる。
詠唱が終わると、手の中に《鎌鼬》を封呪した銀のスプーンが出来上がった。
続いて井戸の傍にいって水魔法を封呪しようと踵をかえすと
「ギースさん?何をやってるんですか?」
「!?」
はためくシーツの向こうから、黒髪のメイド――シエスタが顔を覗かせる。
「なんでスプーンなんて……あっ!まさか朝食の後足りなかったの!?」
「こ、これには深い訳が」
朝食時にテーブルに置いてあった銀食器一組をこっそり盗んでいたのがばれて、あたふたする。
といってもスプーン・フォーク・ナイフを、沢山あるうちからデザート用やら肉用に分けられたのをバラバラに忍ばせたのだが、やはり分かってしまったらしい。
「…まぁ、気持ちは分かります。私たち平民が手も出ないような高級な銀食器が、あんなに並んでるんですもの」
ため息をつきながら、ギースの手の上のスプーンを取りあげる。
「か、返してくれ!」
「駄目ですよ。このスプーン、まだ黒ずんでいないじゃないですか」
「何?」
「銀食器は使っていると黒ずみが出るんです。それを悪魔がとりついたって言って嫌う貴族の方が多いので、黒ずんだ奴は捨ててるんですよ」
なんとも贅沢な話だと思った。銀は変色しやすい金属であり、それは空気中の硫黄と反応したために起こる為なのだが、表面だけなので正しい研磨をすれば元の輝きを取り戻す。
「だから黒ずんだ銀が溜まると商人を呼んで買い取って貰うんですけど、売る前にちょっとねこばばしちゃってます」
いたずらっぽく笑ったシエスタの、手を握る。
「な、なんですか?」
「……その銀を譲ってくれ」
シエスタの黒い瞳を見つめる。真剣な眼差しに当てられてドギマギしてしまう。
「た、沢山はあげられませんよ?」
「代償は払う。君に――」
シャツのポケットに手を差し込むと、レースのリボンを取り出した。
朝もらったハンカチとは意匠の違う可憐なレースにシエスタは心惹かれた。
「君の髪は刺さるような長髪なんだな。黒に白いレースはとても映えるよ」
「ひゃ、あ、あの」
気障な台詞を吐きながらシエスタの髪をひとふさ掴み、編みながら結わえていく。顔の右側だけみつ編みにした髪の束に、レースのリボンを絡ませる。
「とても似合っている。……銀食器、譲ってくれるか?」
「はう、は、はい…」

シエスタに廃棄予定の銀食器を貰い、食堂に戻ると誰もいなかった。
……どうするべきか。
窓際に寄り校舎を眺める。歴史を感じられる古城のつくりに、ジノクライアの城の方が堅実で美しい――などとしょうも無い比較をする。
生徒の集まるところにルイズがいるだろう。と思い外を見たのだが、赤いものを見つけて閃いた。
食堂を抜け出し門を潜ると、使い魔フレイムを連れた少女―キュルケと言ったか?―と出会った。
「あらルイズの使い魔さん。おひとり?」
「ルイズとは…はぐれた。君は?」
「これから授業があるからフレイムを連れに行ってたのよ。新学期だから使い魔を披露しないと」
「よろしければ、ご一緒してもいいかな?」
「供を申し出てくれるなんて悪い気はしないけど…まだ帰らないの?」
眉根を寄せてギースを見る。どうやら本気で誤解してるらしい。
「…私も帰りたいさ。でも、方法が無いから仕方ない」
「どういうこと?」
「ルイズに異世界から召喚された。…本当に使い魔だ」
ポケットから銀のナイフを取り出し、フレイムの尻尾の炎を借りて加熱させる。銀全体が熱されると、ナイフが弾けて声が聞こえてくる。
《澄む流れは純真、濁る溜りは肥沃 めいめいに汝をすくい、飲み、吸い上げ、汝は血となり大地を廻る》
「え!?何?」
放たれたゲルマリックとロクマリアは『水』を示したものだ。きらきらとキュルケの周りを踊り……詠唱が終わる。
「……なんか、凄く気分スッキリしたような…」
「水魔法《源流》だ。井戸で封呪したから出来はそんなものだな」
放った魔法の出来を不満げに評するギースを、不審そうに見やるキュルケ。
「私の世界ではこうやって魔法を銀に封呪するんだ。…言っとくが貴族じゃないぞ」
いちいちこの世界は貴族というものを気にするから先に釘をさしておく。するとキュルケが感嘆したように呟いた。
「魔法が使える平民がゼロのルイズの使い魔ねぇ…いい拾い物なんだか、可哀想っていうか…」
「ゼロ?ルイズの姓はヴァリエールだったと思うが」
歯切れ悪く言うキュルケの態度が気になって、独り言に割り込む。
「それも知らないのね…いいの、気にしないで!」
手を振って話を終わらせようとする…まぁ、いいか。と頭を切り替える。
歩き始めるキュルケに合わせ、足を進めながら考えていたことを話す。
「私の世界のサラマンダーは殆ど絶滅してて……魔法研究に乱獲されたらしくて、実際に本物を見るのは初めてだ。サラマンダーの鱗は火打石のように、すり合わせると発火するというのを文献で読んだんだが本当か?」
「……どうかしら?確かにサラマンダーは色んな部位がマジックアイテムの加工に使われるけど……」
ギースは心中ほくそえむが、慎重に話さなければと思い言葉を続ける。
「見せたように私は魔法が使える。本来なら銃を媒介に銀の弾丸で使うんだが、丸腰で召喚されてしまった――今の私にあるのは知識だけ」
「………」
いかに不憫そうに見せるかが肝だ。それは魔法式を綴るように相応しい言葉を、感情こめて詠う。
「なにも出来ない私は、君の言うようにただの平民なんだろう。ルイズはことあるごとに平民だ貴族だと喚き私を辛い気持ちにさせる。…お願いだ。フレイムの鱗を少しだけ分けて欲しい」
「…それは、可哀想だけどフレイムが痛がるようなことは……」
「痛くないようにする。サラマンダーは火の生き物だから水じゃないな、風魔法の治癒魔法を発動させながら採取すれば良い。頼む、役立たずのままこの世界で生きたくない――」
最後は特に語感強く必死そうに言った。役立たず、の辺りでキュルケの肩が震えた。
「……いいわ。鱗をあげる。でもひとつお願いがあるわ……あなたの名前を教えて?」
「ギースだ。ギース=バシリス」
「ギースね。ゼロのルイズの使い魔。…不都合な魔法の使い手。あなたがルイズの使い魔だということを、覚えておくわ」
そう言って皮肉に微笑んだキュルケに、言葉の意味もわからぬままギースは感謝の表情を浮かべた。

「ちょっと!今までどこに行ってたのよギース!使い魔のくせにご主人サマを放っておくなんて何様のつもり!?」
「お前の下着を洗っていたんだ」
「!? ななななんてことを人前で言うのよっ!少しは周りの目を考えなさいよね!」
顔を赤くしたり青くしたり器用な奴だ。当然遅れた理由は違うが、人の目以前に洗わせた事実の方が恥ずべきことだと思うが。
ちらりと教室内を見渡す。どうやらキュルケも同じクラスらしい。
ルイズと同年代の少年や少女が皆同じように使い魔を従えていて、古代幻獣図鑑でしか見たことが無い生き物を使い魔にしている者もいた。
ふと、早朝出会った水色の髪をした少女を見つけた。彼女は使い魔を連れておらず黙々と分厚い本を読んでいる。
「……ちょっと、変なとこで突っ立ってないでよ。目立つでしょ」
声を抑えてルイズが言う。確かに少なからず注目されていた。
(……視線の種類が気にくわんな)
好奇と猜疑と、多くの嘲笑。
この学園の全員が魔法使い、そして貴族だという。故にただいるだけで侮られると――
冗談じゃない。
無害無関係を装う視線すべてに敵意を向ける。眼光の鋭さは軍でも折り紙つきだった。あんまりキツイ目をするので上官にサングラスでもかけろと言われたほど……
めきょっ
「!!!!!!!~~~~」
「突っ立ってんなって言ったでしょ」
視線の半分が同情に変わった気がした。

「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュブルーズ、この春の新学期に、さまざまな使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
授業が始まったようだ。ふくよかで優しそうなご婦人が壇上にあがった。
ギースはルイズの隣の席に座っていた。最初は「使い魔は座るな!」とか抜かしたので起立していたら後ろの席の生徒から抗議が出たのだ。
「おやおや。変わった使い魔を召喚したようですね。ミス・ヴァリエール」
「はい。ミス・シュブルーズ。服を新調したいときは是非この仕立屋に言ってください」
「お前はオレを何にしたいんだ!?」
半ば捨て鉢のルイズの発言に思わず反論する。シュブルーズと呼ばれた女性はあっけに取られたように固まっているが。
「ゼロのルイズ!召喚できないからってその辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」
小太りのガラ声の少年がヤジを飛ばし、波打つような笑いが起きる。また嘲笑を当てられたと思い拳を握り立ち上がろうとするが
「座ってなさい」
隣のルイズがシャツの袖を掴み止めた。抑制する言葉のあまりの冷たさ……凍えて強張ってしまった手のような頑なな響きに、思考の全てを止められる。
「………」
思った反応が返ってこなかった失望にその場の空気が白けたようだ。静寂が訪れたのを感じ、シュブルーズが話し始める。
「私の二つ名は『赤土』。これから一年、皆さんに『土』系統の魔法を抗議します。ミスタ・マルコリヌ、魔法の四大元素を言ってください」
先ほどルイズをからかった小太りの少年が立ち上がる。
「は、はい。ミセス・シュブルーズ。『火』『水』『土』『風』の四つです!」
「そうですね。…今は失われた系統である『虚無』を合わせて全部で五つ系統があるのは皆さんもご存知の通りです」
(ん?)
気になる言葉があった。虚無?
ギースの世界には前述の四つの属性に加えて『闇』と『光』がある。光はそのまま、焼け付く光線や雷、流星の召喚などを可能にする属性だが、闇は特に異質だ。影や暗闇という意味のそれは、物質に留まらず心に生じる闇そのものをも表す。
「虚無ってどういう属性なんだ?」
小声で隣のルイズに話しかける。怪訝に眉をしかめられたが――素直に説明してくれた。
「どんな属性って言っても……殆ど伝説の力みたいなものなのよ。始祖ブリミルが振るっていたって話だけど…何でも、ごくごく小さい粒みたいなものに直接干渉する力というのをどこかで読んだわ」
小さい粒というのは、ロクマリアのようなものなのだろうか?
大陸聖教のメンカナリンの研究によると、人の体を含む万物は、細かく複雑なゲルマリックのようなものが緻密に複雑に絡まって出来ていると言う発表があった。
我々が遺跡から掘り出し使っているゲルマリックの全ては、万物を創り上げた神々の言葉で、最も偉大な魔導師ベリゼルは神代に漂っていた魔法式を、『全て』掬い取り、感情ある怪物をいくつも従えたと言う。
(この世界の魔法はどうやって発動しているんだ?)
あるいはこの世界の魔法をギースでも使えるのかもしれない。銃なしで撃てる魔法を。
「今日は皆さんに『錬金』の魔法について授業したいと思います。」
だいぶシュブルーズの話を聞き流してしまった。しかしこれから実践で魔法が見られるらしい。
「『錬金』の魔法については、一年生のときに出来るようになった人もいることでしょう。二年生では『土』系統の基本魔法なので、第一に覚えてもらう魔法です。」
シュブルーズは教壇に載せられた石に向かって、手に持った小ぶりな杖を振りかざした。そして一言二言何かを呟くと―石が突如光りだした。
「―― !」
光が収まると、輝く黄金が教壇に鎮座していた。
「ゴ、ゴールドですか? ミス・シュブルーズ」
驚きを代弁してくれたのはキュルケだった。興奮に身を乗り出している。
「違います。表面を真鍮に変えただけです。ゴールドを『錬金』できるのは『スクウェア』だけですから」
出来上がった真鍮を手に取り、冷たいトーンで言った。真鍮を再び石に変え、教室内を見渡す。
「では、次は皆さんにやってもらいましょうね……ミス・ヴァリエール」
名指しされ隣のルイズの肩がビクッと震えた。
(ん……?)
いつも傲慢なルイズらしくない様子が気になり顔を見るが、見上げた顔はいつもの通り気丈な表情に変わっていた。
つり上がり気味の瞳には真摯さが宿っていて、纏う空気は張り詰めた糸というより――磨かれた刃のようだと思った。
「はい」
立ち上がるルイズに静止の声が掛かる。キュルケだ。
「先生、ルイズを教えるのは初めてですよね?それなら彼女にやらせるのは危険です!」
「ミス・ツェルプストー。確かに私はミス・ヴァリエールを指導するのは初めてですが、彼女がとても努力家だということは聞いてます。さぁ、ミス・ヴァリエール。失敗を恐れずにやって御覧なさい。」
「ルイズ、やめて」
キュルケは蒼白な顔をして止めさせようとするが、ルイズはつかつかと教室の前へ行ってしまった。
隣に立ったルイズににっこりと微笑み、シュブルーズは優しく話しかけた。
「錬金したい金属を心に思い浮かべるのですよ」
「はい」
真剣に教壇の上の石を見つめるルイズ。
「……?」
ふと、周りの生徒が机の下に入ったり、本を盾にしているのに気がついた。無言で教室を出て行ったのは水色髪の少女だ。
疑問に首を捻ったとき、教室の前の方から爆風が吹いてきた。パラパラと前髪が垂れてきて、爆心地を見やると――教壇に並び立っていたルイズとシュブルーズが黒板に叩きつけられ、石の乗っていた机は粉々になっていた。
爆発を受け生徒達の使い魔が暴れ周り、机の破片が壁に突き刺さっていたり、燦々たる様子だった。
「うわあああ!オレのラッキーが蛇に食われたああ」
「ゼロのルイズに錬金なんか無理なのよ!」
「ヴァリエールなんか退学にしてくれよ!命がいくつあっても足りない!」
生徒達の阿鼻叫喚の中に、ルイズへの誹謗が滲んでいる。どうやらこれが初めてでは無いらしい。
「ドット以下の『ゼロ』のルイズ!!」
埃と砕けた木片にまみれたルイズを見た。
その目は、がらんどうの穴のように――虚ろだった。

また――成功しなかった。
箒の柄を握りながらため息をつこうとするが、駄目だ。どうしてもため息じゃなく涙が滲んでしまう。
泣いてはいけない。自分の弱さを認めちゃいけない。
めちゃくちゃにしてしまった教室を、使い魔のギースと一緒に片付けているのだ。失敗した上に泣いたりなんかしたら、主としての矜持も失ってしまう。
ギースは何を言うでもなく、黙々と教室の掃除をしている。あの不名誉な二つ名やその理由を聞いてるはずだった。それでも何も言わない。嘲ることをしないというなら、今あるそれは『同情』だ。
我慢ならなかった。平民が貴族に同情など、この上ない屈辱だと思った。
「……聞いてたんでしょう。わたしが『ゼロ』だってこと」
突然語りだしたことに、怪訝と視線を上げるギース。喋り出しの声が弱く震えていて、格好がつかなかった。
「あんたが召喚されたのは貴族なのに魔法を一つも使えない、貴族の面汚しだって言われてるの」
捨て鉢になったような台詞が飛び出す。
「なんだ。お前、慰めが欲しいのか」
「――――!」
咄嗟に、手近にあった本をギースに投げつける。……が、顔に当たる寸前で防ぎ取られた。
「……この世界のことはよくわからんが、貴族に生まれたら軍属に付くのが決まってるのか?」
「…必ず、という訳ではないけど、国の有事には駆り出されるわね」
それでもトリステインにおいての貴族の立ち居地は自領の統治が重要なので、王城には正式な魔法師団が設立されている。
「全員というわけでは無いのだろう?……権力という椅子に座ってふんぞり返っているような奴もいるだろう。……それで良いんじゃないか」
「ばッ馬鹿にしてるの!?」
「馬鹿に?そう見えるならお前自身がそういうのを嫌悪しているんだ」
見つめてくる目がきつく眇められる。
「持てる権力を行使することに問題は一つもない。それを嫌悪する理由はなんだ?」
権力の上の傲慢を嫌悪する理由――それは
「それは『誇り』だろう。家名が背負ってきた誇り、貴族として平民を統べ導くための誇り。それは、お前が無力だからといって、簡単に捨てられるものなのか?」
「……そんなわけないじゃない」
わたしのお母様はとても優秀な魔法騎士だった。エレオノールお姉さまも、ちぃ姉さまも……その人たちの誇りを、わたしが汚しちゃ――
「なら、生まれながらに魔法が使えない平民が、誇れるところの無い下卑た人間ばかりだと思っているのか?」
投げられた本を手に取り、開く。
「この本を刷っているのも平民、お前の服を作るのも平民。毎日口に入れるパンを作るのも平民だ。……彼らが下卑な存在なら、今持っているものを全て捨てるが良い」
「―――!!」
「出来ないなら、気がつけ。彼らを走らせるもの、お前を走らせるものの正体を。誰もが持っていて、振りかざすことが出来る剣の存在に気づけ」
気づけですって?平民のくせに、わたしが欲しくてたまらないものの正体を既に知っているというの?
再び黙々と片付けをするギースとは対照的に、ルイズは縛り付けられたようにその場で立ち尽くしていた。
それでもギースは咎めようとしなかった。見守るのではなく、彼女に撃ち込んだ弾丸を彼女が見つけるまで、彼女は動けないだろうと思ったからだ。


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