あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔のごとく!-1

彼が目を開けて最初に見たもの、それは、自分を覗き込む桃色ブロンド髪の人間の顔と、ほかほかと雲の浮いた青空であった。
…状況の把握のために辺りを見回す。ここはヨーロッパ風の城の庭らしい。その白い塔は数本建っており、庭に居る人間は、ちょっと髪が本人の前で言いにくいような状態になっている中年の男がひとり、あとは同い年くらいであろう若者ばかりだった。
そして聞こえるのは周囲のざわめきと、くっきりとした
「あんた誰?」
と言う、むしろアナタガダレデスカと聞き返したくなるような、見ず知らずの女の子の声であった。
だが彼、不幸体質にして母はバクチ廃人、父はニート、年齢を偽って家の収入全てを担う一家の大黒柱となっている16歳、綾崎ハヤテはそんなことを聞き返しはしなかった。
何故なら彼は知っているのだ。テストで質問を質問で返すとバツになることを。なのでこう答えることにした。
「ああ…綾崎ハヤテですが、何でしょうか?」
だがよく考えるとこれでも質問で返している。しまった、減点だ。どうしよう…

「どこの平民?」
「いや、どこの平民と言われましても…。」
例の桃髪の少女に質問されるが、意図が全く読めない。減点を取り戻すことができない。これは困った
などと一人で思考を変な方向へ向かわせていると、周りの空気を笑い声が満たした。
「ルイズ、サモンサーヴァントで平民召喚してどうすんだよ!?」
「な、なによ!ちょっと間違っただけよ!」
「間違いって、常に間違いしかしないじゃないか!」
「さすがはゼロのルイズだ!」
その桃髪の少女、ルイズは怒りを抑えるように震えている。そしてハ…ただちょっと髪の毛の少ないだけの男性に振り返る。いや、本当ですよ?
「コルベール先生!」
そう呼ばれた禿頭(とくとうである。断じてハryと読んではならない)の中年は、異様な格好をしていた。
黒いローブに長い杖。まるで魔法使いだ。よく見ると周りの少年少女も黒マントやら杖やら、何だか異様な格好をしている。
少年たちならまだ魔法少女モノ風味で通じるが、あの禿頭の中年男性は流石に無理だ。主人公にしたら1クール終えずに放送終了決定だ。
ここに至り、ハヤテは確信した。間違いなくこれは宗教団体だ。とすると勧誘か?
だが、いきなりこんな本拠地に拉致して勧誘というのはおかしいだろう。ならば自分は生贄だろうか。それは嫌だ。よくよく考えてみると某カードゲームでは平気で生贄を捧げまくったりしているが、恐ろしい行為だと気づかされる。
「ねえ」
そんなことを考えている間にいろいろと話は進んでいた。(何か使い魔という単語がチラホラ出たり、伝統だから曲げられないみたいなことを言っていた気がする)
「はい、何でしょうか?」
「感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。」
貴族、なんだろうかそれは。まさかあの、歴史に出てくるような『貴族』ではないだろう。と言うことは組織の幹部か何かだろうか。こんな時に浮かぶ言葉はオウム。なぜか瞼の裏に宙を舞う麻原が思い描かれる。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ!」
そしてそんなことを思い出した自分に自己嫌悪しつつ、なあに、そんなことはない、神を召喚する生贄は三人必要なはずであって、自分ひとりではデーモンくらいが精一杯だと鼓舞(?)してみるが
いきなり唇に暖かい感触がきた。そして視界一杯にルイズの顔が広がっている。
「うぇええええ!」
全く想定していなかった。全く予想できなかった。予想外。予想GUY。いきなりのキスにハヤテは一瞬で数メートル飛びのいた。
「んな!?…いきなり何ですかっ!」
「終わりました。」
ルイズは顔を赤くしつつ魔法少女からかけ離れた魔法中年の禿頭を振り返った。奴の名はコルベール、太陽のコルベール!その輝きは魔を打ち砕き、闇を照らす聖なる光なり!そう、教祖に違いない!絶対に教祖だ!生贄にされる!人柱にされる!殺される!神を召喚される!
「いきなりなんなんですか!?女の子ならもう少し恥じらいを持ちなさい!オシリスは自分の能力が仇になって負けるから召喚禁止!」
「うるさい!契約の儀式なんだから仕方ないでしょ!あと、何を言ってるのよ後半!」
ついつい思考回路が暴走してしまったハヤテは頭の中で素数を数える。だが落ち着かない。いっそ息を止めてみる。落ち着かない。
「『サモンサーヴァント』は何度も失敗したが、『コントラクトサーヴァント』は一回で成功したね。」
輝きのコルベールは成功に喜ぶが、周囲の生徒は別だった。
「相手が貧乏臭いツラした平民だから契約に成功したんだよ」
「幻獣だったら失敗してたろ?」
「いや、高貴な平民でも失敗したに違いない」
周りはそんなことを言い合って笑っている。どさくさに紛れて『貧乏臭い』という言葉が
ハヤテの心に突き刺さる。

「なによ!たまには私だって成功するわ!」
「…本当にたまにしか成功しないのが悲しいわね」
長い巻いた金髪を持つ少女がそれに横槍を入れる。
「先生!洪水のモンモランシーが私を侮辱します!」
「私は洪水じゃなくて香水よ!ゼロ!」
よくわからないが、今のは口論だったらしい。しかし、よくわからない。何故にこの少女はそんなにも周囲から言われるのだろう。これでは一種のイジメだ。
こんな外国の宗教集団にまでイジメが広がっているなんて、まったく今時は怖いものだ。
そんな風に呑気に考えていると、ハヤテの体が急に熱くなった。
「うわあああ!熱い!なんですかこれはあああ!?」
とにかく熱いのだ。周囲に水を探すが、蛇口は見つからない。
「うっさいわねぇ。使い魔のルーンが刻まれてるだけだから黙りなさい。」
「無茶苦茶言わないでください!と言うかまず刻まないでくださいやっぱり生贄なんですか!?」
「だーかーらーうるさいっ!」
などと口論するうちに、その猛烈な熱さは収まった。
ほっと一息ついていると、禿頭のコルベールが近づいてきて、左手をとる。そこには身に覚えの無い、よくわからない刺青がある。
それを手の主と手をとっている者が見つめている。
「ふむ…これは珍しいルーンだ。」
とりあえずさっきの『ルーンを刻む』というのがこれのことだということは理解した。理解できないが、手品とか言うレベルではない。こんなことをするには光速で動けるか時間停止しながら刺青するくらいしかないだろう。むしろその方が有り得ない。
「さてと、じゃあみんな教室の戻るぞ」
禿頭は、そう言って踵を返すと、飛んだ。ワイヤーも無しに、飛んだ。
他の少年少女たちも、飛んだ。翼も噴出炎も無しに、飛んだ。つまりこれは…
「…舞空術?」
だが、ルイズは飛ばない。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「お前はフライもレビテーションもできないんだろー?」
「ホント、その貧相な平民似合ってるわよ!」
「使い魔を見れば主人がわかるとはよく言ったものよね!」
そんな風にルイズを笑いながら飛んでいく。そして、庭にポツンと残されたのはルイズとハヤテ。
そんな状況で、よせばいいのについ、飛んでいく彼らを見ながら頭に浮かんだフレーズをハヤテは呟いてしまった。
「飛べない豚はただの豚だ…」
「誰が豚よこの平民!」
ハヤテの後頭部で大爆発が起き、ハヤテの意識はそこで消し飛んだ。

新着情報

取得中です。