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第五話 人と翼人と異邦人とハーフエルフ 後編2


「り、リーダーがやられた……た、退却だ、退却~~~~!!!!」
リーダーの死に、残っていたディザイアン達は一斉に退却を始める
クラース達も村人達も、体力がもう無かったので、追う事が出来なかった
「何とか終わったな…はぁ~~、疲れた。」
安心したクラースはどっこいしょ、とその場に座り込む
「うわっ、オヤジくさ…何か一気に老けた感じだね。」
「五月蝿い、歳を取ると色々大変なんだ。」
ますますオヤジ臭さを出すクラースに、ジーニアスは苦笑する
そんな中、プレセアとタバサが此方に集まってきた
「やったね、プレセア、タバサ…僕達勝ったよ。」
「はい…それに、村の人達と翼人の皆さん…皆の勝利です。」
ジーニアスは笑い、プレセアも微笑んでいた…タバサは普段の表情だが、想いは一緒の筈だ
そんな時、サムが此方へやってきた
「騎士様、それにあんた達と…助かった、お陰で村を守りきる事が出来た。」
「ああ、何とかな…それより、被害の方はどうなんだ?」
「村はあちこち壊されて、怪我人も出たが誰も死んでない…一人を除いて。」
その言葉にクラース達が疑問を抱く…また、サムの表情が暗い事に気付いた
四人が村人達の方を向くと、倒れたヨシアとそれに寄り添うアイーシャの姿が見えた
「ヨシア君が……まさか、彼は!?」
「俺を庇って矢を胸に…馬鹿野郎だ、あいつは。」
「そんな…嘘でしょ!?」
サムの言葉に驚いたジーニアスはヨシアに駆け寄った…クラース達もその後に続く
よく見ると、確かに矢がヨシアの胸に突き刺さっていた…隣でアイーシャが泣いている
「ヨシアさん、そんな…折角、夢が叶ったのに…。」
「ヨシアさん……。」
ジーニアスもプレセアも、ヨシアが死んだ事に胸を痛めた
周りの村人も翼人達も、ヨシアの死に対し黙って喪に服している
「ヨシア、ヨシア……。」
ただ一人、アイーシャだけが彼の名を呼ぶ…その時、彼女の涙の一粒が、ヨシアの顔に落ちた
「ん……んん…。」
直後、ヨシアの体が動いた…アイーシャもサムも、皆が驚いた
そんな中でヨシアが起き上がり、周りを見回す
「あれ、皆、アイーシャも…俺は一体…。」
「よ、ヨシア…お前、大丈夫なのか?」
誰もが思っている疑問を、サムがヨシアにうつける
そう言われてヨシアが体を見ると、胸に矢が刺さっている事に気付いた
「うわっ、矢が刺さってる……でも何で…。」
自分でも疑問に思いながら胸を探ってみると、中から何かを取り出した
それは……
「あっ…それ、私が作った…。」
トンガリマダラトビネズミのペンダントが、矢に突き刺さっていた
これが身代わりとなって、ヨシアを守ったのだろう
「戦いでなくさないよう、胸ポケットの中に入れてたんだっけ…それで助かったのか。」
「ヨシア!!!」
次の瞬間、アイーシャはヨシアに抱きついた…ぎゅっと身体を抱きしめる
「わ、わわ…い、痛いよアイーシャ。」
「この馬鹿野郎、心配かけやがって!!」
今度はサムがヨシアの頭を、軽く殴って地面に座り込んだ
彼の顔は今嬉しいやら悲しいやら、そんな感情が混ざった表情になっている
「やれやれ、なんてベタな展開なんだ…ま、こういうのも嫌いではないがな。」
そんな彼等を微笑みながらクラースは見つめる、ジーニアス達も他の村人や翼人達も同じだ
これで、本当に終わった…誰もがそう思っていたのだが
「うわああああああ、みんな、あ、あれ、あれを!!」
勝利ムード漂う中、一人の村人が突然叫んだ
一体何事かとその叫びを聞いた全員が、彼が指差した方向を見る
彼が指差した先…空の向こうから、青い竜が此方にやってくるのが見えた

「りゅ、竜だ…竜が出たぞ~~~~~~!!!!!!」
一難去ってまた一難…予想外の展開に村人達はパニックになった
即座にクラース達は飛んでくる竜に向かって、構えをとる
「おいおい、ディザイアンの次は竜か…疲れているんだが、やるしかないな。」
「………。」
三人が何時でも戦えるよう準備する中、タバサだけが杖を構えなかった
そして、三人の間をすり抜けると、前に向かって歩き出す
「お、おい、タバサ…どうするつもりだ!?」
「どうするも何も……よく見て。」
タバサの言葉に、不思議に思いながらクラースは竜を見た
向かってくるのは、青い竜…しかし、何処かで見た事が…
「………あっ、あれはまさか!?」
ようやく、あの竜が誰かクラースは気付いた…イルククゥだ
昨日、二人が飛び降りてから放置状態だったのを思い出す
「きゅいきゅいきゅ~~~~~い、見つけたのね!!!」
イルルクゥが大きな声で叫ぶ…誰が見ても物凄く怒っている
「待機とかいってイルククゥを放りっぱなしにするし、ご飯は食べさせてくれないし…許さないのね!!!」
そう言いながら、ブレスを頭上へと吐きかける…それが、村人達を更に混乱させる
その様子をクラースは頬を掻きながら、タバサは無言で見つめている
「あ~~…物凄くご立腹のようだな…どうする、タバサ?」
尋ねてみるが、タバサは答えない…最後の最後で、とんでもないオチがついたものである
溜息をつきながら、どう説明するか、どう説得しようか…クラースは考えるのだった

………………

ディザイアン襲撃から、三日後…広場でヨシアとアイーシャの結婚式が行われた
村がこんな状況なので今は…と言っていた二人に、皆が勧めたのだ
こんな時だからこそ、明るくなるような事を…と
「まあ、色々あったがめでたしめでたし…って事だな。」
遠くから、二人を見つめるクラースとタバサの姿があった
タバサの意で、二人の結婚式を見たららすぐに出発する事になったのだ
手には、アイーシャから受け取った花束がある
「クラースさん、タバサ…もう行っちゃうの?」
「もう…私がすべき事は終わったから。」
ジーニアスの問いに、タバサが答える…傍にはプレセアもいて、二人を見送ろうとしている
「まあ、私もそろそろ帰らないと大変だからな…二人はこれからどうするんだ?」
「しばらく此処にいて、そしたら旅に出るよ…元の世界に帰る方法を探す為に。」
「それに…あのディザイアン達の事も調べたいと思っています。」
結局、彼等がどうやってこの世界に来たのかは謎のままだ
クラースもジーニアスもプレセアも、この世界で何かが起こるのではとの不安を抱えている
「何もなければ…という訳にはいかんだろうからな。次に会う時は互いに成果が出てると良いな。」
「うん、そうだね……じゃあ、元気で。」
ジーニアスが手を差し出し、クラースは握手を交わした…プレセアとも握手を交わす
そして、今度はタバサへと手を差し伸べる
タバサもまた、ゆっくりとジーニアス、プレセアと握手を交わした
そして、タバサとクラースはイルククゥにまたがった…同時に、イルククゥは空へと上昇する
「クラースさん、タバサ…また会おうね!!」
ジーニアスとプレセアが手を振って見送る
村人達もサムも、アイーシャとヨシアもまた手を振って見送った
「さあ、帰るとするか…彼女のご機嫌をなおさないといけないしな」
「そうなのね。約束通り戻ったらたらふくご飯を食べさせるのね。」
荒れ狂うイルククゥを宥める為に使った約束…果たさなければどうなる事やら
二人を乗せて、イルククゥは全速力で王都リュティスへと向かった

「やれやれ…ようやく戻ってこれたな。」
王都への報告やら、イルククゥの機嫌を直すやらで帰ってきたのは翌日となった
クラースはタバサと別れて、ルイズの部屋へ戻る所だった
「さて…どう言い訳すれば良いかな?」
彼女の性格を考えれば、怒りを静めるのは難しいだろうが…それでも一応考えてみる
そんな中、女子寮への入り口にさしかかると、見覚えのある人物を見つけた
「ん……才人じゃないか。」
クラースの言うとおり、入り口の傍に才人がいた…ルイズの服を洗濯している
休憩の為に一度立ちあがった時、才人はクラースが帰ってきた事に気付いた
「あっ、クラースさん…今まで何処に行ってたんですか!?」
「よぉ、才人…その様子だと、もう大丈夫のようだな。」
驚く才人にそう答えながら、クラースは歩み寄る…彼の傷はもう完治していた
「はい、まあお蔭様で…ってか、クラースさんがいないから大変だったんですよ。ルイズの奴が…。」
「ルイズが…やはり、怒っているのか?」
予想はしていたが、才人の反応だとそれ以上らしい…クラースは軽く頭を抱える
「そうですよ、目が覚めらあいつに八つ当たりされるわ、飯抜きにされるわ、散々な扱いを…。」
「クラ~~~~ス~~~~~~~~!!!!!!」
自分が受けた仕打ちを語っていると、後ろから恐ろしい叫び声が聞こえた
振り返ると、ルイズが此方に向かって走ってくるのが見えた…鬼の形相で
「ああ、ルイズ…ただいま。」
適当に挨拶してみるが、返ってきたのは彼女の飛び膝蹴りだった
ひょい、っと避けるクラース…代わりに才人がその一撃を受ける
モロにその一撃を受けた才人は、洗濯桶の中に沈んだ
「おいおい、いきなり飛び膝蹴りはないだろ…若い子がはしたない。」
「五月蝿い、あんた外に出るって言って何日も何処に行ってたのよ!!」
「ああ、まぁ、それは…ちょっと、色々あってな。」
タバサとの事を言うわけにはいかず、どう答えれば良いかクラースは考える
その間に、主人を放っておいてとか、使い魔としての自覚がない等、散々な説教を受けた
「悪かった、悪かったルイズ…何も言わずに出掛けてしまって。」
「解ればいいのよ…さあ、約束通り始めるわよ。」
言いたい事を言ってすっきりしたのか、ルイズはクラースの手を取る
始めるというのは、ルイズが魔法を使えるようにする為の勉強である
「今すぐにか?出来れば、少し休ませて欲しいんだが…。」
今回の一件で色々あったので、正直休ませて欲しいクラースなのだが…。
「駄目よ、随分といなかったんだから…今日はぶっ通しでやるわよ、クラース先生。」
「先生?」
「だって、私に教授してくれるなら先生って言った方が良いでしょ?」
解ったなら行くわよ、と強引にクラースを引っ張っていこうとする
「おい、待てコラ!!!」
その時、洗濯桶に沈んでいた才人が立ち上がった…泡だらけである
そのまま噛み付くように、才人は自分を蹴り倒したルイズにせまる
「きゃ、ちょっと…近づかないでよ、服が泡だらけになるじゃない!!」
「お前がそうしたんだろうが、いきなり膝蹴りなんて何すんだよ!!」
「し、仕方ないじゃない、クラース先生が避けてその後ろにいたんだから!!」
「だったら、謝るとかしろよ!!」
「何で私が平民なんかに頭を下げなきゃいけないのよ!!」
ぎゃあぎゃあと、口喧嘩を始める二人…その様子を脇で見るクラース
逃げるなら今のうち…抜き足、差し足、忍び足でこの場を立ち去ろうとする
「あっ、クラース先生、何処にいくのよ!?」
「ぬっ、気付かれたか…悪いルイズ、教えるのは明日からだ。」
が、その前にルイズに気付かれてしまった
構わずクラースは足を速め、その場から逃走を始める
「ねぇ、ちょっと…待ちなさいよ!!」
「おい、お前も待てよ!!」
クラースを追うルイズ、そのルイズを追う才人…三者はこの広い中庭を、フリーランで駆け抜けた

こうして、彼等の日々は本当の意味で始まるのだった


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