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時の使い魔-04


 決闘の後、授業が終わり夕食を済ませた後、ルイズと時の君は学園から少し離れた平原
に来ていた。
「さあ、まず何からやるの?」
 時の君の術の力を目の当たりにし、これなら魔法を使う上でのアドバイスを受けられる
と思ったからである。
「そうだな、何でもいい。魔法を使ってみろ。」
「何でもいいって…爆発しか起こらないわよ…わかったわ。」
 短く詠唱し、ファイヤーボールを唱える。自分が想像していた位置よりも少し反れた場
所に爆発が起き、地面を抉った。
「…もう一度だ。」
「これで何か判るのかしら?」
 ブツブツと文句を言いながら、もう一度ファイヤーボールを唱えた。やはり爆発が起き、
大地に小規模なクレーターを作る。
「もう一度。」
「な、何なのよ…」
 その後も魔力が尽きるまで何度も繰り返され、辺りはさながら戦場の様に荒れ果ててい
った。
「も、もう無理…限界だわ…何なのよ、もう…」
 ルイズはその場にへたり込み、うつむきながら肩で息をしている。
「…この爆発は、燃焼や魔力の暴発と言う訳ではなさそうだ。まだ確証はないが、おそら
く御主人様の魔力が粒子を振動させる事によって爆発という結果になっているのだろう。」
「は?何?どういうこと?」
「推論が当たっていれば、制御さえできれば色々な事が出来そうだという事だ。」
「ほ、本当!?爆発するんじゃなくて。他のことも出来るの!?」
 時の君の解答に一度に疲れが吹き飛ぶ。暗闇に一筋の光明が見えてきた気がする。
「物の根源を操れる可能性があるからな。…今日はここまでにしよう。帰るぞ。」
 そう言うと、ルイズの体の下に手を差し込み、抱え上げた。
「な、何するのよ!?」
 これは俗に言うお姫様だっこではないか、突然の時の君の行動に動揺し、ばたばた暴れ
た。
「暴れるな。疲れたんだろう?部屋まで運ぼうとしているだけだ。」
「そ、そう…し、しょうがないわね、部屋まで運ばせてあげるわ!」
 今なら歩けと言われれば歩ける気もするが、せっかくの使い魔の申し出を無碍にするわ
けにもいかないので、時の君の腕に体を預け、頬を赤らめながら部屋へと戻っていった。
「水を持ってくる。明日も授業があるんだろう?飲んだら寝るんだな。」
「そ、そうね、お願いするわ。」
 時の君は部屋に戻って来ると、ルイズをベットに下ろし、水差しを手に再び部屋より出
て行った。まだ召喚されてから二日目だが、予想以上に環境に適応出来ている気がする。
決闘騒ぎは起こしたが…

「あ、時の君!お怪我は…無いようですね、よかった…」
 水を汲んでいると、偶然シエスタが現れた。おそらく昼の決闘の事を言っているのだろ
うが、そもそも触れられてもいないので怪我をするはずもない。
「大丈夫だ。」
「後から決闘の事を聞きました。貴族に勝っちゃうなんて、本当にお強かったんですね、
そうだ!今度、厨房までいらっしゃって下さい!マルトーさんも会ってみたいって言って
ました!」
「いいのか?妖魔は恐れられているんだろう?」
 ギーシュや他の貴族はそこまで恐れている様には見えなかったが、やはり今朝のシエス
タの反応を見るに、特別な力を持たぬ平民には恐ろしい存在なのだろう。
「確かに、皆が大丈夫なわけじゃないんですけど、今朝、洗濯を手伝ってくれた事とか説
明したら、マルトーさんとか他の人も、面白い妖魔だ一度話してみたい、なんて言ってま
すよ。」
「そうか、では今度行くとしよう。」
 時の君としても人間は襲う気はないので、今後の事を考えると、怖がられない程度には
関係を築いておかないと生活に差し障りがでるかもしれない。
「はい!ではお待ちしておりますね!」
 シエスタは時の君へにこやかな笑顔を向け、一礼し去っていった。時の君もとっくに水
は汲み終わっていたので、部屋へと足を向ける。

 階段を上りルイズの待つ部屋へと歩いていると、前方に割りと大きめのトカゲが道を塞
いでいた。
「邪魔だ、どけ。」
 時の君の言葉に一瞬怯み後ずさるが、気を持ち直したのかマントの端を咥えどこかへ引
っ張っていこうとする。
「きゅるきゅる…」
「何だ?離せ。」
 ここに唯のモンスターが出現はずもない。ということは誰かの使い魔であろう、ならば
下手に怪我を負わせて無理やり振り解くと、後にルイズがこのトカゲの主人と揉めるかも
しれない、そう考え、仕方なくこのトカゲについていくことにした。
「きゅるきゅる!」
 不穏な空気を察知していたのか、明らかに安堵した様子のトカゲが、ルイズの部屋の一
歩手前で止まり、開いていた扉の中へと入っていった。部屋の中にはトカゲの尻尾の炎だ
けが光を灯している。
「何か用か?」
「扉を閉めて入っていらして?」
 部屋の中の声の主がトカゲの主人であろう。部屋に入れと言っているが、部屋には入ら
ず言葉を続けた。
「時間が掛かるか?」
「え?フフ…そうね、今夜は長い夜になりそう…」

 時の君の問いに甘い声をだす。
「そうか、では御主人様へ確認を取ってくる。」
「え!?ちょっ…」
 時の君は外側から扉を閉め、ルイズの部屋へと戻っていった。
「遅かったじゃない?何かあったの?」
「隣の部屋で呼び止められてな、何か用事があるらしい。長くなるそうだが、行ってきて
もいいか?」
「隣の部屋って…キュルケじゃない!あ、あの万年発情猫…!!!駄目よ!ここに居なさ
い!!」
 言い終わると同時に、ルイズは豪快に扉を開け放ち、部屋から飛び出して行った。隣の
部屋へ入って行ったのであろう大きな音がし、ギャンギャン言い争っている声がする。
「…という訳なんだから、ほいほいキュルケに着いて行っちゃ駄目よ!わかった!?」
 子一時間言い争った後に戻ってきたルイズは、ヴァリエール家とツェルプストー家の歴
史を子一時間、時の君に説明した。
「判った。ところで、自由時間が欲しいんだが。」
「へ!?何突然?たまには休みをくれっていう事?」
 脈絡のない申し出に変な声を出してしまった。
「夜は自由時間にして欲しい。ご主人様が寝てからでいいんだが…朝までには戻る。」
「ま、まままさかキュルケの所に…い、いいい言った事が伝わってなかったのかしら!?」
 どうりで物分りがいいと思った、何も聞いていなかったらしい。これはお仕置きせねば
なるまい。
「違う。私は基本的には睡眠は取らない。ご主人様が寝ている間はどうしても暇なんだ、
部屋の中で術の研究をするわけにもいかないしな。だからこの辺り(ハルケギニア全体)を
見て回ろうかと思ってな。」
「そ、そうなの…ま、まぁいいんじゃない?使い魔の仕事を疎かにしなければかまわない
わ。」
 勘違いだったらしい。だろうと思っていた、忠実なる使い魔である時の君がキュルケご
ときになびくはずはない。
「でも、どこにいくの?この辺(精々、街まで)のことなんて全然知らないでしょう?」
「知らないからこそ、色々見て回らないとな。」
「ふーん。でも、あんまり遠くに行き過ぎて迷子にならないでよね。」
「わかった。」

 ルイズの寝息を確認した後、時の君は移動するべく精神を集中させ始めた。妖魔特有の
リージョン移動である。一度行った場所なら、リージョン内でもリージョン外でも思うが
ままに瞬間移動出来る。もしくは他の妖魔を索敵し、その妖魔の元へ移動するという方法
もある。前に聴いた話だが、この索敵能力のせいで、アセルスも随分苦労したらしい(追
っ手が間断なく攻めてきていた。)。
「さて、どこの妖魔の所へ行くか…」

 どうせ知り合いもいないので、適当に妖魔を選んで移動することにした。直後、時の君
の姿は完全にルイズの部屋より消えていた。

―――ガリア サビエラ村付近―――
 時の君が移動した場所は、村外れの紫のヨモギが密集した森の中だった。妖魔が、人間
の敵であるという認識がある以上、不用意にここに住む妖魔の目の前に現れる事は、自分
と同じように人間と共生いている場合、迷惑になる可能性があるという配慮の為、妖魔の
いる位置より少し離れた場所へ降り立った。
「…あっちか。」
 時の君は、妖魔の気配のする方へ向けて歩き出していった。相手も妖魔である以上、時
の君の存在には気付いているだろう。自分より格下の妖魔の様だし、コンタクトを取って
きてもおかしくはない。
「これは、高貴なお方。このような辺境にどういったご用件でしょう?」
 やはり、数分歩いた所で声を掛けられた。どうやらここに住む妖魔らしい。ルイズなど
よりもはるかに幼い容姿の少女が片膝をついていた。
「お前は、魔法は使えるか?人間が言う所の先住魔法について聴きたい。」
 時の君は単刀直入に、用件を伝える。黙々とこなす術の研究に飽きてこの世界に来たよ
うなものだが、術とは体系の異なる魔法というものにかなりの興味を抱いていた。
「…はい、わかりました…多少は扱えますので私の知っている範囲でよろしければお答え
致します。」
 明らかに格上である妖魔からとは思えない質問に、疑問を抱いている表情をしていたが、
淡々と話しはじめた。
「人間の使う魔法の様に理を曲げるのではなく、自然の理に沿う形で精霊の力を…」
 話を聴くにどうやら、術はどちらかといえば人間の使う魔法に近いらしい。人間の使う
魔法と先住魔法とは全く違う物のようだ。
「…という訳ですが、これ以上のことならエルフなどでないと解らないと思います。」
「エルフ?」
「はい、人間の異種族で先住魔法の事では右に出る者はいません。…失礼ですが、貴方様
はどちらからいらっしゃったのでしょう?」
 不審は解けなかったのであろう、妖魔は当然の疑問を口にした。
「この世界ではない遠くからだ。」
 時の君は、人間の異種族なら、索敵で探し当てることも出来ないな…などと考えていた。
「はぁ…よく判りませんが、とりあえずお食事はお済でしょうか?近くに人間の村があり
ます。あまり上等なお食事とは参りませんが、ご案内致します。」
 納得はしていないようだが、時の君がこの妖魔より上位に位置するのは間違いないので、
丁重に扱っている様だ。
「食事か…お前は人間と共生しているのか?だとしたら、こんな夜中の来客では不審に思
われるだろう。」

「大丈夫です。確かに人間の振りをして暮らしてはいますが、餌である人間にばれたとし
てもまた他の村へ移りますので。ささやかながら、おもてなしをさせて頂きます。」
「…そうか、ではよろしく頼む。」
 二人の妖魔は村へと歩いていった。
 村に着き、家の中へと案内する。
「ここでお待ちください。今、人間を間引いて来ますので。」
 そう言い、外へ出ようとするが呼び止められた。
「待て、その必要は無い。私の餌はお前だ。」
 冷たい物言いに、背筋に悪寒が走る。
「ど、どういうことでしょう?何か気に障るような事でも…」
「しいて言えば人間を餌にしている事だ。今は人間の味方でな。」
 後退しようとするが、既に後ろは扉だ。恐怖で、扉を開けるという動作が出来ない。
「どうしたんじゃエルザ?何かあったのか?……だ、誰じゃ!?」
 村長である白髪の老人が、他の部屋からつながっているドアを開け中に入ってきた。
「も、物取りか!?ま、まさか吸血鬼!!?エルザから離れるんじゃ!!」
 老人は、手の近くにあった物を手当たり次第にこの妖魔に向けて投げつけている。
「やめろ、吸血鬼はこいつだろう。」
 そう言われ指をさされたが、この老人とは一年近くの付き合いになる。どちらを信じる
かと言われれば明白だろう。もう少し時間を稼げば何とかなるかもしれない。
「た、助けておじいちゃん!」
「今、助けてやるからな!エルザ!」
 言いながらも、もはや老人の手元には投げる物は無く、後は体当たりをする位しか残っ
ていなそうだが、どうやら間に合ったようだ。
「ど、どうしたんですか!?村長!大きな物音がしましたが!」
 扉が開き、屈強な大男が部屋の中へと飛び入ってきた。
「おお!アレキサンドル!そいつじゃそいつが吸血鬼じゃ!」
 妖魔の視線が村長とアレキサンドルの方へと向けられる。やるならば今しかない。
「枝よ。伸びし木の枝よ。彼の腕をつかみたまえ」
 窓を割り外より伸びてきた枝がこの妖魔を拘束する。何故かこの妖魔からは逃げられる
気がしない。位の違いのせいだろうか?ここで確実に仕留めなければならない。
「屍人鬼!そいつを仕留めなさい!」
 声を荒げ、元はアレキサンドルと言う名前だったグールに命令する。グールは雄たけびを
上げると、目の色を変え妖魔へと突進していった。
「エ、エルザ!?どういう事なんじゃ!?」
 老人が視界の端で狼狽しているが、今、気にしている余裕は無い。
 殴られながら観察していたが、どうやら、このアレキサンドルと呼ばれたこの男は死人
の様だ。助けられるものなら助けようと思っていたがどうしようもない。
「秘術《剣》」

 三本の魔法剣が寸分違いなくグールの首を切り落とす。グールは腕を振りかぶったまま
床へ崩れ落ちた。
「な、何!?どこから剣が…」
 魔法剣は、時の君へ絡みついた枝を切り払うと消滅した。
「逃げられない事は判るだろう?終わりだな。」
 時の君がエルザと呼ばれた妖魔との距離を詰めると、エルザが口を開いた。
「なぜです!?私が人間を餌にする事と、人間が食べ物を口にする事は同じ事ではないで
すか!それに貴方は同族…」
「今は人間の使い魔でな。人間に仇名す存在なら消さねばなるまい。それに、私が妖魔を
餌にする事と、お前が人間を餌にする事は同じだろう?」
 硬直し動けなくなっているエルザへ、いつの間にか握られていた剣を刺す。
「そ、そん、な…」
「人間と妖魔以外ならこの剣に憑依するが、妖魔であるお前は私の生命力になってもらう。」
 剣へと向けてエルザが飲み込まれるように消えていき、後には何も残らなかった。
「エ、エルザが吸血鬼じゃったのか…そんな馬鹿な…わしは今までいったい何を…」
 残された老人ががっくりと膝をつき、うな垂れている。
「さて、帰るか…」
「あ、あなたも吸血鬼?」
 もし、吸血鬼なら、吸血鬼であるはずのエルザをものともしないこの男に勝てる道理な
ど、少なくともこの村には存在しないだろう。
「吸血鬼ではないが、妖魔だ。心配せずとも襲いはしない、用件も果たした事だし帰ると
する。」
 言うが早いか、声をかけようとした時には影も形も無くなっていた。結局、何だったの
か…荒れ果てた部屋の中で、ただ老人は考えを纏めようとしていた。

―――――後日
「あのいじわる姫、お姉さまを吸血鬼と戦わせようなんていじわるにも程があるのね、き
ゅいきゅい!」
 北花壇騎士七号であるタバサは、従姉妹であるイザベラから受けた命により吸血鬼退治
へと行くことになっていた。人間に比べて高い身体能力を持ち、先住の魔法を使い、血を
吸った相手を一人だけとはいえ屍人鬼として操る、人間とまったく見分けがつかない姿を
した妖魔。既に九人のメイジが犠牲になっている。確かに、シルフィードが憤慨している
様に今回の相手は最悪だ。
「お姉さま一人で吸血鬼に立ち向かうなんて無謀なのね、どうせならあの使い魔の妖魔に
も手伝ってもらえばよかったのね、きゅい。」
 シルフィードには何の返答もしないが、確かにあの未知の魔法は吸血鬼を倒す上で魅力
的ではある。しかし、彼を連れ出すのは難しいだろう。出掛けにも見掛けたが、常にルイ
ズと一緒にいる。ルイズと離れて行動する事を由とするだろうか…それに既に、タバサは
サビエラ村へ向けシルフィードと共に空を駆けていた。

「まったく、本ばかり読んでないでシルフィの相手もしてほしいのね!」
 相変わらず、シルフィードの意見はスルーし、本を読み続ける。何せ、今読んでいる本
は吸血鬼関連の本である。この本を読み込む一秒が明暗を分けるかもしれない、まだ死ぬ
訳にはいかない。
 そうこうしている内に、サビエラ村へと到着した。タバサはシルフィードを村から少し
手前の場所へと降下させた。林の中へと降りると、タバサは鞄から衣類を取り出しシルフ
ィードへ向けた。
「これを着て。」
「変身しろっていうのね!?しかも布を体につけるなんていやいや!」
 シルフィードはその長い首を左右に振るが、タバサは無言で睨みつけている。
「うぅ…終わったら何かご褒美が欲しいのね、きゅい…」
 ぶつぶつと文句を言いながらも、詠唱を唱え、見る見るうちに変化していく。
「これを持って。」
 そう言い、着替えが終わった所で、タバサはシルフィードに杖を渡すと、スタスタと村
へと歩き出した。
「お姉さま待って、二本足は歩きにくいのね。」

 やがて村へ着き、まずは詳しい話を伺うべく、村長の家へと向かうが、何やら村民の反
応がおかしい…吸血鬼退治に来たメイジに希望を見出した様子ではなく、子供を連れて来
たメイジに落胆した様子でもなく、なにやら何故来たんだという様な、困惑したような表
情を一様に取っている。
「な、何なのね?何か様子がおかしいのね…」
 遠巻きにしていた村民の中から白髪の老人が走りよって来た。
「こ、これはこれは、貴族様…ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへ。」
 どうやら村長らしい。案内されるまま、近くの民家へと移動した。
「すみません、ただ今我が家は荒れていまして…」
「何で、村人の様子がおかしいの?何かあったのね?」
 メイジの格好をしているシルフィードが、タバサの代わりに問いかける。
「どうやら入れ違いになってしまった様で…なにせここから首都リュティスは遠いのでご
容赦頂きたいのです。」
 ふかぶかと礼をされるが、何の事を言っているのかまだ把握できない。
「どういうことなのね!?なんで謝るの?」
「いえ、もう吸血鬼は退治されましたので…」
 思いもよらぬ返答に、タバサは思わず口を出した。
「誰に退治されたの?」
 あの従姉妹がこんな手の込んだいたずらをするとは思えない。という事は、本当に入れ
違いになって誰かに倒されたということだろうか?
「それが…妖魔が現れまして…」
 村長の言うところによると、突如現れた妖魔が、村長と共に暮らしていた吸血鬼とこの
家に住んでいた屍人鬼を一撃の元に倒し、また何処かへ消え去ったという。

「それで、この家に住むマゼンタというばあさんの事を、重い病気で部屋から出られない
ものですから、前から皆が疑っておりましてな…もし、あの妖魔が来なければ、無実のこ
のばあさんが吸血鬼に仕立て上げられていたかもしれませんのじゃ。息子は残念な事にな
りましたが…」
 しかも、吸血鬼を倒すだけでなく、村人の命まで間接的に救っていったらしい。どこの
勇者だ。
「エルザが突然消えただけでは吸血鬼に攫われたのだと勘違いをしていたかもしれません、
それも計算していたんでしょうかのう…私の目の前でエルザを退治したのは…同じ妖魔で
も力の差は歴然でした。突然何も無い所から剣が出てきたのには驚きました。」
 タバサは学園ヘ向けシルフィードの背に乗り、移動していた。
「おかしい。」
「何がおかしいのね?でも、吸血鬼と戦わなくてよかったのね!きゅいきゅい!」
 もはやシルフィードの言葉は耳にも入っていない。…妖魔…突如現れる剣…この符号を
ただの偶然だといえるだろうか?しかし、村長の話を聴くに、妖魔が現れたのは三日前だ
という。三日前といえば、決闘騒ぎの日であり、そして次の日もちゃんと学園にいたはず
だ。
「やはり、興味深い。」
 どう考えても、距離的におかしいので、確定したわけではないが、どうもあの使い魔な
ような気がする。学園に戻ったら確認してみようか…
 タバサとシルフィードは月夜を移動していく。



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