あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

世界を繋ぐ虚無の少女の召喚詩-01


「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!」
可愛らしい、だが力強い言葉と共に呪文が唱えられる。
「神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!!」
己の力を証明するために。
「私は心より求め、訴えるわ!」
不名誉な「ゼロ」の二つ名を返上するために。
「我が導きに、答えなさい!!」
そして…… それは成った。


-世界を繋ぐ虚無の少女の召喚詩-


世界中を冒険するようになってから、なかなか足を運ぶ機会のない自室へとクローシェは歩を進める。
たとえなかなか足を運べずとも、やはり自分の部屋と言うものは落ち着くものだ。
「ふぅ、やっと終わったわ」
ここは大鐘堂・御子室。メタ・ファルスの地で最も尊い命である御子、クローシェ・レーテル・パスタリエの私室。
だが、この部屋の住人は現在は二人である。
「おかえり~、クローシェ様」
ルカ・トゥルーリーワース。
元々は片田舎のミント区に住むごく普通の少女-カリスマダイバーズセラピストとして名を馳せてはいたが-
であったが、紆余曲折を経て、現在では二人の御子の一人として世界中の人々を纏める立場にある。
「公務お疲れ様、大変だったでしょ?」
「大丈夫よ。今までだってずっとやってきたことだもの」
「それが凄いんだよね。私にはとても無理。三日と持たないよ」
「何を言ってるの、ルカ。いずれあなたにも公務を覚えてもらうわよ」
「ええ~、無理だよ無理! 私には政治家の才能なんてないもん!」
「ちょっと! 勝手に人のことを政治家にしないで!」
とたんに口喧嘩を始める二人。とはいっても、見る人が見れば本気で喧嘩をしているわけではないのは明白だ。
一通り言葉が出尽くすと、ルカがふと言葉を漏らした。
「ねえ、クローシェ様。メタファリカで生まれる大地ってどんなのだろうね」
「そうね… きっと、緑があふれた素晴らしい理想郷になるわ」
「そうだね… うん、そうなるといいね!」
「なに言ってるの。わたしたちがそれを作るのよ」
「あはは、そうだね。……頑張ろうね、レイカちゃん」
「ええ。もちろんよ、お姉ちゃん……」

その後も他愛のない話を続けていた二人だったが。
「あれ?」
ふと辺りを見回したルカが、不思議な声を上げる。
「どうしたの、ルカ?」
「ほら、あそこ…… あんなところに鏡なんてあったっけ?」
クローシェが辺りを見回すと、たくさんのぬいぐるみなどが目に付く。
この部屋は、本来の住人の趣味が強く反映されている。そう、クローシェはファンシーグッズが大好きだった。
だが、部屋の一角に、本来なら存在しないはずのものを確認した。
「変ね。姿見ならこっちにあるのに」
「誰かが持ってきたのかな?」
「さあ、どうかしら」
クローシェが近づいてみる。爆発する様子も、危険人物が潜んでいる様子もない。
「特に変なところもなさそうだけど」
そしてそのまま指を触れてみると…… 指がそのまま鏡の中に入り込んだ。
「えっ!?」
そのまま吸い込まれるように体が鏡にめり込んでいく。すでに肩の辺りまでが鏡の中に入っている。
「クローシェ様!!」
あわててクローシェの手を引っ張るが、びくともしない。むしろどんどん入り込んでいる。
そしてクローシェの体がすべて吸い込まれ… ルカの体も鏡の中へ消え去った。
後には、主を失った部屋だけが残された。


派手な爆発により巻き上げられた粉塵が視界を塞ぐ。
だが、ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールには確かな手ごたえがあった。
これまでに何度もサモン・サーヴァントに失敗した。両の手で数え切れなくなってからは、何度失敗したか数えてはいない。
粉塵が収まれば、失敗の痕跡がそこかしこに広がっていることだろう。
だが、ルイズは諦めなかった。何度失敗しようと諦めずに挑戦し続けた。
そして、これまでで最大規模の爆発と、体中を駆け巡る謎の達成感。ルイズは成功を確信した。
「さあ、姿を現しなさい! 私の使い魔!!」

粉塵が徐々に収まり、その場にあったのは…… 人影だった。
「人間だ」
「ゼロのルイズが人間を召喚したぞ!」
「さすがはゼロだ!」
「いくら召喚できないからって人間攫ってくるなよな!」
ルイズのクラスメイトたちはそれぞれに嘲笑、蔑みの言葉をルイズへと投げかける。
だが、粉塵が晴れて視界がはっきりしてくると、その声は次第に驚きと戸惑いへと変わっていった。
「お、おい、あれって貴族じゃないか?」
「だけど、杖をもってないぞ?」
「服装も見たことないな。まさか、異国の貴族なのか?」
「それにしてもなんていうか… 凛々しいな」
「ああ、あのレイピアで弄られたいわ…」
などと、困惑と興味の入り混じった様々な言葉が飛び交う。……一部に変態的な発言が混じっていたことには触れずにおこう。

(召喚には成功した… けど、これってどうなの?)
先ほどまでの高揚感などすべて吹き飛んでしまった。あるのはただ困惑のみ。
(人間? ドラゴンでもグリフォンでもなく、まして動物ですらない。ただの人間を使い魔に?)
教師であり、この儀式の監督官であるコルベールも驚きを隠せなかった。もっとも、その驚きの質はルイズや周りの生徒たちのそれとは些か違ったが。
「ふむ、まさか人間が召喚されようとは。私も数多くの使い魔を見てきたが、こんなことははじめてだ」
ということは、やり直しだろうか。
ルイズはすがるように、コルベールを見るが。
「しかし、これは伝統的な儀式です。例外は認められませんよ、ミス・ヴァリエール」
釘を刺されてしまった。ルイズの想いなどお見通しということらしい。
でも、と気を引き締める。
(そうよ、逆に考えれば、貴族を使い魔にするなんて凄いことじゃない)
「よろしいですね。では、早く契約を。『コントラクト・サーヴァント』を」
(使い魔さえ持てれば、私がゼロじゃないって証明になるもの。この際どんな使い魔でもいいわ)
そして、ルイズは召喚された人物へと歩み寄る。その様はまさに鬼気迫る光景であった。

ここで、ルイズはふたつのミスを犯した。
それは、召喚された人物とのコンタクトを取ることを怠ったこと。
そして、その傍らにもうひとつの人影があったことに気が付かなかったこと。

ルカが意識を失っていた時間はほんの一瞬。
(あれ… 私どうしたんだっけ?)
意識を失う直前のことを思い返し、重要なことを思い出す。
(そうだ、クローシェ様!)
辺りを見回すと、そばにクローシェが立っている事が確認できた。と同時に、自分がどうやら尻餅を付いているらしいという事も分かった。
無理な体勢でクローシェを引っ張ったことが原因であろう。
だが、そんなことは些末事と言わんばかりに、周囲の光景に目を見張った。
(なに… ここ)
あたりには、一面緑の草原が広がっている。だが、滅び行く世界であるメタ・ファルスには、そんな場所は存在しない。
そして、自分たちの周囲には少年少女が、不思議な服装を身に纏い、手にはやはり不思議な杖を持って立っている。
隣を見れば、クローシェも同じように驚きの表情と共に周囲を見渡している。
(なんだろう… これって夢?)
ふとそう思ってしまったことも、無理からぬことだろう。

そのとき、視界の端で一人の少女が動いた。
それだけなら問題はないはずであった。しかし、そのときの少女の様子は普通ではなかった。
その鬼気迫る表情は、ともすれば敵意とも取られかねないものだった。
そして、それはどうやら傍らのクローシェに向けられているらしい。
ずんずんとクローシェに近づいてくる。しかし、クローシェの方を見れば、どうやらまだ混乱から抜け出せていないようだ。何の反応もない。
「クローシェ様、危ない!!」
瞬間、ルカは弾かれた様に動いた。それはまさに、妹を思う姉の想いのなせる業か。
クローシェを突き飛ばす。結果、ルカの体がクローシェの居た場所にとどまる形となった。
そして、ルイズが、もといルイズの唇が迫る。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ……!」


あとは『コントラクト・サーヴァント』の呪文を唱え、キスをする。それだけで、彼女は私の使い魔となる。
だが、素直に「使い魔になってほしいからキスして」なんていっても断られるに違いない。
しかも、相手は貴族かもしれない。下手なことをして、政治的な問題にでも発展したらことだ。
ここは先手必勝! まず契約を済ませてからじっくり話をしよう。
この契約には主人を好きになる効果が含まれている。だからきっと何とかなる!

などという思考をルイズが行っていたかは不明である。しかし、結果としてルイズは契約を優先した。
もちろん、切羽詰っているルイズに、目の前の彼女の隣にいる人間のことなど目に入らない。
当然、彼女が動き出そうとしていることに気づくはずもない。
「クローシェ様、危ない!!」
声は耳に届いていたはずだが、今のルイズにその言葉の意味を考える余裕などない。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ……!」
だから、契約のキスを交わす直前、目の前の女性が消え、代わりに別の女性が現れたとしても、とっさに反応することが出来ず……


こうして、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとルカ・トゥルーリーワースの間に使い魔の契約が結ばれた。


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