あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのイレブン-01


その年に行われた、使い魔召喚の儀式はほぼ成功だった。
とある少女はカエルを召喚。
とある少年はフクロウを召喚。
とある少年は普通よりも大きな種であるモグラを召喚。
とある少女はサラマンダーを召喚。
とある少女は幼生とはいえ風竜を召喚した。

平均的な使い魔や、火竜山脈のサラマンダーや風竜という大物が出たのである。
これだけならば成功だった。
だが、ただ一つ成功ではあるが失敗でもある事があった。

それは一人の少女。
王家の血を引く由緒正しい、国内どころか国外にもその名を轟かせる程に権力のある公爵家の三女として生まれながらも、魔法の才が無い少女だった。
儀式を最初から見守っていた教師、コルベールは知っている。 その少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが、どれほどの努力家であるのかを。
確かにルイズには魔法の才が無い。
だが、ルイズはこの学院に多いただ傲慢な貴族の子弟とは違う。
ややヒステリー気味ではあるが、貴族としての誇りは高く優雅。 貴族である事により親に甘えがちな他の生徒とは違い、向上心がある。
生徒の中では、学力においては間違いなくトップクラスだ。

ただ実力が無い。

ただ、ただただ実力だけが無い。
それはメイジ、つまり魔法が使えてこその貴族であるというトリスティンでは致命的な欠点だった。
どれほどに高い学力を持っていても、魔法が使えなければ意味が全く無い。

まだゲルマニアで生まれた方が幸せだったかもしれない。
トリスティン、それも高名なヴァリエール家に生まれてしまった事が彼女の悲運だった。
いいや、ヴァリエール家だったからこそ彼女は此処までやってこれた。
魔法の成功率がゼロで、どんなに誹謗中傷を受けても立ち上がれた。
ヴァリエール家の三女であるという大きな誇りがあったからこそ、今まで折れずに居れたのだ。

コルベールはただ祈った。
ルイズの使い魔召喚の儀式が成功するのを。

そして、その願いは始祖ブリミルにも通じたのか、それは起きた。
召喚魔法の失敗が何回目の時だっただろうか。
いつもとはやや違う爆発が起きた。

その爆発の中から現れたのは、十二人とよく跳ねる白と黒の顔ほどもある球体。
二人を除いて同じ服を着ている、ルイズ達より、下手すれば風竜を召喚したタバサより年下の少年達だった。

ルイズは戸惑った。
少年達も戸惑った。

あんた誰、というルイズの台詞と、此処何処、という少年の内一人の台詞が同時に発せられる。
とりあえず、ルイズは少年達の中で唯一マントを着用しているおそらく貴族の少年に訪ねてみたのだった。

――――――――――――

「……というわけなのです」

「なるほどのぅ」
と、オスマンは頷いた。

ルイズが彼らから得た情報は以下の通りである。
一つ。 彼らの内何人かはニホンにあるライモンというチュウガク(平民の学校らしい)に所属している。
一つ。 それ以外の面々はニホンという国の各地から集まった。
一つ。 彼らは全員、サッカーという競技をしている。
一つ。 エイリア学園という宇宙から来たらしい人々と戦っている。
一つ。 さっきまでオキナワでサッカーの練習をしていた。
一つ。 早く戻らなければならない。
一つ。 誰も魔法は使えない。
一つ。 彼らの内一人であるトウコという少女は、ソウリダイジン(国の代表らしい)の娘である。

最後の情報は、自分が貴族であると言った結果返ってきたものである。
向こうは貴族だろうがソウリダイジンだろうが、気にした様子は無かったが。

困ったのでコルベールは、オールド・オスマンに助力を願うという事で保留にした。
肝心のオールド・オスマンも、何か思う所があるらしく保留にさせた。

一番困ったのはルイズである。
召喚に成功したのは嬉しいが、出てきたのは平民、しかも多い。
そのせいで召喚したものの、使い魔としての契約は一切出来なかった。

自室に隠ってこれからどうしようと考える。
何はともあれ召喚はしたのだから留年しない様に頼むとコルベールが言ったのは幸いである。
もしも留年だったら、と思うと震えが止まらない。
むしろ喜ぶべきなのだ。 召喚した結果現れたのは、確かに平民の子供達だった、だが成功はしたのである。
もしかしたら、明日の授業からは魔法が成功するかもしれない。
使い魔ではないけど少し元気が出たし、ニホンなんて辺境は知らないけど故郷に帰る手伝いくらいはしてあげるわ、とルイズは思いながら眠りについたのである。

それに使い魔にしたところで、彼らが使い魔の三つ仕事をこなせるとは思えない。
特に三つ目、主人を守る。 多少鍛えてはいるがカラスにも負けそうな彼らでは到底無理だと考えた。

それが大間違いであるのに気付くのは、翌日である。


その頃、張本人である彼らは、オスマンの計らいにより用意された部屋に居た。
十二人の内、眼鏡を掛けた少年がこれは異世界です、ファンタジーなのです! と熱弁を奮っていたが残りの全員は聞いていなかった。

――――――

翌日、事件が起きた。
それはルイズが、キュルケに使い魔について自慢された事でもルイズに使い魔が居ないから励まし半分に軽くからかわれた事ではない。
平民で使い魔ではないとはいえ彼らの姿が見えない事についてコルベールに聞いてみれば、なんと使用人達の所に居ると言われ、いくらなんでもどうして自分に教えてくれなかったのかと少し文句を言った事でもない。
自信を持って錬金の魔法を使ったルイズが、しかしいつもの爆発を起こした事でもない。

昼食の出来事である。
生徒の一人であるギーシュが落とした香水を、少年達の内一人が拾ってしまった。
何故その、マフラーを着けた少年がそこに居たのかというと、朝食に突然割り込んだのに何もしないのはダメだと少年達のリーダーが言い、それに皆が同意してそれぞれ役割分担をして手伝いをしていたのである。
少年はまず、ギーシュにこれは君のかいと声をかけた。
ギーシュはそれを無視した。
しかし周りに居た友人達はこれはモンモランシーの香水だと口々に言い、一年生の少女がギーシュに泣き付き、別れを告げ涙ながらに去る。
そしてモンモランシーが現れ、殴っていった。

ギーシュは、彼女達は薔薇の価値を分かっていない。
君が機転をきかせなかったからこうなった。
どうしてくれるんだ、と少年に文句を言う。
どう考えても少年は悪くないのにも関わらずだ。

少年は、モテたいからって女の子を泣かせたらダメだよ諭す様に言う。
正論ではある、がギーシュには関係無かった。

そして始まったのが決闘である。
ルイズは急いで駆けつけた。
メイジ相手に何をするの、勝てるわけがないわ、謝りなさいと叫ぶが少年は聞き入れない。
少年の仲間である残りの少年達も、魔法をよく理解していなかったがルイズと似たような心境であったらしい。

もちろんギーシュは聞き入れず、少年も同じだった。
ギーシュは決闘の開始を宣言すると、ゴーレムのワルキューレを作り上げる。
少年達はおぉー、と歓声をあげた。

此処から先をルイズが恐れながら予想したのは、マフラーの少年がギーシュにぼこぼこにされる姿である。
全く同じ姿を、観客やギーシュも予想した。

しかし、甘かったのである。

少年は決闘はギーシュが杖を落とせば勝ちなのかと改めて問う。
ギーシュの肯定した瞬間、全ては始まった。
少年は手にした白黒の球体を地面に落とす。
これは少年が持ち込んでも良いかと聞くから、平民にせめて武器を持たせてやろうと思い持たせたのだが、これが完全に命取りとなった。
ギーシュも、当たれば少し痛い程度の玩具で自分が負けるとは思わなかった。

球体が地面に跳ね返った瞬間、少年は急変した。
鋭く雪の様に冷たい風が強く吹き荒れた。
少ししかはねていなかった白い髪が強くはねて、その雰囲気ががらりと変わる。
緑色の目から、炎を宿したかの様なオレンジ色の目へと変わる。
口元に今までとは全く違う攻撃的な笑みをたたえた。

まるで、別人になったかの様に。

確かに驚いたが平民の手品だろうと思い、ギーシュはゴーレムのワルキューレを走らせた。
ギーシュから少年まで五メートル以上。
しかしワルキューレにはたった三歩で詰められる距離だった。

その拳が少年に届くかと思った瞬間、拳が崩壊した。
拳。 否、ワルキューレが。

何事かと目を張るギーシュだが、観客の一人に言われて自分の手元を見る。
薔薇を模した杖が無くなっていた。 途中から、真っ二つに折られて。
万が一、気を抜いて落とさない様に強く握っていたのに。

少年は、決闘が始まる前の穏やかさを取り戻していた。
今のは何だったのだろう、とルイズが思う暇も無い。

一体何が起きたんだ、とギーシュは戸惑う。
観客の一人に指を刺され見た先には、白と黒の球体が転がり跳ねていた。
塔の一つに当たって跳ね返ってくる。
しかしアレは、先程まで少年の足元にあったのに。

まさかアレで折ったのか。
いやまさか。

決闘の後にタバサに言われて真っ二つに折れた杖をもっとよく見てみれば、何故か凍りついている。
まさか先住魔法なのかと驚くギーシュを他所に、タバサは少し考え込んだ。
キュルケが話しかけてもタバサは考える。
何か、先住魔法について何か思うところがあるかの様に。

決闘の一部始終をコルベールとオスマンは見ていたが、使い魔のルーンを刻んでいないのでガンダールヴだと判明もしない。
コルベールが、杖をあんな球で真っ二つにするだなんて! と息を荒くする程度だった。

ちなみにマフラーの少年、名を吹雪と言うのだがその少年がただの木の棒を折った程度で少年達は誰も驚かなかった。
むしろギーシュに勝ったのだからまぁそれなりに強いのねと興奮するルイズとは違い、一人を除いて少しだけ心配そうな表情をしていた。
彼の事情を知る、全員が。


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