あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの英雄伝説

 ありえない。
それを召喚したルイズを含め、その場にいる誰もがそう思った。
ルイズが呼び出したそれは、全長1キロメイルはあろうかと思われる巨大なフネのようなもの。
 だがありえない、あり得るはずがない、ありえてはならない。
例えそれがどんな超常的な存在であろうとも、総鉄製のフネなどあってはならないモノだ。


ゼロの英雄伝説


 ルイズの呼び出したフネによって外壁と宝物庫の一部が物理的に粉砕されたため、いや、それ以上に、そのフネの中に平民と思わしき重症の人間が発見されたが為に、実習は延期となった。

 彼、ヤン・ウェンリーがこのハルケギニアに「召喚」されてから数日が経過した。
自分が年端もいかぬ少女の「使い魔」として異世界に呼ばれた事に混乱し、ヘタをすれば致命傷だった怪我を癒して貰った事に感謝し、なんだか良く判らないルーンと「ガンダールヴ」なる謎の単語を聞き及んでからも、彼の基本行動パターンは変わらない。
ただ、トリステインを初めとして、王政の国家しかない、という事には少々凹んでいたようだ。
 ヤンの数少ない日課の1つに、彼と同時に召喚された戦艦「トリグラフ」での戦術シミュレーションで遊ぶ、という事がある、最早同盟も帝国も関係ないのだからこれは純粋に彼の数少ない暇つぶしだろう。
 そして、そんなある日、それは起こった。

「ヤン、ちょっとお願いがあるの」
 ここに来て以来、ヤンが彼の主……ルイズのこんな言い辛そうな言い方は、すくなくとも彼の覚えている範囲では、初めてだった。
「出来る事と出来ない事があるけれど……」
「あんたほんっと歯に衣着せないわね……良いけど、お願いってのは……あのフネ、飛ばして欲しいのよ」
「あぁ、そりゃぁ無理だ」
あっさりと、いともあっさりと主の頼みを斬って棄てるファミリア。
「そんなあっさり……!」
「ミス・フランソワーズ、あのフネ1隻動かすのにどれだけの人間が必要だとお考えで?」
「ぐ……」
そりゃそうだ、とルイズも内心納得してしまう、普通のフネだって何十人単位で人を乗せて、それでも一人二役三役だというのに、あの巨艦を動かそうと思ったら千人単位の動員が必要だろう。
「空を行く必要があるならミス・タバサのドラゴンを借りれば……」
「出来るわけないでしょ!?もしかしたら動くかも知れないし、一応試してみてよ~」
泣き落としだった、流石にここまでされると実証して見せた方が早い、とヤンも諦める。
 が、忘れてはいけないのは……いくら小脳がその役割を放棄しているとはいえ、彼も一応ガンダールヴである、という事実だ。
ダメ元でやってみてと言うルイズの言葉にハイハイと仕方なしに適当にプログラムを起動させて……
 実際、どうにかなった。

 ハルケギニアで空中戦力はそう珍しくない、とはいえ総鉄製
(正確には鉄ではないし、これがまた大気圏内の飛行に死ぬほど向かない形状をしている)
のフネというのは戦力として余りに重要である。もっとも、どの程度かは不明だが。
 エンジン可動までの浮力を確保するため、風石を余剰スペース一杯に詰め込んだトリグラフが、ゆっくりと浮かび上がり、艦首をアルビオンへと向ける。
「じゃ、いきましょうか」
「はいはい」
微速前進、トリグラフは本来の速度から見れば正しく亀が匍匐前進するかのようなスピードで進み始めた。
 一方ワルドとグリフォンは途中でトリグラフを発見し、追い掛け始めたものの、既に影も形も見えなくなっていた。

閃光のワルド 再起不能(リタイア)

 海賊船はトリグラフを目視する前にレーダーで捉えられ、威嚇射撃をされた挙げ句降伏か死かの選択にさらされ、
降伏したらしたでトリグラフの格納庫に放り込まれ……ウェールズ皇太子の存在が明らかになったのは、そろそろトリグラフの近距離レーダーに5万の軍勢が映ろうか、と言う時だった。
 誇りの為に死ぬと言い張ったウェールズの言葉に眉を顰めていたヤンは、その無意味さを諭しつつ
(最も、半分も伝わっていなかったようで、結局最後の決め手は「好きな相手を泣かせる様な事は男の意地に反するのではないか」というルイズの叫びにも近い言葉だったが。)
とりあえず建築されつつある前線基地らしき場所に主砲を発射。
光子砲の直撃を受けた哀れな前線基地は、ものの見事に融解した。
5万の軍勢が5万の烏合の衆に変わるまで数秒を要さなかったらしい。
 そして、その光景にあわてふためきながらも、レコンキスタ総旗艦、レキシントンが麾下の艦隊と共にその姿を現した。
「いやはや、これはなんとも」
見事な丁字形で鼻っ面を押さえられ、ヤンも少々面食らう。
レキシントンご自慢の片舷54門、両舷108門の砲が、追従する戦列艦、装甲艦の砲が火を噴き、その悉くが、無駄弾に終わった。
 殆どの砲は小便弾に終わり、幸いに命中した極々少数の弾丸もガンガンと音を立てる以上の効果は現さない。
「アルビオン艦隊提督に告げる、私は自由惑星同盟中将にしてトリステイン魔法学院ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、
 ついでに現トリグラフ副長ヤン・ウェンリー、貴艦隊の攻撃が本艦に通用しないのは先刻見ての通りだ、潔く降伏……それが嫌なら逃げて欲しい、追撃はしない」
となりでルイズがぎゃあぎゃあ喚いているがそれは無視、はっきりいって宇宙を駆け、レーザー砲と水爆ミサイルを装備した最新鋭戦艦と、ガレオン船が浮いた程度のフネでは、戦力差を考えるまでもなく虐殺である。
程なく、風の魔法で増幅された声を外付けのマイクが捉えた
「……私は、神聖アルビオン共和国代表、クロムウェルである」
共和制、ときたか……とヤンは後頭部に手をやり、髪をかき回す。
(同盟の将が共和国の敵、じゃあ無茶苦茶だな)
最も、先に侵攻をかけたのがどこか、という観点で見ればアルビオン共和国に手を貸す気にはなれないが。
「我々はその様な恫喝には屈しない!貴族共を廃し、新たな時代を作り出すまで、我々は誇りと信念を以て……」
以降のセリフは聞く気になれなかった、どこに行っても誇りと信念、まったく人というモノはこの二つからはどんな場所でも逃れられないのだろうか
「つまり降伏する積もりは一切無い、と?」
「当たり前だ!いかな強大なフネであろうとこの数相手に1隻で何ができる!?」
「残念だが……交渉が決裂した以上一度本艦の攻撃性能をご披露しなければなるまい、その上で、ご再考願う事にする、クロムウェル議長殿」
そして、戦闘が始まった。

 トリグラフ艦首の主光子砲が光り、次の瞬間2番手に位置していた戦列艦コロラドが真っ二つに引き裂かれた、
爆発も当然起こったが、それは引き裂かれ、地に墜ちていきながらの副次的なモノに違いなかった。
 次に撃沈の憂き目にあったのは戦列艦ネヴァダ、これは悪い事に浮上しながらコロラドを回避しようとしていた所に対空レーザーの直撃をくらい、風石を吹き飛ばされて沈降。
後方に位置していた装甲艦バルティモアを巻き添えに地面に叩き付けられる。
 最も悲惨だったのは艦隊のやや後方に位置していた支援砲撃艦クインシーだろう。
彼女はよりにもよって対艦ミサイルの直撃をくらい、浮いたまま、搭乗員全員の巨大な焼き場と化した。
 アルビオン艦隊は、有効打どころか、トリグラフにかすり傷1つ与えられていない、至近距離から、ありったけの弾丸を叩き込んでいるにもかかわらず、だ。
 そしてついに、レキシントンまでもが撃沈の憂き目に遭った、至近距離からレールキャノンの弾丸が6発も、1メイル四方の面積に突っ込んできた時、どんな防御法があるというのか。
 恐慌状態に陥ったアルビオン艦隊は無謀な突撃と自爆、戦線離脱を繰り返し……結果、壊滅した。

その数日後、ワルドとグリフォンは漸く戦場にたどり着いたが、全ては終わった後だった。

その後、アルビオンとの会戦においてこのトリグラフが戦線に出張ったかどうかは不明である。
ただ1つはっきりとしているのは、単艦で実に7万の地上部隊と、その上空支援を相手取ったバケモノのようなフネが居る、と言う事だけ。


……トリステインの歴史が、また一ページ



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