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mission14 「Force Your Way」


(どこで失敗したかなぁ……)
 神聖アルビオン帝国帝都ロサイス。
 そこの守りに着いている彼は、ようやく少年期を脱却しつつある青年だった。
 レコン・キスタが旗揚げされた時、これはここ一番の大勝負の機会だと見切って真っ先にそこに参加したのは、間違っていなかったはずだと信じたい。
 その甲斐あってそこそこの戦果を上げ、こうして守備小隊の一つを受け持つ小隊長になったのだ。一年前まで鍬や鋤しか握ったことの無かった平民の若者にしてみれば破格の出世と言って良いだろう。
 だが、トリステインへの遠征辺りからだんだんおかしくなってきたのだ。
 竜が凄まじい火を吐いただとか、正体不明の城からの砲撃だとかでアルビオンの艦隊は壊滅状態。揚陸されていた陸戦隊もちりぢりに蹴散らされ、アルビオンは戦力的に窮地へと追いやられてしまった。
 そして今、失われた戦力回復の目処も立たないままにトリステイン・ゲルマニア連合の侵攻を受けていた。
(そろそろ、離れるべきなのかなぁ……)
 彼の部下も何名かが既に軍を脱走していた。それでも彼がそれに倣わなかったのは、今の地位に対しての未練だ。
 十数名程度とはいえ部下に上司面が出来て、日がな一日ただ立っているだけで金と食い物が手に入る。それは余りにも惜しかった。
(それに……お袋や親父、怒るだろうなぁ)
 家出か勘当かという勢いで家を出てしまった手前、帰りづらい。
 そんな風に星空を見上げながらぼやいている彼の目に、何か、星の光よりも強い光が見えた。
「?」
 何の光だ?
 彼の脳がその疑問を明確な意識として認識するよりも先に、答えがやってきた。
ビュウビュウビュウビュウビュウ
 無数の光の線が彼の頭上を通り過ぎていき、城壁に突き刺さる。
「うああああああああ!?」
 立っていたのは城壁際ではないものの、それでも飛散してくる欠片から身を守るために離れる。と、そこで次なる衝撃が起こった。
 光の線と同じ方向から飛んできたものが、ズクズクになった城壁に突き刺さったのだ。
「な、なんだあれ!?」
 月明かりや城下町の光に照らされているのは……紅い、竜だろうか?
「あ、あああああ!」
 結局あの竜が何なのかは判らないが、彼は間違いなくそこで正しい判断を下した。
(もうお仕舞いだ。レコン・キスタはもうお仕舞いだ……!)
 逃げよう。脱走だ。親に怒鳴られることなど構うものか。命あっての物種だ。


 城に突入した時点で着陸脚を展開し艇体を固定。ハッチを開放してラグナロクから外に出る。
「アニエスとジョーカーはここでラグナロクの確保を」
「了解」
「一人で行く気か?」
 剣の方は今朝の刃こぼれが直せていないので、ビスマルクのポンプを引いて装填させながらアニエスが尋ねる。
 ちなみにアニエスもG.F.をジャンクション済みだ。多勢に無勢の状況であるし、何よりももう仇討ちが済んだ以上記憶に拘ってジャンクションを躊躇う理由も無くなっている。
「ああ、どのみちこの人数だ。一人で行くか二人で行くかの違いなら、確実にラグナロクを確保しておく必要がある」
「わかった」
「侵入者か!」
 声のした方から近づくのは、数名の男。鎧と槍とで武装しているところを見ると非メイジの衛兵か。
「こちらは任せろ!」
 すかさずアニエスがビスマルクの銃口を向け、散弾をぶち込む。
「ぐわぁぁぁぁあああ!?」
 全身に弾を受けつつ倒れる衛兵達。
 そちらを尻目に、G.F.を召喚する。
「ラグドリアン、指輪の位置は?」
『うむ、近いな……ここよりも高いところだ』
 ひとまずは階段を探して走り出す。
(アビリティ、エンカウント無し、さきがけ、カウンター、早さ+40%ジャンクション。
 属性攻撃にホーリー、防御にフレア、シェル、トルネド、クエイク。
 ST攻撃にスロウ、防御にペイン、エスナ、バイオ、スリプル)
 会敵率を下げ、更に急な襲撃にも対応出来るようにとジャンクションを組み替えていく。これで大抵の攻撃には耐性が出来ているはずだ。
「いたぞ、あれだ!」
 そう叫びつつこちらに向かってくる敵兵、総数5。その後ろに見えるのは上へと続く階段か。
 ライオンハートを振りかざして、先頭の男を一刀両断。攻撃後の隙を突いて突き込まれてくる槍を受けるも、ジャンクションで威力は殺され、クロスカウンターで叩き斬る。
「邪魔をするなぁっ!」
 もう一度ライオンハートを振りかぶり、スコールが吼えた。


 基点基点でラグドリアンの誘導を受けつつ、一つの扉の前にスコールは辿り着いた。
 扉の前に陣取っている衛兵二人を伸した後、確認のためにラグドリアンを喚び出す。
「G.F.召喚、ラグドリアン……ここで合っているか?」
『うむ……我が守りし秘宝はこの向こうだ』
 シヴァの容姿に、どこかうっとりとした表情を浮かべるラグドリアンの言葉に従い扉を開けようとするが、やはりというか鍵が掛かっている。
(探してる時間的な余裕もない……)
 ほぼ即決でライオンハートを構えて×の字に斬って扉と鍵とを切り分け、蹴破る。
 豪奢な部屋の中には、誰の姿も見あたらなかった。
『秘宝は……あそこのようだな』
 ラグドリアンの指し示すクローゼットに近づき、開ける。
「う、うあああああああああ!?」
 ちょっとした部屋ぐらいの広さのクローゼットの中で何か顔真っ青で悲鳴を上げるおっさんがいた。
『ああ……別れてより二百の月の交差を経て……ようやくに再び相まみえることが出来た』
 そのおっさんの手に光る指輪を見て、慈しむようにラグドリアンは呟く。
(あれがその指輪か……)
「こ、こうなったら……!」
 うずくまる体勢のまま、指輪を填めた手だけをこちらに突き出す。
(何だ……?)
「私に従えっ!」
 キラリと指輪が光り、スコールはゆっくりとライオンハートを下ろしていく。
『……いかんな。多なる者よ、我の守りを受けよ』
 スコールの姿をとっていたラグドリアンが再び不定形の形となってバシャッとスコールに浴び掛かる。
「うっ……!……俺は一体何を……」
『秘宝の力によって操られようとしていたのだ。案ずるな。今はもう我の加護の中だ』
(ああ……『不変の誓約』か……事前にコンフュをST防御にジャンクションしておけば良かったかもな)
 ラグドリアンのG.F.としての能力を思い出し、納得すると共に、指輪の能力を知っていながら余りにも迂闊な自分の行動に自戒の意味を込めて頭を横に振る。
「何故だ……!?何故正気を保っている!?」
「……その指輪の本来の持ち主の力だ」
 親指で隣に佇むラグドリアンを指さす。
「その指輪では俺を操れない」
 そう宣言すると、おっさんがクローゼットの中で後ずさる。
「た、頼むぅ……いっ命だけは……命だけ、はっ!助け、て、くれぇっ!」
 情けない声をあげて命乞いをしているが、別に失禁しているおっさんに興味はない。
「あんたの命も、あんたが誰なのかも俺にとっては重要じゃない。そのアンドバリの指輪さえ渡してくれるのならな」
 剣を向ける必要も無さそうだとライオンハートを収めて掌を差し出す。
「なっ……この指輪を!?」
 スコールの要求におっさんは一層顔を情けなく歪める。
「……嫌なら力ずくで行かせてもらうが?」
 手を引っ込め、再びライオンハートの柄に指を這わせる。
「ひっ!?わたす、渡す!渡すからぁっ!」
 震える手で必死に自身の指に填った指輪を外し、差し出す。
「い、命だけは……」
 その差し出された指輪をラグドリアンが受け取り、なめるように見つめる。
『再び我が元に戻った……』
 僅かの間そうしてから、指輪をスコールに差し出す。
『では多なる者よ。指輪を我の元にまで頼む』
「了解だ」
 おかしな言い回しだが、この場合の我はあちら側の、湖に残っている本体の事だろう。水の精霊にとってはどちらが本体かなどの概念はないにしても、やはり元有った場所が良いらしい。
 指輪を受け取ると共に、G.F.ラグドリアンを戻して再び駆け出す。
「ふぁ……あああああああ……」
 後に一人残った男は、安堵の声を漏らしていた。


 散弾を込めてトリガー。
 至近距離にまで肉薄していた数名はそれで全身穴だらけとなりのたうち回る。
「っふ……!」
 ジャキッとビスマルクを廃莢して一息つくと、アニエスを遠巻きに包囲している連中が一歩後ずさった。
「か、閣下!ダメです、近づけません!」
「ええい、不甲斐ない!こうなれば私が魔法で……!」
 そんな話声が聞こえたので見ると、メイジの一人が包囲の表に出てきながら杖をこちらに向けていた。
「エア・ハンマー!」
 空気の塊を正面から受け、大きく仰け反ったアニエスは、すぐに身構え直した。
「なっ……!?が、頑丈な女め……!」
 驚きに表情を歪ませ、すぐさま高速詠唱。
「エアカッター!」
 アニエスへと真空のかまいたちが向けられるが、無造作に差し出された手が全ての刃を受け止めきり、そのままメイジへと手を向ける。
「ドロー エアロ!」
「うわぁぁぁぁ!?」
「うおおおおおおお!」
 床から突風が吹き上げ、衛兵とメイジ達を天井に叩き付ける。
「トドメだ!」
「ぎゃあああああああああああああぁぁぁあああ!?」
 強かに打ち付けられ、落ちてきた所に火炎弾を装填し、一射。業火に舐められた一帯を前に廃莢し、更に奥の方を見据える。そこから、接近する影があった。一瞬身構えるが、それが見知ったものであるとすぐに見分ける。
「レオン!戻ったか!」
「任務は成功、後は離脱するだけだ」
 駆け寄りながらライオンハートを収め、アニエスと共にタラップへと向かう。
「ジョーカー、殿を頼む」
 アニエスと反対側の廊下に向いていたジョーカーに頼むと、イカサマのダイスを指の間に挟んだ手で後ろ向きのまま手を振った。
「了解」
 タラップを駆け上がってブリッジへ、操縦席にスコール、副操縦席にアニエスが座る。
「メイン反応路出力上昇」
「三番、四番、上昇用エンジン出力異常なし」
「一番、二番、メインエンジン異常なし、ジョーカー!」
「はいよ!」
 スコールの呼びかけを聞き、ジョーカーは最後に残っていたプリヌラを『カード』で捕らえてタラップへ駆け上り、殺到する衛兵を前にファイガを一発放ち、ハッチを内側から閉じた。
「主脚収納、メインエンジン逆噴射開始!ラグナロク、発進!」


 この日、反旗を翻していたトリステイン・ゲルマニア連合の前衛部隊が揃って再度の恭順を示した。
 後に開かれた軍事法廷に置いてこれらの指揮官達への詰問が行われたが、「なんとなく」だの「そうしなければならないと思った」などとどれも要領を得ない答えしか返ってこず、
また結局この前衛部隊が一番の功績を挙げていたこともあり、それぞれに短い謹慎処分が下されるのみであった。


 湖に指輪を放ると、そこを基点に波紋が広がり、此度はアニエスの姿をとってラグドリアン湖の水の精霊が姿を現した。
『多なる者に単なる者よ、よく秘宝を取り戻してくれた』
「それが、あんたからの依頼だったからな」
 こくりと頷き、自分の中に切り取られているラグドリアンを召喚する。
「あんたの一部も、返す」
『いや……多なる者よ。邪魔でないのならばそのまま我を連れて行ってもらいたい』
「何?」
 少々の驚きを持って尋ねる。
『此度、我は初めてこの地より離れた。我はもっと別な場所へも赴きたい。また多なる者の裡にて多なる者達と語り合っていた。それを失いたくない……今しばらく共にありたいのだ』
「……今まで通りG.F.として助けてくれるのなら連れて行っても構わない」
『うむ。我の力が必要となればすぐにでも力を貸そう』
 ここに、水の精霊との間で二度目となる誓約が交わされた。



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