「!?」
薄暗い茨の森が、突如鮮やかな朱色に染まった。
森に居る人間達の目に映る全てのものにおどろおどろしい血の色が広がっていた。
「これは一体……」
コルベールは生徒に背負われながら青い炎を放っていた。
紅色の空間の中、彼の放つ炎は一際目立って輝いている。
コルベールは恐る恐る上空を見上げた。
薄暗い茨の森が、突如鮮やかな朱色に染まった。
森に居る人間達の目に映る全てのものにおどろおどろしい血の色が広がっていた。
「これは一体……」
コルベールは生徒に背負われながら青い炎を放っていた。
紅色の空間の中、彼の放つ炎は一際目立って輝いている。
コルベールは恐る恐る上空を見上げた。
森の外を目指して飛び進むメイジ達の列、その中間の位置にキュルケとタバサは居た。
火系統のメイジであるキュルケはタバサの上に乗っている。
タバサは飛行速度を抑えながら慎重に列の中央を飛んでいた。
列の先陣は奇襲を受けやすい、彼女がそう判断していたからだ。
前方の地面から突然現れる茨、急な事態に対応が遅れる先陣の生徒達――そのような奇襲をタバサは想定していた。
ところが、先陣への奇襲は思いも寄らない形で行われた。
「い、ぎぎゃあああああああああああ!!」
目を固く閉ざしたキュルケが悲鳴を上げた。
彼女達とその周りに居た生徒達は衝撃波で勢いよく後方に吹き飛ばされる。
「あ、あが、あぎ……」
地面に叩きつけられた生徒達は恐怖に身を竦ませた。
「な、ななななな……」
彼らの前には巨大な光の柱があった。
自然のものではない黒い雷とその周りを覆う青いオーラ。
爆音と共に、天空から降り注ぐ無数の稲妻がコルベールが居た位置を中心に邪悪な光を輝かせている。
雷は数秒間轟き続けた後、青い火花を迸らせながら止んだ。
爆心地にいたものは全て黒い鉄と化していた。
コルベールや他の生徒達は勿論、地面や茨の蔓さえも紅色の光を反射させる金属の塊となっていた。
火系統のメイジであるキュルケはタバサの上に乗っている。
タバサは飛行速度を抑えながら慎重に列の中央を飛んでいた。
列の先陣は奇襲を受けやすい、彼女がそう判断していたからだ。
前方の地面から突然現れる茨、急な事態に対応が遅れる先陣の生徒達――そのような奇襲をタバサは想定していた。
ところが、先陣への奇襲は思いも寄らない形で行われた。
「い、ぎぎゃあああああああああああ!!」
目を固く閉ざしたキュルケが悲鳴を上げた。
彼女達とその周りに居た生徒達は衝撃波で勢いよく後方に吹き飛ばされる。
「あ、あが、あぎ……」
地面に叩きつけられた生徒達は恐怖に身を竦ませた。
「な、ななななな……」
彼らの前には巨大な光の柱があった。
自然のものではない黒い雷とその周りを覆う青いオーラ。
爆音と共に、天空から降り注ぐ無数の稲妻がコルベールが居た位置を中心に邪悪な光を輝かせている。
雷は数秒間轟き続けた後、青い火花を迸らせながら止んだ。
爆心地にいたものは全て黒い鉄と化していた。
コルベールや他の生徒達は勿論、地面や茨の蔓さえも紅色の光を反射させる金属の塊となっていた。
「ふっふっふっふっふ」
不気味な笑い声が森中に響き渡った。
「ほーっほっほっほっほっほっほ!」
列の後方にある茨が黒い巨大な何かに潰され圧し折れた。
上空で椅子に座っていた女王が飛び降りてきたのだ。
「これで奴らはみんな……あら」
女王は先ほどの攻撃で全ての人間達を黒くしたと思い込んでいた。
しかし、地上に降りてきた彼女の足元にはまだ十数人の子供達の姿があった。
雷が直撃したのは列の先頭に居たメイジ達だけだった。
「呆れたねぇ、お前達まだ生きてたのかい」
目を丸くしながら女王は杖で地面を叩いた。
女王の足元から生えた茨が椅子を造る。
腰を下ろした女王は彼らの居る方を向くと溜息を吐いた。
「まったく……ここまでしぶといとある意味興醒めだね」
そう呟くと、女王は左手の人差し指を突き出した。
鋭い爪の生えた指が地面にへたり込んだ一人の男子生徒を指し示す。
「お前、何か芸をしろ」
一同の視線はその生徒に集中した。
その生徒は口をぽかんと開けたまま震えている。
「何をボケっとしている!」
「ああ!! あの……えぐっ」
女王の一喝を受けた男子生徒が涙を浮かべながら立ち上がった。
その生徒の脚は小刻みに震えている。
「ぼ、僕……」
「遅い!!」
女王の人差し指と男子生徒の額の間を黒い閃光が走る。
雷が直撃した生徒の体が鉄化した。
女王は伸ばしていた腕を戻すと、左手で頬杖を突いた。
そして、目を瞑ると何事も無かったかのような顔をして悠々と語り出した。
「私をこれだけ手古摺らせたんだ、お詫びに何か見世物をして私を楽しませろ」
女王の命令に一同は戸惑った。
状況を理解できない者もいれば、どんな芸をするべきか迷っている者もいた。
まず最初に彼らの頭に思い浮かんだのは、この場から逃げることはできない、ということだった。
周囲はフライの飛行速度よりも速く伸びる茨に取り囲まれ、目の前には雷を自在に操る巨人がいる。
たとえメイジといえど、彼らがこの場逃げられるはずがなかった。
不気味な笑い声が森中に響き渡った。
「ほーっほっほっほっほっほっほ!」
列の後方にある茨が黒い巨大な何かに潰され圧し折れた。
上空で椅子に座っていた女王が飛び降りてきたのだ。
「これで奴らはみんな……あら」
女王は先ほどの攻撃で全ての人間達を黒くしたと思い込んでいた。
しかし、地上に降りてきた彼女の足元にはまだ十数人の子供達の姿があった。
雷が直撃したのは列の先頭に居たメイジ達だけだった。
「呆れたねぇ、お前達まだ生きてたのかい」
目を丸くしながら女王は杖で地面を叩いた。
女王の足元から生えた茨が椅子を造る。
腰を下ろした女王は彼らの居る方を向くと溜息を吐いた。
「まったく……ここまでしぶといとある意味興醒めだね」
そう呟くと、女王は左手の人差し指を突き出した。
鋭い爪の生えた指が地面にへたり込んだ一人の男子生徒を指し示す。
「お前、何か芸をしろ」
一同の視線はその生徒に集中した。
その生徒は口をぽかんと開けたまま震えている。
「何をボケっとしている!」
「ああ!! あの……えぐっ」
女王の一喝を受けた男子生徒が涙を浮かべながら立ち上がった。
その生徒の脚は小刻みに震えている。
「ぼ、僕……」
「遅い!!」
女王の人差し指と男子生徒の額の間を黒い閃光が走る。
雷が直撃した生徒の体が鉄化した。
女王は伸ばしていた腕を戻すと、左手で頬杖を突いた。
そして、目を瞑ると何事も無かったかのような顔をして悠々と語り出した。
「私をこれだけ手古摺らせたんだ、お詫びに何か見世物をして私を楽しませろ」
女王の命令に一同は戸惑った。
状況を理解できない者もいれば、どんな芸をするべきか迷っている者もいた。
まず最初に彼らの頭に思い浮かんだのは、この場から逃げることはできない、ということだった。
周囲はフライの飛行速度よりも速く伸びる茨に取り囲まれ、目の前には雷を自在に操る巨人がいる。
たとえメイジといえど、彼らがこの場逃げられるはずがなかった。
「ルイズ……き、君は何をするんだい?」
ギーシュは隣に座り込んでいるルイズに小声で尋ねた。
この場から逃げ切れないと諦めた彼は、女王の命に従い何か芸をしようと考えていた。
そして、ギーシュはルイズもその場を凌ぐために芸をするものだと思っていた。
しかし彼女から返ってきた答えは、その予想に対して全く反するものであった。
「しないわ」
唖然としたギーシュを尻目にルイズは話を続ける。
「どうせ何をしたって私達は助からないわ。それだったら、私は貴族としてのほこ……ひっ!」
そこまで言い掛けたところでルイズの言葉が止まった。
女王の左手が彼女達を目掛けて飛んできたからだ。
「お前達がなんにも思いつかないようだから、私が代わりに考えてやったよ」
10メイルはある女王の人差し指がギーシュを指し示す。
「う、うあああああぁぁぁぁぁあああ!!」
黒い槍のような爪の先端がギーシュの眉間に刺さる寸前のところで止まっていた。
彼は人の声とは思えないような叫びを上げながら後ろに倒れ込んだ。
「こいつを叩きのめすんだ。お前達全員でね」
女王は笑みを含ませた口調で彼らに命令を下した。
ギーシュは隣に座り込んでいるルイズに小声で尋ねた。
この場から逃げ切れないと諦めた彼は、女王の命に従い何か芸をしようと考えていた。
そして、ギーシュはルイズもその場を凌ぐために芸をするものだと思っていた。
しかし彼女から返ってきた答えは、その予想に対して全く反するものであった。
「しないわ」
唖然としたギーシュを尻目にルイズは話を続ける。
「どうせ何をしたって私達は助からないわ。それだったら、私は貴族としてのほこ……ひっ!」
そこまで言い掛けたところでルイズの言葉が止まった。
女王の左手が彼女達を目掛けて飛んできたからだ。
「お前達がなんにも思いつかないようだから、私が代わりに考えてやったよ」
10メイルはある女王の人差し指がギーシュを指し示す。
「う、うあああああぁぁぁぁぁあああ!!」
黒い槍のような爪の先端がギーシュの眉間に刺さる寸前のところで止まっていた。
彼は人の声とは思えないような叫びを上げながら後ろに倒れ込んだ。
「こいつを叩きのめすんだ。お前達全員でね」
女王は笑みを含ませた口調で彼らに命令を下した。