第二話 ゼロのルイズ
「才人、起きろ。」
クラースと才人が異世界ハルケギニアに召還されて、一日目の朝がきた
才人はクラースの声に未だ眠気が残っている中、顔を拭いながら起き上がる
「ふわぁ……あっ、おはようございます、クラースさん。」
「おはよう…よく眠れたかな?」
「はい、それなりに。」
寝袋で寝るのは初めてだったが、意外とよく眠る事は出来た
そのまま床で寝ていたら、体中が痛くて仕方なかっただろう
「それは結構…さて、使い魔としての仕事を始めるとしようか。」
使い魔…一瞬、それがどういう意味なのか才人は理解できなかった
だが、後ろのベッドでルイズが眠っているのを見て、ようやく今の状況を思い出した
「ああ、そう言えば俺達こいつの使い魔になったんだっけ…夢だったらよかったのに。」
そう言って、自分の頬を軽く抓る才人…痛みを感じるので、これは夢ではない
「夢であるように、とはいかないさ…さて、私は洗濯に行ってくるから、君は彼女を起こしてくれ。」
クラースは才人を諭すと、昨日ルイズが投げて寄越した下着類を拾い集める
「良いんですか?俺がやれって言われたのに…。」
「何、少しばかり外で朝の空気を吸いたいからな…じゃあ、後は頼むぞ。」
後の事を才人に任せ、洗濯物を籠に入れてクラースは部屋を出る
扉を閉めると、洗濯を行う為に下の水汲み場へと向かう
「確か、此方の方にあるのだったな。」
昨日の夜、少しばかりこの辺を散策しており、洗濯を行う場所も大体把握していた
クラースは静かな廊下を歩き続ける…まだ朝が早いためか、人の姿は見えない
「それにしても、魔法学院か…こうして見ると、まるで城だな。」
自分が通っていた王立学院や、知っている学校とは比べ物にならない
そこはやはり、貴族を教育する為だけはあるのだろう
「ああ、あったあった…此処だな。」
その後、階段を下りて中庭に出ると、クラースは目的の場所へと到着する
そこには既に先客がおり、この学院に雇われていると思われるメイドが洗濯を行っていた
クラースがある程度近づくと、気付いたメイドが此方へと振り向く
才人はクラースの声に未だ眠気が残っている中、顔を拭いながら起き上がる
「ふわぁ……あっ、おはようございます、クラースさん。」
「おはよう…よく眠れたかな?」
「はい、それなりに。」
寝袋で寝るのは初めてだったが、意外とよく眠る事は出来た
そのまま床で寝ていたら、体中が痛くて仕方なかっただろう
「それは結構…さて、使い魔としての仕事を始めるとしようか。」
使い魔…一瞬、それがどういう意味なのか才人は理解できなかった
だが、後ろのベッドでルイズが眠っているのを見て、ようやく今の状況を思い出した
「ああ、そう言えば俺達こいつの使い魔になったんだっけ…夢だったらよかったのに。」
そう言って、自分の頬を軽く抓る才人…痛みを感じるので、これは夢ではない
「夢であるように、とはいかないさ…さて、私は洗濯に行ってくるから、君は彼女を起こしてくれ。」
クラースは才人を諭すと、昨日ルイズが投げて寄越した下着類を拾い集める
「良いんですか?俺がやれって言われたのに…。」
「何、少しばかり外で朝の空気を吸いたいからな…じゃあ、後は頼むぞ。」
後の事を才人に任せ、洗濯物を籠に入れてクラースは部屋を出る
扉を閉めると、洗濯を行う為に下の水汲み場へと向かう
「確か、此方の方にあるのだったな。」
昨日の夜、少しばかりこの辺を散策しており、洗濯を行う場所も大体把握していた
クラースは静かな廊下を歩き続ける…まだ朝が早いためか、人の姿は見えない
「それにしても、魔法学院か…こうして見ると、まるで城だな。」
自分が通っていた王立学院や、知っている学校とは比べ物にならない
そこはやはり、貴族を教育する為だけはあるのだろう
「ああ、あったあった…此処だな。」
その後、階段を下りて中庭に出ると、クラースは目的の場所へと到着する
そこには既に先客がおり、この学院に雇われていると思われるメイドが洗濯を行っていた
クラースがある程度近づくと、気付いたメイドが此方へと振り向く
「おはようございます。」
黒髪のメイドは微笑みながら、クラースに向かって頭を下げて挨拶する
おはよう、とクラースも挨拶を返すと彼女の隣に並んだ
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔だが…洗濯は此処で行うので良いのかな?」
「そうですけど…じゃあ、貴方が噂のミス・ヴァリエールの使い魔さんなんですね。」
「噂?」
自分達が噂になっていると言われ、それについてメイドに尋ねる
「はい、もう噂になってますよ…ミス・ヴァリエールが黒髪の少年と全身刺青の男を召喚したって。」
そう言えば、昨日ルイズの部屋に行く途中に此処の生徒達とすれ違っていた
そこから、自分達が使い魔である事が周知されたのだろう
「ああ、申し送れました…私、本学院で生徒の皆さんのお世話をさせて頂いているシエスタといいます。」
「私はクラース・F・レスターだ…よろしく、シエスタ。」
互いに自己紹介を終えた後、シエスタはクラースの体をじっと見つめた
「それにしても、本当に全身刺青なんですね…一体何の為にしているんですか?」
「これは、特殊な術を使う為に必要なものなのでな…後、刺青ではなくペイントだ。」
本当は刺青にしたかったのだが、ミラルドの事を考えて消えにくいペイントを使用している
術を使うと聞いて、シエスタは驚きの表情になる
「術を使うって…もしかして、貴方メイジなんですか!?」
「まあ、此処の定義に合わせるのならそうなるかな…とはいえ、今は彼女の使い魔という立場だが。」
そう言うと、クラースは洗濯物を取り出して、洗濯を始める
「ああ、メイジの方に洗濯をさせるわけには…。」
「私は貴族ではないから、気にしなくて良いぞ…だから、君は君の仕事をすれば良いさ。」
「ですけど…。」
シエスタが止めようとするが、クラースは洗濯を続ける
最初は戸惑うシエスタだが、結局自分がやらなければならない洗濯に取り掛かった
おはよう、とクラースも挨拶を返すと彼女の隣に並んだ
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔だが…洗濯は此処で行うので良いのかな?」
「そうですけど…じゃあ、貴方が噂のミス・ヴァリエールの使い魔さんなんですね。」
「噂?」
自分達が噂になっていると言われ、それについてメイドに尋ねる
「はい、もう噂になってますよ…ミス・ヴァリエールが黒髪の少年と全身刺青の男を召喚したって。」
そう言えば、昨日ルイズの部屋に行く途中に此処の生徒達とすれ違っていた
そこから、自分達が使い魔である事が周知されたのだろう
「ああ、申し送れました…私、本学院で生徒の皆さんのお世話をさせて頂いているシエスタといいます。」
「私はクラース・F・レスターだ…よろしく、シエスタ。」
互いに自己紹介を終えた後、シエスタはクラースの体をじっと見つめた
「それにしても、本当に全身刺青なんですね…一体何の為にしているんですか?」
「これは、特殊な術を使う為に必要なものなのでな…後、刺青ではなくペイントだ。」
本当は刺青にしたかったのだが、ミラルドの事を考えて消えにくいペイントを使用している
術を使うと聞いて、シエスタは驚きの表情になる
「術を使うって…もしかして、貴方メイジなんですか!?」
「まあ、此処の定義に合わせるのならそうなるかな…とはいえ、今は彼女の使い魔という立場だが。」
そう言うと、クラースは洗濯物を取り出して、洗濯を始める
「ああ、メイジの方に洗濯をさせるわけには…。」
「私は貴族ではないから、気にしなくて良いぞ…だから、君は君の仕事をすれば良いさ。」
「ですけど…。」
シエスタが止めようとするが、クラースは洗濯を続ける
最初は戸惑うシエスタだが、結局自分がやらなければならない洗濯に取り掛かった
「凄いですね、クラースさんって…メイジなのに洗濯がお上手で。」
慣れた手つきでルイズの洗濯物を洗っていくクラースに、シエスタは関心する
普通、メイジは貴族なので、こうした家事仕事は出来ないと思っていたからだ
「昔、仲間と旅をしていたのでね…自然と身に付いたのさ。」
研究を行っていた事はミラルドに任せっきりだったが、あの旅では当番性で行われていた
ミントから指導を受けながら悪戦苦闘していた頃を思い出しながら、クラースは答える
「旅をされていたんですか…一体どんな所に行かれたんですか?」
「そうだな…風が吹く谷や、マグマが煮えたぎる炎の洞窟、とある一族が暮らしていた坑道とかだな。」
洗濯物を洗いながら、簡略的に自身の冒険談を語るクラース
それを、シエスタは仕事をしつつも目を輝かせながら聞く
その間に時間は流れ…二人が洗った洗濯物は竿に干された
「よし、これで終了…だな。」
風に揺られている洗濯物達を見ながら、クラースは額の汗を腕で拭った
「すいません、私が洗う分まで手伝って貰って……。」
「何、これから才人…もう一人の使い魔君と一緒に世話になるからな、これくらいは当然だ。」
しばらく此処で生活する以上、ルイズを含む学院の人間との交流は重要になる
それなりに関係をもてれば、色々と勝手が良くなるからだ
「でしたら、もう一人の使い魔さんと一緒に空いている時間に厨房に来てください…手伝ってくれたお礼がしたいですから。」
ああ、行く事が出来たらな…と、彼女とまた会う約束をする
シエスタは礼をすると、次の仕事へと向かっていった
「さて、部屋に戻るとするか…もうそろそろ我らの主も起きているだろうしな。」
シエスタと別れ、クラースはルイズの部屋へ戻る事にした
慣れた手つきでルイズの洗濯物を洗っていくクラースに、シエスタは関心する
普通、メイジは貴族なので、こうした家事仕事は出来ないと思っていたからだ
「昔、仲間と旅をしていたのでね…自然と身に付いたのさ。」
研究を行っていた事はミラルドに任せっきりだったが、あの旅では当番性で行われていた
ミントから指導を受けながら悪戦苦闘していた頃を思い出しながら、クラースは答える
「旅をされていたんですか…一体どんな所に行かれたんですか?」
「そうだな…風が吹く谷や、マグマが煮えたぎる炎の洞窟、とある一族が暮らしていた坑道とかだな。」
洗濯物を洗いながら、簡略的に自身の冒険談を語るクラース
それを、シエスタは仕事をしつつも目を輝かせながら聞く
その間に時間は流れ…二人が洗った洗濯物は竿に干された
「よし、これで終了…だな。」
風に揺られている洗濯物達を見ながら、クラースは額の汗を腕で拭った
「すいません、私が洗う分まで手伝って貰って……。」
「何、これから才人…もう一人の使い魔君と一緒に世話になるからな、これくらいは当然だ。」
しばらく此処で生活する以上、ルイズを含む学院の人間との交流は重要になる
それなりに関係をもてれば、色々と勝手が良くなるからだ
「でしたら、もう一人の使い魔さんと一緒に空いている時間に厨房に来てください…手伝ってくれたお礼がしたいですから。」
ああ、行く事が出来たらな…と、彼女とまた会う約束をする
シエスタは礼をすると、次の仕事へと向かっていった
「さて、部屋に戻るとするか…もうそろそろ我らの主も起きているだろうしな。」
シエスタと別れ、クラースはルイズの部屋へ戻る事にした
………………
「ん?あれは……」
ルイズの部屋がある辺りまで来ると、才人とルイズがいるのを見つけた
二人の前にはもう一人いる…服装からして、どうやらルイズの同級生のようだ
隣には、彼女の使い魔と思われるサラマンダーらしき火蜥蜴の姿もある
何やら、ルイズと言い合い(ルイズが一方的に言っているようにも見えるが)になっているようだが…
ルイズの部屋がある辺りまで来ると、才人とルイズがいるのを見つけた
二人の前にはもう一人いる…服装からして、どうやらルイズの同級生のようだ
隣には、彼女の使い魔と思われるサラマンダーらしき火蜥蜴の姿もある
何やら、ルイズと言い合い(ルイズが一方的に言っているようにも見えるが)になっているようだが…
「あっ、クラースさん。」
一番初めに才人が気付き、クラースに向かって声を掛ける
才人の言葉に、それに続いてルイズとその同級生もクラースを見る
「あら、もう一人の使い魔さんの登場のようね。」
「クラース、遅いじゃない!!」
「朝からやけに騒がしいな…どうしたんだ?」
ルイズの方を見てそういいつつ、クラースは才人達に歩み寄る
赤髪の少女は良く見ると、ルイズと同年代とは思えぬ程の美貌とプロポーションを持っていた
何より、その強調されたバストはミント並みか、それ以上であろう
「騒いでいるのはゼロのルイズだけですわ…この子ったら、礼儀が無作法だから」
「五月蝿いわよ、ツェルプストー。」
同級生に向かって、ルイズが噛み付くように告げる…どうやら、仲はイマイチ良くないらしい
取りあえず、クラースは自己紹介を行う事にした
「我が主が無作法で申し訳ない…私は昨日より主の使い魔になったクラース・F・レスターと申します」
それなりに無礼のないよう、頭を下げて自分の名を告げるクラース
ルイズが「ちょっと!!」と声を荒げるが、気にせずに話は続く
「私はキュルケと申します…そしてこの子は私の使い魔のフレイムですわ。」
キュルケが自分とサラマンダーの自己紹介をすると、火蜥蜴は口から軽く炎を出す
「それと、別に畏まらなくてもよろしいですわよ、ミスタ・レスター。」
そう言うと、キュルケはゆっくりと此方に近づいてくる
才人の言葉に、それに続いてルイズとその同級生もクラースを見る
「あら、もう一人の使い魔さんの登場のようね。」
「クラース、遅いじゃない!!」
「朝からやけに騒がしいな…どうしたんだ?」
ルイズの方を見てそういいつつ、クラースは才人達に歩み寄る
赤髪の少女は良く見ると、ルイズと同年代とは思えぬ程の美貌とプロポーションを持っていた
何より、その強調されたバストはミント並みか、それ以上であろう
「騒いでいるのはゼロのルイズだけですわ…この子ったら、礼儀が無作法だから」
「五月蝿いわよ、ツェルプストー。」
同級生に向かって、ルイズが噛み付くように告げる…どうやら、仲はイマイチ良くないらしい
取りあえず、クラースは自己紹介を行う事にした
「我が主が無作法で申し訳ない…私は昨日より主の使い魔になったクラース・F・レスターと申します」
それなりに無礼のないよう、頭を下げて自分の名を告げるクラース
ルイズが「ちょっと!!」と声を荒げるが、気にせずに話は続く
「私はキュルケと申します…そしてこの子は私の使い魔のフレイムですわ。」
キュルケが自分とサラマンダーの自己紹介をすると、火蜥蜴は口から軽く炎を出す
「それと、別に畏まらなくてもよろしいですわよ、ミスタ・レスター。」
そう言うと、キュルケはゆっくりと此方に近づいてくる
「ルイズから話は聞いておりますわ…異国から来たメイジだそうですわね。」
「一応、そういう事になるかな。」
キュルケの問いに、クラースは彼女の言葉通り普通に答える
昨晩、ルイズと話し合って自分達は東にあるロバ・アル・カリイエの出身だという事にしておいた
自分はそこのメイジで、才人は使い魔であるという設定だ
「そして、特殊な術をお使いになるとか…その体に刻まれた刻印から察するに、とても強力な術のようですわね。」
「そうよ、クラースの術に比べれば、あんたの火蜥蜴だって霞んで見えちゃうんだから!!」
まるで自分がそうであるかのように、ルイズが得意げにキュルケに告げる
「まあ、それは興味深いですわ…もし宜しければ、私にご教授頂けません事?」
キュルケは自慢の胸をクラースの腕に押し付けながら、召喚術を見せてくれるよう頼む
彼女の色気も合わさって、普通ならこれを受けた男性の殆どは彼女の頼みを断らないであろう
「悪いが、私の術は無闇やたらに見せびらすものではないからな…お断りさせて頂こう。」
だが、クラースは失礼のないよう、彼女から離れつつ申し出を断った
大体、そんな事で呼び出しては、流石のシルフも怒るだろう
感の良いキュルケは、彼は見せ掛けではなく本物だという事を察した
「つれないお方…でも、私貴方に興味が沸きましたわ。」
うっとりとした瞳を向けるキュルケ…ルイズは、この時のキュルケが危険である事を知っていた
この女は、恋をするとこのようになるのだ
「無駄よ、キュルケ…クラースには奥さんがいるんだからね。」
「あら、そうですの…ですけど、それくらいで私の恋の炎は消える事はありませんわ。」
念の為に釘を打つルイズだが、その釘も恋多き彼女の前では無意味に等しかった
「ミスタ・レスター、ゼロのルイズに飽きたら私の所にいらしてください…何時でも歓迎いたしますわ。」
畏まった口調でそう言うと、彼女はフレイムと共に一足早く食堂へと向かっていった
「行ったか…しかし、君の友人は色々と強烈だな、ルイズ。」
キュルケの姿が見えなくなった後、クラースは苦笑しながらルイズにそう告げる
だが、彼女を自分の『友人』扱いした事に、ルイズは憤慨する
「あんな奴、友達でもなんでもないわ。」
そう、彼女の実家であるツェルプストー家とルイズの実家であるヴァリエール家は宿敵同士である
恋に戦場に、幾つもの因縁を持つ両家
それを語ろうとするが、それを止めるようにルイズのお腹の虫が鳴る
「ん…まあ、この事はまた後で話すとして…早く食堂に行くわよ。」
食欲の方が勝ったルイズは、一足先に食堂へ向かって歩き出した
その後に続いて才人とクラースも歩き出し、クラースは才人の横へと歩み寄る
「才人…彼女を起こすのは大変だったんじゃないのか?」
「よく解りましたね…あいつ、俺に下着の準備から服の着せ替えまでさせたんですよ。」
逆らったら、ご飯抜きだって言うし…才人はクラースにルイズに対する文句を言い続ける
まあ、それが貴族だからな…と、そんな才人を宥める
「それにしても…。」
しばらく愚痴が続いた後、才人が腑に落ちないといった表情で言葉を漏らす
「ん、どうした?」
「いや、さっきのキュルケって奴…ルイズの事を「ゼロのルイズ」って呼んでたんですよ。」
「ああ…そう言えば、呼んでいたな。」
恐らく、『ゼロのルイズ』とは二つ名の事なのだろう
才人は、その『ゼロ』が何を意味するのか、疑問を感じているのだ
「ルイズに聞いても、教えてくれなかったし…何か意味があるのかなぁって…。」
「ふむ、ゼロか…果たしてそれは…。」
「一応、そういう事になるかな。」
キュルケの問いに、クラースは彼女の言葉通り普通に答える
昨晩、ルイズと話し合って自分達は東にあるロバ・アル・カリイエの出身だという事にしておいた
自分はそこのメイジで、才人は使い魔であるという設定だ
「そして、特殊な術をお使いになるとか…その体に刻まれた刻印から察するに、とても強力な術のようですわね。」
「そうよ、クラースの術に比べれば、あんたの火蜥蜴だって霞んで見えちゃうんだから!!」
まるで自分がそうであるかのように、ルイズが得意げにキュルケに告げる
「まあ、それは興味深いですわ…もし宜しければ、私にご教授頂けません事?」
キュルケは自慢の胸をクラースの腕に押し付けながら、召喚術を見せてくれるよう頼む
彼女の色気も合わさって、普通ならこれを受けた男性の殆どは彼女の頼みを断らないであろう
「悪いが、私の術は無闇やたらに見せびらすものではないからな…お断りさせて頂こう。」
だが、クラースは失礼のないよう、彼女から離れつつ申し出を断った
大体、そんな事で呼び出しては、流石のシルフも怒るだろう
感の良いキュルケは、彼は見せ掛けではなく本物だという事を察した
「つれないお方…でも、私貴方に興味が沸きましたわ。」
うっとりとした瞳を向けるキュルケ…ルイズは、この時のキュルケが危険である事を知っていた
この女は、恋をするとこのようになるのだ
「無駄よ、キュルケ…クラースには奥さんがいるんだからね。」
「あら、そうですの…ですけど、それくらいで私の恋の炎は消える事はありませんわ。」
念の為に釘を打つルイズだが、その釘も恋多き彼女の前では無意味に等しかった
「ミスタ・レスター、ゼロのルイズに飽きたら私の所にいらしてください…何時でも歓迎いたしますわ。」
畏まった口調でそう言うと、彼女はフレイムと共に一足早く食堂へと向かっていった
「行ったか…しかし、君の友人は色々と強烈だな、ルイズ。」
キュルケの姿が見えなくなった後、クラースは苦笑しながらルイズにそう告げる
だが、彼女を自分の『友人』扱いした事に、ルイズは憤慨する
「あんな奴、友達でもなんでもないわ。」
そう、彼女の実家であるツェルプストー家とルイズの実家であるヴァリエール家は宿敵同士である
恋に戦場に、幾つもの因縁を持つ両家
それを語ろうとするが、それを止めるようにルイズのお腹の虫が鳴る
「ん…まあ、この事はまた後で話すとして…早く食堂に行くわよ。」
食欲の方が勝ったルイズは、一足先に食堂へ向かって歩き出した
その後に続いて才人とクラースも歩き出し、クラースは才人の横へと歩み寄る
「才人…彼女を起こすのは大変だったんじゃないのか?」
「よく解りましたね…あいつ、俺に下着の準備から服の着せ替えまでさせたんですよ。」
逆らったら、ご飯抜きだって言うし…才人はクラースにルイズに対する文句を言い続ける
まあ、それが貴族だからな…と、そんな才人を宥める
「それにしても…。」
しばらく愚痴が続いた後、才人が腑に落ちないといった表情で言葉を漏らす
「ん、どうした?」
「いや、さっきのキュルケって奴…ルイズの事を「ゼロのルイズ」って呼んでたんですよ。」
「ああ…そう言えば、呼んでいたな。」
恐らく、『ゼロのルイズ』とは二つ名の事なのだろう
才人は、その『ゼロ』が何を意味するのか、疑問を感じているのだ
「ルイズに聞いても、教えてくれなかったし…何か意味があるのかなぁって…。」
「ふむ、ゼロか…果たしてそれは…。」
「ちょっとぉ、何ゆっくり話なんかしてんのよ、朝食に遅れちゃうじゃない!!」
クラースが答えようとすると、既に先の方まで行ったルイズが二人に呼びかける
話をそこで中断すると、二人は駆け足でルイズの所へ向かった
話をそこで中断すると、二人は駆け足でルイズの所へ向かった
『使い魔生活スタート』
クラース「さて、私達の使い魔生活が始まったわけだが…今の所の感想は?」
才人「最悪ですよ、あいつ目の前で着替えるわ、下着を用意させるわ、服を着替えさせるわ…。」
才人「おまけに、全然羞恥心見せないし…俺、男としての自信なくしそうです。」
クラース「完全に召使の扱いだな…何、可愛い彼女が出来たと思えば少しは気が紛れるさ。」
才人「冗談じゃないですよ、あんな奴。」
才人「確かに顔は良いのは認めますけど、それ以外は全然駄目じゃないですか。」
才人「性格は高慢で最悪だし、胸はぺったんこだし、地位とかで俺を振り回すし…。」
才人「そんな奴と恋人だなんてこっちからお断りしますよ。」
才人「大体、あんな女に恋人なんて出来るんですかね?」
才人「あんな女を恋人にしたい奴って、余程の変人ですって。それから……。」
クラース「お、おい、才人…後ろ…。」
才人「えっ、後ろ……げっ、ルイズ!?」
ルイズ「ルイズじゃなくて、ご主人様でしょ……この、馬鹿犬~~~!!!!」
才人「ぎゃああああああああ!!!!!!」
クラース「男の急所を強烈なキックが…切ないな、才人。」
『宿敵ツェルプストー』
ルイズ「ああ、むかつく…朝からツェルプストーが私の使い魔に色気振りまいてくるなんて。」
才人「随分あいつの事を嫌ってるんだな…何かあったのか?」
ルイズ「というより、あいつの家とね…私の家とツェルプストー家は昔から因縁が多いのよ。」
ルイズ「あいつはゲルマニア出身の貴族で、ツェルプストー家は家の領地と国境を挟んだ隣の領地を治めているの。」
ルイズ「だから昔から、ゲルマニアと戦争が起こったら、ツェルプストー家と何度も殺しあった歴史があるのよ。」
クラース「血の因縁、というわけか…何とも恐ろしいものだな。」
ルイズ「それに、あいつの家は色ボケの家系で、昔からヴァリエール家にちょっかいを掛けてくるのよ。」
ルイズ「何度あいつの一族から、家の一族の恋人や婚約者、果ては奥さんまでが奪われた事か…もう、考えただけで腹が立つ~~~。」
才人「…恋に戦場に…大変なんですね、メイジって。」
クラース「そうだな。」
『使い魔の故郷 クラースの場合』
ルイズ「ねぇ、クラース…あんたの故郷ってどんな所?」
クラース「私の故郷か?そうだな…自然が多い、のどかな所だな。」
才人「そうそう、それに住んでいる人達も良い人ばっかりなんだぜ。」
ルイズ「あんたには聞いてないわよ…じゃあさ、クラースはそこで領主様だったりするわけ?」
クラース「いや、そうじゃない…私のいた所は此処のようにメイジが貴族や王族というわけではないからな。」
クラース「大多数が魔術は使えないが、聡明な貴族や王族が国や地方を治めているんだ。」
ルイズ「ふーん…魔法も使えない貴族や王族が国を治めるなんて、変なの。」
才人「俺はクラースさんが領主とは思わなかったな、だって何時もミラルドさんの尻にしかれてるし…いててっ!?」
クラース「はははは、口は災いの元だとアーチェから学ばなかったのかな、才人君?」
才人「す、すいまふぇん……。」
ルイズ「?」
『見せてくれ』
クラース「頼む、一度だけ…一度だけで良いんだ」
ルイズ「嫌よ。」
クラース「そこを何とか…私達の今後を考えればな…よい付き合いというのも必要だろう。」
ルイズ「そ、それはそうだけど…。」
クラース「だから、見せてくれ…君の奥底にあるそれを…。」
ルイズ「……悪いけど、今は気が乗らないからまた今度ね。」
クラース「ああ、ルイズ…少しだけでも良かったんだが…。」
才人「く、クラースさん、ミラルドさんがいるのにあいつに何をしようとしたんですか!?」
クラース「何って…参考がてらに、ルイズの魔法を見せて欲しいと頼んでいただけだが?」
才人「へ?」
クラース「しかし、彼女は中々頑固でな…どうしても見せてくれないと言うんだ。」
クラース「で…何で彼女の魔法を見せてもらうのに、ミラルドの名が出てくるんだ?」
才人「えっ、いや、別に…何でもないですよ…はは、ははははははは…はぁ。」
クラース「?」
クラース「さて、私達の使い魔生活が始まったわけだが…今の所の感想は?」
才人「最悪ですよ、あいつ目の前で着替えるわ、下着を用意させるわ、服を着替えさせるわ…。」
才人「おまけに、全然羞恥心見せないし…俺、男としての自信なくしそうです。」
クラース「完全に召使の扱いだな…何、可愛い彼女が出来たと思えば少しは気が紛れるさ。」
才人「冗談じゃないですよ、あんな奴。」
才人「確かに顔は良いのは認めますけど、それ以外は全然駄目じゃないですか。」
才人「性格は高慢で最悪だし、胸はぺったんこだし、地位とかで俺を振り回すし…。」
才人「そんな奴と恋人だなんてこっちからお断りしますよ。」
才人「大体、あんな女に恋人なんて出来るんですかね?」
才人「あんな女を恋人にしたい奴って、余程の変人ですって。それから……。」
クラース「お、おい、才人…後ろ…。」
才人「えっ、後ろ……げっ、ルイズ!?」
ルイズ「ルイズじゃなくて、ご主人様でしょ……この、馬鹿犬~~~!!!!」
才人「ぎゃああああああああ!!!!!!」
クラース「男の急所を強烈なキックが…切ないな、才人。」
『宿敵ツェルプストー』
ルイズ「ああ、むかつく…朝からツェルプストーが私の使い魔に色気振りまいてくるなんて。」
才人「随分あいつの事を嫌ってるんだな…何かあったのか?」
ルイズ「というより、あいつの家とね…私の家とツェルプストー家は昔から因縁が多いのよ。」
ルイズ「あいつはゲルマニア出身の貴族で、ツェルプストー家は家の領地と国境を挟んだ隣の領地を治めているの。」
ルイズ「だから昔から、ゲルマニアと戦争が起こったら、ツェルプストー家と何度も殺しあった歴史があるのよ。」
クラース「血の因縁、というわけか…何とも恐ろしいものだな。」
ルイズ「それに、あいつの家は色ボケの家系で、昔からヴァリエール家にちょっかいを掛けてくるのよ。」
ルイズ「何度あいつの一族から、家の一族の恋人や婚約者、果ては奥さんまでが奪われた事か…もう、考えただけで腹が立つ~~~。」
才人「…恋に戦場に…大変なんですね、メイジって。」
クラース「そうだな。」
『使い魔の故郷 クラースの場合』
ルイズ「ねぇ、クラース…あんたの故郷ってどんな所?」
クラース「私の故郷か?そうだな…自然が多い、のどかな所だな。」
才人「そうそう、それに住んでいる人達も良い人ばっかりなんだぜ。」
ルイズ「あんたには聞いてないわよ…じゃあさ、クラースはそこで領主様だったりするわけ?」
クラース「いや、そうじゃない…私のいた所は此処のようにメイジが貴族や王族というわけではないからな。」
クラース「大多数が魔術は使えないが、聡明な貴族や王族が国や地方を治めているんだ。」
ルイズ「ふーん…魔法も使えない貴族や王族が国を治めるなんて、変なの。」
才人「俺はクラースさんが領主とは思わなかったな、だって何時もミラルドさんの尻にしかれてるし…いててっ!?」
クラース「はははは、口は災いの元だとアーチェから学ばなかったのかな、才人君?」
才人「す、すいまふぇん……。」
ルイズ「?」
『見せてくれ』
クラース「頼む、一度だけ…一度だけで良いんだ」
ルイズ「嫌よ。」
クラース「そこを何とか…私達の今後を考えればな…よい付き合いというのも必要だろう。」
ルイズ「そ、それはそうだけど…。」
クラース「だから、見せてくれ…君の奥底にあるそれを…。」
ルイズ「……悪いけど、今は気が乗らないからまた今度ね。」
クラース「ああ、ルイズ…少しだけでも良かったんだが…。」
才人「く、クラースさん、ミラルドさんがいるのにあいつに何をしようとしたんですか!?」
クラース「何って…参考がてらに、ルイズの魔法を見せて欲しいと頼んでいただけだが?」
才人「へ?」
クラース「しかし、彼女は中々頑固でな…どうしても見せてくれないと言うんだ。」
クラース「で…何で彼女の魔法を見せてもらうのに、ミラルドの名が出てくるんだ?」
才人「えっ、いや、別に…何でもないですよ…はは、ははははははは…はぁ。」
クラース「?」