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ギーシュ・ド・グラモンと黒バラ女王-04



「おや」
 秒速約60メイルで飛行するタバサの使い魔、雌の風竜・シルフィードを巨人が見送った。
(全く往生際の悪い子達だねぇ)
 呆れたような顔をすると、巨人は長い袖を揺らしながら両腕を大きく振り上げた。
「どこへ行こうと同じことさ!」
 巨人の足元が妖しく蠢き出した。



 一分後、シルフィードは学園から3リーグほど離れた草原上空を飛んでいた。
 ギーシュとルイズはシルフィードの胸と両前足の付け根に挟まれる形で抱えられている。
 唐突に空の上まで連れて来られた二人は勿論、タバサやキュルケ、シルフィードでさえ自分達が急死に一生を得ていたことを知らない。
 巨人が彼らを攻撃する数分前、タバサは口笛を合図にシルフィードを呼び出していた。
 学院まで駆けつけたシルフィードは、山のように巨大な亜人と自分の主の周りに横たわる大勢の鉄化した人間達から尋常でない事態が差し迫っていることを直感した。
 そして高速で滑空しながらタバサとキュルケを乗せ、咄嗟の判断でまだ鉄化していない人間を連れ出したのだった。
 その時に偶然、巨人の奇襲を回避できたのは不幸中の幸いである。
「高度を、上げて」
 タバサがシルフィードに命令する。
 シルフィードは背中を目一杯に反らせて大きく羽ばたいた。
 地上約1000メイルの高さからさらに上昇する。
 巨人が後を追ってくる気配は無い。
 タバサはこのまま逃げ切れると思った。
 ところが――
 不意に目前から黒い影が迫ってきた。
 それは雲を切り裂きながら物凄い速度で近づいてくる。
「……!!」
 巨大な鞭。
 鞭のように身を撓らせた茨の蔓が襲い掛かってくる。
 シルフィードは右に急旋回することでなんとか直撃を避けた。
 しかし、音速を超えて振り抜かれた鞭が発生させる衝撃波のせいで体勢が崩れる。
「きゃあぁぁぁあ!」
 勢いを削がれたシルフィードが沈むように高度を下げる。
 キュルケ達は振り落とされないように必死にしがみ付いた。
(まだ……何か来る)
 風の扱いに秀でたメイジであるタバサは空気の流れを鋭敏に感じ取ることができる。
 彼女は何かが自分達を取り囲むように八方から向かってくるのを感知した。
 刹那、地中から空高くに伸びた苔色の茨がシルフィード達を覆った。
「ひ、ひいぃぃぃっ!」
 今まで目を瞑っていたギーシュが辺りの光景を見て悲鳴を上げる。
 つい一分ほど前までヴェストリの広場に居た彼らは今、無数に生えた直径5メイル以上もある茨の蔓に包囲されていた。
「い、いい一体何なの!? もう何がどうなってるのよ!」
 ルイズが金切り声を上げた。
「ななんで私達こんなとこにいるのよ!?」
「ヴァリエール! あんた、ちょっと黙ってなさい!」
 喚き散らすルイズをキュルケが制止する。
「そんなの私だってわからないわよ!」
 サイトが巨人よって鉄像にされてから、時間はまだ五分と経っていない。
 その上その僅かな時間の間には、十分な思考を巡らすだけの余裕は無かった。
 ルイズの問いに答えられるほど現状を理解している者などここには誰もいないのだ。
「後ろ」
 タバサがシルフィードに指示を出す。
 シルフィードが振り向いた先には抜け道があった。
 前方と左右、そして上方さえもが茨の壁によって塞がれている中、後方だけは不自然に空隙が開かれていた。
「か、壁が、壁が迫ってきているぞ!」
 2メイルはある棘が生えた茨の群体がじわじわとにじり寄ってくる。
「や、やだ! こっちの方もなんか生えてきてるわよ!」
 キュルケが叫んだ。
 彼らに残された唯一の逃げ道が遠ざかっていた。
 抜け道の両サイドを補填するように茨が生え障壁を広げていく。
 蔓はギーシュ達の頭上で絡み合い天井を作る。
 見る見るうちに一方通行のトンネルが出来上がっていく。
 シルフィードは全速力で出口を目指す。
 茨が伸びる速度はシルフィードの飛行速度に劣っていた。
 しかし、一度に生える茨の量があまりにも多過ぎるため、シルフィードは遠のいていく出口に全く追いつけない。
「まずい」
「えっ!?」
 険しい表情のタバサがキュルケ達に説明をする。
「このままだと、学院に戻ることになる」
 後退することはできない。
 通路の天井は進むにつれて低くなっている。
 彼らには前進する以外の選択肢は与えられていなかった。
 約一分間飛び続けたシルフィードは既に地上100メイルまで高度を下げていた。
「で、出口! 出口が見えたわ!!」
 ルイズが前方を指差した。
 その先にはおどろおどろしい茨の壁は広がっていない。
 だが奇妙なことに、出口の向こうには真っ暗な空間が広がってる。
 一同の間に緊張が走った。


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