「雪風とボクとの∞(インフィニティ) ∞7」
「……え……どの人……」
その日、魔法学院には多数の参観者達が集まっていた。
タバサ・ルイズは物陰からそっと彼らの様子を伺っている。
「……ルイズの婚約者ってどの人……」
「しー! 声が大きいわよ、タバサ!」
「……確か……ワルド子爵……どの人……?」
物陰から廊下を覗き見つつひそひそ会話している2人に通行人達は怪訝な視線を投げかけるが、2人はまったく気にしていない。、
「だから1番左の……ほら、あの……眼鏡の人よ!」
そう言ってルイズが指差したのは、羽根帽子を被り眼鏡をかけた青年だった。
「ほほう、メガネ君ではないか」
するとそこにどこからともなきう三成が、眼鏡をセンターアップで上げつつ姿を現した。
「わっ、ミツナリ!」
「そうかそうか、ついに君もメガネの魅力に……」
「違うわよ! 眼鏡だからじゃなくて、こ、婚約者がたまたま眼鏡だったのよ!」
その日、魔法学院には多数の参観者達が集まっていた。
タバサ・ルイズは物陰からそっと彼らの様子を伺っている。
「……ルイズの婚約者ってどの人……」
「しー! 声が大きいわよ、タバサ!」
「……確か……ワルド子爵……どの人……?」
物陰から廊下を覗き見つつひそひそ会話している2人に通行人達は怪訝な視線を投げかけるが、2人はまったく気にしていない。、
「だから1番左の……ほら、あの……眼鏡の人よ!」
そう言ってルイズが指差したのは、羽根帽子を被り眼鏡をかけた青年だった。
「ほほう、メガネ君ではないか」
するとそこにどこからともなきう三成が、眼鏡をセンターアップで上げつつ姿を現した。
「わっ、ミツナリ!」
「そうかそうか、ついに君もメガネの魅力に……」
「違うわよ! 眼鏡だからじゃなくて、こ、婚約者がたまたま眼鏡だったのよ!」
メガネ男子を愛する女性、いわゆる「メガネ君スキー」。
その数は意外と多く、「めがねっ娘スキー」を上回る勢いである。
好きなメガネ君のバリエーションとしては、
○優等生タイプ
○どじタイプ
○科学者タイプ
など多種多様であり、場合によってはそこに女性特有の「攻」「受」という「腐」要素が加わっている事もあるので、注意が必要である。
眼牙書房「乙女の杜」(平賀才人著)より抜粋
その数は意外と多く、「めがねっ娘スキー」を上回る勢いである。
好きなメガネ君のバリエーションとしては、
○優等生タイプ
○どじタイプ
○科学者タイプ
など多種多様であり、場合によってはそこに女性特有の「攻」「受」という「腐」要素が加わっている事もあるので、注意が必要である。
眼牙書房「乙女の杜」(平賀才人著)より抜粋
「……とにかく……話しかけてみたら……」
「それができないから悩んでるのよ!」
人目を避けるように場所を屋上に移して、三成・タバサはルイズの「ワルド子爵と上手く話せない」という相談に乗っていた。
「……え……いつもの元気はどうしたの……」
「だ、だって……」
珍しく顔を赤らめてもじもじしつつ言葉を濁したルイズに三成も、
「よし! ならばボクも協力してやろう」
「は!? 何であんたなんかに……」
「……何言ってるの……ルイズ……ミツナリはめがねのエキスパート……そしてワルド子爵はメガネ君……」
「うっ!!」
「メガネ君と楽しく会話をする方法、キミは知りたくは……」
「お願いします、先生!」
背中を向けて思わせぶりに語る三成に、ルイズは土下座せんばかりの勢いで頼み込んだ。
「では、まず軽く挨拶をして、そしてさりげなくこう言うのだ」
ルイズは三成の言葉を一言一句聞き逃すまいと真剣な表情で見つめ、その手にはペンと帳面を持っている。
「『失礼ですが、視力はおいくつですか?』と」
「そんなので話弾まないわよー!!」
「相手が『実は乱視が入ってて……』なんて答えたらしめたもの! 『あら~、それじゃめがねが手放せませんね(はぁと)』なんて……」』
「なんてじゃないわよ!! 馬鹿!!」
三成に猛抗議するルイズにタバサも提案を出す。
「……じゃあ……めがねあるあるネタ……」
「何それ?」
「めがね外してるのについ習慣で上げようとして、スカって……」
「……するする……」
(盛り上がってる!!)
大いに盛り上がる三成・タバサとは対照的に、ルイズは少々俯き加減になる。
「……私、眼鏡かけてないからそういうのわかんないわよ……」
「……じゃあもう……『好き』って言ったら……」
「どええ!?」
「その通り! めがねをこう上げた時の手のここの『筋』がたまらなく好きだと言ってしまえ!」
「言わないわよ!!」
「そうか? この筋に心をきゅんとつかまれる女子は多いんだぞ」
「知らないわよ!!」
「僕はこのめがねの上げ方を『キャッチマイハート』と名付けた!」
「………」
「……キャッチマイハート……(はぁと)」
「もういいわ! あんたに相談した私が馬鹿だったわ!」
叫び声を残しルイズは屋上から走り去っていった。
「……ルイズ……」
「それができないから悩んでるのよ!」
人目を避けるように場所を屋上に移して、三成・タバサはルイズの「ワルド子爵と上手く話せない」という相談に乗っていた。
「……え……いつもの元気はどうしたの……」
「だ、だって……」
珍しく顔を赤らめてもじもじしつつ言葉を濁したルイズに三成も、
「よし! ならばボクも協力してやろう」
「は!? 何であんたなんかに……」
「……何言ってるの……ルイズ……ミツナリはめがねのエキスパート……そしてワルド子爵はメガネ君……」
「うっ!!」
「メガネ君と楽しく会話をする方法、キミは知りたくは……」
「お願いします、先生!」
背中を向けて思わせぶりに語る三成に、ルイズは土下座せんばかりの勢いで頼み込んだ。
「では、まず軽く挨拶をして、そしてさりげなくこう言うのだ」
ルイズは三成の言葉を一言一句聞き逃すまいと真剣な表情で見つめ、その手にはペンと帳面を持っている。
「『失礼ですが、視力はおいくつですか?』と」
「そんなので話弾まないわよー!!」
「相手が『実は乱視が入ってて……』なんて答えたらしめたもの! 『あら~、それじゃめがねが手放せませんね(はぁと)』なんて……」』
「なんてじゃないわよ!! 馬鹿!!」
三成に猛抗議するルイズにタバサも提案を出す。
「……じゃあ……めがねあるあるネタ……」
「何それ?」
「めがね外してるのについ習慣で上げようとして、スカって……」
「……するする……」
(盛り上がってる!!)
大いに盛り上がる三成・タバサとは対照的に、ルイズは少々俯き加減になる。
「……私、眼鏡かけてないからそういうのわかんないわよ……」
「……じゃあもう……『好き』って言ったら……」
「どええ!?」
「その通り! めがねをこう上げた時の手のここの『筋』がたまらなく好きだと言ってしまえ!」
「言わないわよ!!」
「そうか? この筋に心をきゅんとつかまれる女子は多いんだぞ」
「知らないわよ!!」
「僕はこのめがねの上げ方を『キャッチマイハート』と名付けた!」
「………」
「……キャッチマイハート……(はぁと)」
「もういいわ! あんたに相談した私が馬鹿だったわ!」
叫び声を残しルイズは屋上から走り去っていった。
「……ルイズ……」
屋上を飛び出しそのまま廊下を走っていたルイズは、前方不注意で歩いていた誰かに激突してしまった。
「わっ」
「あっ、ご、ごめんな……」
「!! ワ、ワワワ、ワルド子爵!!」
「ルイズ?」
そう、ルイズと激突したのは羽根帽子を被り眼鏡をかけた青年・ワルドだった。
(……どどどど、どうしたらいいの? なななな、何か喋らないと……)
ルイズは一言も言葉を出せず、ワルドをただ見つめる事以外不可能だった。
少々離れた物陰からは、三成・タバサも固唾を飲んで2人の成り行きを見守っている。
「あ……、あの……、あの……、……しっ、失礼ですけど視力はおいくつですか?」
自分が言ってしまった言葉を認識してルイズは心中で激しく悶絶、2人の間に沈黙が流れる。
(やっちゃったー!! つい言ってしまったわー!!)
だがワルドの答えは意外にも……、
「両方とも0.1なんだけど、右だけちょっと乱視入ってるんだ」
(乱視キター!!)
予想外にも三成が話していた事が役に立つと気付き、思わずルイズは続ける。
「そ、そそ、それじゃ眼鏡が手離せませんね……なんて」
「そうなんだよ。めがね無いと何もできなくてさ」
(あれ? 弾んでるわ。会話が弾んでるわー!?)
ワルドの予想以上の反応に気をよくしたルイズはなおも、
「あ、えっと、眼鏡外しているのについ習慣で眼鏡上げようとして……」
「ああ、スカッてやってしまうんだよね」
(弾んでるわー)
「ルイズ、随分面白くなったね」
微笑みを浮かべつつワルドは広げた右手で眼鏡を押し上げる。
(キャッチマイハート)
しかしルイズの喜びもここまでだった。
ワルドは満面の笑みを浮かべて、
「ルイズ、君も……めがねが大好きなんだね」
「は、はい!?」
「いや~、めがねでこんなに楽しく会話できるなんて。ルイズもなかなかのものだね」
心のどこかで聞いてはいけないと警鐘を鳴らしているのが感じられたが、確認しなければという衝動を抑えられずルイズはワルドに聞いてしまった。
「……ひょっとしてワルド子爵は、めがねっ娘が……」
「大好物さあ(はぁと)」
とろけるような笑みを浮かべてそう言ったワルドの口元は、よだれが垂れんばかりに緩みきっていた。
ピキッ……
ルイズの耳には、心の中の何かに亀裂が入った音が聞こえた。
「で、ルイズは視力いくつになった?」
「……両目とも……、1.5のままです」
「わっ」
「あっ、ご、ごめんな……」
「!! ワ、ワワワ、ワルド子爵!!」
「ルイズ?」
そう、ルイズと激突したのは羽根帽子を被り眼鏡をかけた青年・ワルドだった。
(……どどどど、どうしたらいいの? なななな、何か喋らないと……)
ルイズは一言も言葉を出せず、ワルドをただ見つめる事以外不可能だった。
少々離れた物陰からは、三成・タバサも固唾を飲んで2人の成り行きを見守っている。
「あ……、あの……、あの……、……しっ、失礼ですけど視力はおいくつですか?」
自分が言ってしまった言葉を認識してルイズは心中で激しく悶絶、2人の間に沈黙が流れる。
(やっちゃったー!! つい言ってしまったわー!!)
だがワルドの答えは意外にも……、
「両方とも0.1なんだけど、右だけちょっと乱視入ってるんだ」
(乱視キター!!)
予想外にも三成が話していた事が役に立つと気付き、思わずルイズは続ける。
「そ、そそ、それじゃ眼鏡が手離せませんね……なんて」
「そうなんだよ。めがね無いと何もできなくてさ」
(あれ? 弾んでるわ。会話が弾んでるわー!?)
ワルドの予想以上の反応に気をよくしたルイズはなおも、
「あ、えっと、眼鏡外しているのについ習慣で眼鏡上げようとして……」
「ああ、スカッてやってしまうんだよね」
(弾んでるわー)
「ルイズ、随分面白くなったね」
微笑みを浮かべつつワルドは広げた右手で眼鏡を押し上げる。
(キャッチマイハート)
しかしルイズの喜びもここまでだった。
ワルドは満面の笑みを浮かべて、
「ルイズ、君も……めがねが大好きなんだね」
「は、はい!?」
「いや~、めがねでこんなに楽しく会話できるなんて。ルイズもなかなかのものだね」
心のどこかで聞いてはいけないと警鐘を鳴らしているのが感じられたが、確認しなければという衝動を抑えられずルイズはワルドに聞いてしまった。
「……ひょっとしてワルド子爵は、めがねっ娘が……」
「大好物さあ(はぁと)」
とろけるような笑みを浮かべてそう言ったワルドの口元は、よだれが垂れんばかりに緩みきっていた。
ピキッ……
ルイズの耳には、心の中の何かに亀裂が入った音が聞こえた。
「で、ルイズは視力いくつになった?」
「……両目とも……、1.5のままです」
「婚約者が、変態でしたー!!」
荒波が砕け散る岸壁にルイズの絶叫がこだました。
使い魔が変態なタバサは、泣き崩れるルイズをただ見守る事しかできなかったのだった。
荒波が砕け散る岸壁にルイズの絶叫がこだました。
使い魔が変態なタバサは、泣き崩れるルイズをただ見守る事しかできなかったのだった。
そして三成・ワルドは……、
「何だか君とは話が合いそうな気がするな」
「同感です!」
今回の教訓「類は友を呼ぶ」。
「何だか君とは話が合いそうな気がするな」
「同感です!」
今回の教訓「類は友を呼ぶ」。