あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのロリカード-49



「さらばだ、シャルロット」
ジョゼフはナイフを振り下ろす――――――。
タバサの首筋にナイフが突き立てられようとする刹那、ジョゼフは悪寒を感じた。

「ジョゼフッ!!」
同時に聞こえたウォルターの声と、己に向けられていた殺意に識域下で反応する。
『加速』によって瞬間的に距離を大きく取ると、先程まで自分がいた位置に銃弾が通ったのだった。

「あっぶねえ・・・・・・」
ジョゼフが避けたことに、ウォルターは安堵の息を吐く。
既にアーカードの銃はジョゼフには向けられていない。銃口は既に虚空を揺蕩っていた。
何故ならば――――――アーカードの体躯が、変容し始めていたからであった。
少女の姿は黒き影に染まり、肉が、骨が、ぐちゃぐちゃに変形し、シルエットを保たなくなる。

 つい先刻までは普通に戦っていた。
が、タバサの危機に応じてジョゼフに攻撃を加えると、同時にリミッターを解除したのだった。
「う・・・うわー、おっかねえ・・・・・・」
目の前の異形を注視して、ウォルターが率直な感想が漏れる。
「ほお・・・・・・まさに化物だな」
アーカードを見たジョゼフも、そんな言葉を漏らした。
少女姿の威圧感だけでは、いまいち実感が湧かなかった。
だが、今は違う。不定形に揺れ動く化物のそれを見て、ようやく視覚的にも認識することが出来た。

   幼い少女の姿で、微笑みかけるわけでもなく。
精悍な男の姿で、傲岸に不遜に佇むわけでもなく。
歴戦の戦人の姿で、感傷たっぷりにひざまずくわけでもなく。
拘束制御術式、第参号、第弐号、第壱号を開放し、異形の化物と化したアーカード。
最早ジョゼフの興味は死に掛けのタバサではなく、完全に眼前の吸血鬼へと向いていた。

 無数の見開かれる目、眼、瞳。
数え切れぬほどに蠢き、複雑に絡み合う百足。
体躯を木に見立て、枝が生えるように揺れる巨腕。
そして不気味に唸り、時に咆哮を震わせる二匹の黒犬獣。
黒い影が空間を支配し、死の気配が部屋中に充満する。


「ビダーシャル!」
ウォルターはエルフの名を呼んだ。
321号を完全に開放をしたアーカードは、ジョゼフと二人掛かりでも危険極まりない。
玩具を前にした子供のように笑うジョゼフが満足するまでは――――――。
非常に骨が折れるが、とりあえず死なせないように闘い続けなければならない。
その為に、ビダーシャルの助力があるだけでも幾分か楽になる。

 そして・・・・・・林立する黒き巨大な影腕が動いた。
ウォルターは思い切り後方に跳びながら、ギリギリで絡めた糸で切り刻む。
ジョゼフは加速で以て、追尾する巨腕を躱し続ける。
ビダーシャルは部屋全体に広げていた反射の範囲を、自分へと集中させて防ぐ。
防御に徹っせざるを得ない所為で、攻撃をする暇はない。

「フフッフフハハハハハッ!!げに恐ろしく、そして素晴らしい!」
ジョゼフは哄笑する。
「ったく、ざけんなよ。付き合わされるこっちの身にもなれっての!!」
ジョゼフの様子を見て、ウォルターは半眼で舌打ちし叫ぶ。
ビダーシャルもウォルターの悪態に心の中で同意する。
しかしジョゼフは聞く耳を持たず、戦闘を停止するつもりは毛頭ない。

 俄かに残っていたシルエットが、少女を形作る。
「ん~む・・・・・・速い、凄い。やるのう、おぬしら。実に美事也」
ウォルターの実力は概ねわかっている。
だが、ジョゼフとビダーシャルの実力も相当なものだった。
虚無と先住、その強さは流石の一言である。
回避に特化した『加速』、防御に特化した『反射』。
猛攻を加えつつも、未だに捉えきれないでいた。


「・・・・・・が、終わりだ」
呟くアーカードの小さい声を、ジョゼフ、ウォルター、ビダーシャル。
三人が聞いた――――――その時だった。
一度だけ床が・・・・・・城全体が揺れるような錯覚を、ウォルター達は覚えた。
否、それは錯覚ではなかった。

      ・ ・
 最初にそれを理解したのは、ビダーシャルであった。
時間稼ぎのみならず、誘導までされていたことにも、瞬間的に悟り気付く。
       ・ ・ ・ ・ ・ ・
 すぐさま奪い返そうと、カウンターの割合を全て自分に振ってアーカードの攻撃を防ぐ。
同時に、新たな先住魔法で城を形作っている石材を操った。
石は泥のように溶解し、次いで粘土のように新たな形を作る。
                    ・ ・
 形成された大きな石の手は、階下へと伸びる。
が、それは投擲された銃剣によって脆くも粉砕された。

 そこでようやく、ウォルターも変化した状況に気付いた。
しかしアーカードはさらにギアを上げ、苛烈に攻め立てウォルターの行動を縛る。
ビダーシャルには影巨腕だけでなく、二匹の黒犬獣バスカヴィルの顎門が迫る。
反射のおかげで押し留められるものの、そのまま押し潰され喰われるやも知れぬ圧力も同時に感じる。
そんな感情が頭の中を過った所為で攻撃の手が止まり、それ以上防御以外の自由が許されなかった。

 尤も加速を使えるジョゼフだけは、唯一アーカードの攻撃をいなして動くことが出来た。
が、ジョゼフはアーカードしか眼中になく、異変に対して全く気に留めなかった。


  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 床が抜けて階下に落ちたルイズとティファニア。――――――作戦は成功した。

 アンデルセンは、憎悪や嫌悪感からアーカードと別れたわけではなかった。
救出という唯一にして絶対の至上命題の為に、今なお協力している最中であった。

 二組に分けた救出チーム。主戦力たるアーカードとアンデルセンをそれぞれ筆頭に。
錬金を使えるタバサとフーケが、それぞれ別々に分かれる。
さらにアーカードと念話で交信できるアニエスを、アンデルセン組に組み込む。

 チームはそれぞれ二手に分かれて念話で情報を交換し合い、ルイズとティファニア及びタバサの母親を探す。
ルイズとティファニアを先に発見した方は、囮になって時間を稼ぎつつ念話ですぐに位置を知らせる。
残った一方は急行し、安全且つ的確に救出する為に錬金で床或いは天井を抜いて救出する。
それぞれの役割、誰が欠けても成り立たぬ作戦。二チームだからこそ突ける敵方の隙。
以上が救出作戦の概要であった。

 ルイズとティファニアはフーケに連れられ、アンデルセンに守られながら、早々に外へと飛び降り脱出する。
そして一陣の風が横切ったかと思えば、瀕死のタバサを丁寧に抱え、アニエスはそのまま部屋から飛び出した。
アーカードが予めタバサも回収するよう、念話で伝えておいた故の・・・・・・完璧に統制された連携。
タバサの母親も既に見つけて、救出していることも念話で伝えらている。
これで、達成すべき事項は全てクリアされた。


 アーカードはもう足止めの必要はないと、攻撃の手を止める。
少女のシルエットがよりはっきりとしてきて、背後には大きく黒い血色の影が蠢く。
「・・・・・・見事な手際だな」
既に終結した状況を見て、ようやっと全てを理解したジョゼフが感心する。  
「ふむ、このまま貴様らを殺してしまってもいいが・・・・・・さて」
アーカードが首を傾げながら、ジョゼフらを眺める。
アンリエッタに、戦争を起こさせないよう努めると言ってしまった手前。
タバサには悪いが、ジョゼフを含めて全員を殺しておくに越したことは無い。
今ここで後始末をしてしまえば、それで全て片がつく。
「んむ。やはり三人仲良く十万億土を踏み・・・・・・もとい、地獄へと下ってもらおうか」

 ウォルターは心の中で舌打つ。
このまま闘う場合、長引けば長引くほどアーカードにとって有利になる。
既に日は完全に落ちている。夜に正面から不意も打たずに、吸血鬼に戦いを仕掛けるのは愚者だ。
夜が暗く落ち、黒く染まり、闇が深まれば深まるほどに、彼の者の支配も強く濃くなる。

 何よりも零号開放をしていないアーカードを殺し切るには、何万、何十万、何百万と心臓を貫かねばならない。
しかも321号開放中で無形とも言えるアーカードは無敵に近く、一度殺すのすら困難を極める。
そしてさらには・・・・・・、三人が無事に逃げられる可能性すら正直低い。

 個別に狙われた場合、自分とビダーシャルが逃げるには非常に難しいものがある。
唯一、加速で確実な離脱が可能であろうジョゼフは、闘争意欲に溢れている。
加速は極めて強力な虚無魔法ではあるが、無敵ではない。
零号開放させる手段は完全になくなり、闘うのも逃げるのもジリ貧である。
悟ったウォルターは、闘争でも遁走でもなく第三の手を使う。即ち『交渉』。

「さぁさ、首置いてけ」
アーカードのシルエットが、再度溶けながら背後の影と同化し始める。
「ちょっと待った」
ウォルターはアーカードを制止し、ポケットから杖と指輪を取り出した。
崩れかかる体から腕を伸ばし、アーカードは投げ渡されたそれらをキャッチする。

「ルイズの杖と、ティファニアの指輪だ。タバサの傷は深刻、だろう?
 その指輪なら死んでなければ重体でも治せる。・・・・・・急がないと間に合わなくなるよ」

 先住の水の魔法が込められた指輪。ティファニアの母の形見。
ティファニアを捕まえた時にジョゼフが奪った物で、ミョズニトニルンである自分が預かった。
その強力な治癒効果ならば、重体のタバサを治すのもそんなに難しくはないだろう。
魔力を上げるポーションで廃人となったメイジすらも、簡単に治せたのだ。

 ジョゼフもビダーシャルも、まだまだ利用価値がある。
己の目的の為にも、ここで死んでもらうわけにはいかない。
当然自分も死ぬわけにはいかない。

「ふむ、これで・・・・・・お前達を見逃せと?」
「悪くない取引だと思うけど?・・・・・・アーカード、君はあの子を気に掛けてたみたいだしね」
タバサがトドメを刺されそうになった時に、ジョゼフに銃を撃って阻止した。
それはアーカードがタバサを死なせないよう、横槍を入れた行為に他ならない。
指輪で治すにせよ、仮に吸血鬼にするにせよ、このままモタモタしてれば間に合わないだろう。
それらを見越した上での提示。


 アーカードは目を細める。
ウォルターが交渉に於いて、その場凌ぎの嘘をつくほど俗呆けしているとも思わない。
特に何かを偽ろうとしている感じもしない。
タバサの傷はパッと見であったが、確かに深刻であった。
土系統のトライアングルに過ぎないフーケの水魔法では、正直あれほどの傷を治癒するのには心許ない。

 自分と似通った面がありながら、まだ未熟なところこそあれ、強い人間であるタバサを吸血鬼に。
セラスやアニエスのように眷属に。自分と同じように、化物にしてしまうのは酷くつまらない。
そもタバサは意識がなく、己が意志で道程を選択させることすら出来ない。

 なればこそ、重傷すらも治すと言うティファニアの指輪というのは願ってもない。
ティファニアの指輪ということは、ティファニアであるならば扱えるということであろう。
「あいわかった。まぁよかろう、どの道このまま決着をつけてもつまらんしな」
長く考えていては、助かるものも助からない。決断は早い方が良い。
それに・・・・・・折角の戦争だ、やはり楽しまなくては損というもの。
丸くなったとは言っても、己の本質は化物であり、全く以て度し難い戦争狂であることに違いはないのだ。

 アーカードはそれ以上何も言わず、杖と指輪をしまいながらくるりと背を向ける。
少女は無数の蝙蝠へと変わり――――――霧散するようにアーハンブラ城をあとにした。


 アーカードが消え、充満していた空気が元に戻ったところで、ジョゼフが口を開く。
「杖を・・・・・・隠していたのか」
失くしたと言っていた筈の、ルイズの杖をウォルターが隠していたことを言及する口調。
しかしウォルターは、特に反省するような態度もなく答える。

「主人を楽しませるのも執事の務め。ルイズは大成する、間違いない。僕は良く似た人間を知っている。
 だから今は・・・・・・その芽を摘み取ることのないよう、気を回したに過ぎない。
 ってのは嘘じゃないけど建前で、まぁぶっちゃけちゃうとさ・・・・・・ルイズに危害を加えられたら困る。
 アーカードが零号を開放した時に、僕と闘ってくれなくなったら困るからね。
 だから要すると、杖は僕の目的の為に、僕の判断で隠した。僕の勝手な意思でね」

 ウォルターは気持ちやや警告するような物言いで続ける。

「それと・・・・・・僕らの関係は、ギブアンドテイクであることをお忘れなく。
 アーカードを見つけたことで、僕はあいつを倒すと言う目的が出来た。何物にも譲れない目的さ。
 今も執事として仕えているのは、必要だと思うから。不要と判断したなら遠慮なく去るつもりだし。
 もしも目的の障害と為り得るのであれば、僕は容赦なくそれを取り除くよ。
 ・・・・・・さて、以上を踏まえて僕を解雇する?ペナルティでも課す?厄介者だと殺す?」

 ジョゼフは微塵にも悪びれないウォルターの減らず口を笑う。
「ふはっははははははっ!!いや・・・・・・構わぬさ、最初から咎めるつもりもない」
「そうかい。じゃあこれからも良好な関係を続けられそうかな」


 笑い合うジョゼフとウォルターを、ビダーシャルは狂人を見る目で眺めていた。
そして思い返す。先ほど相見えていた、ドス黒い邪悪をそのまま顕現させたような存在。
エルフ種族と同じく先住魔法を扱う吸血鬼とは全く違う・・・・・・別種の吸血鬼アーカード。

 それなりに長く生きてきたが、あれほどまでの化物はついぞ見たことはなかった。
(悪魔の力よりも・・・・・・恐ろしい悪魔かも知れんな・・・・・・)
ある種『虚無』よりも畏怖すべき怪物。
ウォルターの話では、さらに死した者を飲み込み、領民とし軍勢にする死の河というものがあるらしい。
今回はそれを引き出す目的もあったようだが、結局それは為らず見れなかった。が――――――。

(見ずに済んで良かったのだろう・・・・・・)
元々エルフは争いを忌避する。同胞のみならず、他の生物が死ぬことも好ましく思わない。
だがジョゼフと契約した以上は――――――ウォルターを含め、彼らが望む争いに付き合わねばならない。
さらに戦火を拡大させかねない手助けすらしている。だがそれも、悪魔の力を復活させない為に必要なこと。
ビダーシャルは眼を瞑ると、諦観を込めた溜息をついた。


(ふぅ・・・・・・)
ウォルターは胸中で嘆息をつく。
結局・・・・・・零号開放はされず終いで、ルイズも奪還されてしまった。
(少し慎重になり過ぎたな・・・・・・)
アーカードの機嫌を損ねない為に、気を遣い過ぎた。
故にルイズと言うカードの切り方を誤ってしまった。

 本来第一であった目的は、ジョゼフの気まぐれな虚無集め。
第二目的はヨルムンガントのテストであり、そんな命令に便乗する形で零号開放を目論んだ。
アーカードのことや零号開放について、ジョゼフ達に説明をしてはいたものの要領を得ず。
結局大した準備も出来ず、軍備も整わず、行き当たりばったりな面が多かった。
そして何よりも、アンデルセンという不確定要素が紛れ込んできたのが、完全に予想外。
ましてアーカードと協力するなんて、確実に思慮の外だった。

(それに正直・・・・・・)
改めて真正面から戦って認識させられたことがある。自分の力は・・・・・・全盛期には程遠い。
外見的にも、丁度ワルシャワでアーカードと共に戦った時くらいだし、強さもその頃の程度である。

 ミョズニトニルンの力で誤魔化していたが、個の強さではアンデルセンや大尉にも及ばない。
アーカードとのタイマンでも、遊ばれていた感が強かった。
今のままでは、アーカードに零号開放をさせたところで、己が実力だけで殺し切ることは出来ない。
そして仮にミョズニトニルンの力を使い勝ったところで、不完全燃焼で終わるのは目に見えている。


(どうせ召喚されるなら、もっと年食った強い時期が良かったな・・・・・・)
尤も死んだ筈の自分が召喚され、またこうしてチャンスが与えられているだけ御の字というものである。
これ以上、文句も愚痴も贅沢も言える筈もなかった。

「さって、これからどうする?」
「これから・・・・・・か・・・」
ジョゼフは顎鬚をさすりながら考える。
素晴らしい"化物"だった。虚無であった心が、ほんの幾許かであったが満たされる気分だった。
だが、零号開放とやらは適わなかった。"あれ"が引き起こす地獄というものも是非見たかった。
"アーカード"の存在が、聞きしに勝る恐ろしさだったが故に、非常に悔やまれる。
間違いなくさらに心が震えてくれたことだろう。

 ――――――なれば、することは一つ。
しかし・・・・・・トリステイン一国には戦力過剰。

(そうだな・・・・・・常々気に入らないロマリアも、この際ついでだ)
どうせ見るなら、極みに極まった地獄に限る。
ふと見れば、ウォルターの何か思惑を含んだかのような笑み。
考えていることは・・・・・・同じのようだった。
地獄を見るに手っ取り早く最適な方法。

「いいだろう・・・・・・ならば戦争だ」




 シルフィードは安心した様子で夜空を飛んでいた。
タバサの容態は非常に危険なものだったが、指輪に宿る先住の水魔法のおかげで一命を取りとめた。
意識はすぐには戻らないものの、とりあえず後遺症や命の危険もないということだった。
タバサの母も無事助け出していて、万事上手くいったと言ってよい。

 幼生であるシルフィードは八人と棺桶を乗せて、長時間飛行することは出来ない。
道中休みながらも、国境を越えて学院へと戻った。

 アンデルセンは、またいずれ決着をつける旨をアーカードに告げる。
知人に預けていて今もテファのことを心配しているであろう、他の子達を安心させる為もあってか。
フーケとティファニアと共に、早々にアルビオンへと帰っていった。

 アンリエッタ女王陛下への報告は、アニエスが一人ですると言い、その心遣いに甘えることにした。
ルイズは束の間の平穏だろうことは薄々感じてはいたものの、今はただ休むことにした。

 アーハンブラ城での扱いは丁重な方だったが、それでも肉体的にも精神的にもかなり疲弊していた。
シルフィードの上ではまともに休める筈もなく、体力の消耗を抑えるのが精一杯。
さらにアーカードとアンデルセンの、言葉に形容出来ない殺伐とした空気にも辟易した。
とにかく自分のベッドでゆっくり寝れることに感謝する。
睡眠一つにこれほど幸福を感じたのは・・・・・・魅惑の妖精亭の任務を終えた時以来だ。
色々と考えるのはとりあえず後回しにして、今は泥のように、ルイズは眠った。


 ――――――ルイズが寝ている間も、アーカードは黙々と"作業"を続けていた。
棺桶で寝ながら、自由な時間の大半を、その"作業"の為に、使い続ける。
いつ終わるとも知れぬ"作業"。それでもアーカードは苦にしない。

 終わりは見えないが、目的の為におこなっていること。
己が課したルールに沿い、己の決めた信念に従いやっていること。
それに・・・・・・面倒な"作業"ではあるが――――――。
――――――アーカードにとっては、娯楽を兼ねたものでもあった。





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