あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの黒魔道士-61


船の名前は『ブラック・ジャック号』。
名前のとおり、外側がカラスの濡れた羽のように真っくろ黒の飛空挺だ。
でも、中は外側と違って、金や赤色で目がチカチカするような作りだった。
あちこちにゲームをやる台とかがあって、空飛ぶカードスタジアムって感じがする。

……ルイズおねえちゃんは、ウェールズ王子と一緒に今は船長室にいる。
あのウェールズ王子なら、多分信用できる……と思う。
目を見ていたら、分かる。あのウェールズ王子は本物だって。
でも、今も『悪意』に満ちた魔力を感じる。
どちらのウェールズ王子のものでも無かった、ラグドリアン湖で感じた嫌な空気。
……となると、これを出しているのは、一人しか考えられない。

「――入るよ」
パタンという軽い音がして、その一人が入ってきた。
船尾に近い方の客室、ボクとデルフがいるその部屋に。

「クジャ……」
ボク達黒魔道士を、『人殺しの道具』として作りだし、ガイアを混乱に陥れた張本人……
寒気がするような透き通った白い顔を、ボクは何度見ても許せそうに無かった。

「ふぅ――やっぱり、再会は青空の下がいいね。君の顔が曇っている」
ボクの顔が、曇っている?
そうかもしれない。でも、それを隠すつもりも無い。
「……何を考えているの?何が狙いなの?」
許せない。許さない。
ボク達の仲間の命をもてあそんだ、こいつだけは。
それでも……こいつが言っていた『真実の終幕』って言葉がひっかかって、ここまでついてきてしまった。
そのことに後悔をしてしまう。
ルイズおねえちゃんを、危険な目に合わせてしまうかもしれないからだ。
でも、もうここまで来てしまった。
だから、ボクは知りたいんだ。それが、どんなことに繋がってしまったとしても。


「質問を質問で返すのは下品だから嫌いなんだけど――先に聞かせてくれないか?」
クジャがやれやれとため息をつく。
ボクが座っていたベッドの前に、椅子を持ってきて腰をかけた。
「……何?」
間合いが近くなる。ボクは警戒をしてデルフをギュッとにぎりしめた。
「僕を――君は、僕を……」
一瞬の、ためらうような表情。
床から、天井、部屋の真ん中のテーブル、それからベッドと……順繰りに視線を躍らせるクジャ。
それがようやくやっとボクに合わせられて、クジャは決心したように聞いてきたんだ。

「殺すために、再び生まれたのかい?」
とんでもなく、訳の分からない質問を。



ゼロの黒魔道士
~第六十一幕~ 死神を倒す者



『あぜんとする』って、こういうことを言うんだろうなってそう思ったんだ。
ボクが、クジャを殺すために生まれた?
意味が分からない。

「――お、おいおい、ミョズの兄ちゃんよぉ?いきなしそういうこと言うかぁ?
 相棒、根ぇは真面目な良い子なんだからよぉ、ほれ、質問の訳分かんなさに固まっちまったぜ?」
デルフの声でその『あぜんとする』状態から戻ってきたんだ。
丁度『レビテト』から地面に降り立った感じ。

「僕も、至って真面目だよ――ビビ君、君は……僕の死神として生まれたのかい?」
死神?ボクが、クジャの?
「……どういうつもり?」
「ん?」
「そうやって、ボクを混乱させて……それが楽しいの?それがお前の狙いなの?」
間違っても、ボクはそんな理由で生まれてきたんじゃない。
ボクは、人殺しの道具じゃない。ボクも、他の黒魔道士のみんなだって。
生まれてきた意味を考えるのって、よく分からなくて頭がこんがらがってくるけど、これだけはハッキリ言える。

「ガイアで、テラで……好き勝手に暴れて、皆を苦しめて……もういい加減にしてよっ!!」
クジャなんかに、生まれてきた意味を決められてたまるもんか!
ボクは、ボクなんだ!クジャの勝手になんかさせるものか!!

少しだけ、間があった。
ボクの声が、狭い船室の中で飛空挺のエンジン音にかき消されるのに充分なくらいの。
「――良かった……」
天井を仰いで、クジャがそうつぶやく。
それがボクには芝居がかった仕草に見えて、なんだか無性に腹が立ったんだ。
「何が良かったって言うのっ!?ふざけないでっ!!」
ボクの言葉を聞こうともせず、クジャは顔を覆った手を自分の頭の後ろへもっていった。
「君は、君のままだった……安心したよ。ようやくね」
しゅるりとバンダナみたいな額を隠していた布をほどく。
クジャのおでこには、ボクの左手に描かれているのと似たような……
ルーン文字が描かれていたんだ。

「……何の真似?」
封印を解いた、とかそういうことのような気がしたんだ。
狭い船室だから、デルフがあるボクの方がやや有利な空間。
でも、クジャの船だから罠を前もってしかけてあるかもしれない。
油断しないようにボクはあらゆる感覚を研ぎ澄ませた。

そうすると、本当に色々と感じる。
木と鋼でできた船室の床の継ぎ目、エンジンが回ることによってできる振動、
誰かが動いてきしむ床の音……

「この地の始祖とやらは、僕には『知恵』を、君には『勇気』を与えたらしいね。
 ……その『勇気』をほんの一欠片だけ分けてもらいたい」
それと、クジャの付けた香水の匂い。
薄いけども、鼻にまとわりつくような花の香り。
ボクはクジャを睨みつけた。
デルフの間合いにクジャがいる。
変な動きをすれば、いつでも間違いなく斬りかかれるように、そう備えた。

そんなボクの動きを見て、クジャは少しだけ口の端っこを歪ませて笑った。
悲しそうに?いや、気のせい。それかきっと演技だろう。相手はクジャだ。油断しちゃいけない。
「今から、ちょっとした告白をする。
 気に食わなかったり、耳障りだったら……そのまま斬り捨ててくれ」
元からそのつもりだ。言われなくても分かっている。
「……」
でも変だと思ったんだ。
あまりにも、あまりにも無防備なクジャの様子が。
だから、まずは聞くことにした。
構えは解くことは無いように、油断しないようにして。

「――君も薄々感づいているとは思うけど……僕達は、一度死んだ」
「……うん、知ってる」
それは、知っている。
ボクは間違いなく、死んだ。
みんなともっと一緒に冒険したかった。でも、別れの時って間違いなく来る。
ボクは、ガイアで間違いなく死んだんだ……

「――何の因果か、死んだはずの僕達はこの世界に黄泉帰った……召喚獣のような形でね!
 僕は、君より3年前に喚ばれた。僕に良く似た、世界を恨んで、憎んで、壊したいほど愛していた男にね……」
そうだ。ボクはルイズおねえちゃんに召喚されたんだ。使い魔として。
でもまさかクジャもそうだったなんて考えもしなかったんだ。
世界を壊したいほど恨んで、憎んで?
……そんな歪んでいる感情のために、ガイアのみんなが、黒魔道士のみんなが苦しんだんだと思うと、やるせなくなる。

「僕がどれだけ喜んだことか分かるかい?もう一度、生きれるんだ!という喜びだよ?
 僕は全てに、君達に負けて……滅ぶべき運命を受け入れるしか無かったというのに……」
……少しだけ、共感できてしまうのが悔しい。
死ぬ前に、何度思ってしまったんだろう。まだ生きてられたら、もう少し生きてられたらって。
どこへ行こう。何をしよう。時間を気にしないでそんなことが考えられたらなって。
だから、このハルケギニアに呼ばれたことが、本当に……嬉しかったんだ。

「もう後悔はしたく無かった。だから、決めたのさ。
 もう一度生まれたことに意味を、そう、君のように意味を見つけてやろうってね」
「ボク……みたいに?」
クジャの言っている意味が分からない。
クジャは思うがままに、感情のままに暴れていたという記憶しか無いからだ。
ボクにとってのクジャは、とんでも無く悪いヤツで、絶対に許せないヤツで……

「君は――この愚かな僕が生み出した存在。
 この僕と同じ、短く限りのある作られた命」
このボクを、作った男……
悲しいけど、これは変えることができない事実だ。
今言われて気付いたんだけど、クジャもボクと同じように作られた存在だったっけ。
皮肉だなって、ちょっと思ったんだ。
クジャはボクや他の黒魔道士を人殺しの道具として作り上げた。
でも、そのクジャ自身だって、自分の生みの親に破壊の道具として作られたんだ。
……ボクと同じように、短く限りある命を与えられて……

「なのに、君は……僕と違って、悩まなかった。苦しまなかった。前へ進んだ。
 君は、僕と違って……とても強かった」
クジャが自分の寿命を知ってしまったときのことを思い出す。
一つの世界を滅ぼすぐらいの、魔力の嵐。
怒りや悲しみの全てを自分以外の誰かにぶつけるように、クジャは狂って暴れた。
クジャは受け入れることが、できなかったから。自分が死ぬっていうことに。
いつか別れがくることに耐えられなかったから。

「そんな……ことない」
でも、ボクが別に死ぬってことを受け入れたわけじゃない。
やっぱり、死ぬことは怖くて、耐えられそうに無くて、一人ぼっちになりそうで……
ただ、みんながいたから前に進めた。それだけなんだ、と思う。

「君や、君の仲間みたいになりたくて、必死だったよ!できる限りのことはしたつもりさ。
 でもね、怖くなったんだ……君が召喚されたって聞いてね……」
「……ボク?」
クジャの身体が、少し震えているように見えた。
心なしか、顔が青白い。
……違う違う、きっと化粧のせいだ。騙されるもんか!
「考えたんだ。僕や、君が召喚された意味……
 1つ怖いことを考えてしまってね。笑うなよ?
 もしかしたら、僕が生まれたこと、それ自体が『罰』なんじゃないかなって思ってしまってね」
「……『罰』?」
生まれることが、『罰』?
そんなことって、ありえないと思うんだ。
生きることが『罰』なんて、そんな悲しいことが……

「僕が生まれたのは、君に殺されるため……
 何度も何度も生まれては、僕が作った存在に殺される……
 ふさわしいと思ってね。あの憎いガーランドを殺した罪人に与えられる、永遠の輪廻という罰さ」
「そんな……」
クジャを作った人……ガーランドっていう男は、クジャが殺した。
だから、ボクに殺され続けるのがクジャにとっての『罰』?
ボクが、クジャにとっての死神?
……馬鹿げている!
ボクは、そんなものになんて絶対なりたく……

「お笑いだろ?でも、罰を与えられても仕方が無いとは思ってたんだ。
 実際、この世界に来て僕ができたことはといえば、目的は違っても同じことばっかりだったからね!
 武器商人として暗躍したり、王様貴族に取り入ったり、魂の無い人形を作ったり……」
「っ お前!?やっぱり!!」
次の瞬間、デルフをクジャの額に突きつけていた。
少し、クジャの皮が切れて血がにじんで出る。
やっぱり、クジャはクジャだった。
ありとあらゆる汚いことをやって、戦争を巻き起こして、人殺しをして、みんなを苦しめる……
それがクジャなんだと思うと、頭の中まで真っ赤になりそうだった。

「仕方が無かったんだ!多くの命を救うために!奪ってしまった分を取り戻すために!
 精一杯の償いのつもりだったんだ!僕が今までしでかしたことへのね!」
クジャは自分に突きつけられたデルフを避けようともせず、
自分から滴り落ちる血をぬぐおうともせず、『償い』という言葉を言った。
奪ってしまった分を、取り戻す?
……そんなこと、できないほど、奪ってしまったというのに……
ボクはそう思ったけど、一緒にこうも思ったんだ。
(じゃぁ、どうやったら償えるの?)って……

「――でも、結局僕の手は血塗られているようだ……また、多くを苦しめて、傷つけた。
 ウェールズ王子だって、僕が救わなきゃ苦しまずにすんだのにね。
 いや、救えなくても一緒か。僕は笑えるほど無力だ……そうだろ?笑ってくれよ……」
笑うことなんて、できやしなかった。
ウェールズ王子の言葉を信じるなら、王子さまは間違いなくクジャに助けられた。
迫るレコン・キスタの軍勢の中、死体の代わりにウェールズ王子と瓜二つの人形を置いて、
王子様の方は他のアルビオン軍の人達と同じように鎧ゴーレムの中に隠して逃げたんだって……

でも、そんなことをしても、ガイアの戦争で死んだみんなは戻ってこない。
苦しんだ黒魔道士のみんなは救われない……
でもでも、そのことを非難しても、何になるっていうんだろう。
ボクはそのみんなのために、何ができるというの?
あぁ、なんだかボクの頭の中がこんがらがってくる……

「――必死に、仮面を被った。『死神』と呼ばれた昔馴染のね。
 演じていなければ、また『生きられなくなる』って恐怖に耐えられなかったからさ……」
ボクを自分を殺す『死神』って思っていたクジャがそう言う。
許せない。許さない。
そう思っていた。
でも、どうして?ボクはクジャのことを理解してしまうんだろう。
分かりたくないのに、分かってしまうんだろう。
クジャもボクも……結局は似ていたってことに……

「結局、僕は君のように強くなれなかった。死ぬことが怖いただの臆病者なのさ……」
ボクは、強くない。
クジャと同じように、死ぬのが怖い。
死ぬのは嫌だし、誰かが死ぬのを見るのも嫌だ。
……ただ、仲間がいたかいなかったかの違いだったんだ、とそう思う。
クジャとボクを分けたのは、それだけだったんだって……


「ミョズの兄ちゃんよぉ?まぁ~、顔ふけや。折角の男前が台無しだぜ?」
少しの間の沈黙を破ったのは、デルフだった。
それに引きずられるように、ボクは質問をすることにした。
「……クジャ、そういうことをボクに言って、どうしたいの?」
自分の弱さをこうも言うクジャなんて、今まで想像もできなかったから。

「――すまない。君の前なら、僕の心を打ち明けても良いって思えてね……
 不思議なものだろ?僕の愚行を知っているのは、この世界では君ぐらいのものなんだから」
額の血を、巻いていたバンダナでふき取りながら、クジャが椅子から立ち上がる。
「……それで?」
デルフを下げながら、ボクはそれを見ていた。
クジャのしたことを許すつもりはない。許さない。
でも、今は、デルフを向けるべきときじゃない。なんとなく、そう思ったから……

「これで少し楽になったし、君が僕の『死神』なんかではなく、僕の憧れた君自身であるということが分かった……
 だから、協力して欲しいんだ。その『勇気』を、僕に貸してくれないか?」
さっきまでの泣きそうな顔や、
今まで見たことのある人を小馬鹿にしたようなニヤニヤ笑いじゃなくて、
スッとした真剣な表情で、クジャが言ったんだ。
ボクをまっすぐに見て。

「……誰かを苦しめたり、傷つけることならいやだ!そんなことをするなら、お前を許せない……」
それだけは、絶対だ。
そんなことをするぐらいなら、ボクはクジャの望んでいるとおりにクジャの『死神』になってやる。

「――大丈夫さ。この手の届く範囲を、守りたい。それだけの目的なんだ。
 少々、ポケットに入りきらないぐらい、手の届く範囲を広げてしまったけどね。
 あとは、最終舞台だけ……協力、頼めないか?」
でも、クジャに協力する?
……それはどうなんだろう……
「……ボクは……」
決心が、つかなかった。
第一、クジャが何をやりたいのかがまだ見えてこない。
そこに軽々しく協力する、なんて言えるわけが……

「――相棒?ミョズの兄ちゃん?ちょーいと、話の腰折るんだけどよ?」
「……え?」
「何だい?」
デルフに顔を向ける。
デルフは相変わらず呑気そうな声でカラカラ笑っていた。
「ちょーいと、窓の外によぉ……ちーっと思いもかけてねー野郎が……」
デルフに言われて、船室の丸窓を見る。
窓の外って言っても、さっきと同じように真っ暗な空が広がっているだけで……
「……?……!?え!?」
「おやおや……これはこれは珍客が」

空以外のものが、間違いなくそこにあった。

「――やと、気付いテくレタ……」
「ぎ、ギーシュぅっ!?」
鼻水を垂らして、泣きそうな表情のギーシュが。
サラサラのはずの金髪がボッサボサになってしまっているギーシュが。
窓の外から張りつくようにこっちを見ていた。
「寒イかラ……早グ入レて、びビ君……」
なんで……なんでギーシュがこんなところにいるの?


ピコン
ATE ~ざわめく森~

空中大陸アルビオン、そのウェストウッド村はいたって平和だった。
それは今宵も同様であり、
子供たちのすやすやという寝息が虫の音と合わさって聞こえるだけの、
極めて平穏な夜であった。

そんな中、ただ一人が、別の音を聞きつけて寝床から出てきていた。

「何かしら……?」
禁忌である自分の耳を隠そうともせず、薄手の布に豊満な体を包んだ少女。
存在自体が禁忌である王族とエルフの間の子、ティファニアである。
既に宵闇の刻。
今日も今日とて熱心に働き、疲れているはずなのに寝付かれなかった。

「ざわめいている……?」
木々が風にゆれてざわめく。ただそれだけ。
それだけであるのに、何かが妙だと彼女は感じていた。
顔も知らぬ母から受け継いだ尖ったその耳が、その声を聞いていた。
「何?これ?何なの?」
何とも形容しがたい、風の音とは異なる音。
呻き声?喘ぎ声?それとも叫び声?
風に乗ったわけではなく、風を起こしながら、それらの音が不協和音のように重なって耳に届く
「……気持ち悪い……」
自然、口をおさえるティファニア。
魔法の才は『虚無』の呪文である記憶消去に関する物しか覚えておらぬ身ではあるが、
彼女の潜在的な感覚の鋭さが、その不快感を何倍にもしていた。

何かが、何か良からぬことがこの森の外で起こりはじめている。
そう彼女に感じさせるには過分すぎるほどの音色であった。

「――っ誰!?」
口を押さえながら、暗がりにそれを問う。
藪の中、暗闇の奥の底、そこに人影が確かに見えた。
村の子供であってくれ、とそう願う。嫌な予感が治まらない。
明らかにその影はティファニアの身体よりも背が高く、
大人の男性が存在しないこの村にはあり得ない姿であった。
「……ね、姉さんたすけ――」
踵をかえし、逃げようとする。
『忘却』の呪文を相手にかけようにも、このような暗がりでは困難と判断したためだ。
何より、気分の悪い音がまだ続いている。
その音から逃げるように、姉の名を呼ぼうとした。
あいにくクジャの仕事でここ数日は外に出ている姉の名を……

2歩、3歩。
それ以上の逃走は許されなかった。
「――ぐむっ!?」
風よりも早く、その影はティファニアを襲った。
黒いローブを着込み、顔の見えぬその影は。

「――最後の1ピース、確かに手に入れた」
くぐもった男の声で、そう呟く黒き影。
月光にティファニアの金髪が揺れる。
その身体を、だらりと男の腕の中で投げ出して。

木々がざわめく、いたって平和な夜だった。

今、このときまでは。


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