あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

カオスヒーローが使い魔-02


「コルベール先生、私はやはり留年ですか・・・?」
ルイズは崖っぷちに立たされている。
「難しいですね。一応召喚には成功していますし、彼も今のところ暴れる気は無い。
しかし、使い魔にはならないと言っている。こんな事は初めてです。私の裁量では
決められません。オールドオスマンに指示を仰がねばなりませんね。」
コルベールとしても可愛い教え子を留年させたくはない。失敗続きのルイズが召喚に
成功し、とんでもなく強力な魔人を召喚したのだ。本来なら褒め称えるべき事なのだ。
「ミスタ・カオスヒーロー。ここは一先ず、お互いの情報交換をするべきだと思います。
我々はお互いの事をもっとよく知るべきです。申し訳ないが学院までご足労願えますか?」
「いいぜ。どうやらここは本当に東京じゃないみたいだしな。また金剛神界みたいな所に
飛ばされちまったようだし。話ぐらいは聞いてやるよ。」
その言葉を聴いたコルベールは深い感謝の意を示した。
「何よ、強いからって偉そうに。」
その光景を見たルイズは腕を組み、ぷんすか怒っていた。自分が召喚したのに契約を拒否された
のだから怒るのも無理も無い。だが無理矢理契約をしようものなら斬り殺されるだろう。
どうにかしてあの魔人を自分の使い魔に!
「ルイズ、やめたほうがいいわ」
その考えを知ってか知らずかキュルケが声をかけてきた。
「どう考えてもあの魔人は人の手に負えるものじゃないわ。」
「うるさいわね!誰がアンタの言う事なんか聞くもんですか!」
この二人、犬猿の仲である。まぁ仕掛けるのはいつもキュルケの方からなのだが。
さらにタバサもルイズに声をかけてきた。
「あんな強力な魔人、召喚された例なんて聞いたこと無い。従えた人間の話も聞いたこと無い。
ルイズ、貴女は凄い。」
滅多にタバサが褒める事なんて無いので二人とも驚いた。
「ま、まぁね。私だっていつまでも無力でいるつもりは無いわ。」
「さぁみなさん!色々ありましたが一度解散します。自分の召喚した使い魔と親睦を深めてください」
コルベールの言葉を合図に生徒達は解散した。その光景を魔人は少し驚いてみる。
「空を飛べるのか。」
「ミスタ・カオスヒーローは空を飛べないので?」
「翼がないからな。そんな魔法も使えねぇ。」
「では我々は歩いて帰りましょう。」
「ルイズって言ったか。お前も飛べるのか?」
ルイズはムスッとしながら魔人を見て
「飛べない」
としか言わなかった。魔人もそうかとしか答えなかった。魔人は飛べないから弱いとは考えていない。
戦う時は確かに不利だが、空を飛べる悪魔と何度も戦い勝ってきた。だから別に絶対飛びたいとは
考えていない。
だがルイズは魔人の考えなど知る由もない。そっけない態度から小ばかにされたと受け取ってしまった。

歩きながら三人はお互いの世界について話し合っていた。魔人の元いた世界の話を聞いた二人はその内容に
絶句してしまった。天使と呼ばれる神の軍団とそれに対抗する魔王達の軍団。2つの勢力の戦争で栄華を
誇っていた街並みが一瞬で荒野になったり、敵対するものを排除するために世界が洪水にのまれたり。
「信じられません・・・」
「人間の住む世界じゃないわ・・・」
想像を絶する世界から来た魔人に対してさらに畏怖の感情が高まった二人。
「まぁ弱い奴は死ぬだけよ」
それが当たり前といわんばかりの魔人。そんな彼はこの世界の話を聞いて少し興味が沸いて来た。魔法を
使える貴族による支配。使えない平民は労働階級に。法と秩序の世界だ。彼と敵対していた勢力の望んだ
世界が一つの形としてここにある。気に食わないが、見物していくのも悪くない。
召喚されるのは初めてだが、異世界に来たのは経験済みだ。
その事もあってどこか余裕を持っている魔人だった。

魔法学院トリステインに到着した三人はそのまま学院長であるオールドオスマンのいる部屋に直行した。
ヨーロッパの城を感じさせる造りに、魔人は見入っていた。人間だったころ、写真やテレビでこんな感じ
の建物は何度か見たが、中に入って見たことなど無い。まだ残っていた好奇心を刺激されキョロキョロしな
がら歩いていた。
「なに見てんのよ。そんなに珍しい?」
「あぁ、珍しいな。俺がいた世界にもこんな建物はあったが、きっともうぶっ壊れて一つも残っちゃいねぇ
だろうしな。」
学院長の部屋は塔の最上階にあるが、その前に別室で待たされる事になった。コルベールは先に行って事情を説明し、
ルイズは授業があるのでそこで別れた。
「待たされるのは好きじゃないが、しばらく大人しくしてやるか」
ソファにドカッと腰をかけ、両手を大きく広げて背もたれにまわし、足を思いっきり伸ばして天井を仰ぐ。
この世界にも召喚術があった。アイツも悪魔どもを召喚して戦わせていたな。召喚する方法は違うがやらせることは
こちらの世界でも似たようなもんだろう。自分じゃ出来ないから誰かにやらせるんだ。非力な連中だぜ。

「お待たせしました。ミスタ・カオスヒーロー、ご案内します。」
メガネをかけエメラルドグリーンの髪をした美人の女性が現れた。知的な感じがするが裏の顔もありそうだ。
その姿を見た魔人はヒュ~っと口笛を吹いて答える。向こうの世界でも美人はいたが、こっちの美人も悪くない。
しかし、髪の毛がどうしてこんなに派手な奴ばっかりなんだ?
ドアの前まで案内されると女は「失礼します」といってどこかに行ってしまった。

「最初が肝心だ。舐められちゃいけねぇ。」
そういうと魔人はドアの向こうにいる人物に向かってとんでもない殺気を放ち、中の様子を伺った。
中にいたオールドオスマンとコルベールは心臓が止まるほどのプレッシャーを感じ取った。ドアを開ける前に
斬り殺されそうな空気。二人とも沈黙し、額を汗が流れ落ちる。
「長生きはしてみるもんじゃな。半信半疑だったがこれは嫌でも信じるわい、コルベール」
「百聞は一見にしかず。私の言ったとおりでしょう」

コルベールの話には尾ひれがついていると思っていたオールドオスマン。これほど強力な者を長い人生
で見たことなどない。まさに神話クラスの力ではないか。
「ところでわしら、何か機嫌を損ねる事でもしたのかのう?次の瞬間に首と胴体が離れそうな気がするんじゃ」
「なめられない様に威圧しとくってところでしょうか・・・」
「威圧ってレベルの殺気じゃないぞこれは。お~い、わしらお前さんの実力はよ~くわかった!だから
そろそろやめてくれんか~?」
ドアの向こうにいるであろう人物に向かって声をかける。コルベールも視線はドアに向けられたままだ。
やがて殺気は収まり、ドアノブがカチャリと音を立てて回った。たったそれだけの事なのに二人とも息を殺して
ドアが開くのを待つ。キィ~、という古びた音と一緒にドアがゆっくり開く。そして開ききったドアの先に
殺気の主、魔人カオスヒーローの鬼気迫る姿が、無い。

「・・・?」
何が起こったのかわからない。しばし呆然と誰もいない空間を見つめていると、
「どこ見てんだよ」
オールドオスマンの左後ろから声がした。
バッと振り返ると腰に手を当て、立っている魔人がいた。
「・・・驚かさんでくれ、心臓が止まるかと思ったわい。」
「ちょっとしたサプライズだ。楽しめたろ?」
「お願いですからやめて下さい、貴方がやると洒落にならない。」
すでに二人は体の震えが止まらない状態だった。
「とっくにわかっていると思うが、俺をなめると命が無いぜ。それを踏まえて話をしろ。いいな?」
「肝に銘じておこう」
汗をぬぐいながらオスマンが答える。全く、ミス・ヴァリエールはとんでもない奴を召喚してくれたのぅ。
そう思いながら冷や冷やしていた。
「まず俺がどうして召喚されたのか、そこから詳しく話せ。さっきそこのコルベールから大体聞いたが
確認しておきたい事もあるしな。」
「わかった。君が呼ばれたのは・・・」

魔法学院トリステインで毎年行われる春の使い魔召喚の儀。これを生徒達は行い、一生従う自分の使い魔を召喚
する。召喚される者は様々で、竜なんかも呼ばれる事もある。そして必ず共通しているのは「ハルケギニア」の
住人だという事。異界の住人が呼ばれるケースは聞いたことが無い。
そして召喚された者は主と契約を交わし、一生を主とともに生きていく。

「ありがとよ。大体わかってきたぜ」
「信じがたいが、やはり君は別世界の住人の様じゃな。ハルケギニアでトーキョーという国や、カテドラルという
海に浮かぶ巨大な建物も無い。そもそも一瞬で世界が荒野になったり、大洪水にのまれたといった歴史がこちら
には無いのでな。」
「俺の世界も学校で魔法は教えてくれなかったぜ。貴族は大昔にいたがな。」
「そして、言いにくいことなんじゃが」
「何だ?」
「貴方が元いた世界に帰る方法です・・・」
二人ともうつむいて中々切り出さない。その様子を見て一つの予感が魔人の中で生まれた。
「言ってみろよ」
「残念じゃが、召喚した者を元の場所に返す術は、無い」
この魔人に嘘をついてもしょうがない。むしろ嘘をついた場合、問答無用で殺されかねない。いや、この答えを
口にした瞬間殺される気もした。それでもオールドオスマンは正直に答えた。
「そうか、なら自力で帰るだけだ。」
意外にも魔人はあっさりと聞き入れた。
「お、怒らないのですか?」コルベールが恐る恐る尋ねる。
「想定の範囲内って奴だ。さっき召喚された者は一生、主と生きていくって言ったろ?となればわざわざ追い返す
術なんて誰が使うんだ?」
「その通りじゃ。しかし、無いからといって諦めることは出来ん。術が無いのなら探せばいいのじゃ。」
「いい事言うじゃねぇか爺さん。」
「では、それまでの間学院に居てくれんか?出来れば君を召喚したルイズの使い」
「俺は自分より弱い奴のパシリになる気はねぇぜ」

即答である。しかも空気が重くなり始めている。
「だが、あいつは見所がある。今ならカオス属性になれるな・・・」
「何の事じゃ?」
「こっちの話だ。何度も言うが使い魔にはならねぇよ。まぁ俺より強くなったら話は別だが。」
それは絶対無理だろうとコルベールが心の中で突っ込む。
「要するにガキのお守りをすればいいんだろ?本来なら冗談じゃねぇ。お断りだ。ってとこなんだが、特別だ。
契約はしねぇがな。」
「いやいや、それでも一向に構わんよ。その間はこちらで生活面の援助をするということでいかがかな?」
「期間は俺が帰るまでだ。それから俺が帰る方法をちゃんとてめーら探しておけよ。当然俺も自力で探すが。」
「では決まりですね。それと一つお願いがあります。」
コルベールが真剣な顔つきになって魔人の前に立つ。そして両手を合わせてこういった。
「生徒達はまだまだ未熟です。あなたの逆鱗に触れる事もあるでしょう。そんな生徒は私共で対処します。
ですから、どうか・・・」
魔人の前でコルベールは跪いた。
「生徒を傷つけないでください!」
コルベールは祈る。懇願する。神にも等しい存在に、太刀打ちする事すら敵わない。ならばもう、彼の取れる
手段はこれしかなかった。だがしかし、この行為は逆に魔人の怒りを買ってしまう事になるなど誰が考え付く
ものか。

「ふざけるな!何だそれは!戦いもせずに相手に媚び、ご機嫌をとるとはどういうことだ!?そうじゃねぇだろ!
てめぇが真っ先にする事は、てめぇの大事な物を守るために強くなる事だろ!それを放棄して俺に媚びるんじゃ
ねぇ!祈るな!すがるな!そんな暇があったら少しは強くなったらどうなんだ!?それともそれがこの世界の、
魔法が使える貴族様のやり方か!!どうなんだ!!答えろ!!」

オールドオスマンもコルベールも反論できなかった。魔人の言葉が胸に突き刺さる。
「痛いところを突かれるわい。」
「お恥ずかしい限りです。」
「けっ、これだから弱い奴はキライだぜ。」
舌打ちする魔人。
「まぁ俺も最初からこの力を持ってたわけじゃねぇ。偉そうな事言っちまったな。」
気まずくなってしまった空気を感じ、部屋から出ようとする。出る間際に
「俺は快楽殺人鬼じゃねぇ。売られたケンカは買うけどな。」
そう言って歩いて出て行った。残された二人は顔を見合わせる。
「コルベール。」
「はい。」
「一日でも早く彼を元の世界に戻す方法を探せ。死人が出る前にな。そしてこれがもっとも大事な事じゃ。
お互い、強くならねばならんのぅ。」
最後の方はオールドオスマンの口元が緩んでいるようにコルベールは見えた。なぜかコルベールも少し微笑んでいた。
「えぇ、本当に。憧れすら感じますよ」

学院長の部屋をでて本塔を降りた魔人は大事な事に気がついた。
「やべぇ、俺の部屋はどこだ・・・?」意外と間抜けであった。
空を見ると夕焼けがはじまっていた。何年ぶりだろうか、こんな赤い空を見るのは。東京に居た時はいつも曇って
いたし、空を見る余裕もなかった。見ても何も感じなかっただろう。そんな感情も捨てたと思っていた。
だが今はこうして空を眺めているのも悪くないと思ったのだ。
「どうかしてるぜ・・・これも異世界の影響って奴か?」
さらにぐるっと空をみて「なるほど、やっぱり異世界じゃねぇか。」とつぶやいた。
東京では絶対に見ることの出来ない光景。二つの月が暗い空に浮かび始めていた。

「待ってろよ。すぐに戻って決着をつけてやるからな」
魔人の決意は固い。



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