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ゼロの戦闘妖精-06


Misson 06「全系統使用不可」(中編)

「ブワッハッハッハッハッハッハッハ・・・・・」
王都の上空を飛ぶ 青い風竜 シルフィード。その背中から響く 大爆笑。
発生源はキュルケだった。
「そ そりゃあアンタは ヴァリエール家の三女なんだから、『妹キャラ』で間違いは無いけど、
 だからと言って アレは無いわ~。」
多分 ルイズの影響だろうけど、キュルケとルイズは何時 エロゲーの話なんてしたんだろうか?
「・・・自爆テロ。
 自分のダメージの方が 大。」
タバサも いつも通りに本を読んでいるように見えるが、肩が微妙に震えている。 
笑いを堪えているのが丸分かりである。
「きゅいきゅい そんなに面白いモノ シルフィも見たかったのね~!」
「見世物じゃな~いっ!
 私だって、好きであんな事したワケじゃないんだってはぁ~!!
 ワルド様と会うの、十年ぶりだったし、小さかった頃は ああいう風に呼んでたんだモン!!!
 ・・・私も それなりに成長してるんだし、
 昔通りの呼び方でないと 私だってコト、判ってもらえないかもしれないじゃない!」
真っ赤になって言い返すルイズ。その『胸元』を じ~っと見つめて、タバサがポツリと呟く。
「・・・大丈夫。
 たぶん、ほとんど変わってない。」
ルイズ、何が『変わってない』のか 気付くまでに数秒。
「タァ~バァ~サァァァ~
 あっ、貴女にだけは 言われたくないわ~!」
「ふ~ん。じゃ、アタシならイイんだ。」
ユサユサと、巨乳を強調して見せるキュルケ。
「アンタもダメェー!!」
この三人娘が、後の戦役で『三軍神』と並び称されるようになろうとは、誰が予想できただろう・・・
「ところで 娘ッ子よう、『相棒』は、一体何処にいるんでぃ。」

王都トリスタニア ブルドンネ街。
衛士 警備兵 住民等が共同で、宝飾店襲撃事件からの復旧を進めていた。
放心状態で立ち尽くす、グリフォン隊隊長 ワルド子爵を除いて。

人々が 噂する。
「『アレ』も、ワルド隊長の『コレ』かい?」
「『酒場 酒場に、オンナあり』とは聞いてたが、まさか学生までとはネェ。」
「あの人 どっちかってぇと『熟女趣味』のハズじゃなかったっけ?」
「守備範囲 広ぇなぁ。そこにシビれる 憧れるぅう!」
「いや、さすがに『幼女』はマズかろう。」
「ろ。」「ロ。」「絽。」「魯。」「露。」「呂。」・・・
「あの制服とマントの色からすると、魔法学院の高等部二年だな。」
「それなら、セーフじゃね?」
「淫行条例って 何歳までだっけ?」
「実年齢が幾つだろうと、見た目がアレじゃ やっぱり、『アウトォ~!』でしょ。」
ワルド隊長、日頃から『遊び人』の風評もあった為 致命傷には至らないが、『ロリコン』認定は もはや確定的だった。
(あぁ ルイズ。久しぶりに君に逢えて、僕も嬉しかったよ・・・
 だけど、僕の『社会的立場』ってモノも 少し考慮してくれたら良かったんだけどね~。)

「御頭ぁー」遠方から声が掛かる。
逃走したワイバーンを追っていた 配下の者が戻ってきたようだ。
「ハァ ハァ・・・
 逃げました賊の一味は、サジマ様の隊が皆捕縛いたしました。
 ただ・・・」
「どうした?」
「はい。実は、賊のワイバーンが これまた足が速く、あやうく逃げられるところでしたが、
 そこに 竜ともガーゴイルともつかない奇妙なモノが飛来して ワイバーンを牽制、
 我等が追い付いたのを見届けると 何処かへと去っていったのです。
 盗賊共が仲間割れでもしたのでございましょうか?」
「そいつぁ妙だな?
 確かに あの盗賊一味は、今日店を襲った連中だけじゃなく、裏に もっと大きな組織があるのは間違いない。
 だが、ヘタを打った手下を始末するのならまだしも、我等に捕えさせて 何の意味がある?」
「さぁ? 御頭がお判りにならないものが、私などに判るはずもないではありませんか!」
「おいおい、そんなモン 堂々と胸を張って言うことかよ。
 で、『ガーゴイルもどき』って奴は どんな代物だった?」
「それが その~・・・ あんまりにも速く飛ぶもので 細かい事は判らんのですよ。
 私の遥か上を カン高い鳴き声を発しながら追い越して 賊のワイバーンに向かって急降下、
 あとはもう 鷹が鳩でも嬲るように あの獰猛な黒ワイバーンを翻弄していったんですから、トンデモない化物です。
 他に判ったのは、黒っぽい体色で 黒ワイバーンよりも二周りは大きかった事と、背中にヒトを乗せては居なかった事くらいですかね。
 まぁ あの速さじゃ、とても人間など乗っちゃいられませんて。振り落とされるのがオチです。
 グリフォンで追うのは 不可能です。風竜だって追い付けるかどうかって速さなんですから。」
「そうか。それ程のものであるなら、放っても置けんな。
 ユーゴ、お前は引き続き その『妙なガーゴイル』の探索に当たれ。」
「はっ!
 …ところで、何やら街中で 人目も憚らずに御頭に抱きついたオナゴがいたとか?」
「えぇい ユーゴ、早く行かんかぁ!」

かつて 魔法衛士隊の一つ『マンティコア隊』は、隊長である『烈風』カリンの元、「鉄の規律」を誇ったという。
対して ワルド率いる『グリフォン隊』は、別名『魔法愚連隊』…戦闘行動中はともかく、平時には 隊長に対する敬意も畏れも全くなし。
(なんで 僕の隊は、こんな連中ばっかり揃っちまったんだろう?)
隊長、間違いなく御自分のせいです!

元々のグリフォン隊は、他の魔法衛士隊同様「貴族らしい貴族」の隊員で構成されていた。
決して弱い訳ではなかったが、伝統や礼節を重んじるあまり 楽に勝てる筈の戦いを危うくすることもあった。
ワルド隊長に代替わりしてからは、新入隊員の傾向にに明らかな変化がおきた。
将来を悲観してグレた 下級貴族の三男や四男、三度の飯より喧嘩好きな奴、家出息子に放浪青年。
他の部隊で 上官をぶん殴ってクビになった馬鹿、普段は大人しいが 杖を握ると性格が一変する危険人物。
そんな「実力主義」「腕はイイが、問題も抱えた」連中が増えていった。もちろん ワルドの肝いりである。
で、部下を引き連れ「夜間見回り」と称して毎晩のように盛り場へ繰り出す。「悪所通い」も数知れず。
加えて、グリフォン隊には、犯罪捜査の為 元・罪人の「密偵」が多数出入りするようになった。
そうやって「朱に交われば」普通の隊員ですら「赤くなる」のは 当然と言えよう。こうして「貴族らしからぬ猛者達」の群れが出来上がったのである。 
市民 平民からの人気は絶大な「グリフォン隊」だが、王宮で役職を持つような上級貴族達からの評価は低い。密かに ワルドはそれを気にしていた。

ヴァリエール公爵との出会い。それは ワルドの人生を変えるものだった。
十数年前 ワルド少年は、道端の草むらに寝込んでいた 酔っ払いのオヤジを介抱した。
助けるつもりなど毛頭無く、懐のもの いや身包み剥いで放り出すはずだった。
しかし 酔っ払いの正体が、国でも一二を争う大貴族様と判り、チンピラ少年窃盗団は ビビって手が出せなくなってしまった。
仕方なく 御屋敷まで送り届ける道すがら、戦死したワルドの父が、公爵の戦友であった事が判明する。
気を良くした公爵は ワルドを屋敷内に招き入れて、家族にまで紹介してくれた。
その後は 親戚同様の付き合いとなり、ワルドの現状が判って来ると 公爵は、半ば強制的にワルドをグリフォン隊に放り込んだ。
厳しい訓練の日々が続き、実家にも帰れなかったが、その間ワルドの母は 公爵家お抱えの水メイジから 手厚い治療を受けていた。
それから数年、治療の甲斐なく母は亡くなったが、「明日をも知れぬ命」と言われていた事を思えば 安らかな最後であった。
そして ワルド自身も 若手ながらグリフォン隊の中核をなすまでになり、その頃には すっかりヴァリエール公爵の飲み仲間にもなっていた。
ただ 公爵様、結構 酒癖が悪い。
宮中での魑魅魍魎との論戦に加え、夫人との関係(注:夫婦喧嘩になると、必ず負ける!)もあって ストレスが堪っているらしい。 
ある日の宴の席で、かなり出来上がった公爵様が ワルドに言った。
「ウチの娘は、嫁に行く気があるのやら無いのやら、どーも良く判らん!
 長女は男勝りの学者バカ、次女は 自分の体が弱いのを気にしてか 浮いた噂の一つも無い。
 三女は いまだ魔法の一つも使えん不出来な娘じゃが、ど~かねワルド君、誰か一人 貰ってやってくれまいか?!」
「ヴァリエール公、御戯れが過ぎます!
 大体が、奥方様譲りのエレオノール様のご気性 僕如きが御せるものがどうか、経験者の貴方様が一番良く御存知でしょう。
 カトレア様も、分家とはいえ御立派な土地の領主様。痩せ猫の額程の領地しか持たぬ僕では、とても釣り合いが取れません。」
「ほほう、ならば ルイズなら良いということじゃな。」
「ちょっ、あの娘は、まだ五つか六つ…!」
「貴族同士の婚約なぞ、どこでもそんなもんじゃい。
 それとも、おぬし ルイズが嫌いか?ルイズじゃ不服か?ん~!」
まったく、権力のある酔っ払いほど タチの悪いモノは無い。
公爵はワルドとサシで飲んでいたわけではない。宴の場にいた他の客達が目撃証人となってしまった。
酔った上での発言とはいえ 無かった事には出来ない。こうして なし崩しに婚約は成立した。
だが、酔っ払いの理不尽は こんなもんでは終わらない。
「な~に、ルイズは君に懐いておる。イヤだと言うハズもなかろう。
 あとは、君が ワシの眼鏡に叶うオトコになれるかどうかだな!
 並大抵のオトコじゃ ワシは納得せんぞ~!
 そんなヤツに、ワシの娘は嫁にやら~んっ!」
ちょっと前まで、「貰ってくれ」と言っていた当人が、今度は「条件を満たさなきゃ 認めん!」というのだから、言われた方は たまったモンじゃない。
公爵は、それだけ言って潰れてしまったので、どんなオトコが「眼鏡に叶う」のか、具体的なところは判らない。
しかし 律儀なワルドは、その事をず~っと覚えていた。

ワルドの中では ルイズの存在は『かわいい妹』だった。エレオノールやカトレアと違い、性的な対象として意識した事はなかった。
しかし 今日再会した少女は、子供から女性への 変化の兆しを見せていた。すなわち 結婚可能な状態への カウントダウンに入ったと言う事だ。
そして、ルイズは…
「わたしたちの将来のことで、大事な話があるの。
 今は お仕事中みたいだから、夕方 隊舎の方へうかがいます。
 だから、待っていてくださいね!」
それだけ言って、恥ずかしそうに走り去って行った。

(将来のこと・・・? 大事な話・・・?)
ソレってやっぱり、『婚約』の話だよなぁ。
ルイズのあの様子からして、彼女に『嫌われた』って事は無さそうだが、御父上は どうなんだ?
魔法衛士隊隊長ってのは、公爵様から見て どの程度の評価なんだろう。 
僕は『眼鏡に叶った』んだろうか? それとも『婚約破棄』? 
いやいや、そう言えばエレオノール様の婚約が 破談になったんだとか。それでなのか?
にしても早い、まだ早い!
ルイズが嫌いなんじゃない。あと2~3年もすれば、あの娘はきっと化ける。
腰はくびれ、胸は・・・・・・姉上様二人がああだしなぁ、確率二分の一ってとこか。
それに、彼女には あの可能性も。
どうにも 胸中穏やかならぬ ワルドだった。

所変わって、街外れ。駐機された雪風の脇に舞い降りるシルフィード。
「おい、嬢ちゃん・・・まさかたぁ思うが、
 ひょっとして・・・これかぁ?」
デルフリンガーが 情けない声で問い掛ける。
信じられない。だが 上から はっきり見てしまった。左翼にデカデカと刻まれた ルーンマークを。
「そう。これが 私の『雪風』。アンタの言う『相棒』よ。」
「嘘だろ、でなきゃ なんかの間違ぇだ!
 ガンダールヴってもんは、人間か亜人と相場が決まってるんだよ!
 こんな 手も足もねぇようなヤツが『相棒』だっていうんなら、
 俺は・・・俺は いったいどうすりぁいいんでぃ!」
いや 一応、着陸「脚」はあるんだけどね。
「大丈夫よデルフ。
 さすがに 振り回すのは無理だけど、雪風は ちゃんと貴方を持てるようにしてあげるわ。
 その為には『基地』でちょっとした作業をしなくちゃならないけど。
 そーいう訳だから、キュルケ タバサ、悪いけど先に帰るわね。」
デルフリンガーを後部座席に放り込み、ルイズは雪風を発進させた。

「なぁ嬢ちゃん。」
「デルフ、私の事は『御主人様』って呼びなさい。百歩譲って『ルイズ様』でもイイわ。」
「悪ぃが、ヒトの顔や名前を覚えんのは苦手でね。で、『嬢ちゃん』」
「なによ、『ボケ剣』」
「俺ぁ これでも魔法剣だからよ、自分と肌ぁ合わせた武器は、威力やら何やら 大抵の事は判っちまうんだが・・・
 『相棒』って、メチャクチャ強くね?」
「理解してくれて嬉しいわ、デルフ。
 そう 雪風の能力を判っているのは、私達だけ。
 キュルケもタバサも コルベール先生さえ、まだ知らないわ。雪風の 本当の凄さを。」
「だがなー。なんで今回の相棒だけ、他と全然違うのかネェ?
 今までの六千年、一度だってこんな事ぁ無かったぜ。」
「・・・雪風は 特別。 
 伝説の使い魔 ガンダールヴっていうだけじゃない、何か特別な存在。そんな気がするの。
 そして、その理由も たぶん私は知っている。 知っているのに思い出せない・・・
 認めたくないけど、その辺は ボケて物忘れが酷い貴方と あんまり変わらないのよ。」
「まぁ、あせらずゆっくり思い出すんだな。
 俺っちの記憶だって、必要になれば思い出すさ。 嬢ちゃんも おんなじだ。
 今は 『その時』じゃないって事だろうよ。」

トリステイン魔法学院 召喚場に作られた雪風用ハンガー。その前に駐機すると、ルイズは奥から 台車に乗せた工具類とパーツを運び出した。
そして 左翼のミサイル一基を下ろして 代わりに何かのパーツを取り付けた。
学院総務課の『親方』に紹介してもらった職人に依頼して作らせたもので、ミサイル発射装置に連動して開閉する 万力状の部品だ。
雪風が 装置の開閉テストを行う。問題なし。これなら、デルフリンガーを固定出来そうだ。
「さあ デルフ、雪風に『手』を作ってあげたわ。」
そう言ってデルフリンガーを鞘から抜き、開閉パーツで翼下にセットする。
「ありがとよ、嬢ちゃん。これなら一応 相棒に『握って』もらってるってことだよな。」
「暫定的だけど、此処が貴方の『指定席』よ。
 貴方 『魔法吸収』っていう凄い特技があるらしいから、そのうち機首の方に移動してもらうつもりだけどね。
 対魔法防御は 雪風にとって重要よ。デルフ、当てにしてイイ?」
「おうよ、任せとけっ! っても、せいぜいトライアングルの呪文までだぜ。スクエアクラスは 流石に無理だ。」
「充分よ。さて 一旦降ろすわね。
 そしたら今度は 馬で出掛けるから、私と一緒に来てもらうわよ。」
「忙しいこったな。で、何処へ行くんでぇ?」
「魔法衛士隊 グリフォン隊の隊舎まで!」

もう暫くで 夕日も地平に沈もうかという頃合。
グリフォン隊隊舎の玄関は、檻の中の熊よろしく落ち着かない様子のワルド隊長と それを影から見物する大勢の隊員達で一杯だった。
『本日夕刻、ウワサの美少女が来舎予定!』の情報は、速攻で全隊員に知れ渡っていた。
こんな面白いイベント 見逃すワケにはいかないと、非番や休暇中の者まで出勤してくる始末。
玄関だけではない。収まりきらなかった隊員は、食堂や会議室に 偵察用の『簡易型遠見の鏡』を持ち込んだり 自分の使い魔を潜入させて『絆』で見ようとしたり、仕事以

上の熱心さで対応していた。
やがて 『待ち人』は現れた。
門番に声をかけ、使用人に馬を預け、練兵場を真っ直ぐ突っ切ってくる。
魔法学院の制服。ウェーブの懸かった ピンクブロンドのロングヘア。小柄な少女。
隠れている(つもりの)ギャラリーは、心の中で「おぉ~!」と歓声を上げた。
実に可愛い女の子だった。だが、昼間の目撃情報で言われていた『ロリ系』の印象は薄い。
背筋を伸ばし 精一杯に胸を張り 堂々と歩いてくる。
小さな身体に不釣合いな 大きな剣を背負っているが、それすら「似合っている」と思わせる程だった。
そして 玄関前で深呼吸をして 堂々と言った。 
「ヴァリエール公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、
 グリフォン隊隊長、ジャン・ジャック・ド・ワルド子爵様に 面会に伺いました。
 お取次ぎを願います。」

「昼間は 申し訳ありませんでした。
 もう 十年ぶりになりますか?お会いできた事が ただ嬉しくて、つい 昔に戻った様な錯覚を起こしてしまいました。」
応接室に通されたルイズ。城下での再会時とは うって変わって、年頃の貴族令嬢に相応しい立ち居振る舞いだった。
「僕の方こそ、仕事を理由に 随分とご無沙汰をしてしまって 申し訳なく思ってるんだよ。
 そうか、もう十年にもなるのか・・・ ルイズ、君も変わったけど 僕も変わったろ?」
「いいえ ワルド様は、昔からほとんど変わっていらっしゃいませんわ。私 一目で判りましたもの。
 その髭も、確かあの頃から伸ばし始めたんですよね。」長く濃い顎鬚は ワルドのトレードマークである。
「ああ、僕は童顔だからね。こうでもしないと 賊に舐められてしまうのさ。」
ちなみに、ワルドが一人称『僕』を使うのは 素の自分に戻っているとき。 配下の隊員の前では『私』、犯罪者には『ワシ』を使う事が多い。
「どうだい、学校の方は? マントの色からすると 進級できたみたいだね。」
「お恥ずかしい話ですが、魔法については 昔と余り変わりません。失敗して 爆発ばかりさせています。
 学校でも 魔法を成功させた例の無い『ゼロ』と言う二つ名、いえ 蔑称で呼ばれております。
 でも、先日 初めて魔法を成功させる事が出来ました。使い魔の『召喚』と『契約』です。」
「おめでとう、ルイズ!
 な~に もう大丈夫さ。一度コツさえ掴んでしまえば あとはスイスイと、」
「いえ、その後は またパッタリと使えなくなりました・・・」
「・・・すまない。
 だけど 僕は信じてるよ。君には素晴らしい才能がある。目覚めるのが、ちょっと遅いだけさ!」
「いいんです。自分の事は 自分が一番判っています。
 魔法を諦めるつもりはありませんが、今現在 魔法が使えないことは事実です。
 でも、魔法が使えない代わりに 私は、素晴しい使い魔 『雪風』を得ました。
 種属こそ違え、こちらの皆様のグリフォンと同じ 空中戦を得意とする『戦闘種』です。
 治安が乱れ 戦争も噂される昨今、私も 使い魔の持つ力を、民の為 国の為に生かしたく思います。
 何卒 私と『雪風』を、グリフォン隊に入隊させてください!
 ・・・本日は、それをお願いにあがりました。」
ルイズは、ワルドに向かって 深々と頭を下げた。

(なんだ。『将来のこと』ってのは、『結婚』じゃなかったのか。)
安堵の溜息をつくと同時に ちょっと残念なワルド隊長。 男心も 結構複雑である。
ルイズの目的が『入隊』だというのには驚いたが、同様な入隊希望の売り込みには慣れている。対応は お手のものだ。
「ルイズ、君のその心がけは、貴族として大変立派だと思うよ。
 だが、僕達の仕事は、それだけじゃダメなんだ。
 暴れる盗賊を抑え付けられる『力』、刃向かう殺し屋を斬り殺せる『力』、実際に戦える力が必要だ。
 学校へ帰って 身体を鍛えるんだ。卒業するまでには きっと魔法も使えるようになるさ。そうしたら もう一度此処へおいで。
 グリフォン隊は『実力主義』。女性でも子供でも、それだけを理由に拒んだりはしない。ただし 『実力』があることが条件だけどね。」
「ならば、私と雪風の実力、お試しになっていただきます。
 まずは、こちらの剣を お改めください。」
テーブルの上に置かれるデルフ。
「隊長さんよ。一目見て この嬢ちゃんの『実力』を見抜けねぇようじゃ、まだまだ若いな。」
驚くワルド。「ルイズ これは…」
「はい、これなる剣『デルフリンガー』は、魔法剣『インテリジェンスソード』です。
 縁あって、私の所有となりましたが、トリステイン国内でも数本あるかどうかの珍しき剣。これを目印といたします。」
「で、何をするつもりだい?」
 にっこり笑うルイズ。いままでにも何度かあった、悪巧みをするときの笑顔。
「今夜 こちらの練兵場の真ん中に、この剣「デルフリンガー」を突き立てに参ります。
 もちろん 待ち受けているであろう 隊の皆様方の攻撃を乗り越えてのことです。
 『無謀』と思われるかもしれません。『何を馬鹿な事を』と仰るかも知れません。
 それでも 私は信じています。我が使い魔 雪風は、『空戦無敵』だと。」
「ルイズ、それは グリフォン隊への『宣戦布告』と思ってイイのかい?」
「はい。その代わり、もし 成し遂げられました時には。」
「判っているよ。それほどの力があるというなら、君を認めよう。
 だが、僕の部隊 甘くは無いよ!」
やにわに立ち上がる ワルド。そして 吼えた。
「おい、ここを覗いている者供。聞いての通りだ!
 よいか これはヴァリエール嬢と我等の真剣勝負。今夜は徹夜で 虫一匹入れぬ警戒を取れ!
 小娘一人捕えられんで、国の守りが勤まると思うか。
 トリステイン最強部隊の誇りに掛けて、必ず勝利せよ!」
すると、それに応えて、隊舎のあちこちから「ウオォォォ~~~!」という雄叫びが響き渡った。
隊長の一声で、グリフォン隊は臨戦体制に入ったようだ。
「これは、気を引き締めてかからねばならないようですね。それでは、失礼させていただききます。」
「ところでルイズ、何故 今日ここまで馬で来たんだい?
 君の自慢の使い魔、一目見ておきたかったんだが。」
「だからですよ、隊長。
 ワタクシ これから戦う相手に 勝負の前から手の内を明かす程、バカでも自信家でもございませんので。」
(なるほど、こいつはちょっと梃子摺るかもしれんな。)ワルドは ルイズに対する認識を少し改めた。

「嬢ちゃん、あんた面白ぇ~よ!流石『相棒』の御主人様だ。
 あのグリフォン隊に、正面切ってケンカ売るなんざ、どんな肝の据わった大泥棒だって そうそう出来るこっちゃねぇ。」
学院への帰路、背中のデルフはゴキゲンだった。
「あれくらい 大した事じゃないわ。私達姉妹は、もっと恐ろしいモノを見て育ったんだから。
 で そのグリフォン隊だけど、デルフ 貴方から見て どうだった?」
「あぁ イイ部隊だぜ ありゃ。
 あそこにゃ堅っ苦しさがねぇ。だから 隊の全員が 自分の持てる力を存分に発揮できるハズだ。
 代わりに規律もへったくれもねぇだろうが、隊長の号令で 精強な兵士に一変しちまった。
 あのヒゲの兄ちゃん、若ぇのに よくもあんだけの部隊を育て上げたもんだぜ!」
「そうよ。トリステイン軍の中で、雪風の力を生かせるのは あそこしかない。
 だから、どうしても負けるわけにはいかないわ!」
「なに言ってやがる。負けるだなんて、これっぽっちも考えてねぇくせに。
 さっき自分で言ってたじゃねぇか。相棒に敵うヤツなんざ 何処にもいねぇって。」
「バレたか。でも、今回 勝利を決定付けるのは 貴方の役目だからね、頼んだわよ。」
「任せな、ビシっと決めてやるぜ!」

一方 グリフォン隊では、ルイズ迎撃の準備が進められる中で 自分または親戚の子供が魔法学院生の隊員が、隊長から事情聴取を受けていた。
「誰か 子供等から『ヴァリエール嬢の使い魔』について 話を聞いた者はおらんか?」
「なんでも、『鳥のゴーレム』だとか。」
「いや、『変なガーゴイル』と聞きましたが」
ガーゴイルと言われ、ワルドは昼間探索を命じた『妙なガーゴイル』の事が、一瞬 頭に浮かんだ。
「ウチの娘が 先日 乗せてもらったそうですが、なにやら、大変な人気らしいですな。
 予約を取ろうにも、三ヶ月待ちだとか。」
「はぁ?」
「その『雪風』とかいう使い魔に乗って、夜空でデートすると さながら星々の世界にいるが如く『ろまんちっく』だそうで。」
「そうそう。私の甥っ子も、カノジョに「乗りたい!」とせがまれてるが 料金が高くて手が出ないと 親に小遣い値上げを訴えてましたな。」
学生カップルに大人気と聞かされ、ワルドの持つ『謎の使い魔』のイメージは、『ピンク色の カワイイ何か』になってしまった。
(僕は、そんなモノと 一戦交えなきゃならんのか・・・)
ワルドは 気力が10下がった。 

逆に ルイズは気合十分だった。だが、冷静さは失っていない。
「給油 終了。デルフリンガー セット完了。エンジン及び電子系 オールグリーン。」
声を上げて 最終チェックを読み上げる。ハンガー前からタキシング、滑走路端で一時停止。
スーパーフェニックス Mk.XIが、ゆっくりとパワーを上げていく。
(行くわよ デルフ、雪風!)
〔応よ!〕
《RDY》
放たれた矢の様に飛び立つFRX-00。目指すは『グリフォン隊』!

           〈続く〉 

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