あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

zeropon!-12


第12話

さよなら傭兵さん

キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーにとって、
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは親友である。
他人が否定し、相手が否定しようとも知ったこっちゃなく彼女にとっては親友である。
最も恥ずかしくて本人に面と向かって言ったことはないが。
キュルケには友人が少ない。
言い寄る男は数多くいる。しかし彼らの目に映るのは、
キュルケではなくゲルマニアである。
トリステインとゲルマニア、国家間の婚姻が成された際、
ゲルマニアに有用なコネがあれば、その分だけ有利な地位が得られる。
キュルケはトリステインの男貴族にとって、とても魅力的な『駒』であった。
見え透いた魂胆。だからキュルケはその男達に、適当に付き合い、適当に貢がせていた。
そんなキュルケを面白く思わないのは、トリステインの女貴族である。
『ちやほやされていい気になっている』『ゲルマニアの淫売』などなど、浅ましい陰口を叩く彼女達に辟易していた。
だから唯一の話相手といえば同じ留学生のタバサであった。
入学して一週間、トリステインの貴族を早々に見限っていた彼女はふと思い出した。
ヴァリエール。そう、ツェルプストー家と多少、因縁があるトリステインの公爵家。
その三女が入学していたはずだと。
そして彼女が目的のものを探し、見つけたとき、そこにいてのは最も貴族から遠く、しかし、
キュルケが会ったどのトリステインの貴族よりも高貴な貴族がいた。
日々『ゼロ』と蔑まれようとも、貴族の証である魔法が使えなくとも、
しかし顔を上げ胸を張り、気高く生きるその心。その心が誰よりも貴族らしかった。
キュルケは思った、彼女と友達になりたいと。ちょっかいを出して彼女と遊んでいた?彼女。
あのフーケとの戦い以来、ルイズは彼女の心の大切な一かけらとなっていた。
ならば、ならばである。その大切なルイズを害とそうという輩を彼女が許すはずもなかった。
彼女はその口元に『微熱』の二つ名にふさわしい、柔らかな微笑を浮かべ、
その身を焦がす怒りを杖に込め、呪を紡ぐ。それは、大きく、熱く、まばゆい光を放つ火球。
ただのファイヤーボールなのだが、メデンが渡した『炎の杖』の力も相成って、それは最早、小さな太陽。
それをキュルケは放つ。情けも容赦もない。躊躇いもない。ただひたすらな静かな怒りを込めて。
「とりにくうううううううううかえせえええええええ!!」
…あんまりルイズとは関係ない激烈な怒りを込めて。
轟音、爆音なんでもござれ、吹き飛ぶ傭兵。飛び散る傭兵。
キュルケの火炎は容赦なく傭兵をなぎ倒す。そんななか、
かろうじて避けて脇道に入った傭兵達もいた。
「なんなんだありゃ!トライアングル、いやスクウェアクラスのメイジじゃねえか?!」
「畜生!こんなの聞いてねえ!」
「聞いてない、つまり聞いた人間がいるということか」
「だ、だれだ!」
脇道の暗がり。4人の傭兵の背後から現れたのは、巨大な目玉。


「ひい!?」
「な、こいつがあいつの言ってた奴か?」
一斉にその手に持つサーベルや、槍を向ける傭兵。
に、対して目玉ことジョン・ドウはその巨大な鋼鉄の腕をすうっと上げるのみ。
「来い、若いの。少し遊んでやろう」
余裕のよっちゃんで構えるジョン・ドウ。
「くそったれええええ!」
「死ねやっ!」
まずは二人。槍を突き出し、剣を振りかぶる。が、突き出された槍はジョン・ドウが手の甲で
柄をいなしそのまま脇に抱えられる。そしてそのまま右から剣を振り下ろそうといしていた男のほうに
槍を振る。自然、槍を持った男の体は振りかぶられたサーベルの前へ。
「うぎゃ?!」
近すぎてサーベルの刃ではなく柄で殴られる槍の男。そのままジョン・ドウが軽く押しつつ槍を放すと、
二人の男はもつれ合ってもんどりうつ。
「二人同時に攻撃する場合は前後からだ。同一方向からでは同時の意味がない」
「おおおおおおおっ!!」
講釈すらするジョン・ドウに次は大斧を持った大男がその剛力を叩きつけようと斧を振り上げる。
しかしついっと一瞬で間合いを詰めたジョン・ドウ。それに対応できず近すぎて大斧をふりおろすこともできない男。
密着したジョン・ドウが男の顎を手のひらで突き上げる。ふわりと浮いた大男。
ジョン・ドウはそのままその顔をガシリと掴み、頭から地面に叩きつける。
「うわああ!ば、化け物め!」
最後の一人。その男が構えるのは最新型の携帯式の火銃。ジョン・ドウとの間は僅かに2メイル。
外しようのない距離。しかしジョン・ドウはその余裕を崩さない。
「ひ、ひひひ。こ、こいつでぶっ殺してやる!」
「慣れない武器を使ってるな新兵?セーフティが掛かったままだぞ?」
しまった!男はそう思った。確かにこの武器は二日前に買ったものだ。買ったときに使い方を習い、
確実にセーフティをはずすように言われてたのに!。男は慌てて自分の銃を見る。が。
「な、なんだ。ちゃ、ちゃんと外れてるじゃねえか」
「そうか、ならいいんだ」
ひたり、と銃を持つその手に重ねられた巨大な鋼鉄の手。
「あひい?!」
なにをどうしたものかくるりと男の体は一回転。
軽い衝撃と共に気付けば背中が地面についている。
「職を代えるんだな、若いの」
振り下ろされる鋼鉄の腕は石畳を砕き散らす。
しかし、男の頭はまだ原型を留めていた。振り下ろされた拳は男の顔の横にあったからだ。
不殺。それがジョン・ドウのポリシーであった。
「な、なんじゃこりゃあああ?!」
「こ、こいつ目玉野郎だ!いたぞおおおお!目玉がいたぞおお!」
「目玉目玉と失礼な。うじゃうじゃと出てきおって」


ジョン・ドウがうんざりした様子で手を壁につける。
路地の奥からはぞろぞろと傭兵が現れてきていた。
「あんまりスマートなやり方じゃあないんだが」
ジョン・ドウがむん、と力を込めると手を置く壁が砕け散る。
ロボポンたるジョン・ドウの本領は攻城戦における障害物の除去である。
民家の壁などそれこそ薄皮のようなもの。砕け散った壁は無数の破片になり、
その中の大きな破片をジョン・ドウが持つ。そして振りかぶり、
投げる。
瓦礫は砲弾となり一直線、群がる傭兵を直撃はしないが、着弾の衝撃と、
それによって生まれた破片だけでも十分な威力を持っていた。
撒き散る傭兵、フライング傭兵。
最早、これまでと逃げ出す傭兵もいた。いたことはいたのだが、
「はしばみ草」
その一言ともに吹き荒れるは地獄の吹雪。刹那の間を置かずに哀れ傭兵達は氷漬けにされていく。
そんな彼らの前には青髪の少女がいた。青髪の少女は微笑んでいた。
微笑んでいるのだ。普段から表情を見せない彼女が微笑んでいるのだ。
知らぬものが見ればそれは天使の微笑であろう。しかし彼女を知るKさんはこういう。
「あのときのタバサの顔に浮かんでいたのは間違いなく、狂気の笑みだったわ…」
と。
輝く傭兵、凍てつく傭兵。
あつめられた傭兵、140。無事に朝日を拝めたものはいなかった。


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