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秋山異世界物語 天気晴朗ナレドモ風強シ(仮)-07


「はぁ……なんで僕が砲兵の隊長なんだ、もっとこう騎馬兵とか竜騎兵とか、最低でも歩兵とかさ」
「まあまあ私達も、アキヤマ殿に言われていきなり砲を操れなんて言われましたからね、仕方ないです」

場所はタルブ、アルビオンに近く広い平原を持つ場所といえば、ここが最適だった。
現時点、製作所をフル稼働させてはいるものの弾は少ない、120発の弾はとにかく保存し、そこからどんどん作られる弾は訓練用に回された。
とはいえ5日後には既に決戦である、こんだけ少ない訓練が何になるのか。
そもそも何故、こんな手遅れとも言える時に訓練なのか。
弾が無いからとしか言いようがない、普通の砲弾を空中に向けたって、訓練にはならない。
当時の日本もだが、この国も、貧乏国、宿命であろう。
砲身を無駄に消費しないよう、一門だけ訓練に回される。
秋山の観察の元、訓練は開始される、正直訓練と言えるかどうかははなはだ疑問であるが。

何故ただの一生徒である、ギーシュが砲の訓練にまわっているかには、色々説明がいる。
「トリステインの生み出した砲をトリステインの人が指揮し、アルビオン艦隊に打撃を与えた」と、言う事を国内に報告する準備。
なら、何故もっと老練な者を使わないか。
トリステインに柔軟な頭を持った将校・士官が少ないのだ。
外国の人を扱うのには、やはり凝り固まっていない頭を持っているものを使った方が良い。
そして、戦争の事を何も知らない、これが一番大事だ。
「私は何でも知ってるから、お前の意見はいらない」という奴を上に持つと、下の優秀な奴等が自由に息をできなくなってしまう。
それなら「私はそこら辺知らないから、その意見を入れよう」という奴の方が、下も働き安いだろう。
それに、ギーシュはグラモン家の子で父は元帥、やはり道が揃えば子も同じように軍への道へ進む事になるであろう。
なら、今のうちに経験させるのも、未来のトリステインの国防にも関わってくるのではないか。
枢機卿は、そう踏んだのである。
実質の所、この世界では砲に対する関心が薄く、引き受けてくれる人がいなかったのが大方である。

秋山はまず、この砲の命中力が低い事を予測していた。
故に、赤い球をレビテーションで浮かせて、砲から300m離した。
まず、用意された訓練弾は12発、2発は榴弾、その他は実体弾である。

まず3発撃つまでの時間計測を始める。
もちろん狙いも定める。

「風、左微風!仰角70、右に7調整!」

アルビオン空海軍の兵員達は、その通りに1門の砲を調整。

「火薬装填後に砲弾装填。弾種、実体弾!」

1人の兵が台に乗り、火薬の入った円柱紙を下にいる兵から受けとり、身長に砲身の中に投入する。
次に円錐形の弾を装填、金属と金属の擦れる音がした。
1人がすぐさま台から飛び降り、砲の後ろ側にまわる。
それを見ると同時に空海軍中尉は手を振り上げて、下ろした。

「発射!」

点火、後に射出。
当たる事なんて無い、距離が近いとは言え、それでもライフリングすら無い砲に当てる事を望む事事態酷なのだ。

「目標より左におおよそ7メートル、下に2メートルの誤差!」

ここからが勝負。

「仰角更に4増し、右に13調整!」

砲の後ろに回っていた兵がまた台に上ると、さっきとおなじ動作をする。

「装填完了!」

1人が叫んだ、それを聞き終えると同時に中尉は。

「発射!」

ここまでの時間おおよそ14秒、予測スペックより2秒遅い。

「まぁ、十分じゃろう、が。やっぱし、精度が酷いの――!くーっ!」

次の弾は目標より右に4メートル、上に3メートル。
微妙に近づいてはいるが、弾道が安定しないのだ。
それに、風が微風だからこそ、ここまで近づいているが。
これが強風にでもなれば、絶望的である。
これでは1kmから2kmにいる上空の艦隊に当てるのは至難の業だろう。
やはり陸戦が決めになるか、秋山はそう予測した。
ただ、それでも相手の士気と兵を減らす為に、レキシントン号だけは潰さねばならない。
しかし、弾の数で圧倒する事も出来なければ、精度も悪い。
なら、陸で運用した方がいいのではないか。
それも考えたが、やはり陸上される前に出鼻を挫かなければ、勝てないのだ。

「まず、この兵器の威力を相手に実感させんと、相手は士気高々の状態で、占領そして士気向上の連鎖になってしまう、それはいかんのじゃ」

目標物からどれだけ離れたか、をメモして行く。
これだと単純な計算で行くと、1kmで18mの誤差、ここに砲弾の威力が弱くなり、風の影響を受けやすくなる為、18mの誤差なら精密射撃の粋だろう。
おおよそ誤差30mは覚悟した方が良い。

これだと、まず制空権は相手に取られるであろう、これは仕方ない。
なら、地上に砲を隠して、陸で兵を倒すしかない、しかし煙でばれるだろう。
なら、効果的な運用はフネが兵を降ろしている時を突くしかない。

考えられる策は。
第一に艦隊に向けて空中砲撃。
第二にフネから兵を降ろしている時に、艦隊からはずした大砲による集中砲撃。
第三砲撃停止と同時に混乱している兵に対し、自軍の攻勢、降伏を勧告。
第四応じずに、こちらの損害が酷くなれば遅滞戦闘。
第五体勢を整えて、再攻勢。

ここまですれば十分だろう。
相手の状況を見れば第三で作戦は終了すると思われる。
予定では……の話だ。
まず第一で損害を広げなければならない。
これ自体が運だ、レキシントンを撃沈できれば、大吉。
中破なら中吉、小破小吉、他艦艇を撃沈なら吉、全艦隊無傷は凶と言った所か。
とにかく出鼻を挫けなければ駄目なのだ。
運にしか頼れないのはとても、情けないが、しょうがない。
戦術なんてそんな物だが、どこでも。

「アキヤマさーん!」

遠くからこちらへ走ってくる人影、シエスタだ。

「凄い爆音ですね、皆びっくりしてますよー、それと昼食の時間です!」
「ん、おぉ、ありがたい」

訓練地(仮)から秋山場外。

「ちくしょう……なんで俺等はサンドイッチで、あいつは手料理なんだ……!」
「まぁ、麦生齧りとかよりはましですよ」

余談だが。
食料の無い軍隊ほど、悲しい物はないと言える。
特に日本は、日清から大東亜まで、食料に悩まされた事は多い。というか日清から日露は物資を運ぶのに適さない土地が多すぎたのが原因だが。
後者の場合は完璧に、輜重隊を編成してない事が問題だろう。
トリステインは平地が多い、補給はまったく問題ないだろう、味方にも、敵にも。
つまり攻め安く守り難い土地なのだ。アルビオンからは海を挟んでいても、空海軍戦力が違う。ゲルマニアと対するにも、平地が最前線、あっても森、山が無い。
ガリアからも同じ。丸裸にも程がある。
なら、外交力、有効な外交が出来る条件、各国に対する影響力、ならそれは軍事か経済力。
どちらを取るべきか。
トリステインなら経済力だろう。
秋山はそれを望んだ。

王宮内部。
現在王宮は情報漏洩を防ぐ為に、王宮にいる貴族全員を外に出す事を禁じている。
もし出る場合は、1人軍人をお供に行く事が原則になっている。
もちろんこれを無視して1人で外に出れば禁固刑である。
それと、お供の軍人達には、もし相手の貴族から賄賂を出されたら受け取る事を言った。
賄賂を貰った場合はその賄賂を出した貴族を王宮に密告しなければならない。
そうすれば、王宮の方からも、賄賂の分もお供役が手に入れる事が出来る。
裏切る事はまずないだろう。
そして、この25日間、竜騎士隊は警備、訓練と大忙しである。
王宮内の裏切り者が逃げた場合、これを追い、捕まえる事が出来なければこれを殺害せよ。
との任務もある。

何故ここまで気をつけるのか。
ただ単にアルビオンにこちらの動きが悟られたくないからである。
とはいえ、平民の間諜等もいる事は誰でも知っている。
主にそれは首都の周りにいる。
だから、それに対しての行動もしている。
まず、軍隊が訓練している事を隠す、主にタルブとか、他だだ広い土地を借りて、そこで訓練をする。
下手に間諜を始末すると、逆に怪しまれるからだ。
しかし、やはり自由を拘束されるのは嫌らしい。

「皆、不満ばかり、呆れちゃうわね」
「確かに……、裏切り者どもより、あれらの方が厄介ですな」
「自分すら安全なら良いなんて、貴族の誇りはどうなってしまったんでしょう」
「姫様、上に立つ者なら、不満を言わず、希望を良いなされ」

上に立つ者が、不満ばかり言うと下の者にも段々伝染していくのだ、マザリーニはそれを何度か見ている。

「希望、ですか。そうですね、平和ならそれ以外は要りません」
「その調子です」

マザリーニには一応希望があった、あの砲台の効果だけじゃなく。
秋山の作戦立案能力だった。
この20日間の間、武官や文官を集めて、会議をした、そこに一応秋山を呼んでみたのだが。
会議の収拾がつかめなくなった時、彼はいきなりトリステイン本土の地図を机の上に置きだすと、定規とコンパスを手に取り、大まかな作戦を言ってから。
それを理論的に説明していったのである。
ある武官が冗談みたいな作戦を、言った時。
周りは「そんな事する必要あるのか」と笑いながら言うのだが。
秋山は笑わず、それを真剣に聞いた後に。
それを一つ一つ理論的に解いて、効果的な作戦へと昇華させていくのである。
その会議にいる皆は、沈黙せざるを得なかった。

「マザリーニ」
「はい、何でしょう」
「後、5日でしたね」
「はい、そうです、5日後には、ゲルマニアに向かわずに、そのまま兵を率いて頂きます、そうですね、アキヤマを付ければ、まず負ける事はないでしょう」
「やはり、それほどまでにすごいですか?」
「私はこの生涯の中で、あれほどの天才を見た事がありません」
「それほどですか……。正直、私には凄さが分かりませんでした」
「まぁ、戦争と縁の深い姫などいないでしょう」

戦う姫、戦姫……細川ガラシャか、千姫、いや、後者は――。
余談がすぎた。


王宮から場面を戻す。

「そういえば、この村にはですね、私の無き曾祖父が持ってきた不思議なものがあるんですよ、見ますか?暇つぶし程度に」

この発言から始まった。
その時、歴史が動いた。

「こりゃ――」

この世界のものではない、深緑の胴体に、太陽のような日の丸が描かれている。
絶対にこの世界じゃ作れないような、技術が大量にある、所謂ブラックボックスである。

「こりゃ……烏型模型、か?忠八、これは飛行器か?飛行器なんじゃな!お前か!」

残念ながら、二宮忠八は……作れなかった。飛行器は、ライト兄弟によって初飛行が行われた。
これにより、忠八は、研究を断念してしまった。

「かー!ガイじゃのー、こりゃ、ガイじゃなー!ガラスをこんな曲げる事が出来るなんて!」
「知ってるんですか?これ」
「おう、しっとる、しっとるぞ!ほー、こりゃ銃器か、戦闘飛行器と言った所かな!やはり、戦争で使われるんじゃのー、悲しいのー、しかし、それ以上にガイじゃのー」
「で、それ、何ですか?」
「―――あぁ、シエスタ」
「は、はい?何でしょう」

ゼロ戦を各方面から見回した後に、まじまじとシエスタを見つめた。
何故かシエスタは頬を染める。

「そんなに見つめられると恥ずかしいです……」
「御見さん、曾祖父さんと同じ髪と瞳をもっとるじゃろ」
「は、はい、良く知ってますね?」
「こりゃ、多分わいらの所のもんじゃ、飛行器じゃ」
「飛行器……飛ぶんですか?」
「飛ぶ、が、もう飛べるか分からん」
「はぁ……曾祖父さんは、それを飛ばす事が出来なかったようですよ?」
「なら、燃料か、故障じゃろうな、にしても、こりゃ、ええのぉ」

と言ってから、零戦の胴体の日の丸を撫でた。


ルイズは授業を聞いていた、世界の時間にして一秒。
飛行器の歴史が、右目に移されていった。

ことごとく失敗している、羽ばたかせて飛ぼうとしたものは、羽が壊れた。
動力もないのに、飛ばそうとまでしている人もいた。
やっと飛んだ、皆が歓声を上げた。
そのニュースを見て、落胆してる人が何故か写った。

その飛行機は何か火を噴いている、すると、目の前にいた機体が火を出しながら落ちていく。
はやい、目で視認出来ない物があった。
人を大勢乗せて、飛んでいっていく物も写った。

一体何なのか理解できない、理解する前に忘れてしまう。
だけど慣れたのか全開ほどの不快感は無かった。
これが起こる原因が全く分からない。


それと同時に秋山もルーンが光ると同時に情報を受け取った。

零戦、飛行機だ。
自分が知るはずの無い機体、生産時期は、自分が暮らす時代の30年後。
だが、飛行機自体は何故かよく知っている。
これを触って知った?それとも自分が良く知っているのか?
じゃあなんで自分は知ってるのか。
関連がある気がする。
操作法も頭の中に入っていく。

「シエスタ」
「はい?」
「これ以外に曾祖父が持ってた物はあるじゃろか」
「ありますよ?ついてきてください」

ついていき、たどり着いた所は、その人の墓だった、その墓は他の白い墓じゃなく、石を削り出来た、変わった墓だった。
だが、これを秋山は知っている。

「これです、他にもこんなものとか」

ゴーグルだった、秋山はこれを知らない。
だが、しみじみとする。
理由は無い、ただ、故人の物を粗末に扱う事はしない。

「それと、この墓ですね、誰にもこの文字が読めないんですよ」

秋山は突然、その墓の前に膝立ちすると、墓を撫でながら呟いた。

「海軍少尉……佐々木武雄、異界に眠る」
「はい?」
「無念じゃなぁ……、なぁ、どこと戦争しとったんじゃ?日本はどうなっておった?戦争に明け暮れてたか?いかんなぁ……。今の日本はどうなってるんじゃ……。まさか、アメリカと戦争しとらんか?、天皇陛下はどうなっとる……」
「文字……読めるんですか?」
「あぁ、この人は、あしと同じとこ出身なんじゃ」
「道理で……、お父さんに、これが読める人がいたら、この竜の羽衣って奴を、その人にあげるように言われてたんですよ」
「ほうか」
「後曽祖父の遺言で、陛下にお返ししてくれと言ってたそうです」
「……ほうか。むしんじゃなぁ……、こんな地に……1人で」

秋山はすっくと、立ち上がると、ただただその場で敬礼をした。
それを少しの間、続けると。
シエスタのほうを向いた。

「用事が出来た、すまん。それと、あの飛行機、もらうぞな」
「どうぞ、それと、また来てください。私は、もう少し休暇がありますから」

墓の前から立ち去る、向かう場所は砲訓練地。
この零戦を運びたい、運びたいのだが、手段が無い。
フクロウかハトか、とにかく連絡できる物が欲しい。
そうなると、やはり貴族の出番だ。

「おぉ、おったおった」

秋山が砲訓練地に着いた。
その存在に気づいた瞬間、全員がこちらを向いて敬礼する。

「そのまま、そのまま」
「いかがしました?もう訓練は終わりました」
「ギーシュはおるか」
「ん、あぁ、アキヤマか、何かね?」
「お前、使い魔は?」
「ヴェルダンディかい?ここにいるけど」

ギーシュの足元にべったりくっついていた。
モグラである、宝石が好きだとかなんとか。

「む、そいつは速いか?」
「速さ?速さは土の中なら誰にも敵わないさ!」
「そうか、おつかいを頼んで欲しいんじゃが」
「僕のヴェルダンディはそんな――」
「いいから、いいから急用なんじゃ、な?ヴェルダンディ?」
「なんで、僕じゃなくてヴェルダンディに聞くんだ!?」

ヴェルダンディは一つ首を縦にふる。

「おぉ!やってくれるか、頼もしいのぉ!じゃあ、オスマン氏の所まで言って、とても大きな物を運びたかったら、どうすればよいかと聞いて来てくれんか!」
「ヴェルダンディがいいなら認めるしかないか……たはー」

ギーシュ肩を落として溜息。
ヴェルダンディは主人を余所目に要件を聞くと、すぐに学院まで土に潜り、高速で移動していった。

「はやいのー」
「そりゃ、僕のモグラだからね」

数時間、モグラは走る。
ヴェルダンディは運良く、学院内でモートソグニルを見つけた。
モートソグニルはそれを聞くと、すぐさまオスマンに伝える。

「ふむ、ふむ。アキヤマが、タルブで、大きな荷物を運びたがってる、か」

すぐに羊皮紙をとると、筆を走らせた。

「まぁ、まず王宮に竜騎士隊の応援を頼まんといかんな、金はまぁ学院持ちにでもしようか、どうせ王宮から来る資金で賄えるじゃろう」

さらさらーっと、手早く手紙を書き、包むと、ふくろうに持たせて、王宮へと向けて飛ばした。

「さて、ロングビル」
「なんでしょうか」
「野球拳でもしないかね」

ロングビル、微笑みながら、雄を蹴る。
最近は、戦争が起こりそうだとか、色々噂もあり、貴族が慌ててたりして。
盗みを働きにくくなっていた。
アルビオンにいるあの子が少し心配だった。
といっても、秘書自体給料は困らない額がある、生活を心配してるのではなく、戦火に巻き込まれないかどうかが不安要素だった。
もはや足を洗ったほうがいいんじゃないかと、最近思うようになる。
まず、ありえないが、私が捕まったらどうなるか、あの子は1人でやっていけるか。

そんな心配をよそに、秋山達の下に竜騎士隊が来るのはまた数時間掛かった。
短くも長くも無い時間だ。
結局費用は間接的にだが王室持ちになった。


「おー、かっこいいのー、あれが竜かー、中国の龍たぁちがうのお……見たことないけど」
「おい、お前がアキヤマだな!」
「あぁ、そうじゃ、荷物はこっちにある!」

着いて来いと身振りで示す、そしてタルブの村にある、龍の羽衣の所に行く。
これを最初に見た、竜騎士隊は「カヌーだとか」「何でこれを運ぶのか」とか。
色々不満をもらしていたが、既に金をもらえる手配がされているので、早速準備に取り掛かった。
金を貰えば仕事はする、ヨーロッパ人の特性と似ている所がある。
貧乏人に金をやれば命を賭けてでも仕事をすると思われる。
とにかく、竜騎士隊の連中は網をかけたり、その網から出る紐を括ったりと手早くすませると。
竜で竜の羽衣を持ち上げていく。

「どこまで持っていくんだ!」
「学院まで頼む!ついでにあしも乗せてくれんか!!」
「……まぁ、追加料金とればいいか」

複数いる竜のうち、指示をしている人の乗ってる竜が地についた。

「とっとと乗れ!」
「おー、ガイじゃなー」
「落ちてもしらんからな!」

これが学院に届けられた時、コルベールが興味津々に零戦を研究した事はいうまでも無い。


場面が大きく変わる。
ここはガリア、トリステインより10倍の国力を持った名実ともに大国である。
ただし、王は魔法がてんで出来ないジョゼフが収めている。
政治の手腕は、大臣等に任せている所がある為、国民もいたって普通の生活ができている。
軍事力に関しては物量、質ともにトリステインを現時点上回っているのが特徴である。
ただ、軍隊の中の貴族の率はトリステインより低く、忠誠も前陛下、つまりジョゼフの父だが、その人に対して忠誠を向けている人も多い。
つまり、人望が無いのが問題点なのだ。
そんなジョゼフはチェスのようなルールの、それを大きくした物で遊んでいた。
相手がいないため、たった一人で。
そんなジョゼフがそれで遊びながら横にある水晶から発せられる音に耳を傾けていた。
そこに写っているのは女性だった。
女性がなにやらトリステインとアルビオンの情勢を語っている、そして。
トリステイン王国の土地の細かい所まで、写生したものを水晶の前に出した。
どうやら間諜が書き出した物らしい、そこにはあの砲も写っていた、ドックの場所までもばれている。

「まぁ、まずトリステインは負けんだろうな」
「はい、アルビオンは敗れます、必ず」
「あー、まったく、アンドバリの指輪を取って、アルビオン新政府のトップにしてやったのに、骨折り損だなぁ、こんなんじゃ余興にもならん」

どうやらこの2人には先のビジョンが見えているらしい。

「まったくです、ま、予想はしていました、国民は新政府に協力的でなく、軍の中にも、実は王制派って輩も結構いるでしょう、これでは勝てません」
「だろうなぁ、さて、次の遊びはどうしたら良いと思う」

ジョゼフは耳だけを水晶に向け、前にあるフィールドと駒の用意された遊びをたった一人でやっていく。

「そうですね、このまま少しの間、アルビオンからトリステインに嫌がらせをさせて、そしてトリステインが絶対勝つって場面でガリアがレコン・キスタに―――」

手を顎にあてがって、突然その女性は少し考え始めた。

「ジョゼフ様」
「なんだね」

用意された遊びから一切、手を離そうとしない、たいした集中力である。

「遊び、余興は派手なほどよろしいでしょうか」
「そうだな、ぱぁーっとやってくれた方が楽しい」
「でしたら、トリステインを劇の主人公にさせましょう、役どころはやはり、いくらぼろぼろになりながらも国に対して刃を向ける勇者。
 我が国が魔王、どうでしょう」

ジョゼフが用意された遊びを終わらせ、水晶の方に体を向けた。

「よかろう、あの小国と小姫が、どこまで国を守りながら戦う事が出来るか、試してみるのも良いかも知れんな。良い案だ」
「もったいないお言葉」
「よいよい、では早速準備だ、これ以上に働いてもらうからな」
「了解です、早速レコン・キスタの弱点を開けてきます」
「うむ」

女性が水晶から消えると、水晶はただのガラスの球体になった。
そして女性は、レコン・キスタ統率者クロムウェルを見つけた。

「あ、これはこれは」

クロムウェルはこちらを見つけると軽いお辞儀をしながらこちらへ来た。

それをお辞儀も返さず。

「率直に言います、この城の下にある隠し港、あそこをもう一度開けなさい」
「え、何故です?」
「あそこはもしもの時の脱出ルートになるでしょう、説明はあまりいらないとおもいますが?」

眼光が鋭い、このような眼差しで見られたら、誰でも後じさるだろう。

「は、はぁ……ですが、あそこから敵が侵入する危険もありますが?」
「相手だって馬鹿じゃありません、そこの港を潰した事位誰でも了解しているとおもいます、そこの裏をつくのです」
「あぁ、なるほど、なるほど、もしもの時ですね、あなたはアルビオン新政府には関係が無いですものな、戦火が来るのが――」
「ぐだぐだ言わずに、とっとと許可を頂きたいのですが」
「あ、あぁ。はい、分かりました」
「よろしい、私が周辺の兵士に警備につく様、言って置きます」
「あぁ、そんな面倒な事は私が――」
「私がやります、居候の身ですから、ね」
「は、はい……」

どうもこのクロムウェルという人物、この女性に頭が上がらない。
何かあったか、はまた後で語る物とする。
潰した港の入り口の所には固定化のかかった扉、そこをあけると大きな土砂の壁、そこを錬金で固めて固定化、等
なかなか手の込んだ事をしている。
これでは隠れ港からの進入は全くできない。
どのような魔法を使ったとしても、ここを打ち破る事は出来ない、だが。
封じた方からなら、壊し方がある、この女性はそれを知っている。

「神の頭脳は、本当に役に立つわね――」

そう言った。後、爆発。
隠れ港と城を繋ぐ道を一撃で粉砕した。
もちろん少し城に振動が来る、衛兵達がすぐに来るが。
それらをすぐに持ち場に返す、数が多いので少し面倒臭い。

「後、する事は……、指輪が少し必要か。後、手紙も書かないと」

トリステインから数人の間諜がいた、まだ2・3人しか捕まえていないが、十分だった。
今クロムウェルが持ってる、アンドバリの指輪は、人を洗脳させる事が出来る効果がある。
後はこの間諜に手紙を持たせて、洗脳、すれば。
この偽情報を信じると思われる。

「ディテクトなんて無駄だし、飯に仕込むか、飲み水に仕込むか、迷うとこだけど、どうでもいいか」

既にジョゼフはこの小さな出来事に飽きた。
ならとっとと終わらせて、次の娯楽を始めれば良い。
だが、私の主人は、何をすれば隙間を埋めれるのか。
そんな事は考えても仕方ない、自分は彼の使い魔、彼の言う事を忠実に尽くせばいい。

「そうすれば……」

少し俯き、何故か頬を染める。

「いつか……」

先ほどまで、冷酷な眼をしていた、この女性が、今は少女のような瞳になっていた。
「ふふっ」と少し鼻を鳴らして気持ち軽い足取りで廊下を歩いていった。


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