あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのロリカード-46


 当然ながら、戦闘は呆気ないほどに終わった。
銃剣を使うまでもなく・・・・・・無手で佇むアンデルセン、周囲には倒れ伏す傭兵達。
顎を砕かれた男、肋骨が折れ肺に刺さる男、内臓が破裂しかけてる男、両腕が逆方向に折れ曲がっている男。
怪我一つなく、仮にあったとしても再生するアンデルセンとは、対照的な様相を呈していた。

「誰に雇われた?何が目的だ?」
アンデルセンはリーダー格らしい男の襟を掴んで持ち上げ、問い詰める。
男は「ひっ」と怯えた声を上げると、すぐに堰を切ったように喋りだす。
アンデルセンの恐怖が、心の髄まで染み込んでいた。
「も・・・・・・目的は知らねえ!」
アンデルセンは一切の嘘を見逃さず、且つ嘘をつかせぬよう、睨み付ける。

「本当なんだ!!い・・・・・・依頼人もよくわからねえ、ただあんたを足止めするように言われただけなんだ!」
傭兵は完全に萎縮していたが、それでも絞り出すように訴えた。
とにかく自分の命を長らえさせたい。死にたくない。その一心で。
(足止めだと・・・・・・?)

 ――――――その、丁度その瞬間だった。
凄まじいまでの大きな衝撃音と、土砂崩れするような音が響き渡る。
アンデルセンは男を放り捨て、弾かれたように振り向く。
音のした方向へと――――――自分がやって来た方向へと。
そして己が目を疑うよりも先に、アンデルセンは大地を踏み駆け出した。

 背の高い木々の合間に見える、無骨で巨大な塊。
森の景観を破壊する鉄の人型。
傭兵を相手にしていたとはいえ・・・・・・全く気付かなかった。
あれほど巨大なモノが、気配無く、音も無く、出現していたのだ。

(足止め・・・・・・つまり狙いはッ!!?)
アンデルセンは歯をギリと鳴らした。


「そんな・・・・・・わたしのゴーレムが・・・・・・」
あっという間だった。アンデルセンがいなくなり少し経った頃。
              ・ ・ ・ ・ ・
 いきなり家の屋根がはずされた。
鍋の蓋でも取るかのように、自分達がいた家の上半分がなくなっていた。
見上げれば一つ目の巨人。まるで人間が佇むかのように、圧倒的存在感を醸し出す。
片手には取り外された屋根を引っ掴んでいて、吟味するかのように家の中を覗き込んでいた。
あまりの非現実的な光景に、マチルダはすぐに思考が働かなかった。
ようやく気付いて意識を戻した時、既に後手に回っていた。

 目を凝らさないと見えないほどの細い糸が、ティファニアを捕らえると、瞬く間に巨人の肩へと運ばれた。
マチルダはエマを連れると、『フライ』で扉からではなく、無くなった天井部分から外へと避難する。
離脱後にエマに隠れるように言うと、すぐさまゴーレムを作り出す。
土が盛り上がり、巨人に負けず劣らずの大きさのゴーレムが生成された。
そしてすぐにティファニアを奪還しようと、動こうとしたその刹那。
――――――突如として、マチルダは浮遊感を味わった。

 一瞬で距離を詰めた巨人がその右ストレートで以て、マチルダの土ゴーレムを一撃で壊破したのである。
至近距離で巻き起こった轟音で耳がイカれそうになり、余波で体が吹っ飛ぶ。
ギリギリでレビテーションをかけ、なんとか着地するものの衝撃を完全になくすことは無理であった。
衝撃に咳き込みながら痛む体に鞭を打ち、顔を上げて巨人を見る・・・・・・改めて思考が凍結した。
上半身が砕かれて地面に倒れたマチルダのゴーレムは、コントロールを完全に失い、自壊して土へと戻る。

 マチルダの思考が少しずつ回復してくる。
自分のゴーレムより一回り小さくスリムなそれは、25メイルはあるだろうか。
だがその巨大なモノの、尋常ならざる速度は・・・・・・普通のゴーレムの比ではない。
鎧を纏っているにも拘わらず、本当に一瞬で間合いをゼロにしてきたのだった。


 悪夢を具現したような巨人に絶望した時、マチルダは知った顔を視界に捉えた。
巨人の肩に悠然と立ち、糸を垂らしているその男と目が合う。
ぐったりとして失神しているようだったティファニアを、片手で支えているその男。

 マチルダは記憶の中からその人物の名前を検索する。
ごく最近に会い知った・・・・・・その男の名を。
「!?・・・・・・シェフィールドォッ!!!」
その男に、シティオブサウスゴータの水源を案内した。
その男は、アンドバリの指輪を使って、連合軍を寝返らせた。
自分はその仕事を最後に、戦争から手を引いた。
その男とは、それっきり会っていない。しかし今ここにその青年がいた。

「久し振り、マチルダ・オブ・サウスゴータ。その説は世話になったね。
 何でここにいるのかはわからないけど・・・・・・まっいっか。
 そうそうちなみに、シェフィールドと言う偽名は捨てたから」

 名を捨てただの、くだらないお喋りに興味はない。
マチルダは真意を知るべく問い詰める。
「ティファニアを離しな!!こんなことをして、一体何が目的なんだい!!」
さらにマチルダは杖を構える。
鉄巨人相手にどこまで通用するかはわからない、けれどそれが己の出来る精一杯の抵抗。

「虚無の担い手たる彼女を僕の主人が欲していてね、だから頂いていく」
「なっ・・・・・・」
マチルダが「ふざけるな」と言おうとした瞬間、無数の銃剣が飛んだ。
ウォルターは自分に襲い掛かる銃剣の軌道を糸で逸らすと、笑みを浮かべた。
「あっぶないねェ~」
巨人もといヨルムンガントに命中した銃剣は、掛けられたカウンターによって跳ね返る。


 アンデルセンはその手応えに眉を顰める。
硬化テクタイト複合の強化ガラスすら、軽々と突き貫き通して破壊する銃剣の投擲を。
ただ単に鉄の塊を着込んだデカブツの表面に、痕一つついてないことに驚愕する。
「全く、人質に当たったらどうするんだか」
勿論アンデルセンほどの人物であれば、投擲をはずすことないことなどわかっている。
が、ウォルターは挑発を込めてそう言うと、次いで少女を支えていた手を放す。
気絶しているティファニアは、悲鳴をあげることなくヨルムンガントの上から落ちた。
「ッ!!」
「なっ!?」

 アンデルセンとマチルダはまともに声を出す間もなかった。
ウォルターは落下するティファニアを、左手で操る糸で肌に傷一つなく引き上げる。
そしてその行動によって生じさせた僅かな隙を見逃さずに突く。
瞬時に右手から伸びた糸が、アンデルセンへと絡みついた。
咄嗟に反応して逃れようとするが、左腕が間に合わずに切断される。
出血と共に、アンデルセンの口から呻きを漏らす。
無力化とまではいかずとも、戦力を削ぎ落としたと見てとったウォルターは追い討ちすることもなく、語りだす。

 ヴァチカン                            ユ  ダ
「法皇庁の保有していた唯一にして最強の戦力。『イスカリオテ』の名を持つ、存在しないはずの特務局第13課。
 悪魔退治、異教弾圧、異端殲滅のプロフェッショナルにして、化物専門の戦闘屋。対『化物』の切り札。
 『聖堂騎士』、『殺し屋』、『銃剣』、『首斬判事』、『再生者』、『天使の塵』、数々のアダ名を持つ絶滅主義者」

 アンデルセンの顔が大きく歪む。それは切断された左腕の痛みの為ではない。
こちらの世界では知り得る筈のない、己の情報を持っている存在に、警戒心を強めた。
「会うのは初めて・・・・・・ではないんだなコレが。ロンドン王立軍事博物館で、言葉こそ交わしてないけど会ってる」


 ロンドン――――――ということは、ハルケギニアの世界ではなく地球。
しかも王立博物館と言えば、行ったのはただの一度だけ。HELLSINGとの会合の時・・・・・・。
アンデルセンは己の記憶を探る。しかし目の前の少年を見た記憶はない。
勿論そのことを察してか、ウォルターは続けた。

「・・・・・・と言っても、僕の容姿は変わっているし。あの時はアーカードしか目に入ってなかったろう。
 だから改めて自己紹介しよう。元ヘルシングゴミ処理係、ウォルター・C・ドルネーズ。アダ名は『死神』。
 かつては貴方と同じ・・・・・・対化物戦力の中で最強の人間だった。訳あって若返ってるけどね。改めてよろしく」

「ヘルシング・・・・・・」
アーカードの所属する、インテグラとセラスを有する最強の対吸血鬼特務機関。
イスカリオテの怨敵。イスカリオテの宿敵。

「まっ・・・・・・僕はヘルシングを裏切り、アーカードに喧嘩を売って、無残に負けて、こんな様だけどね。
 今はしがない雇われ執事さ。アーカードと闘い、アーカードを斃す為に、僕は僕の出来ることをする。
 アンデルセン、貴方とは理由が違う。が、貴方と同じように・・・・・・僕はアーカードを倒さなくちゃいけないんだ」

 アンデルセンにとって化物を倒すことは、成すべき"義務"だ。
戦いの喜びの為などではなく、人間だけが化物を"倒す"事を目的とする。
だけど、自分の目的は・・・・・・意地みたいなもの。
アーカードと喧嘩したいだけ。そして勝ちたかっただけ。
                         ・ ・ ・ ・
 アーカードと戦わずに送った人生も、それなりには楽しかった。
ヘルシング家に執事として仕え、インテグラの成長を見守るのも悪くなかった。
年々老いていく自分と何とか折り合いをつけながら、それすらも楽しもうとした。
だが・・・・・・いつだって何かが足りなかった。心にポッカリと何か大きな穴が空いたままだった。
アーカードが地下に封印されていた間は、虚無感だけが胸中を支配した。
アーカードが解放されてからは、老いて力が無くなっていたことに歯噛みした。
そして、奴らの――――最後の大隊の――――あの少佐の甘言に乗った。
いや・・・・・・乗ったのではなく、利用した。
それまでの・・・・・・心地良かった世界を裏切り、反逆した。

(・・・・・・他人から見れば、酷くくだらない理由だと思うかも知れない・・・・・・けれど・・・・・・)
それでも自分にとっては、何物よりも優先されることなのだ。
たったそれだけのことの為に、半生を悔やみ続けたのだから。


 アンデルセンはウォルターに視線を置いたまま、切り落とされたされた左腕を拾おうとする。
ウォルターはそれを阻止しようとすることもなく、ただ上から見下ろし眺めていた。
アンデルセンは左腕を拾い上げると、血液が流れる切断面へと合わせる。
片腕がないまま勝てる相手ではない。少年ながらもその強さはひしひしと感じている。
再生はすぐさま始まるものの、それなりの時間を要するのは明らかだった。
それをウォルターもわかっているから、特に止めようともしない。

「僕と話すことはない・・・・・・と言った感じかな?」
ウォルターの笑みに対し、アンデルセンは尚も睨み続ける。
ただの敵に交わす言葉などないのも事実。
しかし、ティファニアを取り戻す為にも再生が終わるまでの時間を稼ぐ。
「・・・・・・何が目的だ」
「この子を攫うのは主人の命令だけどね・・・・・・、とりあえず僕は僕の目的の為に動いている。
 アンデルセン、いずれ貴方ともサシで闘り合いたいとも思うけどね。でもやっぱりアーカードが先かなぁ」

「・・・・・・打ち倒してどうするつもりだ」
「どうもしないさ。傍から見ればくっだらない餓鬼の喧嘩だよ」
話を長引かせようとするも、もう続かなかった。
ウォルターはアンデルセンの顔色を見て判断したのか、撤退の気を見せる。

「さて、目的は既に達した。別に長居する理由もないし、再生が終わるまで話に付き合ってあげる義理もない。
 アーカードと戦う為にやらなくちゃいけないことはまだまだあるし、僕はこれで御然らばさせてもらうよ」

 ウォルターはそう告げるとヨルムンガントを操る。
「待て」と言う暇もなく、ヨルムンガントは足を折り曲げしゃがむと大きく跳躍した。
見た目から類推される質量からは、到底不可能であろうその動き、その高さ。
一瞬にして、既に追撃が出来る距離ではなかった。

 そしてヨルムンガントは四体の巨大ガーゴイルに吊るされると、そのまま消えて行った。




「・・・・・・と、言うわけさ」
その後、フーケとアンデルセンは互いの情報を統合した。
ウォルターが言っていた、虚無の担い手を集めているという情報。
アーカード、大尉、シュレディンガーらと、一堂に会したときの話。
そこから、同じように他の虚無の担い手も狙われるだろうと踏んだ。
そして他の子供達は一旦知人に預け、ルイズとアーカードのいる学院へとやってきたというわけである。
ロマリア教皇に取り次げる筈もなく、元々フーケが学院にいたことを考えても、選択肢は一つであった。

 フーケから事情を聞いたアーカードも、大まかな情報を話す。
「――――アーハンブラ城、そこにティファニアがいるんだね」
「恐らくだが・・・・・・の」
「当然助けに行くんだろう?わたしらも同行するよ」

 アーカードはアンデルセンを見やる。
だがアンデルセンは一切目を合わせようとはしない。
もう一度目を合わせた時、アーカードへの殺意を抑えられる自信がないのか。

「アンタと神父にどんな確執があるかは知ったこっちゃないし、わたしとアンタらにも因縁はある。
 ・・・・・・けれど、ここは共同戦線のほうが都合が良いだろう?あれさ、敵の敵は味方ってやつさ。
 互いのことは一旦目を瞑る!!決着をつけるのは、別に助け出してからでも遅くない、違うかい?」

 押しの強いフーケの言葉。
アーカードとアンデルセンの衝突を見た後でも、気圧されることない口調。
フーケがティファニアを、どれだけ大切に想っているのかが窺い知れた。

  (アンデルセンと組む・・・・・・か)
元いた前の世界では絶対に有り得ないことである。
元々アーカードとしては、協力するのは別に苦ではない。
アンデルセンは化物を絶滅することを当然とし、殺すことそれ自体を目的としている。
が、アーカードは強い人間が好きなだけで、特にアンデルセンを討ち滅ぼす理由はない。
化物は人間に倒される。その摂理に従い、打ち倒されるべく闘争を望んでいるに過ぎない。
無論・・・・・・決着をつけたい気持ちはあるが、今はそれよりも為すべきことがある。
それをアンデルセンもわかっているから、殺意を抑え込んでいるのだ。
そしてアンデルセンという強力な戦力、切り札が加われば救出する可能性は高くなる。

(敢えて断り、アンデルセン達を囮にする・・・と・・・・・・)
どうなるかアーカードは考える。
シルフィードという移動手段がなければ、アンデルセン達が到着するのは大分後だろう。
一刻すら惜しいこの状況で、それは好ましくない。
何よりもアンデルセンから歩み寄る形だ。変に断って意固地になられても困る。
むしろ策を練る上で、大幅に選択肢が増える。
ここで手を組んだ場合のデメリットは、アンデルセンが自分を打ち倒しに掛かるかもというリスクだが。
それを余りあって共闘のメリットの方がが大きい。断る理由はなかった。

「でもね~おばさん、あなたじゃ足手纏いでなくて?」
キュルケが皮肉った。自分は一緒に行けないという恨みも込めて。
「おばッ・・・・・・こんの小娘・・・・・・ッッ!!」
「いや、問題なかろう。こやつを無理に助けようとは思わんしな」
アーカードのその言葉に、タバサもすかさず頷いた。キュルケは口唇を尖らせる。
確かにフーケに命の危険が迫っても、アーカードもタバサも間違いなく気にも留めない。

「ハンッ!!助けられるほどわたしゃヤワじゃないよ」
「アンタが思ってるのとは意味が違うんだけどね~」
いちいち説明するのも面倒なので、キュルケは適当にあしらう。

「さて、時間も惜しい。すぐにでも発とう」
そう言うとアーカードは一足飛びで寮塔へと跳躍する。
塔の壁面を、さながら平地を歩くように登ってルイズの部屋へ入った。


 タバサ、アニエス、アンデルセン、フーケがシルフィードに乗る。
最後に棺桶を片手で持ち上げたアーカードも乗り込む。
既に相当な重量となり、あと3人も乗せるのかと憂鬱になりながらも、シルフィードは飛ぶ。

「心配せずに待ってるからねーーーっっ!!!」
キュルケは空一杯に響き渡るくらいに叫ぶ。
返事の声はなかったが、キュルケは安心した微笑みを浮かべていた。




新着情報

取得中です。