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戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー 第0話「ゼロの使い魔」

戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー 第0話「ゼロの使い魔」

『エキサイティング・トランスフォーマー!』
『さて今日のトランスフォーマーはここ、スペースブリッジのあるとある谷からお伝えしよう』
「全く。なんでこの俺様がこんなところで荷物運びなんてしていなきゃいけねえんだ!」
 エネルゴンキューブを投げ出して悪態をついたのは、戦闘機型のトランスフォーマーにして
 デストロンの航空参謀スタースクリームだ。
「おい、スタースクリーム。真面目に働きやがれ」
「うるせえ!俺様はお前のような単純作業用の単細胞メカと違って繊細に出来ているんだ!
こんなところでこんなことをやってられるか!」
 カセットロンのフレンジーが注意をするが逆切れするスタースクリーム。
 当然だが、フレンジーは激怒した。
「なんだとこの野郎!」
 このフレンジー、身体はスタースクリームの半分もないのだが気が強く、喧嘩の腕も立つ。
 スタースクリームへ文字通りの鉄拳を叩き付けた。
「うわ!なにをしやがるこの野郎!」
 スタースクリームも応戦するがそこへフレンジーと同じカセットロンであるコンドルまで加わり、
周囲を破壊して乱闘が始まった。
「ええい!何をやっておるのだ!」
 収拾がつかなくなりかけたところに、銀色の巨躯を揺らして一体のロボットが現れる。
 その瞬間、空気が変わった。
 辺りにピリッと刺激のある冷たい空気が流れる。見るものを緊張させる何事かを、そのロボットは
持っていた。すなわちこれこそがデストロンの支配者、破壊大帝メガトロンである。
「いい加減にしろ、この愚か者どもめが!」
 腕を振って、絡み合い縺れ合ったスタースクリームたちを振りほどき吹き飛ばす。
「良いか。今日はレーザーウェーブの働きによって改良を加えたスペースブリッジを使って
我らがセイバートロン星にエネルギーを輸送するテストをしに来たのだ。このテストが成功すれば
より効率的に、しかもスピーディーにエネルゴンキューブをスペースブリッジで運ぶことが出来る。
つまりあのにっくきサイバトロンどもに邪魔される心配がなくなるというわけだ。うわははははっは!」
「そう上手く行きますかね?」
 よろりと立ち上がったスタースクリームが疑問を口にする。こう見えても彼は科学者なのだ。
「スペースブリッジは宇宙の微妙なバランスを利用して行なうワープだってことを忘れちゃいませんか?
 どうも俺はそのバランスが狂って妙なことになりはしないかと心配でならないんです」
「そんなものを気にすることはない。」
 スタースクリームの疑問をあっさり却下するメガトロン。
「狂ったとしても、宇宙は別の形でバランスを取るはずだ。貴様が考えているほど宇宙は脆くない。
さあ、グズグズするな!まもなくレーザーウェーブから試験開始準備完了の報せが届くはずだ!
それまでに準備を片付けろ!」
 そのとき、モニター横のランプが点滅し、一つ目のロボットの姿が映し出される。
「こちらセイバートロン星。新型スペースブリッジテストの準備が完了いたしました。」
 その声とほぼ同時に、独特の響きを持つ声をサウンドウェーブが上げる。
「準備、完了」
「丁度良いところだ。こちらも準備は出来た。ただ今より、予定通りテストを開始する。」

「スタースクリーム!準備は良いか?」
 スペースブリッジ突入用の小型マシンに乗った、自らの参謀にメガトロンが声をかける。
「メガトロン様、なぜ私なんですか?他に適任はいくらでもいるじゃないですか?」
 対照的に今にも泣き出しそうなスタースクリーム。
「わかりきったことだ。もしテストが失敗しても貴様ならば消え去っても問題はないからな。
うわっはっはは」
「準備、完了」
 メガトロンの高笑いの中、冷静なサウンドウェーブの声がする。この青いロボットには感情と言うものが
果たして存在するのだろうか?
「くそー!メガトロン!この借りはかならず返してやるからなー!」
 サウンドウェーブがスイッチを入れると、スタースクリームは雄たけびむなしくスペースブリッジへ
めがけて発射された。 空に大きな穴が開き、唸りを上げて岩を吸い込む。小型マシンはその穴へ向かって
一直線に突っ込んでいった。

テーレーレーレー

『さて、ここは我々の住む地球とは異なる世界、異世界ハルケギニアにあるトリステイン王国。』
『異世界ハルケギニア。魔法の存在するこの世界はメイジと呼ばれる魔法使いが
 貴族として君臨しており、ここトリスタニアのトリステイン魔法学院ははそのメイジの養成機関である。』
『そして今日、メイジたちが自分の使い魔を呼び出すサモン・サーヴァントの儀式が行なわれていた』
「では次、ミス・ヴァリエール。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」
 教師に促され登場した、桃色がかったブロンドの長髪と鳶色の瞳を持つ少女が登場する。
「ルイズだ!また爆発が起こるぞ!」
「みんな、身を伏せる準備をしておけよ」
 周囲の生徒にからかわれ、強く睨みつける。しかしながらも毅然とした態度で前へ進み出で、杖を振りかぶる。
 一度大きく息を吸い込み、それから呪文を詠唱する。
 周囲に光が満ち、今までの生徒と同じように使い魔が召喚されようとした。
『そのときである!』
 巨大な爆発が起き、周囲は爆風と砂塵に包まれた。
 何かが落下してきたような轟音がし、大地が大きく揺れる。
 砂塵が収まり現れた姿を見て、ルイズが声を震わせながら呟く。
「こ、これが神聖で美しく優雅で気品溢れる私の使い魔ですって…」
 ひくひくとやるせない感情に身を震わせるルイズ。
『そう思うのも無理はない。爆風と共に現れたのは先ほどスペースブリッジに吸い込まれた
 スタースクリームだ!』
「ルイズが変なゴーレムを召喚したぞ!?」
「爆発したから失敗かと思ったけど、ゴーレムとは言えちゃんと使い魔召喚してるじゃないか」
 小太り気味の生徒が、スタースクリームの足元を指差す。
「っていうか、あれ……平民?」
『そう、スタースクリームだけではない。スタースクリームの足元に少年が転がっているのだ。』
「あっちがルイズが召喚した使い魔じゃないの…?」
「そういえば爆風から出てきたように見えたな」
「じゃああのゴーレムはなんだよ?」
「空から降ってきたように見えなかった?」
「空って…?」
 誰かが空を見上げた。
 そして息を呑んだ。
 それに釣られるように、皆が空を見上げた。
 空に、大きな穴が開いて不気味な音をたてていた。

テーレーレーレー

「レーザーウェーブ!聞えるか!?」
「はっ!メガトロン様!」
「いったい何がおきておる!?スタースクリームはどうなった!?」
「それが……こちらは何もおきておりません。全く何も、音も、光も…」
「ではあれは何だ!?」
 メガトロンが指差す先には、巨大な穴が開いていた。

テーレーレーレー

「と、とりあえずコントラクト・サーヴァントを!ミス・ヴァリエール!」
 頭の禿げ上がった教師のヒステリックな叫びが、生徒たちを我に返した。
 目を点にして立ち尽くしていたルイズが、ハッと我に返る。
「け、契約を!?」
 ルイズはやっとのことで自分がなぜここにいるのかを思い出した。
そうだ、自分は使い魔を召喚したのだ。今日はコントラクト・サーヴァントを行なう、
一人前のメイジになる最初のステップだ。
 だが…どちらとすれば良いのだろう?
 ルイズは迷っている。目の前に落ちてきた、巨大なゴーレムと…というのは何か
妙な抵抗がある。ゴーレムというのはあくまで魔法で作り出すものだ。これを
使い魔にしているというのは聞いたことがない。
 だが平民というのはそれはそれで抵抗がある。第一、人間を使い魔にするなど
こちらも聞いた事がない。
「どちらでもいい!早くしたまえ!」
 禿げ上がった教師のヒステリックな叫びが周囲を震わせた。
 はひっ!と間抜けな甲高い声をあげてしまう。つかつかと足音を立てて近寄り、二人?を
マジマジと見る。
 ゴーレム…でかい。顔に顔が届きそうにない。それになんだか顔が間抜けっぽく見える。
 平民……いかにも平民、といった感じの間抜けな面だ。でもちょっとカッコイイかも…。
いや、なんでたかが平民にそんなことを思うのか。ブルブルと頭を振って考え否定する。
よく見たら変な格好だし、浮気者っぽいし、ヤキモチ妬かせそうだし、胸が大きいほうが
好きそうだし、両親が帰りを待ちわびそうだし、親友が恋敵になりそうだ。
 でも……どうせならゴーレムよりもこっちのほうが……いや、ゴーレムよりも平民のほうが
マシだ!そう思い契約すべく膝をかがめる。
『だが、そのとき』
「く、っててて……。どうやら衝撃で一時的にエラーが起きたらしいな。ん……?なんだこの人間どもは?
ここはどこだ?おかしいぞ、俺様のセンサーが異常な数値を検出している…?」
目に光が戻り、ゴーレム、いやスタースクリームが上半身を起こす。
「うわあ!動き出したぞ」
「馬鹿ルイズ!ゼロルイズ!早くしないからだ!」
 ゴーレムの巨体に軽くビビッた生徒が口々に批判の声を挙げた。
 禿げた教師が刺激を与えては危険だととっさに判断し、止めさせようとする。だが、遅かった!
「うるさい!このチビ人間どもめ!やかましいぞ!」
 空気を切り裂くような音がして、光の矢が放たれた。
「ナルビームでも食らってろ!」
 爆音。逃げ惑う生徒たち。
「糞!いったい何が起きたんだ?ここはどこだ?スペースブリッジはどうなったんだ!?
 地磁気や星の位置も普通とは違うぞ??」
『面食らったのも無理はない。ここは地球とは別の世界なのだ。』
 戸惑うスタースクリームの元に、武装した集団が押し寄せてきた。
 先ほどの生徒たちが魔法学院に通報したのだ。教師たちが、暴れるゴーレムを押さえ込むために
教師たちメイジが武装して現れたのだ。
「なんだこいつら?熱い!寒い!電撃だと!?」
 炎や冷気、雷がスタースクリームに襲い掛かる。
「なんだこの人間ども!?うわー!」

 魔法の威力に押されるスタースクリーム。そのときである。空の穴から飛行物体が飛び出した。
『デストロンの航空兵、コンドルだ』
 突如現れたコンドルの攻撃に、不意を突かれた教師たちは陣形を崩され、吹っ飛ばされる。
「こ、コンドル!?お前、どこから来たんだ!?」
「デストロン軍団!アターック!!」
 野太い声が頭上から降り注ぐ。続けて無数の矢が地上めがけ放たれた。爆発、爆音、爆風。
天空の穴から次々と現れ出でるのは巨大なロボットたち。
 現れたのは、破壊大帝メガトロン!そしてメガトロン率いるデストロン軍団だ。
 魔法を自由自在に操るメイジと言っても所詮は人間である。頭上からの攻撃にはなす術はない。
人形のように吹っ飛ばされてしまう。
「め、メガトロンさま!?いったい全体なにが起こったんですか!?ここはどこなんです?あの
人間ども、杖を振りかぶったら火や電気を放ってきましたぜ?地球人どもにそんな力があるなんて
聞いたこともない!」
「ええい、やかましい。少し待て。この場所のデータを今、サウンドウェーブが分析をしておる。」
地面に次々と着陸していくデストロン。ある意味で壮観だ。その中から、一体のロボが前に進み出る。
「大気中に 未知の粒子を確認 未知の粒子から 正体不明の力場を検出 天球の星の座標に
一致するデータなし 以上から ここが セイバートロン星や 地球が存在する世界とは 別の世界である
確率は 82.3% 」
「ううむ。どうやら我々はあの穴を通ることで地球とは別の世界のに来たようだな。おそらくあの
新型スペースブリッジが偶然にも我々の世界と、この世界をつないだに違いない。そしておそらく
人間どもが使ったのは魔法、と呼ばれる空想の存在とされていた現象だろう。この未知の粒子が、
人間どもに作用して、何らかのエネルギーを生み出しているに違いない。」
短期間のうちに、得られたデータから現状を分析するメガトロン。さすがはデストロンのリーダーである。
「なるほど。あの連中め、それで妙な攻撃をしやがったのか。糞!よくもこの俺様の美しいボディに
傷を付けやがったな!」
 続けざまに次々と現れるゴーレム、ではなくデストロン軍団に肝をつぶした教師たちメイジは、
泡を食って、空を飛ぶのも忘れて走って学院へ逃げ込もうとしている。
 その集団へ銃口をスタースクリームが向けた。
「よせ、スタースクリーム。魔法と言う存在がこの世界にあるのならば、わしに良い考えがある。」
 スタースクリームが引き金を絞ろうとしたそのとき、メガトロンが腕を伸ばしてそれを制した。
「その魔法とやらを、余の宇宙征服のために利用させて貰うとしよう。ふはっははは!」

「あ、あれはたしかデストロンとか言う、宇宙から来たロボットじゃねえか」
 高笑いをするメガトロンの背後。鬱蒼と繁る森に逃げ込んだ生徒たちの中に紛れ込んだ少年が呟く。
スタースクリームの足元に倒れていた少年だ。デストロン軍団が現れる寸前、同じく蘇生をした彼は、
突然始まった攻撃に驚き慌てる自分を召喚した少女を含めた何名かと共に、近くにあったこの森に
逃げ込んだのだ。
 少年の名は平賀才人。デストロンたちと同じ地球にいた、ごく普通の少年である。
「アメリカで暴れてるって聞いてたけど、日本にまで来たのか」
「ちょっと、平民!あの変なゴーレムを知ってるの!?」
 ピンク色の髪の少女、すなわち才人を召喚した張本人であるルイズが服を引っ張って問いかける。
「何言ってんだ。あんだけテレビや新聞でニュースになってただろって…」
 ここでようやく自分がいる場所が、先ほどまでいた場所とはまるで違うところにいると気づく。
「ど、どこだよここ…日本じゃねえよな……」

テーレーレーレー

『一方、ここはトリステインの王都、トリスタニア』
 街行く人々の耳に、聞きなれぬ轟音が飛び込む。それも3つも!
「うわー!なんだあれは!」
「鳥でも竜でもないぞ!」
『ジェットロン部隊の航空兵スカイワープ、サンダークラッカー、そしてスタースクリームだ!』
「トランスフォーム!デストロン軍団、アターック!」
 ノリノリで叫び、ジェット機状態からトランスフォームするジェットロンたち。続けて民家が吹き飛び、
中から巨大な車が現れた。
『さらにはビルドロン、そしてジャガーやコンドルまでもが襲い掛かる。』
 瞬く間に、街は炎に包まれた。建築物と言う建築物は破壊されていき、美しかった王都は廃墟に
変えられていく。
「敵だー!迎え撃てー!!」
 慌てて迎撃に飛び出てきた王都の防衛隊だが、まるで歯が立たない。途中から衛士隊も加わり懸命の
防衛を行なうが、暴れまわるデストロンにはなす術がない。

「いったいあの爆発は何事です!?」
 突然の攻撃に、王宮は混乱に陥っていた。王女アンリエッタは混乱する侍女や貴族諸侯を掻き分け
現れたスープ用の鶏がらのような男に、あくまで威厳を保つ努力をしながら、怒鳴るように問いかける。
「姫殿下!大変です!何者かがこのトリスタニアに攻撃を!」
 ロマリア出身の枢機卿にしてトリステインの宰相を勤めるマザリーニが、アンリエッタの元に
駆け寄る。その背後から大きな黒猫、いや、黒豹型のロボットが呻り声を上げながら迫ってくる。
 ジャガーだ!
「ここだな?ここに人間どものリーダーがいるのだな、ジャガー?よくやったぞ。」
 その瞬間、王宮の壁が粉々に砕かれ、空いた穴から銀色の巨体が入り込んでくる。
 そして腕を伸ばすと、悲鳴を上げるアンリエッタを鷲?みにした。
「どうやら貴様が人間どものリーダーのようだな。」破壊大帝メガトロンだ。
「くっ……は、離しなさい!何者です……」
「わしは破壊大帝メガトロン。全宇宙の支配者だ。聞け、人間ども!たった今から、この国は余の
ものだ!」
 丁重に扱えよ、と声をかけてサウンドウェーブにアンリエッタを手渡すメガトロン。
「そして貴様は人質だ。人間どもは余の奴隷として働いて貰うことにしよう。うわっはははー!」

テーレーレーレー

『一方、こちらは地球。』
「こちらバンブル。目下のところ、異常なし。」
「しかし、いったいどうしたんだろう?ここ最近、まったくデストロンの動きが見られないなんて、
おかしいと思わないか?」
「おいらもそう思うよ。きっとどこかで悪巧みをしているに違いないよ」
 黄色いフォルクスワーゲンがハイウェイをかっ飛ばしている。その中に、少年が一人座っている。
そう、一人だ。いったいこの少年は誰と会話しているのだろうか?
 それはこのフォルクスワーゲンである。これはフォルクスワーゲンではなく、サイバトロンのメンバー、
バンブルビーがトランスフォームした姿である。
「そういえばこの辺りにはデストロンの作ったスペースブリッジがあったね。行ってみない?」
「了解!」
 ハイウェイを逸れ、谷のある方向へ向かうバンブル。その途中、同乗する少年、スパイクが何かに
気づいて指差す。
「ああ!あれを見て!」
「なんだい、ありゃ?穴が空に開いてる!?」
 そこには新型スペースブリッジでできた穴が開いていた。
「見てよ、デストロンだ。」
「ほんとだ」
 スパイクが車から飛び降り、バンブルが人型にトランスフォームし、見つからぬように近づいていく。
「あれ?あのスペースブリッジはなんだろう?あんな形をしていたかな?おまけに二つもある。」
「なんだか様子が変だぞ……。あの穴に飛び込んでいく」
「あれ?逆に穴から飛び出してきてるよ?おまけに手にはエネルゴンキューブを持ってるや」
 そう、デストロンは空きっぱなしの新型スペースブリッジを、自由に行き来していた。
「ことができるのかな?すごく短い時間しかワープホールは開いていないような気がするんだけど」
「おいらもそう思う。これは変だよ。」

テーレーレーレー

『ここは、かつてトリステインの王都であったトリスタニア。』
『かつての美しい町並みは、ビルトロン軍団の手によってデストロン軍団のハルケギニア侵略基地に
改造されていた。』
「ええい!もたもたするな!このウスノロども!もっと魔法を使うんだ!」
 スタースクリームが金切り声を上げ、鞭を振る。
 かつてメイジと呼ばれていた貴族たちは、デストロンによって魔力をエネルギーに変える装置に
かけられその魔力を強制的に吸い取られていた。ただし吸い取るといっても、杖を振るい、呪文を唱え、
魔法を発動する必要があるため、このように強制的に魔法を使わされているのだ。
「す、スタースクリーム様。もう我々は限界です。どうかお許しを…」
「何を言ってやがる。まだ今日の予定量に足りてないんだ。まだまだエネルゴンキューブは必要なんだぞ!」
 鞭で地面を叩くと、元メイジたちは怯えた声を出す。この装置がある場所では魔法を使い、反抗することが
実質的に不可能である。魔法を使えないメイジはただの人間以下のか弱い存在であった。
「チッ。仕方ない。おい、そこの!たしか閃光のワルドだかワドルドゥだか言ったな?おまえはまだ
若い分、魔力が多いだろう?次はお前たちだ。」
 そう言って、口ひげを貯えた長髪の美男子を引きずり出す。彼もまた、魔力をかなり吸い込まれ
疲労しきっていた。
「おい、スタースクリーム。無理をさせすぎて殺しちまっちゃ意味ないぜ。メガトロン様も、生かさず
殺さずで魔力を搾り取れとおっしゃっていたじゃないか。」
 みかねて同僚のサンダークラッカーが苦言を呈す。
「やかましい!ここでは俺がリーダーだ!俺に従え!メガトロンの愚図の言うことなど無視しろ。」
 サンダークラッカーを追い払ったスタースクリームは唇の端を吊り上げる。
「ここでエネルゴンキューブを貯えて、メガトロンを追い落としてやる。そして、俺がデストロンのニューリーダー
になってやるんだ!」

『そのとき』
 ドドドドーン!という巨大な爆発音がし、基地の一部が崩壊した。
「な、なんだ?何が起きやがった!?」
 慌てて、司令室へ向かうスタースクリーム。そこにはメガトロンとサウンドウェーブの姿が。
「いったいどうしたんです?何事です?」
「ふん、慌てるな。またテロリストの連中の仕業だ。」
 目の前の赤いスイッチを押すサウンドウェーブ。
「侵入者の 映像を キャッチ」
 目の前のモニターに映し出されたのは、赤い髪に小麦色の肌をしたグラマラスな女性と、青い髪をした
少女、そしてピンク色の髪の少女に、黒い髪の少年。
「やったわ!流石のデストロン基地もこれで永遠にグッド☆ナイト!」
「どこがよ……壁の一部が崩れただけじゃない」
「……効果は薄い」
「いいのよ!あの穴から進入して、姫様を救出するんだから!さあ、行くわよ!」
「待て待て待て!」
 慌てて、黒髪の少年がピンク色の髪の少女、ルイズを止める。
「お前、この間もそうやって突っ込んで、捕まりかけたんじゃないか」
「うっさいわね!こうしてる間にも姫様や、父様や母様、姉さまたちが酷い目に合わされてるのよ!」
「そうやって、この間もサイトに迷惑をかけたのを忘れたの?」
 そう、彼らは平賀才人、ルイズ、キュルケにタバサである。彼らは魔法学院に逃げ込まなかった
グループにいたため、デストロンに捕獲されることがなかった。そのため、トリステインが征服された後、
レジスタンスとなって、デストロンに抵抗をしているのだ。
「今日はそういう目的じゃないって、何度もギーシュたちと打ち合わせたし、説明もしたろ?気持ちは
わかるけど、ここで闇雲に突っ込むよりもよほどデストロンの連中を倒せる確率が高いんだ。」
 フーフーと猪の如く鼻息を噴出すルイズを羽交い絞めにして、腰にぶら下げた水鉄砲を見せるサイト。
彼らの作戦とは、いったい?
「いたな、このチビ人間ども!」
 建物の影から現れたのはスカイワープである。
「せっかくの基地を破壊しやがって!許さんぞ!」
 さらにはスタースクリーム、そしてスカベンジャーである。
「今だ!」
 サイトの合図で、皆が水鉄砲を構え、中の液体をスタースクリームやサンダークラッカーに浴びせる。
「うわ!なんだこいつら!糞!撃て!撃てー!」
「今だ、逃げろー!」
 包囲を潜り抜け、一目散に逃げ出すサイトたち。逃がすか、と追いかけるスタースクリームたち。
 だがタバサがかけた隠形の魔法が、サイトたちの姿をかき消し、追っ手を巻く。
「糞!どこへ逃げやがった」
「こちらサンダークラッカー。侵入者を逃しました。」
 無線で連絡を行なうサンダークラッカー。
「むう。まあよい。たかが4匹で何ができる。おい、スタースクリーム。侵入者はもう良い。おまえは
できたエネルゴンキューブをスペースブリッジ近くの一時保管倉庫に運ぶのだ。良いな?」
「わかりました!トランスフォーム!」
 敬礼をし、戦闘機にトランスフォームしたスタースクリームが、エネルゴンキューブを収納し、
飛び去っていく。
 それを建物の陰から見ているのはサイトたちだ。
「タバサ、あの薬は大丈夫なんだよな?」
「大丈夫」と、タバサが頷く。
「あれはかかったものは1ヶ月、どこにいても場所がわかる薬。それは大丈夫。」
「よし、これでしばらくあのブルドーザーやクレーン野郎はこの基地の修理に付きっ切りだ。あの
空を飛ぶ連中があの穴から離れている隙に、俺の元いた世界に戻ってサイバトロンたちを
呼んでくることができるぞ!」

テーレーレーレー

『そしてここは、かつてトリステイン魔法学園だった建物。現在はデストロンに、エネルゴンキューブ
の格納庫として使われていた。』
 深夜、学園近くを静かに移動する黒装束の一団があった。
「タバサ、あの空飛ぶ連中の反応は?」
「……大丈夫。」
 小柄な影が、問いに答える。
 一団の元へ、影が一つ駆け寄ってくる。
「大丈夫だ。今は見張りらしきゴーレム連中もいない。」
 黒装束を、咥えた薔薇で台無しにしている影がそう答える。
「そうか。なら今のうちだな。タバサ、シルフィードは用意できたか?」
 小柄な影が頷くと、背後でクルルルルという小さな泣き声が聞えた。風竜のシルフィードだ。これに
乗って、空の穴に飛び込むつもりなのだ。
 と、そのとき、サイトの誰かが袖を引っ張った。
「ちょっと、サイト。こっちに来て…」
 ルイズである。
 「なんだよ」と言って、腕を引かれて付いて行くサイト。一団から少し離れた物陰へ、ルイズは
サイトを連れ込む。
「……本当に、行く気なの?ゴーレムは大丈夫かもしれないけど人間は大丈夫とは限らないのよ…」
「しかたないだろ?地球のことは誰も知らないんだから、俺が行かないと。大丈夫だって!」
「でも……でも、サイトが死んじゃったら、私…」
 ポロポロと真珠のような涙をこぼすルイズ。いろんなことは割愛するが、共にレジスタンスとして
行動するうち、二人の間にはいつしか特別な感情が生まれていたのだ!
「だって、サイトは私が無理矢理召喚しただけなのに……それに、使い魔でもないのに、無茶なこと
ばっかりさせちゃって……それなのに…」
 そう、あのときドサクサ紛れに二人はコントラクト・サーヴァントを行なえなかったのである。
「使い魔だとかそういうのは関係ないだろ?俺はルイズのことが好きなんだ。」
『歯の浮くような台詞である』
 ぐすぐすと泣くルイズであったが、何かを決意して涙を拭き。
「それじゃあ、約束して。私のことが好きなら、必ず戻ってきてくれるって。」
「ああ、戻ってくるよ。」
「本当?チキュウに戻って、戻ってこないなんてことになったら……」
「大丈夫だって!」
「それじゃ、それじゃ、約束に、キ、キキキキキ、キスして」
「………はあ!?」
 目が点になるサイト。
「使い魔じゃなくて、伴侶として契約して。さ、サイトは私と一緒になってくれるって」
「……な、なに恥ずかしいこと言ってるんだよ!」
「だって……」
 ジワッと目に涙を溜めるルイズ。
「わかった!わかったよ!恥ずかしいけど……契約するよ」
「なら、私の後に続けて呪文を唱えて」
 そういうと、ルイズは本来使い魔に向けて行なう呪文を唱え始める。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。 」
「我が名は平賀才人。」
「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の伴侶となせ」」
「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の伴侶となせ」
 そして、唇を交わす。
『そのときである!』

 サイトの左手の甲が光り輝き、見たこともないルーンが刻まれていく。
「ッッ……くうう!!」
 激痛に、うめき声を上げるサイト。
「だ、大丈夫!?ごめんなさい、まさかそんなに痛いなんて……」
 サイトを見てうろたえるルイズ。左手の甲を見るが、それは見たこともないルーンであった。
「いや、大丈夫だ。これはあれだよ、一種の結婚指輪みたいなもんだと思えば良いんだよ。」
『いちゃいちゃする二人。だが、その光は待機するデストロンに見つかっていた』
「なんだあの光は!?あ、なんだお前ら!?」
 学院から飛び出してきたのはフレンジーである。
「まずい!見つかったぞ!」
「ここは我々で食い止める!さあ、サイトは早くチキュウへ!」
 逃げ延びてレジスタンスに参加していた教師たちや、数名の生徒が魔法でフレンジーを攻撃する。
その隙に、サイトはシルフィードへ飛び乗った。
「この人間ども!ハンマーアームを食らえ!」
地面が裂け、巨大な亀裂が広がっていく。間一髪、シルフィードが飛び立ち、穴に飛び込んだ。
「頼んだぞ!サイトー!」
「サイト……」

テーレーレーレー

「あっ!バンブル、あれを見て!」
 スパイクの指差す先に、突如現れたのは竜だ。
「うわー!あれってドラゴンじゃない?おいら、初めて見た」
「ぼくだってそうさ。あ、誰かが乗っている!」
「近づいてみよう!トランスフォーム!」
 フォルクスワーゲンにトランスフォームしたバンブルにスパイクが飛び乗る。
 崖下に降りると、それに気づいたのかドラゴンがゆっくり降下してきた。
 再び人間形態に戻ったバンブルの前に、竜から少年が飛び降りた。
「ひょとしてサイバトロンの人ですか?あ、でも俺、えいごがしゃべれない!どうしよう!」
「おいらだって日本語がしゃべれないから大丈夫だよ」
「……言語が通じてるみたいだから気にする必要がないんじゃない?君は一体…?」
「あ、そうだ!すいません!助けてください!ルイズたちの世界がデストロンに襲われてるんです!」
「なんだって!」

「つまり、君は日本人で、突如異世界に召喚され、同時にデストロンが現れて、異世界を攻撃している、
ということか?」
「その通りです。」
 サイトの説明を聞き、ムムム、と呻るこの巨大なロボットこそ、サイバトロン軍の総司令官コンボイである。
「えっと。すぐ国は信じられないかもしれないけど、おいらたちも空に開いた穴を見ました。おまけにほら、
ドラゴンまで!」
 きゅーきゅーと応えるシルフィードを指差すバンブルビー。
「だとすれば……急いで救援に向かわねばなるまい。そんなエネルギー資源に満ちた世界を
メガトロンが手にすればどうなるか……。二つの世界の危機だ!」
「俺は魔法も使えないし、満足に戦えないけど、道案内なら出来ます。連れて行ってください!」
 うむ、と頷くコンボイ。
「よし、サイバトロン軍団、全員出撃だ!」

テーレーレーレー

『そしてここはデストロンのハルケギニア侵略基地』
「ただ今より、反乱テロリストどもの処刑を始める!」
 メガトロンが宣言をすると、地面が競りあがり、下から柱にくくりつけられた人間が姿を現した。
 その姿を見て、囚われのアンリエッタが悲鳴を上げる。
「る、ルイズ…!」
 そう、それはサイトを逃がした後、デストロンたちに捕まったルイズたちだ!
「なんだ?貴様の知り合いか?」
「お願いします。ルイズを、いや、ルイズたちの命をお助けください!」
「ダメだ。奴らは余の基地を破壊し、世界征服を遅らせようとした。その罪は重い。」
 低い溜息と、啜り泣きが集められた民衆の間に響く。
 民衆は、わずかに逃げ延びた人々が必死の抵抗を続けていると聞き、希望を見い出していた。
その希望が目の前で絶たれようとしているのだ。
 アンリエッタも同様だ。まさかルイズが自分を救うために戦っているとは思ってもいなかった。
きっと、捕まってひどいめにあわされているのだと思っていたのだ。
「ふふふ。いいことを教えてやろう。この処刑が終わり次第、余はこの世界の魔力を全て吸収する
装置のスイッチを入れる。今までのように、メイジとやらからいちいちエネルギーを吸い取る必要が
なくなるのだ!そうなればこの世界の無限のエネルギーが余のものとなるのだ!
ぐわっはははは!」
「そうはいかんぞ!メガトロン!」
 高笑いするメガトロンのはるか上空で声がした!
「なにぃ!?その声は!」
「そうだ!私だ、メガトロン」
『サイバトロン軍団だ!』
 サイバトロン軍団が、かつての王宮の屋根に勢ぞろいしている。
「なんだと!貴様ら、どうやってここに!?」
「スペースブリッジを開けっ放しにしておいたのは拙かったな。さあ、おとなしくしろ、メガトロン!」
「おのれ~!こうなれば!デストロン軍団、アターック!」
「サイバトロン軍団!撃てー!」
『さあ、戦いだ!』

「これで全員かな?」
「たぶんそうだと思う。俺も詳しくないからしらないけど…」
 囚われのメイジたちを次々と解放しているのは、サイトとスパイクである。
 ズゥゥン…、と地響きがして、砂煙が巻き上がる。
「どうやら攻撃が始まったみたいだな。」
「ああ、あれを見て!」
「ルイズ!糞ッ!姿が見えないと思ったら、捕まってあんなところにいたのか」
「早く助けに行こう!」

 ビーム光線が飛び交う戦い。優位に進めているのは、サイバトロンである。
「デストロンめ!この異世界でスクラップにして、あとではがねのつるぎに作り変えてやるぜ!」
「ならリサイクルしやすいようにバラバラにしてやらないとな!」
「みんな!油断するな!人間たちに弾が当たらないよう注意するんだ!」
 コンボイが注意した次の瞬間、
「ええい!これでも食らえ!」
「ほおおおおおおおおおおぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 足元に攻撃を食らい、屋根から落下するコンボイ。
「ああ!司令官!」
「大変だ!司令官が!」
「みんな、助けに行くんだ!」
 次々、飛び降りるサイバトロン軍団。
 こうなれば有利、不利はない。いや、むしろ…
「はっははは。コンボイ、貴様の負けのようだな。」
 落下したコンボイはメガトロンに銃口を突きつけられていた。

「くっ!大変だ!」
 ルイズたちの拘束を解くサイトたちの目に飛び込んできたのは、コンボイのピンチであった。
「助けに行きましょう!」
「でもあいつらにはほとんど魔法が効かないし……」
「万事休すじゃないか!」
「いえ、まだ諦めてはいけないわ!」
 物陰から、一人の女性が姿を現す。
「あ、あんたは?」
「わたしはオスマン学院長の秘書をしていたロングビルよ。あいつらが攻めてきたとき、学院からドサクサ…
いや、いつの日かに備えて、伝説の武器を持ち出していたのよ。それでいままでこれを持って隠れていたってわけ」
 そう言って奇妙な筒を取り出す。
「こ、これって……」
「破壊の杖、と呼ばれているものよ。これさえあればなんとかなるかもしれない。」
 そしてロングビルは破壊の杖を振りかぶった。
「さあ、破壊の杖よ!その力を解放したまえ!」
『だがしかし!』
 ……杖は何の反応も示さなかった。
「ど、どうなってるのよ!これ!」
 おかしいわよ!と言って、杖を振り回すロングビル。だが杖はうんともすんとも言わない。

「さあ!地獄にいけ、コンボイ!」
 コンボイ、劇場版前に死ぬというのか!?

「ちょ、ちょっと貸してください!」
 サイトが破壊の杖をロングビルから取り上げた。
 その瞬間、左手の甲のルーンが輝き、サイトの全身に力が沸きあがった。
「うおおおおおおおおお!」
 破壊の杖が呻りを上げた!

「ぐわああああ!」
 破壊の杖の攻撃を食らったメガトロンが、吹き飛ばされて王宮に叩きつけられた。
「うおおおおおおお!!」
 飛び上がったコンボイが蹴りを食らわし、殴りつけ、銃口を突きつける。
「形勢逆転だな、メガトロン。さあ、おとなしく降参しろ!」
 コンボイの背後で、いくつもの叫び声。
 見ると、指揮官が形勢不利に陥って動揺したデストロン軍団が、サイバトロンだけでなく、
開放されたメイジたちによる魔法攻撃を受けて吹き飛ばされている。
「くっそおおおおお!こうなれば!」
 メガトロンが腕を振り上げると、地面が鳴動を始める。
「な、なんだ!?」
「ふはははは!魔力吸収装置の自爆スイッチを入れてやったぞ!あと3分で溜まった魔力が
暴走し、この世界は完全に破壊されることになる!貴様と共にな!」
 揺れで生じた隙を突き、メガトロンが脱出する!
「デストロン軍団、元の世界に退却だ!」
「待て!メガトロン!ふおおおおおお!?」
 鳴動で崩れた地面に、地割れが生じ、それに飲み込まれる司令官。その隙を突き、デストロンは
スペースブリッジのある方角へ逃げていく。
「司令官!」
「わ、私のことは良い!早く装置を破壊するんだ!」
「わかりました!サイバトロン軍団、撃て!撃てー!」
 ビームを装置めがけて乱射するサイバトロン軍団。
『しかし、貯えられた魔力がバリアーのようになってビームを全て弾く』
「どうにもならないぞ!」
「諦めるな!撃つんだ!」
『そのときである!』
 爆風や雹檄、雷撃が装置に襲い掛かる。メイジたちが魔法攻撃を仕掛けているのだ。
 同じ魔力同士である。こちらは装置の着実にダメージを与えていく。
「でも、こんな威力じゃ装置を破壊するのに何年もかかっちゃうよ!」
「ビームとは違って効き目はあるが、やはりかなり減少してしまうようだな!」

『爆発まで、あと1分』
 ルイズは、いまさらながらに自分の無力を痛感していた。
 魔法が使えない自分は、ここでも何も出来ない。何の役にも立たない。
 姫様を救うため、と言いながら足手まといになり、さらには捕まってしまった。役立たずにもほどがある。
せめて今、少しでも魔法が使えれば、このトリステインの危機を救う一助になれるだろうに。
 泣いても意味はない。だが、涙が溢れ出す。自分にはなにも出来ないのか……。
「あきらめてはいけません!」
 そのとき、アンリエッタの声が聞えた。
「皆さん、諦めてはいけません!いまこそ力を合わせるときです!」
「そうだ!諦めてたまるかよ!」
 サイトの声が、自分の後ろでした。
 身体を抱きしめられる。
「諦めてたまるか!俺は、ルイズと添い遂げるって契約したんだ!」
 そうだ、あの時、サイトと契約したのだ。伴侶になる、と。
 それをここで無にしてたまるもんですか!
『そして、奇跡は起こった!』
 ルイズの脳裏に、奇妙な呪文が浮かび上がり、口が自然に呪文を唱えていく。
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ・オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド …」
「な、なんだ、何の呪文だ!?」
 なぜその呪文が思い浮かんだのか、永遠にわからないかもしれない。
 だが、奇跡は起こった。
「イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル…ダングルテール!」
『残り時間、5秒、4秒、3秒……』
『そして!』
 装置が突如、光の玉に包まれた。
「ふおおおおおおお!?」
「な、なんだい、こりゃ!?」
「いひぃー!?」
「おたすけー!」
 そして、轟音と閃光が、はるかロマリアにまで轟き渡った。

「ありがとうございます。あなた方のおかげで、この世界は救われました。」
 アンリエッタが深く一礼する。
「いえ、我々は手助けをしたまでです。この世界を救ったのは、あなた方の力です。」
 コンボイは、ルイズを見る。ルイズはサイトの膝の上で、静かに寝息を立てている。
「あなた方が、最後まであきらめなかったことが奇跡を起こしたのです。
スペースブリッジは我々が破壊し、二度とデストロンがこちらにこれないようにしておきましょう。」

「いいな。ぼくもあんな可愛い恋人が欲しいな。」
と、サイトとルイズを見てぼやくスパイク。
「ぼやかない、ぼやかない。なんならスパイクもこっちにいてみたらどうだい?
 サイトみたいに可愛い恋人が出来るかもよ?」
「残念だけど、ぼくはできればデートは映画館や遊園地でする主義なんでね。」



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