あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

赤目の使い魔-03



クリストファーが起きた後、医療を担当としている教師の一人により、彼に簡単な検査がなされ、
大方傷は治っているものの、療養として彼は今晩までベッドで安静に過ごす様言われた。
その際、ルイズも彼に自分の置かれた状況を説明する様指示され、苛立ちを押さえ込みながらも従った。
本当であれば、この無礼で身の程を知らない使い魔の頭上に爆撃の一発でも喰らわせたい気分だったが、
そのせいでまた彼が怪我を負うことになれば、また使い魔を連れずに一人で学校生活を送ることになる。
この三日に嫌と言うほど周囲からからかわれたのだ。これ以上は願い下げである。
兎に角、今の目標はこの男に使い魔としての身の振り方を叩き込む事だ。

「なに?しかめっ面しちゃって。ストレス溜め込むと発育止まるよ?」

……早速、心が挫けそうになるルイズだった。


● ● ●


ルイズの沈黙を見て、クリストファーは言葉を続ける

「あれ、もしかして図星?心配ないよ。女の子の成長期は14、5歳が全盛期だって言うし」

「……わたしは16よ」

「…あらま」

見ると、クリストファーは本気で不憫そうな顔をしていた。
……前言撤回、殺す。ルイズは内心決意した。
彼はジト目で睨むルイズの視線を意にも介さず、あくまでマイペースに話題を変える。

「ていうかさぁ、良く僕みたいなのを助ける気になったね?こんな人間離れした怪物みたいなの見たら、大抵の人はダッシュで逃げると思うけど」

その言葉を聴いて、ルイズは諦めた様に呟く。

「…仕方ないじゃない。あんたは『サモン・サーヴァント』で使い魔として召喚されちゃったんだから」

「……へ?」

サモン・サーヴァント?使い魔?召喚?
聴きなれない言葉の羅列に、クリストファーの思考は一旦ストップする。
ルイズは、深く溜息をついた。

「…じゃ、『サモン・サーヴァント』から説明するわ…」


● ● ●


「『サモン・サーヴァント』っていうのは召喚の魔法の事、ハルケギニアの生き物を呼び出して使い魔にするのよ。まぁ、普通は動物とか幻獣なんだけどね」

魔法。
何十年と生きてきた彼は、その言葉を幾度と無く聴いてきた。
しかし、彼の知る限りそれらは往々にして創作の中の話であった。
まぁ、彼の存在自体は魔法のようなものであるが、それは基本的には錬金術と呼ばれている。
改めて、目の前の少女の格好を見る。
白いブラウスの下に、グレーのプリーツスカートと、一見して制服の様にも見える服装。
しかし、その上に羽織った黒マントに、それを留める五芒星が彫られた大きなブローチ。
確かに、魔法使いにも見えなくも無い格好だ。あくまで、コスプレの範囲での話だが。

「……魔法?」

知らないうちに、彼の疑問は口から出ていた。
すると、ルイズの表情にあからさまな呆れの色が現れた。

「何よ。まさかあんた、魔法も知らないわけ?一体どんな田舎からやってきたのよ」

クリストファーが二の句を告げないでいる内に、彼女は話を続けようとする。

「いい?魔法って言うのは―」

「ちょっとストップ」
「…何?」

いきなり割り込んできた彼に対し、ルイズは若干の不快感を表しながら言葉を返す。

「えっとさ、とりあえず聞きたいことと突っ込みたいことが色々あるんだよね。時間かかるだろうけど、ちょっと付き合って」

彼は部屋を見回して言った。

「ここどこ?」

ルイズは顔に浮かんだ不快をそのままに、言葉を返す。

「トリステイン魔法学院。トリステイン王国の中心都市近くよ。まぁ、魔法も知らないんじゃこんな事言っても分かんないだろうけど」

トリステイン王国。
彼女の言うとおり、クリストファーはその国を知らなかった。
それどころか、クリストファーは決して地理に明るいわけでは無いが、彼の知る限りそんな国は何処にも無かったはずだ。
少なくとも、アメリカの周りには。

「僕、港の近くで倒れてたはずなんだけど」

クリストファーの疑問に、ルイズは顔色も変えずに答える。

「言ったでしょ、召喚されたって。あんたが何処にいたかは知らないけど、どんな所にいても『サモン・サーヴァント』が唱えられればそのメイジの元に送られるのよ。あ、メイジってのは魔法使いの事ね」

そう言うと、彼女は窓に歩み寄った。

「ほら、あそこで呼び出したの」

クリストファーも身を起こし、つられて窓に近寄る。
まず目に入ってきたのは、草原。
そして、それだけだった。
地平線までどれだけ目を凝らしても、海どころか町らしきものすら見えない。
日はとっくの昔に沈んでいるため、周りは暗くなっているが、視界が遮られる程ではない。
拉致されたのかと一瞬彼は考える。それなりに恨みを買う生活をしていた彼には、そうされる理由が多くある。
しかし、こんな小さな少女を見張りにつける意味は無い。
それに、それでは彼女の『魔法』と言う言葉の説明が付かない。
彼は、何の気もなしに空を見上げた。

そして、彼の時間が止まる。

「……どうしたの?」

固まったクリストファーを見て、ルイズも同じく顔を上げる。

そして、彼と同じ物を見た。

「…何よ、何も無いじゃない」

ルイズは、何もおかしい事は無いといった様子で顔を戻す。



空に、普段のゆうに二倍はある月が、二つも浮かんでいるのにも拘らず。



――甘かった。

クリストファーの中には、ある考えが現れていた。
それは、不自然の象徴である彼でさえ、到底信じられないような不可思議な事。

――場所がどうとか言うレベルじゃない。

しかし、周りの状況が彼に確信を強いる。


――此処、俺のいた世界じゃない……!



その後の事は、彼は良く覚えていない。
ベッドに戻った後、あの少女が使い魔や主人がどうとか言っていた様な気もするが、呆然としていた彼にはその一部しか聞こえていなかった。
彼が我に帰ったのは、足に再び軽い重量を感じた時だった。
見ると、話し疲れたのか、ルイズは彼が目を覚ました時と殆ど同じ格好で寝息を立てていた。

そんな穏やかな彼女の様子とは逆に、彼の頭は混乱で荒れ狂っている。
自分はこれからどうすればいいのか。
他の『吸血鬼(ラミア)』の仲間たちはどうしているのか。
そして、ヒューイからの任務はどうなるのか。

そんな疑問が渦巻く頭に、疲弊からか、それとも少女につられてかは分からないが、大きな眠気の波が襲ってきた。

――まぁいいや。

朦朧とする頭の中、彼は考えることを止めた。

――後は、起きてから考えよう。

その言葉を最後に、彼は意識を手放した。




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