あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

確率世界のヴァリエール-04


深夜のヴェストリ広場。 灯された杖の明かりをたよりに、
二人の少女が自らの書いた小説を交換し、読みふけっている。
少女の一人、モンモランシーがにやけた顔でタバサにたずねる。
「どう?どう? 今度のはちょっと良いでしょ」
「キモい。 ギーシュ攻めなんて信じられない。」
「あんたのコルベール受けよりマシよバカ!」

不毛な論争を繰り広げる二人に、足音が近づく。
「あら、獣姦娘が来たわ」
「ひどいですわ、モンモランシーお姉さま」
書き上げたばかりの著作を自慢げに差し出しながら、
ケティが口を尖らせて抗議する。
「私のヴェルダンデ攻めは、ギーシュ様への愛なんです!」

病状は深刻だ。



 確率世界のヴァリエール
  - Cats in a Box - 第四話



「ルイズー、ま~た学院長に呼ばれたって?
 今度はなーにやらかしたのよ」
「今度は何にもやってないわよ!
 てか、何で付いて来てんのよ、キュルケ」
「見物」

言い合いながら朝の廊下を歩く二人の後ろを
フレイムにまたがったシュレディンガーが付いてくる。
まだ寝足りないのか、フレイムの歩みにあわせて
猫耳頭が舟をこぐ。

「し、失礼します!」
ルイズが学院長室のドアを開けると、
見慣れた顔ぶれが応接用のソファに座っていた。
タバサ、モンモランシー、ケティ、それにギーシュもいる。

「あら、おはよ。 あなたも呼ばれたの? ルイズ。
 また何かやっちゃった?」
「何もやってないって言ってるでしょ!
 まったくどいつもこいつも人の顔見るなり、、、
 てゆかモンモランシー、そっちこそ何やったのよ」
「わたし達はアレよ。 事件の目撃者ってヤツ?
 こっちは付き添い」
「やあ」
ギーシュが前髪を掻き上げつつ手を振る。

「はぁ? 何の?」
「それを今から説明します」
振り返ると、眼鏡を光らせたロングビルがファイルを抱え立っている。
「おお、来てくれたか、ミス・ヴァリエール。
 それにシュレ坊や、よしよし。 それでは始めようかの」
ロングビルの後ろから入ってきたオスマンが
「シュレ坊」の頭を撫でながら皆に切り出す。
「ミス・ロングビル、例のものを」


『破壊の杖、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ』


ロングビルがテーブルの上に置いたカードにはこうあった。
「え? これって、、、」
「宝物庫にあったものじゃ、ミス・ヴァリエール」

「あなたたち三人が昨晩見たものはやはりフーケのゴーレムでした」
ロングビルがソファに座った三人の少女に告げる。
「あらやだ、フーケってあれ? 今ウワサの貴族専門の盗賊ってヤツ?」
キュルケが好奇心で目を輝かせながらロングビルに尋ねる。
「そう、そのフーケです。
 そのフーケが昨晩学院の宝物庫を襲い、破壊の杖を盗んでいったのです。
 手口はゴーレムを使って壁を壊すというもので、こちらの三人はその目撃者。
 宝物庫の壁は教員達により修復済みですが、言うまでもなく口外無用です。
 それで、学院長。 なぜこの二人をお呼びに?」
「いやいや、用事があるのはこの子に、じゃ」
オスマンがシュレディンガーの頭にぽんと手を置く。

「、、あ」
ロングビルが思わず声を漏らす。
「い、いえ、あの、でもあのー、学院長?
 あの件はミスタ・コルベールたち教員にお願いしようかと」
「じゃが君の見つけたフーケの隠れ家は、けっこう遠いんじゃろ?
 そんなまどろっこしいことをせずとも、この子らならすぐじゃ」
「し、しかし、あ、そ、そうです!
 フーケが待ち構えているかも知れません!
 いえ、きっと罠です、危険です!」
「それならばすぐに戻ってくればよい。
 なんにせよフーケを捕らえるのは王宮の仕事。
 彼らの面子をわざわざ潰す事もあるまい。
 こちらは盗まれた物さえ戻ればそれで良い。
 ミス・ヴァリエール、引き受けてくれるかの?」

「はい! 喜んで!」
突然に訪れた名誉回復の機会にルイズは奮い立つ。 
「で、あんたたち、三人でそんな夜中に何やってたの?」
「秘密。」


==============================


五分後。
「だからいったでしょお? もう、いきあたりばったりなんだもん」
「炭焼き小屋があんなにあるなんて聞いてないわよ!
 すみません、ミス・ロングビル。 あのー、地図、いいですか?」
==============================
さらに五分後。
「ありました!」
大きな黒いケースを抱え戻ってくる。
「おお、これじゃこれじゃ。 良くやってくれたの、二人とも」
オスマンが戻ってきたシュレディンガーの頭をなでる。


「へー、これ?
 学院長、せっかくだし中見ても良いですか?」
キュルケが物珍しげに箱を覗き込む。
「おお、そうじゃな。 念のため中身を確認しようかの」
オスマンがケースを開ける。

そこには、40サントはあろうかという黒い鉄塊が収められていた。
「これって、、銃? でも、、、」
ルイズも銃をみたことは何度かある。
しかし、ケースに収められた「これ」は、そのどれとも異なっていた。
素人目にも判る加工精度、銃身に纏い付いた禍々しさ、何よりその巨大さ。
とても人間が扱えるシロモノとは思えない。
「じーさす、、くりす、と?」
スライドに刻まれた刻印を読んでみる。

『Jesus Christ is in Heaven now』

突然にシュレディンガーの声が響く。
「対化物戦闘用13mm拳銃『ジャッカル』
 全長39cm、重量16kg、装弾数6発、専用弾13mm炸裂鉄鋼弾」

「シュレディンガー、、?」
さっきまでと異なる自分の使い魔の雰囲気に
ルイズは思わず息を呑む。
「こっちに呼ばれた時、ルイズに話したでしょ?
 僕の、僕らの敵だった吸血鬼、『死の河』。
 コレはそいつの持ち物さ」

「ほう、シュレ坊や、コレを知っとるのか」
オスマンが驚きの声を出す。
「ヒゲじいちゃん。 これってどうしたの?」
「王宮からの預かり物でな。 詳しくは知らん」
「てゆーか学院長。 コレって本当に銃なの?」
キュルケがケースに手をかけ、銃を取り出す。
両手で抱え込み持ち上げるのがやっとの様子で、
構えることも、ましてや撃つ事もできそうに無い。

「うっわー、すご。 シュレちゃん、『死の河』って言ったっけ?
 そいつ本当に化物なのね。 こんなの扱えるなんて」
「そもそもコレ本当に撃てるの? うそ臭いわね」
モンモランシーが怪訝そうな顔で銃をながめる。
「そういう事なら僕に任せてくれないかい?」
「はあ? ギーシュ、あなたじゃ持ち上げるのもやっとでしょ」
「僕が撃つとは言って無いさ」
「あ、そうか」
シュレディンガーを除く皆が納得する。

  。。
 ゚○゚


ヴェストリ広場。
ギーシュがバラの花の付いた杖を振る。
八枚の花びらのうち二枚が散りこぼれ、二体の青銅のゴーレムが現れる。
「へえ、すごい!」
シュレディンガーが感嘆の声を上げる。

一体が銃を構え、もう一体が壁際に立つ。
「この子を的にするのはいささか気が進まないが」
ギーシュの作り出したゴーレムは女性の形をしていた。
「じゃ、いくよ。
 、、、、あれ?」
「あ、セーフティ?」

シュレディンガーがギーシュにトコトコと近づく。
「弾(アモ)を弾装(マガジン)に入れてー、
 遊底(スライド)を引いてー、安全装置(セーフティ)を外してー。
 あと最後にー、耳をふさいで」

落雷の如き轟音が鳴り響く。
「おおー!!」
中空の胸部を易々と粉砕し、ゴーレムの背後の壁が大きく砕ける。
ジャッカルを構えていた方のゴーレムを振り返る。
「おぉー、、」
両肩がもげて吹き飛んでいた。


「破壊力は大したものですが、これでは実用には向きませんね」
ロングビルが壊れた壁を修復しながら散らばったゴーレムを見やる。
「じゃな。
 ミス・ロングビル、コレを宝物庫に戻して置いてくれるかの」
「かしこまりました」
ロングビルがジャッカルをケースに収める。

そのロングビルの様子を見つめていたタバサが
その場から立ち去ろうとするキュルケの袖を引く。
「ん? どしたの?」
「ちょっと。」

  。。
 ゚○゚


学院のすぐそば、森の入り口。
ロングビルが止めてある馬車に乗り込む。

「ま、運用法も判ったし、
 結果オーライってとこね」
ジャッカルの入ったケースを荷台に放り込み、
置いてあったフードをはおって眼鏡を投げ捨てる。
==============================
「そこまでよ、ミス・ロングビル!」
突然の声にロングビルが振り向くと、
そこにはルイズとその使い魔が立っていた。

「とうとう尻尾を見せたわね!」
「な、何の話でしょうか? ミス・ヴァリエール」
「隠したって無駄よ。
 変なフードを着て眼鏡を外してはいるけど、
 そんな変装、私はお見通しよ。
 今私の名前を言ったのが何よりの証拠だわ!」
「え? いやこれ、変装じゃなくて」
微妙な齟齬にロングビルが困り笑いをする。

「言い訳無用!
 まずは今朝の貴女の態度、
 何だか怪しかったわ!
 それにフーケの隠れ家を見つけた早さ、
 何だか手際が良すぎるわ!
 それに壁を修復してみせたでしょ、
 あなたが土くれのフーケと同じ土のメイジって証ね!
 何だか都合が良すぎるわ!
 つまり!」

ひゅんっ!
風切り音も勇ましく、ロングビルに杖を突き付ける。
「土くれのフーケが現れたなんてでっちあげ!
 あなたがこの事件の犯人よ、ミス・ロングビル!!」

「、、、えーと、」
「いや、違うってルイズ。
 タバサの推理はそうじゃなくってー」
「え~? 大体こんなだったでしょ」
「だからロングビルがフーケをでっち上げたんじゃなくってー。
 ロングビルの正体がフーケなんだ、って言ってたでしょお。
 でしょ? フーケ」
「ええ、まあ、一応」
「ホラ」
「え~?」
いまいち納得のいかない表情でルイズがロングビルに向き直る。

ひゅんっ!
風切り音も勇ましく、ロングビルに杖を突き付ける。
「じゃあ、
 そんな感じで!!」


「、、、」
「、、、」
「お前の主人、バカでしょ」
「あ、わかる?」
「な?! 二人して何言っちゃってんのよ!
 バカって方がアレよ、ええと、アレよ!
 ああもうこっちはいいわ、シュレ。
 私が食い止めとくから一分でみんなを呼んでくるのよ!
 はやーく!!」

「一分ねえ、、」
あきれた様子でロングビル=フーケが吐き捨てる。
呪文の詠唱とともにゴリゴリと土が盛り上がり、30メイルは
あろうかという巨大な土くれのゴーレムが形作られていく。
「あんたをすり潰すには充分だわね、おチビちゃん」
ルイズがシュレディンガーに向き直る。
「じゅじゅじゅ十秒で!」


慌てふためくルイズの上を大きな影がよぎる。
「あ、あれって?!」
「シルフィード!」

ゴーレムと二人との間に三人が降り立つ。
「タバサ、キュルケ、それにギーシュ!」
喜ぶルイズの声を背中に聞きながら、キュルケが名乗りを上げる。
「正義の味方、参上ってところね。
 どうやって見つけようかと思ってたけど、良かったわー。
 あんたがこんな大きな目印を作ってくれる様なおバカさんで」
「そうよ、バーカバーカ!」
「はいはい、あんたが何かバカにされたのは判ったから、
 おとなしく後ろで見てなさい、ルイズちゃん」
「ちょ、来るなりなんでのけ者扱いなのよ、私は貴族なのよ!」
キュルケを睨みつける。

「魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ。
 敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」

「そりゃあ違うね」
「違う。」
「違うに決まってんでしょ、バッカじゃない?」
三人がいっせいに突っ込む。

「逃げないなんて犬でもできるわ。
 己の敵を魔法で打ち倒す者を、貴族というのよ!」
キュルケがゴーレムを見上げ、獰猛な笑みを浮かべる。
「だから貴族に「なる」までは、ルイズ、君は「見学」だ」
ギーシュが振り返りもせず、肩越しにバラの杖を振る。
「シルフィード。」
タバサがフーケを睨んだまま、ルイズを指さす。

「ちょ? 何? 放しなさいよ!」
がっちりと爪で掴まれた体がふわりと中に浮く。
「お姉さまたちの邪魔しちゃダメなのね」
二人ともシルフィードに森の木陰まで連れて行かれる。
「何でよ! よってたかってあたしを邪魔者あつかいして!」
「まーまー、みんなだってルイズの為を思って」

「判ってるわよそんな事!!」

にじむ涙を必死に堪える。
「そんな心配をされなきゃいけない、、、
 自分に腹が立つって言ってんのよ!!」
びっくりした顔のシュレディンガーの口もとが、すぐににんまりと緩む。
「、、、何よ、あんたまでバカにしてんの?」
「いやー、良いご主人様をもって幸せだなー、って」
「、、、な、なによそれ」


ギーシュがバラの杖を振る。
六枚のうち四枚の花びらが地面に触れると、
剣と盾を持った四体のゴーレムが現れる。
「ほ~う、格上相手に力の温存とは、大した余裕じゃない」
フーケがゴーレムの肩の上で笑う。
「笑ってる暇なんて、無いんじゃない、のっ!」
キュルケの放ったファイヤーボールをゴーレムの腕で受け止める。
「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ!」
タバサが氷の矢を放つ。
が、それもゴーレムの腕の一振りで吹き飛ばす。
「こんなもんかい?」
足に斬りかかるゴーレムの一体が、薙ぎ払われた拳で解体される。
「ひとーつ!」
「ありゃま、大した質量だ」
ギーシュがのん気につぶやく。

「ふたつ! みっつ!」
魔法を放つ二人を援護する為に巨大なゴーレムの足元で
素早い動きでかく乱するが、いかんせんスケールが違いすぎる。
残り一体となったギーシュのゴーレムをゆっくりと追い詰める。
「あっけないねえ、これでよっつ!!」

拳を振りかぶったゴーレムの足元が突然に陥没し、巨体が片ひざを突く。
「よしよし、よく間に合ったねえ」
フーケが振り返ると、ギーシュのそばに巨大なモグラが顔を出している。
そして、その横にはゴーレムが二体。 手には四連装式クロスボウ。
「メイジ狙いはいくさの常道」
ギーシュが全ての花びらの散った杖を振るうと同時に、放弦の音が響く。

ドッドドドドドドドッ!!

「わぉ、やるわね」
キュルケが素直に驚く。
「いや、まだだ」
ギーシュが苦く笑う。 ギーシュのゴーレムが放った八本の矢は全て
土くれのゴーレムから伸びた土壁に刺さっていた。
「中々やるけど、、所詮はガキね」
土壁の向こうからフーケが立ち上がる。

ギーシュが短く息を吐く。
「よし、じゃあプランBでいこう」
「ええ?あんの? そんなもん」
「じゃあ、後は頼んだよ淑女達(レディス)」
ギーシュが花びらのなくなった杖を掲げる。

「イル・アース・デル!!」

錬金の詠唱とともに精神力を使い果たしたギーシュが
杖を掲げたキメ顔のままで気を失い倒れこむ。

「はんっ、何を、、?」
土壁に刺さったクロスボウの矢に刻まれた
ルーンが輝き、ざらり、と黒い粉に変わっていく。
硝石と硫黄、黒炭の匂い、、火薬!!
フーケが気付いたその時、タバサの魔法が巻き上げた火薬に
キュルケのファイヤーボールが炸裂した。

ゴォンッッッ!!!

ファイヤーボールの上位魔法、フレイムボールさえしのぐ大爆発が
甲高い反響音を響き渡らせる。

「どうよ!!」
「駄目。」
爆煙が晴れていく。
フーケのローブや髪の毛は焼け焦げていたが、
致命傷には至っていない。
風のメイジであるタバサは、フーケが爆発を
エアハンマーで相殺した事を見抜いていた。
「さあてよくもまあ
 やりもやってくれたねえ!!」
凶悪な笑みを浮かべたフーケを乗せて、ゴーレムがゆっくりと立ち上がる。
「あーらら、マズそ」
キュルケが引きつり笑う。

その時。
爆発音とともにゴーレムが再び片ひざを突いた。
「やったわっ?!」

ルイズの声がゴーレムの足元から響く。
ルイズが起こした魔法失敗の爆発は、
ゴーレムの右足のひざから下を吹き飛ばしていた。
「馬鹿っ、ルイズ、近すぎる!!」
キュルケが叫ぶ。

「舐めるんじゃないよっ、このチビが!!」
ゴーレムがその巨大な拳を振り上げ、ルイズへと振り下ろす。
「ルイズ、あぶない!」

どんっ。

突然現れたシュレディンガーに突き飛ばされて
ごろりと転がり一回転してぺたりと座り込む。
「な、なにすんの! 、、、よ、、」
声を上げるルイズの目の前、シュレディンガーの居た場所には
巨大な拳が視界を塞いでいた。

「え?、、、え?」
現実感の無い程に巨大な拳を呆然と眺める。
「、、、シュレ、ディンガー?」
巨大な土くれの塊がゆっくりと持ち上がる。
「、、、うそ」
頭の中が空白で埋まり、すべてが消音(ミュート)された世界で
土くれと地面の間から現れた赤黒いペーストが、湿った音を立てる。


 に ち っ 。


「いやああああぁぁ!!!」
ルイズの叫びが、森に響いた。

「ちっ」
フーケが苦々しく舌打ちをする。
頭に昇っていた血が引いていく。 最初は適当にあしらう筈だった。
だが、自分の操るゴーレムから伝わる感触が足の裏に届く。

「シュレ! シュレぇ!」
目の前の赤黒くつぶれた塊を見つめ、ルイズは半狂乱で泣き叫ぶ。
「うるっさいなー、もう」
突然の声に後ろを振り返ると、猫耳頭が口を曲げてこっちを見ている。
「へ?」
前を向き直るとそこには何も無い。
「へ?」

「うそでしょ? 確かにさっき、、、」
足元に再び現れたシュレディンガーを見下ろし、フーケがつぶやく。
「あいつ、、、化け物か?」
フーケの背中を冷たいものがつたう。
「ひっどいなあ~、バケモノだなんて」
「ひっ?!」
間の抜けた声に振り返る。

「そっちだってー、ボクを殺したクセにさあ」

猫目の瞳孔が大きく開き、虚無が笑う。
「うわっっ?!」
思わず飛び退いたフーケの足の下に、足場はなかった。
咄嗟にレビテーションを唱えようとする、が。

がごす。
「「「あ」」」

宙に張り出した自分のゴーレムの腕で後頭部を強打し、
ぐるりと一回転した後、フーケはぼとりと地面に落ちた。


「生きてる。」
「どーすんの? これ」
「縛っちゃおか」
寄り集まって気を失っているフーケの顔を覗き込む。


「そりゃ。とう」ギュリギュリギュリ
「ミッションコンプ!!」
縛ったフーケに足を乗せ、さわやかな笑顔でガッツポーズを決める。
「ちょ、ルイズ!
 ナニあんた一人の手柄みたいな顔してんのよ!」
「何よ、フーケ見つけたのはあたしでしょ」
「見つけたのはシュレちゃんでしょうが!」

「良い子。」
なでりなでり。
タバサがシュレディンガーの頭をなでる。

「大体キュルケ、そーいうあんたこそ役に立ってないじゃない」
「はあ?! あの大爆発を見なかったのルイズ?!」
「あんなもんほぼギーシュの仕込みじゃない。
 あんたなんて火薬に火ぃつけただけでしょ!
 アレなら私だってできるッツーの!」
「あんたのしょっぼい爆発で火なんか付くわけ無いでしょ!」
「何がしょぼいのよ!
 ゴーレムの足もいだの見てたでしょ!」
「それでシュレちゃんに助けられてりゃ世話ぁ無いわね!」

ギーシュが目覚めるまで二人の罵り合いは続いた。

  。。
 ゚○゚


「いやいや、よくぞフーケを捕らえてくれたの、礼を言うぞ」

オスマンがシュレディンガーをなでながら、誇らしげな顔の皆を見渡す。
「しかし、みなが無事で何よりですが、
 何も君達だけでやらなくても良かったのではないかね?」
コルベールが心配した顔で問いかける。

「ま、ご心配ありがとうございます。
 でも、タバサの推理はあくまで仮説、確証が有りませんでしたので。
 いたずらに先生方に動揺を与えては、と思いまして。
 で、その後はまあ、その場のノリですわ」
キュルケがコルベールに微笑む。

「しかし驚いたのう。
 あのミス・ロングビルがフー」
「あーっ!」
オスマンの言葉をシュレディンガーの声がさえぎる。

「あれ、、、あれれ。 おろろろろ」
シュレディンガーが手袋を脱ぎ、手の裏表を眺め、
シャツをまくり、へそを丸出しにして体のあちこちを覗きこんだ後、
震えながら上目遣いに自分の主人を見つめる。
「ルイズー、ゴメんなさい。
 ルーンなくしちゃいましたー」

「はあ? あんたもー、何やってんのよ」
シュレディンガーの手を掴んで裏表を見回し、
シャツを引っぺがして体のあちこちを探し回る。
「ああもうソコ座んなさいなシュレディンガー。
 また付けたげるから」
シュレディンガーを椅子に座らせて呪文を唱え、キスをする。

「おおー」
自分の手の甲に再び刻まれたルーンを眺め、満足げな声を上げる。
「ほら、今度は無くさないのよ」
猫耳頭をぺチンと叩く。

「何よそのデタラメさ。
 こないだから「魔法が成功した~成功した~」って言い張ってたけどさ、
 あんたそれどー見ても失敗してるでしょ」
キュルケが呆れる。
「おお、そうですオールド・オスマン。
 彼のこのルーンについてなのですが」
コルベールが急に興奮した面持ちになり、テーブルに資料を広げる。
「前にお話しようと思っていたんですが、コレを見てください。
 このシュレディンガー君に刻まれたルーン。
 それとこの始祖ブリミルの使い魔のルーンを見てください。
 ほら、これ。 まったく同じルーンです!」
部屋の皆が、テーブルの上の本とシュレディンガーの手を交互に眺める。

「ほう、おめでとう。
 ミス・ヴァリエール」
ギーシュがさしてめでたそうでもなくルイズを祝福する。
「は? 何言ってんのよギーシュ」
「君は自分の系統をずっと探していたんだろう?
 見つかったじゃあないか。
 君の系統は、『虚無』だ」

「、、、
 はああ?!」
「ぶっははは!
 すっごいじゃないルイズ! おめでと~!
 今までバカにして御免なさいね~、ルイズちゃん。
 学友に伝説の『虚無』が居たなんて、アタシすっごい光栄だわ!」
「な、何言ってんのキュルケ、そんなわけ無いでしょ!」
「おめでとう。」
「タ、タバサ? あんたまで!」
「すごいわー、ルイズ。 見直したわー。
 あ、じゃあいっつものあの爆発も失敗じゃなくってー、
 『虚無』の魔法だったのね! なるほど!」
「ち、違うって言ってるでしょモンモランシー!
 私がそんなワケ判んない系統な訳無いじゃない!」
「お、おめでとう御座いますー」
拍手をするモンモランシーにつられて
『虚無』自体が何なのかよく判らないケティも続く。

「こりゃあ『泣き虫ルイズ』は返上だねえ」
「そうねぇギーシュ。 これからは『虚無のルイズ』ね。
 おめでとー! 『虚無のルイズ』ちゃん!」
「違うって言ってるでしょキュルケ!
 ふっざけないでよ!!」
自分を囲んで祝福の拍手を送る学友達にルイズが叫ぶ。

  。。
 ゚○゚


「私はゼーッタイ!
 『虚無』なんかじゃないんだから!!」




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