あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの使い魔 対 ショッカー-01


「あんた達、誰?」

ルイズが目を覚ますと、白い覆面をした男達が彼女を覗き込んでいた。
その異様な雰囲気に思わずルイズは身構えそうになるが、しかし両手はまったく動かせない。
それどころか彼女の身体は何か円形の台らしき物に仰向けで寝かされ、固定されている状態だった。
これでは逃げようもないが、それでもせめてもの抵抗にとルイズは部屋の様子を探ってみる。
視界に入る範囲では天井と壁と何らかの機械の一部しか分からない。
だが、不気味なまでに薄暗く、彼女が今まで見たことも無い様式の部屋。そして自分を照らす怪しい灯。
覆面の男達だけでなく、自分のいるこの空間そのものが異様なものだった。
ここは一体、何処なのだろう。この連中は一体、誰なんだろう。そもそも自分は何故、こんな所にいるのだろう。
そんな疑問が頭をよぎった時。

「お目覚めかな、ルイズ・フランソワーズ」

突然かけられた声にルイズは聞き覚えがあった。
氷のように冷たく暗いその声――それは二週間ほど前に自らが召喚した使い魔の老人のもの。
声と共にそれまでルイズを括りつけていた円形の台が動き、彼女の身体ごと起こされる。
目の前には、やはり自らの使い魔の姿があった。

「し、死神博士!? ちょっと、一体これはどういうことなのよ! ここは何処!?」
「場所が知りたいか、いいだろう。ここはトリステイン魔法学院の地下に作った、我ら『ショッカー』のアジトだ」
「しょっかー? 何よそれ。だいたい、学院の下にそんなもの作れるわけないでしょ!?」
「頭の悪い娘だ。お前は我々の言うことに疑問を挟む必要など無い」

ルイズは混乱しながらも状況を把握し、整理しようと試みた。
どうやら自分は使い魔によって、本当に学院の地下なのかは分からないが、とにかく彼が独自に用意した怪しげな部屋に拉致された。
まとめればこれだけなのだが、どれもルイズの常識では決して受け入れられないようなことである。
そもそも使い魔が人間であること自体が異例なのだ。
使い魔が主人に対して忠誠を誓わないどころか反逆するなどハルケギニアの歴史上、聞いたことが無い。
そんなことを考えながら、ルイズは死神博士を召喚してからのことを思い返していた。

ルイズの通っているトリステイン魔法学院では伝統として春の使い魔召喚が行われる。
二年生に進級する際、『サモン・サーヴァント』で自らの使い魔を召喚し、主従の契約をする。
召喚された使い魔からメイジの属性を判断、固定することが目的の神聖な儀式だ。
そこで彼女はハルケギニアの幻獣や動物ではなく、人間を召喚してしまったのだ。

それでも、召喚した直後は「役に立たない年寄りを呼んでしまった」ぐらいにしか思わなかった。
外国の田舎の出身らしく、メイジや系統魔法についてさえ知らないことで驚いたぐらいだ。
とはいえ使い魔になることに抵抗することも無かったし、使い魔としての仕事も雑用ぐらいしかさせなかったが、特に問題となるような行動は無かった。
あえて挙げるなら、学者のようなものだったということで図書館の使用の許可を与えたら、自分を放って三日ほど入り浸ったことぐらいである。
特に変わった所も無く、何も期待はしていなかったが……

「どうして……どうして、こんなことになったのよ……」
「案ずることはありませんぞ、ミス・ヴァリエール」

不安と恐怖に押し潰されそうになった彼女にかけられたのは想像だにしなかった人の声だった。
〝炎蛇〟のコルベール。
死神博士を召喚した時にも居合わせた、魔法学院の教師である。

「ミスタ・コルベール!」
「恐れることはありません。今、君に必要な知識、事実は私が全て教えましょう」

正直、ほっとした。
コルベールは変人だが、誠実な人間であることはルイズも知っている。
しかも魔法学院の教師なだけあって、メイジとしてもトライアングルクラスの実力を誇る。
これで少なくとも身の安全は保障されたようなものである、そうルイズは考えたのだ。
しかし。

「ミス・ヴァリエール、君は知らなければなりません。君が呼び出した使い魔のことを。そして、2つの世界を救う偉大なる『ショッカー』のことを」

それからコルベールは熱弁をふるった。
死神博士がこの世界とは別の世界から来た科学者で、ショッカーという組織の大幹部だということ。
そしてショッカーがそちらの世界を正しい方向に導くための選ばれた存在だということを。
さらに異世界の文明やその歴史、さらにショッカーの持つ科学技術の素晴らしさについて。
それらの説明を聞く中でルイズは感じ取っていた。
コルベールの異常に。

「ミス・ヴァリエール、これは光栄なことですぞ。死神博士の仰る世界は素晴らしい。ショッカーの世界こそまさに理想郷だ! 君はそれを創造することが出来る力と権利を手に入れた。君はまさに神と始祖に愛された人間なのです!」

――狂っている。
おかしな研究に没頭していた先生だ、ショッカーの何かに惹かれたのは事実だろう。
でも、いくらなんでもこんなことを言う人じゃなかった。
変えてしまったのだ、先生を、彼らが。
ショッカーが。

「で、でも、どうして〝ゼロ〟の私なんかを? 私が死神博士を使い魔として召喚したから?」

コルベールへの恐怖とは別に、彼の説明を聞く中で浮かんできた疑問。
ショッカーが魔法を超越した科学を持ち、魔法など必要としていないのであれば説明はつく。
自分が召喚した関係もあるし、単に一番手近な存在として選ばれただけということでも理屈は通る。
しかし、やはりどうしても何か引っかかる。違和感が拭いきれない。

「ならば教えてやろう」

そのルイズの疑問に対して答えたのはコルベールでは無く、死神博士だった。
死神博士の指示により、大きな鏡のような物がこちらに見えるように向けられる。
そこに映し出されたのはルイズも見慣れた古代文字――使い魔に刻まれる紋様だった。

「ルーン?」
「そうだ。解除したルーンから、お前が伝説の系統の担い手であることが分かった。お前は我が改造手術の素体としてはこれ以上ない……『仮面ライダー』を倒しうるだけの逸材だ」
「な、何を言ってるの…? 伝説って…? 改造手術って何の冗談よ!?」
「冗談などではない。先日、捕らえた吸血鬼の血を用いてお前の体に改造手術を行った。お前はもはや人間ではない『改造メイジ』なのだ」
「そ、そんなの信じない! 信じられないわ!!」
「……いいだろう。コルベール、やれ」
「はい」

コルベールは頷くと杖を振るう。すると巨大な炎の蛇がうねり、ルイズの体に巻きついた。

「きゃぁあああああ! 先生、何を!?」
「これが今の君だ、ミス・ヴァリエール。私のヘビ君を受けたのなら、普通の人間なら一瞬で燃え尽きている」

そう言われ、はたと気が付く。
コルベールのあれだけの炎を受けたにも関わらず、自分はほとんど痛みを感じていない。
おそらく、身体には火傷の一つさえないのだろう。
それが何を意味するか……ルイズの顔色が蒼白に変わる。

「お前の潜在能力は既にショッカーのコンピューターにより90%以上が解析済みだ。あとは始祖の秘宝と指輪さえ手に入れれば、こちらが必要とする魔法を強制的に覚えさせることが出来る」
「そんなことして……私の魔法を使って、一体どうするつもりなのよ……」
「お前には、まず『世界扉』を開いてもらう。そして日本に行き、あの憎き一文字隼人を始末するのだ」
「……そうはいかない。そしてルイズは返してもらう」

死神博士の言葉を遮り、朗々たる声が部屋に響く。
そして現れたのは羽帽子に黒いマントを纏った一人の貴族。

「何者だ、貴様……!?」
「魔法衛士隊、グリフォン隊隊長……〝閃光〟のワルド!」

ジャン・ジャック・フランシス・ワルド。
トリステイン王国三つの魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊の隊長であり、子爵の地位を持つ貴族。
そして影では貴族連盟レコン・キスタと通じ、己の目的のために聖地を目指す野望の男である。
そんな彼にはかねてより目をつけていた少女がいた。
幼い頃より自分を慕っていたヴァリエール家の三女。ワルドは彼女の秘めた才能を見抜いていた。
その力がどのようなものなのか、どれほどのものなのかは分からないが、計り知れない可能性を感じていた。
彼女はいずれあの始祖ブリミルにも劣らぬ優秀なメイジになるだろう、そんな予感めいた確信さえあった。
だから彼は魔法学院での使い魔召喚の儀式の時からルイズを密かに見張っていた。
召喚される使い魔にはメイジの力量と属性が大きく影響するため、彼女の力を見極める絶好の機会だったからだ。
そして、それが偶然にもワルドにショッカーの存在を教えたのである。

「怪しい老人だとは思っていたが、まさかここまでのものとはな」
「小癪な小僧が。カメレオン男!」

死神博士が手を振り上げると同時に虚空から現れる異形の姿。
ショッカーの改造人間、その名は死神カメレオン。

「なるほど。貴様がショッカーの改造人間とやらか」
「クェーッエッエッエ、ショッカーに歯向かう者は皆殺しだ!」

そう処刑宣告をすると、怪人は手を広げ悠然とワルドの方へと間合いを詰めていく。
メイジ相手に自殺行為としか思えないその行動が意味するもの、それは相手の絶対の自信。
これまで経験してきた緊張や戦慄とは別種の恐怖を感じ、杖を構えつつもじりじりと下がるワルド。
敵は改造人間という未知数の相手。どういう能力を持つのか、どれだけの戦闘力を誇るのかは想像もつかない。
分かることがあるとすれば一つ、それはまともに勝負を挑んでも勝算は低いだろうということだ。

「どうしたワルド、かかってこい」

死神カメレオンの挑発を受け流しながらワルドは戦況を読み、打開策を練っていた。
この戦いに勝機があるとするならば、この怪人が彼自身の実力を知らないことの一点につきるだろう。
ならば相手がこちらを甘く見ているうちに、自らが持つ最強の呪文で一気に畳み掛けるしかない。
そう結論付けたワルドは呪文を詠唱――せず、視界の端に映っていた白覆面の男に向かって、懐から取り出した円盤状の物体を投げた。

「イー!?」
「むっ?」

ワルドが投げたのは変装用に持っていた白い仮面。武器でもないため特別な殺傷力など無い。
が、その思わぬ攻撃は白覆面の男に苦悶の声を上げさせ、死神カメレオンの注意も逸らさせた。
そう、それこそがワルドの狙いだった。
まともに放っては魔法が防がれる可能性も考えられたため、虚を突く必要があったのだ。
そして再び死神カメレオンがこちらに注意を戻した時には既に呪文の詠唱は完成されていた。

「走れ、稲妻! 『ライトニング・クラウド』!!」

放たれたワルドの電撃魔法の直撃に肉体を焦がし、悶え苦しむ死神カメレオン。
本来ならばショッカーの怪人は数万ボルトの電流にも耐えられる。生半可な電撃など通用するはずがない。
しかし過去に一度葬り去られ、破損箇所を修復されて蘇った『再生怪人』の場合は別である。
再生怪人は一部を除いて著しく戦闘力・耐久性が劣化する…サッカー選手に腹を蹴られた程度でも大きなダメージを受けるという例もあった。
そして、この死神カメレオンも過去に三度も倒されている〝再生〟死神カメレオンだった。

「流石に俺の『ライトニング・クラウド』を受けてはただでは済まないか」

魔力の大半を込めた渾身の一撃とはいえ、想像以上にダメージを与えられたことに安堵の表情を浮かべるワルド。
このまま一気にとどめを刺さんと明らかに弱り、ふらつく怪人に近付き、杖を向ける。
その瞬間、死神カメレオンの目が見開かれた。怪人の鋭い舌が伸び、ワルドを襲う。

「なるほどカメレオンの名に恥じない能力だな。しかし!」

ワルドに油断は無かった。
『エア・ニードル』により青白く輝きを放つ杖が死神カメレオンの舌を受け流す。
そしてワルドはそのまま怪人の胸元に入り込み、深々と杖を突き刺した。
それで決着はついたかに見えた……が。

「き、貴様!?」
「エェーッエッエッ! 俺と一緒に死ねぇ!!」

閃光を発し、怪人とワルドを中心に小さな、しかし人間一人を殺すには十分な爆発が起こる。
ショッカー血の掟――敗者には死、あるのみ。
だが死を前にした怪人に、それでも敗北を選ぶことは許されなかった。
致命傷を負わされた状態から敵を倒す唯一の手段……死神カメレオンは自爆を選んだのだ。


「メイジ一人と相打ちか。改造人間の恥さらしめ」

崩れ落ちた虫の息のワルドを見つめながら、つまらなさそうに吐き捨てる死神博士。
まあいい。再生怪人などいくらでも用意できる。それにこの結果は悪くはない。
予期せぬ事態だったが、ルイズの目の前で希望の芽を摘んだのは効果的だっただろう。
これで観念してショッカーに服従を誓えば面倒な洗脳処置を行う必要も無くなる。
脳改造手術や大幅な肉体の機械化はメイジが呪文を唱える過程に弊害が発生しかねないために行うことは出来ない。
よって、コルベールのような心の隙間をついた洗脳か脳波コントロール処置を考えていたが、自発的にショッカーに下ればそれが一番なのだ。

と、死神博士はそこまで考えた時、先程からルイズが声を発していないことに気付いた。
ワルドが現れ、始末されるまでの間に救いを求めたり、悲鳴の一つもあげそうなものだというのに。
嫌な予感と共に慌てて振り返ると、手術台にいたはずのルイズの姿が忽然と消えていた。

「まさか!?」
「……かかったな。そうだ、俺はただの時間稼ぎだ」

地に伏したままのワルドはそれだけ言うと、煙のように消滅する。

「こ、これは風のユビキタス……!?」
「おのれぇ、スクウェアのメイジだったか! コルベール、奴を探せ!!」

「……どうやら、気付かれたようだな」

魔法学院から数リーグ離れた上空。
双月の輝く夜の中の闇を縫い、空を駆けるグリフォンの姿があった。
その背には先程、ショッカーのアジトから脱出したばかりのワルドとルイズ。
脱出の際に気を失ったルイズを胸に抱きながらワルドは思案する。

ショッカーはルイズの力の覚醒に始祖の秘宝と指輪が必要と言っていた。
秘宝と指輪、これはトリステイン王家が所有する始祖の祈祷書と水のルビーに違いない。
ショッカーが逃げたばかりのルイズの捕獲に乗り出すか、先に秘宝を奪いにかかるかは分からない。
だが、どちらにしてもこちらは連中に対抗する力を得るために祈祷書とルビーを手に入れる必要がある。

「ならば、行き先は決まっているか……」

ワルドは急ぎグリフォンをトリステイン王宮へと走らせた。



<次回予告>
我らがルイズ・ヴァリエールを狙うショッカーのハルケギニア支部が送り込んだ次なる使者は、ガンダールヴ。
ショッカーの盾と化した伝説がルイズを狙う。ワルドはルイズの、神の左手となれるのか?
次回「13人のガンダールヴ」にご期待下さい!


<怪人紹介>
【死神カメレオン】
仮面ライダー第6~7話に登場した怪人。
日本に隠された「ナチスの秘宝」を奪うために東京や大阪で暗躍、仮面ライダーと争奪戦を繰り広げた。
周りの景色に同化して姿を隠す特殊能力を持ち、戦闘面では伸縮自在の舌を使った攻撃を得意とする。
ショッカー首領にカメレオン男と呼ばれていたことから死神カメレオンの名は異名と思われるが…?
ちなみに劇場版で再生怪人として登場した際には死神博士への配慮からか「カメレオン」と名乗っていたりする。



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