あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

秋山異世界物語 天気晴朗ナレドモ風強シ(仮)-01



「富士山見たら、日本にもんてきたいうておもうの――っ!!」

速力24ノットという当時最速の記録を打ち出した吉野が、今富士山を肉眼で確認できる所まで辿り付いた。
この巡洋艦が海軍に追加される事によって、日本の近代海軍はその戦力を更に増やす事になる。
しかし……。

「……んっ?風が止まりよったぞな?」

秋山が風が止んだ事を確認すると、他の士官や下士官も止まっている事に気づいた。
波すらも穏やかな状態で止まっていた。

「……なにやら雲行きが怪しいな、って雲も止まってるんじゃった!あっはっはー。」

しかし誰も笑わない。
が、その状況に変化は見られた。
目の前に突然光る鏡か何か分からない物が現れた。

「うぉっ!何じゃっ、えらく光よるのー。どうやって出来てるんじゃこれ、やっぱ英国製はガイな事が起こるのー。」

関係無いがこの時秋山26歳である。

「物…そうじゃ、軍刀…いや、しかしこれは…国民の血税から…むむ…壊れたら謝ればいいんじゃ、ということで。」

軍刀をゲートに差し込む…引き戻す。
軍刀は傷一つ付かず何もなっていなかった。

「通れるようじゃの。よし、どうにかならいな!と、その前に、煎り豆よし。軍刀、よし。そうじゃの、何か不安じゃから色々持っていこう。」

数分後

「よし、ここにいても何もならんがえ。いざ、いかん!」



「まだ待ちます、ゲートはそこにあります、希望は……あります。」

ミス・ヴァリエールはゲートの前に立っていた、さっきから失敗ばかりで他の生徒達からやじとため息が漏れる。

「分かりました、それでも無理でしたら、明日があります。」
「今日で成功させます。」

「無理だろ…さっきから不発の癖に。」
「うるさいわね、私が出来ない事と言えば、貴方に彼女を与える事くらいよ。」

周りからどっと笑いが漏れる、涙も漏れる。

「こ、この…―――。」

その発言が終わる前に、爆発が起こった、爆心地はゲート。
被害者は先生と生徒多数。

阿鼻叫喚の中、煙が薄れていく。
完璧に煙が空に溶け込んだときには。
また、笑いの渦が作られていた。

そこにはピシッとした服に包まれた肌が白くない人が、いた。

「っつつ、いたいのー…。」

衝撃により吹っ飛んだ意識が戻される、そこには笑い声が溢れていた。

「くっ、くく。ぶぁっはっはっは!何で、人間がヒー、召喚されてホヒー。は、腹が吊るっ!」
「う、うるさいわね!もう、私ってばなんで、なんでこういうときに…。」

「こういうときにって、いっつもだけどね。」
「でも、農奴や町人の出身じゃなさそうね。軍人?」

もし、そうだとすれば大変な事態になりうる、この軍服からすれば、間違いなくトリステインの軍人ではない。
コルベールが恐る恐る秋山少尉に近づいていく、あんだけ沸いていた笑い声は徐々に反転、草原が静かになる。

「し、失礼だが。君は、誰だね?」

尻餅をついたような体制から、急に立ち上がり。秋山は敬礼をし、礼儀正しく質問に応じる。

「はっ――。日本海軍秋山真之です。」

その三人を囲んでいた子供達がざわついた。
そんな事気にもせず、秋山は言葉を続けた。

「2つか3つほど、質問をしてもよろしいでしょうか。」
「あ、あぁ…どうぞ。」

こういう、人が慌てそうな時に腹を鍛えていると腹がすわって良いとは秋山の言葉である。
確かに、今この白人に日本語が通じている、しかもやたら流暢に。そこらへんから既におかしいのだが、そこを考えるには情報が足り無すぎるのである。

「ここは、何処でしょうか。」
「ここかい?ここはハルケギニア大陸のトリステイン王国だ。」

どこの国か聞いた事も無い、新大陸だろうか、だとしても。おかしい所がある。なんと、遠くに城が見えるのだ。
白人の国は基本先進国が、ヨーロッパと言わずハルケギニアというのには疑問が残る。なら、この世界が自分達がいた世界なのかを、確かめる必要があった。

「ありがとうございます。では二つ目、あなたはイギリスという国を知っていますでしょうか。」
「イギリス…イギリス…いや、知らないな。この大陸にはこのトリステイン王国とアルビオン王国帝政ゲルマニアクルデンホルフ大公国ロマリア連合皇国ガリア王国の国が存在する、が。イギリスとは聞いた事が無い。」

イギリスを知らない、つまり白人社会じゃないのだろうか。それと白人なのに日本語が通じる、何故だろう。しかもよく聞くと、この国名の中に。アルビオン、英国の古名が入っていた。
よく見てみればゲルマニアもそうだ普国の古名だ、大英博物館の歴史書物に載っていたのを思い出す。

「ありがとうございます、大体は分かりました。」
「逆に質問してもいいかね?――君は軍人のようだが、尉官かね?」

もしこれが大佐以上のクラスにでもなれば、重大な国家間問題にもなりうる、逆に尉官以下なら、行方不明となって何も起こらないだろう、そう踏んだのである。
その上、こんだけ若い内に元帥だとか大佐はあり得ない、コルベールはその推測を頼りに、安心して質問したのだ。

「は、その通りです。」

読みは当たった、コルベールは胸を撫で下ろして安堵のため息をついた。

そこで、話についていけなかったルイズがようやく喋りだした。

「あの、本当にこの男と本当に契約を?」
「ん?あ、あぁ。一度出された物は死ぬまで変更は聞かないのだ、きまりだからな。」
「……。」

ルイズは諦めるように顔を下に向けた。
何か呟いているのが聞こえた。

「……なんで私がこんな男と…。」

見れば、身長はどうみても低い、確かに良い目をしてるけど。
どんな素性をしてるかも分からない。
もう色々面倒くさくなって諦めたルイズは突然秋山の目の前に立った。

「……?」

目の前に立った少女はとても不機嫌な顔をしていた、しかも威圧的だ。
いきなりその桃色の髪の少女が言う。

「少し我慢しなさい。」

そう言ってからルイズは突然秋山に接吻をした。

「うぉ、いきなりとは、情熱的な国じゃな――!…って、熱っ!熱いぞな――!!まるでボイラー室じゃなー!…。」
「ぼ、ぼいらー?…、ちょっと左手を見せてもらえるかね。」

コルベールがピクッと本能的にその魅力的な言葉に反応したのは言うまでもない。

と、言うとコルベールは手早く左手を取り手の甲を表に向けた。
そこで秋山真之は左手の異変に気づいた。

「おわっ!なんか変な文字がついちょるぞな!」
「あ、動かないでくださいすぐ終わりますので。」

コルベールはそそくさと手に書かれた文字を紙にメモすると、秋山に背中を見せ、子供達の方へ振り返り、次にすべき事を言った。

「さて、これで全員ですね、えらく長かったですが。全員教室に戻りましょう。」

コルベールが杖を振ると、空を飛んだ。それに続いて、生徒達全員、否。一人を除いて生徒達全員が飛んでいった。
飛んでいない人というのは、そう。いきなり接吻をかましてきた、髪がピンクの自分と同じ背丈の女の子だけである。
空からその女の子に対する嘲笑や嫌味等が聞こえた。

「御身さん、えらくいわれとるぞな、言い返さんと。」
「うるさいわねっ!どうせ私は空飛べないし魔法なんて使えないぞな、ってうつっちゃったじゃないの馬鹿!」
「この国はガイじゃのー、人が何も使わずに空が飛べるんかな。あいつにみせちゃりたいのー。」

言葉のキャッチボールがあまり出来ていない二人だった。
周りを見れば草原は既に二人っきりになっていた。

「何よそれ、貴族なら空飛べて当然よ?というかあんた誰よ、日本海軍?日本ってどこよ、そもそも空海軍じゃないの?」

空海軍、秋山達がいた国では海軍しかなかったはず、もしやこの大陸では既に飛行器(機)ができているのだろうか。
それにこの国はイギリスを知らない、日本を知らなくて当然だろう。
秋山は一応推測を二つ立てた、まだ英国とかが見つけていない新大陸の可能性、既にここは自分達が住んでいた地球とは違う所

「この国には飛行器があるんかいのー?」
「は?飛行器?何それ、確かに船は空を飛ぶわよ、けどそんな物聞いた事も無い。」

船が空を飛ぶ、この世界じゃ理で説明できない事ばっかりが常識になっているらしい。
理で説明できないものは信用しない主義だったが、目の前であんだけされてるんだから、もう適応するしかない。と諦めた。

「船が空を飛ぶんかいなー、ガイな船じゃのー。」
「貴方達の国じゃ船は空を飛ばないの?遅れてる国なのね、服は進んでいるみたいだけど。」
「これか?これはの、国民一人一人が汗水流して血が吐くほど働いてできた結晶じゃー。」
「ふーん、うちらじゃ農民とか町人が勝手に作ってるわ、貴族の為にね。」

素っ気無い返事。この国ではまだ貴族社会なんだろう、きっと陸で戦う兵士は散兵もできない位ドクトリンが遅れているのだろう。
そこら辺を見てもどっちが遅れてるかなんてすぐ分かる。が、貴族も侍もそうだが、プライドが無駄に高い為、相手を認める事が出来ないのだ。
秋山はここまで情報を聞いてもしっくり来なかった、ここは落ち着いてじっくり現在の状況を整理・理解する必要があった。

「そんで、教室には戻らんでいいんがか?」
「分かってるわよ!」

まずこのたちっぱなしの状況で話を続けてもどうしようもない。
進展させる為に教室に戻る事をうながす。
この時秋山は教室という言葉に自分がまだ書生をやっていたときの頃を思い出した。

「御身さんは書生なんか――?」
「書生って何よ、学生よ。えぇ、私は誇り高きトリステイン王国内のトリステイン魔法学院生よ。」

二人は草原の中を歩きながら話す。

「ほー、魔法っつーのは空を飛ぶあれとかかいな?」
「そうよ、本当に魔法も知らないの?どこの田舎から来たのよ。」

ルイズは「こいつはキチガイの顔ですよ、」とでもいいたげな表情を浮かべた。

「ちょっと部屋に戻ったら、あんたが一から理解できるように説明するわ。」
「うむ、頼む。」

この態度に腹が立つ、魔法も知らない芋軍人がこの私に対して、この態度。しかも身長は私より低い。しかし、今は我慢、なんてったって私は誇り高きルイズ・フランソワ(中略)なんですから!
魔法も使えない軍人に対して一々目くじらなんて立ててちゃ、貴族らしくないわ!
と、大人の態度を見せてるように見えたが、笑顔の中に血管が少し浮き出ていた。

「ありゃ、そういえば教室に戻るんじゃなかったかなもし?」
「いいの、どうせ教室についたときには連絡言って終わりよ、無駄無駄。」
「なるほど。」


そんなこんなで、ルイズの部屋へ。
家具やらベッドやら、全てがイギリスの家のようだった。
そしてルイズは一からこの世界と情勢、常識を秋山へと話した。

「ほうほう、なるほどな、この世界にゃ魔法を使う奴が偉くて、使えん奴は貴族にはなれん…と。で、あしは御身さんの使用人になったっちゅーわけじゃな。」
「そう、つまり貴方は私より位が低いの、それもとっても、もう表せない位。後、使い魔は主人には絶対服従、じゃなきゃ飯抜き。」
「…(こりゃ、この国は相当文化が遅れとるのー…。)」

こういうカースト制みたいになっている国は腐敗するのを待つだけで、進歩が無いのだ。
国が衰退した後、残るのは形だけの秩序と価値の無い誇りだけ。

「なんか言ったかしら?」
「やっぱりこの国は異世界なんじゃのーって思ったんじゃ。」
「異世界?信じられないわね、あなたはどうせ頭でもぶつけて大事な情報がぶっ飛んだだけだとおもうのだけれど、ところでそこにある大きな丸い布は何?」

ルイズはそういうと、風呂敷に手を伸ばした。

「あ、まがっちゃいかん。」
「え?どうして?」

何故伊予弁が通じるのか、あの変な光る鏡を通過した影響だろうか。

「いや、色々なもんがはいっちょる、どうせ見ても分からんもんばかりじゃろう。」
「何よ、この私を馬鹿にする気?いい度胸ね。」

と言って、風呂敷の布と布が結んである所を解く。
中には、豆の入った袋と本が多数、よく分からない物と、それと世界地図があった。

まずルイズは本を読んだ、分からない。
炒り豆が入った袋を開けた、分からない。
その炒り豆入り袋をルイズの手から取って、今それをルイズの使い魔が食べている、分からない。
世界地図を見た、何処か分からない。

「嘘だぁ…。」

「ここまで見て信じないとは往生際が悪い。」
「当たり前よ、異世界って何よ、私達のすむ世界だけしか信じちゃ駄目よ、頭いたい人になっちゃうわ。」
「柔軟な頭を持ってこそ、真の貴族ではないかの?」

少し髪がゆれた、真の貴族ということばに反応したのだろうか?ならとても扱いやすい人なんだろう。

「ま、面倒だし今は信じてあげる。はー……、疲れちゃったわ、一から説明してもう口がくたくた。」
「いやー、だんだん。助かったぞな。」
「礼はいらないわ、もう寝る、明日起きて敬語を使わなかったり、無礼な態度を取ったら飯を抜くから、よろしく。」
「そりゃあ、きついっちゃー、はっはっはー。」

豪快笑いをしている秋山を余所目に。ルイズは服を脱ぎ、ネグリジェを頭から被る。
それを見て秋山は少しだけ呆れて、皮肉を言う。

「女性が見ず知らずの男の目の前で着替えるとは、自由なんじゃなー、トリステインという国は。」
「あんたが使い魔だからよ、男がいたらそんなはしたない事はしないわ。」
「うむ、それを聞いて安心した。」

ルイズが横になって明かりを消す。すると突然、思い出したかのように。

「あんたが餓死したくなければ、基本的な家事は全部やってもらうからね。」

と言った。
秋山にとってはそんな事はどうでもいい、生きて日本に帰る為に必要な事だと妥協できる。
しかし、今必要なのは寝る所である。

「ところで、わいらの寝る所はどこかなもし?」

ルイズは今にも眠りそうな顔で横になりながら、こっちを向き、藁がたばねてあるところを指差した。

「あ、安心したぞな…こんな硬そうな床じゃと流石にわいらでも厳しいからのー!」

書生時代畳の上で寝る事もあり、甲板を寝床にする時もあった秋山にとって、藁みたいな物があれば寝る事は容易い事だった。


朝が来た、海軍候補生時代の時からずっと、早起きをしてきた秋山には朝等障害にすらならない。

「いい朝じゃー!さて、お上を起こしますか――!!はっはっはー!」
「…朝からうるさいわね、おきちゃったじゃないの。あんたの横にある衣服、それ洗濯物だからよろしく、制服と下着持ってきて、下着はそこ。」

そういってルイズはクローゼットを指差す。
秋山がそこを開けると、下着がたくさん入っていた、イギリスでみたことはあったが、触るのは初めてである。

「ほー、褌を少しすべるようにしたもんかー、ほー。」
「いいからとっとと取りなさい。」
「ほれ。」

秋山が投げた下着を、ルイズが手に取り身に着ける。

「服」
「そこにおいちょる。」
「着せて。」
「お上は人使い荒いのー。」

と、言いながら服をぱっぱと着せてく。

「下僕がいるときは自分で着なくていいのよ、貴族は。」
「ほーなんか、貴族様はえらい御身分じゃのー。」
「そりゃそうよ、愚かな平民達は貴族についていけばいいの。」

そう言ってルイズは部屋のドアを開けて廊下に出て行った、秋山はさきほどのルイズの発言に少し腹が立ったが、子に切れても仕方ない。
廊下には3つほどのドアがあり、その一つのドアが突然開き、中から身長の高くスタイルの良い赤髪の女子が現れた。

「あら、ルイズ、おはよう。そちらの方はルイズの使い魔さんでしたっけ?」

ルイズは一度使い魔を睨み不機嫌そうに挨拶を返す。

「おはよう、キュルケ。えぇ、そうよ。」
「あら、あら、あら。本当に人間を召喚したのねぇ!すごいじゃない!」

秋山は、もはや何言うこともなしと言った顔で、ただルイズの背中で無口になっていた。
怒りが腹から喉元まで出掛かっているのだ、この差別加減に。
が、子に罪は無く原因は国にありと、思った秋山の目には逆に生気溢れるものとなっていた。
そう、南方熊楠もイギリスで差別と闘っている、なら自分に出来ないことはありん。
と、考えているのだ。

「にしても、身長は小さいけど、なんか心なしか大きく感じるわね、何故かしら。」
「さぁ、軍人だからじゃないの?」
「いえ、私も祖国で空海軍軍人を見た事は何回もあるわ、体格は貴方の使い魔より二周り以上大きい癖に、なんかやたら小さく感じたのよね。」

それは何故か、忠誠心にさほど差はなく、国を思ふ事に差はない。
しかし、心に持っている志が違った。
我が国は大国だ。と、自惚れる将校と。いかなる状況にも怖気ず、日々国の安全を願う将校。
この軍人が何人その国にいるか、それが戦の勝敗を握る事もあり……とかなんとか。

「ま、いっか。貴方、名前は?」
「秋山真之少尉だ、逆に質問したい、そこにいる巨大ヤモリ?いや、トカゲ?は御身さんの使い魔とやらかな?」
「変な名前ねぇ…、あぁ、この子?この子はサラマンダーのフレイムよ、可愛いでしょ?」

秋山がフレイムに近づく、フレイムは一瞬警戒の目で見るが、すぐに秋山になついた。

「おー、かわいいのー。よしよし、はいお手。」

フレイムがぽんっと、秋山の手に手を置く。
ルイズが呆れながら聞く。

「熱くないの?」
「ボイラー室よか涼しいくらいじゃ。」

キュルケがアゴに手をあてがえて。

「使い魔どうしだから仲がいいのかしら?ま、いいわ。じゃ、お先に失礼。いくわよ、フレイム。またね、アキヤマとゼロのルイズさん」
「またのー。」

秋山がそういうとフレイムも寂しがるかのように鳴いた。

「果て、ゼロとはどういうこっちゃ?もしや御身さんこの世界で言う魔法が使えんのかな?」
「つ、使えるに決まってるじゃない、このルイズ様がそんな――。」

そんなわけで少し歩くと食堂だった中にはすごい長いテーブルが3列そこに椅子。
学年別で席が分けられているようだった。

「おーガイな食堂じゃなー、三桁はまず、座れるじゃろうな。」
「『貴族は魔法をもってしてその精神となす』」
「は?」
「は?じゃないわよ、貴族のモットー、貴族たるべき教育を、存分に受けるのが、このトリステイン魔法学校、ゆえに食堂も、貴族の食卓にふさわしいものでなければならないのよ。」
「ふむ、なるほど(ようするに無能者製造学校ってわけか…。)」

この国の社会システムはなかなか厄介だ、教育の場ですらこれだ。伝統を守る頭の古い奴しか高い所にいれない仕組み、これじゃ、わいらの世界で植民地にされるのも時間はかからないだろう。
そう、秋山真之は考えた、しかし。まず秋山少尉がいる世界ではないので、それはまず杞憂に終わるだろう、多分。

「ま、あんたみたいな芋軍人がこんな所普通はこれないのよ、感謝しなさい。」

ルイズの言うとおりに、感謝をしようとしたら、更に言葉が追加された。

「あ、ちなみにあんたが食べるとこはそこ。」

そこにあったのは肉のかけらが浮いたスープと、ぱんが二切れであった。

「…まぁ、兄上はこれより少ない食料で、今まで生きてきたんじゃ…大丈夫じゃろう。」

兄上…秋山好古は、本当に余分な食事を取らず生涯小食をつらぬいたのであった。
この食事程度なら兄上が食ってる分よりかはまだ量があるだろう。

「何ぶつくさ言ってんのよ…、偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします。」
「いただきます。」

どうだろう、この簡潔さ『いただきます。』
この一言で生産者、元となった食材、調理してくれた人、全てに感謝しているのである。
それに比べ『偉大なる(中略)』
これだけながいのに感謝しているのはブリミルとやらと女王陛下のみである。
礼に対する念の差である。
とにかく、秋山はこの料理を平らげる事に専念した。

「ごちそうさまでした。」
「速っ!」

なんと2分もかからず完食。

食べ終わると、秋山は突然キョロキョロしだして、そこらに落ちているパン屑を集めだした。

「おいおい、ルイズの使い魔が空腹のあまりパン屑にまで手出してるぜ!」
「HAHAHAHAHAHA」
「……馬鹿。」

ルイズがあまりの恥ずかしさに肩に首をうずめる。
そんな嘲笑も気にせずパン屑を集め終わると、それを皿の上で練り出し

「お嬢様。」
「おー。」

まずパン屑をルイズの形に練った。
特徴を捉えているところに素直に感嘆した学生達から言葉が漏れる。

「フレイム。」
「あらあら。」

次はフレイムの形に。

「あの人。」
「お、コルベール先生だ。」
「頭のテカりも再現してやがる。」

次は…流石にネタが無い、少し長い時間こねて
秋山は最終手段に出る。
こねたものを手のひらに乗せて、その卑猥な物を晒そうとした瞬間

「ちん―――げふぅっ。」

秋山の顔にパンチが一発。
そのパンチの速さは周りの生徒にも見えなかったという。

「な、なんつーもの作ろうとしてるのよ、この馬鹿!」
「た、退屈じゃったから。」
「……もう、いいわ。とっとと教室にいきましょう。」

顔面に痣一つできた秋山はとぼとぼルイズの後ろについていった。


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