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雪風とボクとの∞-05


「雪風とボクとの∞(インフィニティ) ∞5」

「誕生日おめでとう、タバサ」
 アルヴィーズの食堂。そう言ってミツナリはタバサに綺麗に包装された小箱を手渡した。
「……ありがとう……ミツナリ……開けていい……」
「もちろん。タバサが今1番欲しい物だと思うぞ」
「……うわあ……何かな……」
 わくわくしつつタバサが開けた箱の中身は、紐を通された2枚の板。それぞれ「S」「R」と書かれている。
(……何……)
 箱の中身を目の当たりにしたタバサは、思わず心中でそう呟かずにいられなくなった。
「……あの……これは……」
 正体不明のプレゼントに困惑するタバサの問いかけをよそに三成は、
「いや~、いろいろ考えたんだけど、やっぱりタバサが1番喜んでくれるのはこれかなと!」
 ひとしきり満足げに頷いた後、かすかに頬を赤らめてそっとタバサに尋ねる。
「喜んで……もらえたかな?」
 そう言われてしまっては、タバサとしては声のみでも喜色満面にならざるをえない。
「……も……もちろん……これずっと欲しかった……一生大切にする……」

 その日の放課後、タバサは教室でルイズと三成からのプレゼントの正体に頭を悩ませていた。
「……ルイズ……どうしよう……これ……何……」
「う~ん、さっぱりわからないわ」
 頭を抱えるタバサに、ルイズも有効な助言ができず困惑の表情だ。
「正直に『これ何?』って聞けばよかったのに」
「……聞けない空気だった……それにそんな事聞いたら……いつものように……」

『キミには失望した!! さらばだ!!』
『……捨てないで……ミツナリー……』

「あ~、めんどくさ~い……」
 2人は気を取り直して板に書かれたアルファベットの意味について考える事にした。
「……『S』と『R』……何かの略かも……」
「となるとめがねっ娘フェチのミツナリの事だから、やっぱり眼鏡関連?」
 その時、タバサの脳裏にある言葉が浮かび上がった。
「……あ……フジコフジ――」
「それは『F』と『A』! っていうか眼鏡関係無いじゃない!」
「……じゃあ……『スイカ』と『リンゴ』……」
「何でよ」
 思いついた言葉をそのまま口に出しましたと言わんばかりのタバサの考えに、ルイズはツッコミを入れて自分の思うところを語る。
「相手はミツナリよ。もっと変態チックに決まってるでしょ。だから……、やっぱり……、『SM』?」
「……SM……」
 タバサの脳裏に出現した地下牢では、素肌に革の下着を纏った三成が鞭を手にして彼女を待ち受けていた。
「……じゃあ……Rは……Rは何……」
「Rは……、ラ……、ラ……、ラン……ランドセル?」
「……ランドセル……」
 タバサの脳裏に出現した三成は、赤いランドセル・黄色い(帽子)を装備してリコーダーを吹く彼女の姿を一心不乱にスケッチしていた。
「……駄目~……どこへ行くのミツナリ……そっちは闇の世界……」
「タバサ、落ち着いて」
 頭を抱え、右往左往し、しまいには教室の扉に頭をぶつけたタバサに、ルイズは何とか冷静さを取り戻させようとする。
「……もう私……頭パンパン……」
「落ち着いて、タバサ! 明日私がミツナリにそれとなく聞いてあげるから」
 タバサは頭を抱えて床に突っ伏した挙句、ルイズの胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
「……ありがとう……ルイズ……」

 翌日。
「あ、ミツナリ。ちょっといいかしら?」
 廊下を歩いている三成にルイズが声をかけるも、
「タバサ! 昨日渡したアレの事なのだが……」
 三成は彼女を無視していち早くタバサに駆け寄る。
「すまん、タバサ。ボクとした事が重大なミスをしてしまった。混乱させてしまってすまない……」
「……え……えっと……」
 心底申し訳無さそうに告げる三成の様子に、タバサはその理由がプレゼントの正体に関する説明を怠っていた事だと考えた。……が。
「これを入れ忘れていた」
 と紙袋を1つ手渡されて怪訝な表情になったのだった。
「……え……」
 そしてその中身は「B」と書かれ紐を通された板。
(……増えたー……!!)
 2人は日が暮れるまで思案するもまったく成果が出なかった。
「……駄目だわ、ギブアップ! 明日一緒に正直に聞くわよ。ね」
「……ルイズ……」

 その夜、タバサは自室内の浴室で湯船に浸かりつつ溜め息を吐いていた。
「……はあ……(……ミツナリ怒るだろうな……)」
 あれからほぼずっと三成からプレゼントされた3枚の札を眺めているが、手がかりの欠片さえ見つからない。
「……頭洗ってすっきりしよう……」
 湯船から上がりぼやけた視界の中手探りでシャンプーの瓶を探すが、それらしい瓶は見つかったもののそれがシャンプーなのかリンスなのかはたまたボディーソープなのかが今ひとつ判別しにくい。
「……えっと……ん~……目が悪いとどれがシャンプーでリンスでボディーソープかわかりづらい……」
 ふとその時、板に書かれていた「S」「R」「B」の意味がタバサの脳裏に閃光の如く閃いた。
「……わかった……」

 その夜以来、タバサの部屋の浴室にはシャンプー・リンス・ボディーソープの瓶に、それぞれ「S」「R」「B」の札が掛けられるようになった。
「なるほどね。それは近眼の人にしか出ない発想だわ」
「……そう……ミツナリの優しさがたっぷり詰まった『S』『R』『B』……」
「あー、そうなの」
 共に教室に向かうルイズに三成からのプレゼントの素晴らしさをひとしきり説明したタバサは、三成の姿を発見して駆け寄る。
「……あ……ミツナリ……あれ凄く便利……ねえ……あれってどうやって作ったの……」
(ま、今回はいい話だったって認めるわ)
 そう安堵するルイズの心情とは裏腹に、
「まず5分の1サントのプラ板を買ってきて、カッターノコで形を整えピンバイスで穴を開け、サンドペーパーで仕上げして、塗装前にはしっかりとサーフェイサーを……」
 三成は事細かに製作工程を語り始め、タバサの頭上に多数の?を飛び回らせたのだった……。
(あ~、最後にオタ臭が! 残念!!)

 さてその夜、遙か遠き異国・ガリアの「無能王」ジョゼフは密偵からの通信をまとめた資料を読んでいた。
 名前と裏腹に非常に有能であるジョゼフは、当然ながら情報の重要性を認識していた。
「ほう、おぬしが興味を持ちそうな情報が来ておるぞ」
「と、申しますと?」
 彼に答えたのはフード付きの黒ローブを纏った男性であった。ローブの胸元から垂れ下がった布にはおそらく文字だろう記号が描かれている。
「その使い魔召喚の儀式でな、人間を召喚したそうだ」
 その言葉に男がにやりと笑う。
「それは確かに興味深いですね」
「使い魔の名はナグモミツナリ。ルーンは胸に刻まれたらしい」
「……今、『ナグモミツナリ』と言いましたね?」
「ああ」
「そうか、やつか……。召喚されたのはやつだったか……」
 男はにやりと唇を歪め、愉快そうに呟き始めた。
「……やれやれ、我が姪にも一仕事してもらわねばならぬか」
 ジョゼフは呆れた表情で傍に置かれた羊皮紙とペンを手に取る。
 この一筆は後に1人の少女の手に渡る事になる。
 ……ローブの男の名は南雲鏡二。故あってこの地でガリア王に仕えている者であり、ガリアで勢力を増している新興宗教「めがねっ娘教団」の教祖であり、そして何より三成の実兄である。


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