あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔のハリセンボン

 ルイズは困惑していた
 春の進級試験、使い魔召喚の儀式にて
 周囲や彼女自身の予想を裏切って、彼女は意外なほどあっさりと召喚を成功させた
 そしてルイズは困惑していた
 目の前の召喚された使い魔となる生物を見て
 ソレに不満があったわけではない、目の前に居るそれは召喚の成功の証
 自分の魔法の初めての成功の証であり、ルイズの心は未だ踊りだしたいくらいの歓喜に震えている
 しかし・・・ルイズは不満こそ無いものの、不安に支配されかけていた

 それは小さかった
 自分の膝の高さくらいの小さな人型、そしてとても華奢に思える細さだった
 そしてその顔は一言で言うならば・・・そう、『虚無』だ
 その眼は空洞だった、覗くと吸い込まれてしまいそうな暗闇を秘めた空洞
 一切の光も意思も見られない空洞・・・まさしく『虚無』と言い表すに相応しい眼だった
 だが何より不安を感じていたのは『コントラクトサーヴァント』の成否だった
 契約を成功させる自信はある
 自分は召喚を成功させたのだ、今の自分に契約を失敗することなどありえない
 そう・・・口付けを交わせればの話だが

 使い魔候補の生物は小さくて華奢な人型で、虚無と呼ぶ他無い暗闇そのものの眼をして

  全身から縦横無尽に針が生えていたのである

 それから暫くして、教え子の初めての成功に喜び、彼女を賞賛しようか
 これから待ち受ける試練に向けて激励しようか、悩んで複雑な表情を浮かべた引率教師コルベールに促され
 ルイズは目を閉じ、ひょっとこのように口を限界まで前に押し出し、意を決して契約に挑んだ

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 青空の下、少女の悲鳴が木霊した
 見た目貧弱な使い魔といえ、”ゼロのルイズ”とバカにされ続けた少女が初めて成功させた魔法
 陰ながら誰より彼女を認めていたキュルケやコルベールは言うに及ばず
 日頃から彼女をバカにしていた級友たちですら、この勇気ある行為に踏み切ったルイズを心の底から賞賛したという


 その使い魔は小柄な身体から察せられる通り、機敏に動いた
 主であるルイズの目を放した隙に、あちこちに出歩いて学院のあちこちで目撃情報が寄せられる
 慣れれば可愛らしくもあり、妙に愛嬌のあるそれは密かに学院中で人気を集めていた
「・・・あんた何やってんの」
 食堂で足元に現れた食後のデザートを乗せたトレイに向かって話しかける
 その姿はトレイに隠れてまるで見えないが、ルイズにはすぐ分かった
 これが自分の使い魔だと
 指も無い手だったが、意外と器用だった
 針が指代わりになっているのだろうか、などと考えたりするが、観察してもよく分からないので深く考えないことにした
「申し訳ありません、ミス・ヴァリエール、私も止めたのですが・・・」
 メイドのシエスタだ、この使い魔に時々水を与えてくれる姿を目にする
 使い魔も随分と懐いてるようだし、この使い魔の身体じゃ迂闊に触れて止めようともできなかったろうことを考えると
 使い魔がデザートの配膳してるくらい別に構わないと思った、自発的に行っているのも本当だろうし
「いいわよ、別に。 好きにやらせてあげて、でも呼んだらすぐに来なさいよ?」
 使い魔はクルリとその場で一回転して返事をして、そのままデザート配膳に戻った

 それから程なくして、モンモランシーともう一人の少女の怒号と酒瓶の割れるような音が二発響き
 何事かと思って見に行けば
 逆ギレしたギーシュが使い魔にイチャモン付けていた
 要約すると

  ギーシュがモンモランシーから貰った香水の瓶を落とした→使い魔がそれを拾ってギーシュに返そうとしたがシカトされた
  →それを見たケティ(下級生)がギーシュの浮気を知りギーシュをワイン瓶で殴打→モンモランシーもまた同じく
  →「君が香水の瓶なんて拾うからこうなったんだよ」と使い魔に責任転嫁するギーシュ
  →すっとぼけた様な表情を浮かべ沈黙したままの使い魔になんかムカムカしてきてついに決闘騒ぎに

 どうやら先に受けたケティとモンモランシーの酒瓶攻撃で酔ったらしい、大人気なくも使い魔相手に決闘を申し込んだギーシュは既に半分正気では無かった
 そんな奴の相手をすることは無いと思い主として当然使い魔を連れ帰ろうとした
「ほら行くわよ、あんな奴の戯言に付き合うことなんてないわ・・・ってちょっとアンタ」
 使い魔はヴェストリの広場に向かうギーシュ(と彼に肩を貸す友人たち)の後を追おうとしていた
「アンタご主人様の言うこと聞いてないの!? あんな酔いどれに一々付き合うことなんて無いんだからとっとと帰るわよ!!」
 しかし使い魔は首を縦に振らなかった(見た目からして首が回ったりするようには見えなかったが)
 『売られた喧嘩は買うもんだ』と言わんばかりに何やら好戦的なオーラを漂わせていた
 本来なら腕ずくでも止めるべきだったが、それは出来なかった、何せ針だらけだったから・・・・・・


 後でシエスタから聞かされたことだが、ギーシュは使い魔に対する八つ当たりの中で”ゼロのルイズ”と何度と無く私を中傷していたらしい
(ひょっとして使い魔のあのオーラは、私の為に怒ってくれてたのかな・・・?)と思うと少し嬉しくもあった

 ヴェストリの広場はギーシュに対するブーイングで割れんばかりだった
 二股がバレて逆ギレしたギーシュがルイズの愛くるしい使い魔を虐待して鬱憤晴らしをしようとしていると聞いた女子生徒が押し寄せたのだった
 そんな中でギーシュはすっかり酔いも覚めて正気に戻り見え張ってポーズ決めているものの
 内心では数分前の自分をワルキューレでボコボコにしたい気分だった
 しかし一度宣言した手前、もう後には退けない、泣き出したいのを堪えてワルキューレを一体呼び出す
(少し軽く小突いて適当に切り上げよう、ごめんね使い魔君・・・)
 明らかに非力な目の前のルイズの使い魔にギーシュは心の中で懺悔する
 しかしもう遅い、彼はこの後更に激しく懺悔を繰り返すことになる


 ギーシュはドットクラスといえゴーレムを作り操る手腕はそれなりにあった
 対する相手は”ゼロのルイズ”の使い魔、勝敗は誰の目にも見えて明らかかと思われていたが・・・
 ギーシュのワルキューレはルイズの使い魔に全く有効な一撃を与えるに至らなかった
 ルイズの使い魔は機敏に動き回り、ワルキューレの攻撃をかわしていた
 そのスピードはあまりに速く、逆に緩慢に動くような残像を見せてギーシュを翻弄した
 ワルキューレを体当たりさせようとすれば避けられて、徐々にだが精神力を消耗するギーシュは次第にまた苛立ちを募らせていった
 しかも集まったギャラリー(女子生徒)はルイズの使い魔の思わぬ活躍(避けてるだけだが)に歓声を上げている
 それが更にギーシュの苛立ちを増してゆき、冷静さを失わせていた
(くそっ・・・こうなったら複数のワルキューレで取り囲んでボコボコにしてやる!!)
 さっきまで懺悔してたものがいつの間にかこうである
 しかしギーシュを責められたものでもない、確かに散々翻弄されまくって目の前の使い魔のとぼけたような顔はなんかムカつく
 ギーシュの手にした薔薇の造花・・・彼の杖の花びらが舞い散り、地面に落ちて更に6体のワルキューレが錬製されてルイズの使い魔を取り囲んだ
 しかしルイズの使い魔は7体のワルキューレの包囲網を小さな身体で掻い潜り、回避し続けていた
 一見すると防戦一方のこの戦いだったが、駆けつけた彼の主であるルイズ、屋根の上から観戦していたキュルケとタバサを初めギャラリーの中の何人かも気付いていた
 回避行動ばかり続けるルイズの使い魔が、その合間合間に【何かを束ねている】ことに・・・


「ハァ・・・ハァ・・・くそッ!!」
 息切れし、悪態をつくギーシュが攻撃の手を休めた時、ルイズの使い魔の虚無の闇を秘めた様な眼が光ったように錯覚した
 次の瞬間、ワルキューレの一体がヒビ割れて崩れ落ちる
 誰もが呆然とした、ほとんど何の前触れも無く、否、無数の風を切る音が聞こえた次の瞬間ワルキューレがバラバラに砕け散ったのだ
「え、何?何が起きたの・・・?」
「ギーシュのワルキューレがいきなり砕けたぞ!?」
「ルイズの使い魔がなんかしたのか?」
「まさか・・・」
 突然のことにギャラリーも驚きを隠せない
 対峙するギーシュは自分の精神力が尽きたのかとさえ思ったが、他の6体は正常
 ルイズの使い魔に何が出来るとも思えない、周囲の女子生徒の放った風魔法かと思ったが
 風を切る音は確かに目の前で発生したもの、となると信じられないがルイズの使い魔が何かしたものと思っていい
 ここにきてギーシュは”ゼロのルイズ”の使い魔と侮ることをやめ慎重に距離を取り、周囲に4体のワルキューレで壁を作り
 残る2体で攻撃を再開した
 しかし相変わらずワルキューレによる体当たりは回避されるばかり
 それでもギーシュは目を凝らしてルイズの使い魔が回避の合間に何をしているのかを見極めようとした
 そして気付いたのだ
(あいつ・・・【何かを束ねている】・・・? 抜いてる・・・? 自分の針を・・・・・・???束ねて・・・・・・!?)

 ルイズの使い魔は束ねた千本の針を飛ばし、ワルキューレの全身に突き立て粉砕した
 その恐るべき破壊力の正体を知りながら、妙にギーシュは冷静に疑問を浮かべていた
(あんなに抜いて束ねてるのに見た目は変わらないなんて・・・凄いスピードで生えてるのか?)
 そんなことを考えてるうちに攻撃にまわしたもう1体も破壊された
 またも自分の身体から針を抜き束ね始めたルイズの使い魔の姿に正気に戻されたギーシュは慌てて命令する
「ワ、ワルキューレッ!奴を止めろッ!!」
 2体を再び攻撃に転じさせ、残る一体を自分の護衛に残す
 しかし相変わらずの回避、回避、回避、回避、回避・・・・・・・・・・・・?
(・・・長過ぎるんじゃね?)
 いくらなんでも長過ぎる、さっきまでのことを考えればもう10回分は撃たれていそうなもの・・・
 そう考えた瞬間、攻撃に回したワルキューレが砕け散った、間を置かずにもう一体も砕け散る
 残像を残しながらルイズの使い魔が近づいてきて最後のワルキューレの目前に迫った
 風を切る音と共に最後のワルキューレが砕け散る
 今までと違う攻撃発動のタイミングと回数にギーシュは気付いた


(こ、こいつ・・・)

 ルイズの使い魔が束ねたモノをギーシュに向ける

(【仕事量を10倍に】・・・・・・ッ!?)

 風を切る音が聞こえる

(つまり僕には7回分の・・・・・・ッ?!)

 小さくて細い合計七千本の針がギーシュの年若い柔肌に突き立てられる

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 ヴェストリの広場にギーシュの悲鳴が響いた
 仰向けに倒れたギーシュの断末魔の表情の判別は困難を極めた
 何せルイズの使い魔以上の密度で縦横無尽に針が突き立っていたからだ(それでも眼球など急所は外されていた)
 ざわざわとどよめきが巻き起こる
「うわ・・・悲惨だ・・・」
「おーい!道を空けろーー!!水の秘薬の準備だーーー!!」
「この決闘はルイズの使い魔の勝ちーーー!!」
 誰かのこの叫びにルイズの使い魔のファンになった女子生徒の歓声が巻き起こり
 ルイズもまた心配をかけた自分の使い魔を叱りつけようと思いながらも
 使い魔の無事に安堵し、我を忘れて駆け寄った
 ルイズの使い魔もまた、本来ひ弱な自分が振り絞った勇気で得た勝利に喜び
 愛しいご主人様の姿を見つけて【抱きついた】

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!!!!!!!!!」

ヴェストリの広場にルイズの悲鳴も轟いた



『使い魔のハリセンボン』
ファイナルファンタジーⅥよりサボテンダー召喚




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