あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

異世界BASARA-65



戦闘が続くタルブの上空。
その空に、他の火竜とは比べものにならない程のスピードで飛び回る竜がいた。ワルドの駆る風竜である。
ワルドの乗った風竜は幸村に向かって何度も急降下、急上昇を繰り返していた。その度に、ワルドはエア・ニードルの呪文を纏った杖で攻撃する。
幸村はそれを槍とデルフリンガーで何とか凌いでいた。
「成程、アルビオンを脱出しただけはあるな」
ワルドはさらに高度を上げると、再び幸村目がけて急降下を開始した。
「笑止!同じ攻めに手間取る拙者ではないぞワルド!」
幸村は降下してくるワルドに向かって駆け出した。今度はこちらから攻めようと考えたのである。
それを見たワルドの口元が、嘲笑するように吊り上がる。

と、駆けていた幸村が突然バランスを崩した。
驚いた幸村は足元を見ると、地面が泥のように変化している。
幸村はそれに足を取られてしまったのである。
幸村は足を抜こうと力を入れる。だが、この時ワルドから目を離したのがいけなかった。
この隙を彼は見逃さなかったのだ。

はっと幸村が顔を上げた時には既に遅く、ワルドの風竜が口を開けて突進してきていた。
「ぐおおおお!?」
そのまま風竜に噛み付かれ、空へと連れ去られた。
「おのれ放せ!!放さぬか!!!」
空高くまで連れて来られた幸村は、抜け出そうともがく。


「いいのかガンダールヴ、君は空を飛べないんだろう?」


幸村を捕えていた顎を、風竜が開く。
そして重力に引かれるまま、幸村は地上に向かって落下していった。



(負けるだと……まだ何もしておらぬのに、このまま落ちて死ぬというのか!?)
上空のワルドがどんどん小さくなり、反面、地上が幸村に向かって迫ってくる。
このままでは地面に叩きつけられ、死んでしまうであろう。


“ユキムラ、頑張って……勝って!”
“幸村よ、気合があれば何でも出来る……”

2つの声が聞こえた。
1つは生まれ育った甲斐の国の、師と崇める男の声。
そしてもう1つ、まったく見知らぬ世界で自分を必要と置いてくれた。少女の声。


“勝って!勝ってユキムラ!!”
“幸村!気合!気合じゃああぁぁぁぁっ!!!!”


「ルイズ殿、お館様……」
幸村の耳に、ルイズと信玄の声が響いた。
そうだ、こんな所で諦めてはいけない。
「……うううぅおおおあああ!気合いだぁぁぁぁーーー!!!!!」
幸村は拳を強く握り、力の限り叫んだ。
すると、左手のガンダールヴの印が眩しい程の強い光を発した。
「ぬおおおぉぉ!吼えろ!吼えろ我が槍っ!!!」
幸村は槍を持つ手に力を込め。
その声に反応するかのように、槍の穂先が赤く光った。
同時に、断続的に炎が巻き上がる。







「奴が竜を駆って空を飛ぶなら……俺は俺自身で飛べばよいのだあああぁぁぁぁぁーーー!!!!!!」



「む?」
落ちていった幸村を見下ろしていたワルドは、眉を顰める。
今、何か赤く光ったものが見えたのである。
次の瞬間、その光が恐るべきスピードでこちらに向かってきたのに気づいた。
ワルドは咄嗟にその場から退く。
光が自分がいた場所を突き抜けていった瞬間、ワルドは見た。
それが、今さっき落下していった幸村自身であったのを。
「馬鹿な、何故空を飛べる!?」
ワルドは目の前を飛び去った幸村を見て動揺する。
いや、空を飛べるだけじゃない。アルビオンでもあの男は杖もなしに火の鳥を放ってきたではないか。
常識を覆すこの男……これがガンダールヴの力なのだろうか。
「だが……それでも負けるわけにはいかんぞ、ガンダールヴ!」


「おでれーた!こんな飛び方風竜やフネでもしないぜ相棒!」
デルフリンガーはカチカチと鍔を鳴らしながら嬉しそうに言った。
見ると、槍の穂先から炎が激しく噴出されている。幸村はこれを忠勝の加速装置のように利用し、飛行したのだ。
「相棒、ぼけっとしてる暇はないぞ。あの野郎が来る」
デルフの言葉に幸村は視線を戻すと、ワルドが杖を構えながら向かってきていた。
そう、今は何故飛べたかを考えている場合ではない。敵を倒す事の方が先である。
「行くぞデルフ殿、我が槍と一つになって!」
「おうよ、相棒の槍と1つに……1つ?」


「どりゃああぁぁっ!!」
「アッーーーーーッ!!」


デルフが問いかけようとした瞬間、幸村は槍の柄と、デルフリンガーの柄をぶつけた。
すると、槍の熱でデルフリンガーの柄が溶け出し、溶接されていく。
もの数秒で、デルフリンガーと幸村の槍は1つの槍に変わってしまった。


一振りの槍となったデルフを一度振るうと、デルフの刃の部分をワルドに向け、槍の炎の推進力で突き進んだ。
対してワルドは「エア・ニードル」よりも強力な「エア・スピアー」を唱え、空気の槍と化した杖を突き出しながら向かってくる。
幸村に魔法を放っても、デルフリンガーで吸収されると考えたからである。
「ワルド!」
「ガンダールヴ!」
互いの名を言ったと同時に、2つの力がぶつかり合う。


「ワァァルドォォォォォッッ!!」
「ガンダァァールヴゥゥゥゥ!!」


幸村とワルドが一際強く叫ぶ。その咆哮に呼応するかのように、火炎と烈風が巻き上がった。
相手を飲み込まんとするように、火と風が激しく衝突する。


「うおおお~~!熱っちいいいぃぃぃぃぃ~!!」


刀身が熱で真っ赤になったデルフリンガーがたまらず叫んだ。
下手すると、このまま溶けてしまいそうな勢いである。
そんなデルフの言葉は届かず、2人は押し通そうと力を抜かない。
しかし、徐々にワルドの方が押され始めた。幸村の炎がワルドの風よりも勝ったのだ。
ワルドの表情に焦りの色が浮かぶ。このままではいけないと……
「ぬ、うぬおぉぉぉ……」
ワルドの頬を脂汗が伝う。
「……でゃああぁぁぁっ!」
が、次の瞬間、ワルドは杖を振って幸村の刃を弾いた。
(勝った!)
ワルドの顔に勝利の笑みが浮かぶ。


「討った!討ったぞガンダールヴ!!!!」



だが、ワルドの目に飛び込んできたのは、幸村の固く握られた拳だった。


勝ったと、油断していたワルドは顔面にその拳を叩き込まれた。
「うおおおおおおおおおぉぉぉーー!!!!」
幸村は槍の火力で、拳をさらにめり込ませる。
「が、がんだー……!」
ワルドが幸村を見て何か言おうとする。が……


「撃破あぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!!」
「るぶぁぁぁぁぁぁ~!!」


ワルドは渾身の力で放たれた幸村のパンチで、風竜から叩き落とされた。
そのままワルドは勢いよく落下して行き……しばらくすると見えなくなり、地上で大きな土煙が舞い上がった。

幸村は肩で息をしながら、その様子を見ていた。ふと、自分の手を見る。
固く握っていた手を開き、地上にいるルイズの事を思い浮かべた。
「ルイズ殿……」
先ずは1つ……1つ手柄を立てた。
一度開いた手を再び握りしめ、幸村は空に拳を振り上げた。




「果たしてみせましたぞ、ルイズ殿オォォッ!」



――時間は少し逆上る――




幸村が空に連れ去られた同じ時刻、利家は自分の前に立ち憚る者を静かに……だが厳しい顔つきで見上げていた。
山のような大きさのゴーレムに乗る1人のメイジ……“土くれ”のフーケである。

幸村の足元を粘着質の泥に変化させたのは、彼女だったのだ。

しかし、その顔にはいつものような笑みはない。
「フーケ……お前、あいつ等が何をしたのか解っているか?」
利家が怒りの込もった声でフーケに問い掛ける。
「……解っているわよ」
「お前!!なら何であいつ等の味方をするんだ!それがしあんな戦のやり方は許せん!!」
利家は激昂して叫んだ。
すると、フーケが怒りとも悲しみともいえぬ表情になって言った。

「私だって気に入らないさ……けどね、私にも大切なものがあるんだ」

フーケが杖を振るうと、ゴーレムは腕を振り上げる。

「その為だったら、胸糞悪い連中にだって従ってやるよ!」

叩きつけられた岩石の腕を、利家は後方に退いて避けた。
「……そうか、お前の事は解った……だが」
ゆっくりと槍を握りしめ、利家はゴーレムを見上げた。
「それがしにも、この世界で守らねばならんものがある!悪いが叩きのめすぞ!!」




新着情報

取得中です。