あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

彼とルイズ



トリステイン魔法学院の学生にして失敗ばかりの落ちこぼれ『ゼロのルイズ』。
二年生への進級をかけた『春の使い魔召喚の儀式』へと臨んだ彼女は”彼”を召喚した。
召喚されたばかりの”彼”を見たルイズはただの平民の子供だと思った。
自分よりも年下のようだが、そう年が離れているわけでもなさそうだ。
ともかく召喚自体は成功したのだから、まるでダメと言うわけではないのだとルイズは自分を元気付けた。
そして周囲を不安げに見回し、怯える犬が威嚇するように唸る”彼”を宥めながら使い魔の契約をした。
使い魔のルーンは”彼”の胸へと刻まれた。

そんな”彼”との生活が始まったのだが、それはとても多忙な日々となった。
まず、”彼”は何かしらの障害を持っているのか、言葉を話さないのだ。
”あ~”、”う~”などの唸り声を上げるだけ。
次に好奇心が旺盛であり、感情の起伏が激しい。他の使い魔を見れば時と場合を選ばず飛び掛り、
魔法の授業の時には練金で小石が真鍮に変わったのを見るや、怯えて暴れ出した。
更に食欲も旺盛。最初に食堂に連れて行った時は野生児の如くテーブルに飛び乗り、料理を散々に食い荒らした。
その事があって食事の件は知り合いのメイドであるシエスタが何とかしてくれる事になったのだが、
結局はこれらの事実にルイズは頭を悩ませる事になった。
だが、それでもルイズは”彼”を見放そうとはしなかった。
自分が召喚できた使い魔だと言う事もあるが、何より”彼”はルイズやシエスタに懐いていたのだ。
その懐きぶりは自分が下の姉に甘える姿にとてもよく似ていたのだ。
それゆえ、無下に突き放す事も出来なかったのだ。
そんな”彼”をルイズは日が経つにつれ、ただの平民だとは思えなくなった。
…その原因は”彼”の成長にあった。どういう訳か、”彼”は常人とは比べ物にならない速度で成長していったのだ。
どんどん成長し、ついにはドラゴンなどと比べられるほどの大きさになった”彼”に、
使い魔召喚の儀式から”彼”に刻まれたルーンに興味を持っていたコルベールも驚きを隠せなかった。
そして、最初はルイズと同じか多少低い位だった”彼”の背丈は、今や二十メイルに達しようかとしていた。
最早疑う余地は無かった。”彼”の常人とは異なった言動もこれで説明がつく。
”彼”は亜人だ――そうルイズは思い至った。

そんなある日…、学園にルイズの姉であるエレオノールがアカデミーの研究員数名と共にやって来た。
ハルケギニアに生息するどの亜人よりも巨大で異質な”彼”は王宮の、アカデミーの興味を引いたのだ。
そして実験体としてアカデミーに連れてくるように指示が出て、エレオノールらが来たのだ。
エレオノールは”彼”の引渡しを妹に伝えるが、ルイズは当然それを拒否した。
幾ら頭の上がらない姉であろうと大事な使い魔を渡せるはずが無かったのだ。
すると他の研究員が”彼”を魔法で捕縛し、強引に連れ出そうとしだした。
”彼”は怯え、激しく抵抗し、暴れた。その結果、研究員の内二名が巻き込まれて死亡した。
そのまま”彼”は魔法学院から逃げた。一度だけ、ルイズの呼び声に振り向き、悲しそうな表情を見せて。

ルイズは”彼”を連れ戻すべく、魔法学院を飛び出した。コルベールとエレオノールもそんな彼女に付き添った。
消えた”彼”は食料となる家畜を襲いながら、トリステイン中を放浪しているようだった。
目撃情報を得ながら、ルイズ達は”彼”の姿を捜し求めた。
そんな最中、ガリア南部の山地の中に点在するアンブランと言う村が何かに襲われ、村人全員が行方不明となる事件が起きた。
その村は以前からコボルドに襲われていた為、最初はそれらの仕業かと思われたが、そうではない事が解った。
破壊された家々はコボルドとは思えない、巨大な物に叩き壊されたような物ばかりであり、
何より人の死体が一つも無い所が妙であった。
コボルドに人の死体を一々始末するような知能が無い事は、ハルケギニア中の人間は知っているのだ。
そして、この奇怪な事件の犯人が先日トリステイン魔法学院から逃げ出した亜人では無いかと、人々は噂しあった。
無論、ルイズはそんな事は信じなかった。”彼”が自分から人を襲った事など、ただの一度足りとも無いのだ。
だが、世間はそんな少女一人の気持ちなどでは動かなかった。
事件がガリアだけに止まらず、ロマリア、ゲルマニアでも起こり、”彼”を完全に危険視したのだ。
各国の王宮は討伐隊を編制し、”彼”を捜索を開始するに至った。そんな状況にルイズ達は焦った。

そして、ルイズ達は朝靄が掛かる森の中でそれと遭遇した。
突如として地面が盛り上がり、巨大な怪物が姿を現したのだ。
それを見たコルベールは、その怪物が何か解った。
それは大昔に韻竜と共に絶滅したはずの火竜の亜種『バラナスドラゴン』であった。
怪物は地面から這い出るや、ルイズ達を見つけて大きく咆哮する。
その耳まで裂けた口から赤い液体が滴り落ちている。
それが人の血液であると言う事は直ぐに解った。…口の端から”人だった物”が除いていたのだから。
ルイズは吐き気を覚えたが、それを上回る激しい怒りが頭の中を駆け巡った。
ルイズは杖を振り、失敗魔法の爆発を怪物に放ち、エレオノールとコルベールも魔法を唱えるが、
怪物はそれらに全く怯む気配を見せなかった。
ついに精神力が切れ、魔法が撃てなくなったルイズ達は怪物から逃げた。
だが、ルイズだけが躓き、地面へと倒れてしまった。そのルイズへと怪物は牙の並んだ口を開けて迫る。
もうダメだ、とルイズが絶望した時、怪物の角が何者かに掴まれた。
見上げれば、怪物の角を掴んでいるのは”彼”だった。
”彼”が怪物と戦っている隙にやって来たコルベールがルイズを抱え上げ、その場を離れた。

”彼”と怪物の戦いは、人間と獣の戦いだった。
怪力と知恵で戦う”彼”に対し、怪物は牙や爪、ブレスを進化させたかのような強烈な熱戦、
更には最高百メイルに達する跳躍力で持って”彼”に襲い掛かる。
そんな理性と野生の対決は壮絶な物となった。
結果的に頭脳プレーで攻める”彼”に怪物は遂に逃げ出し、地中へと逃れた。
その後、”彼”は逃げる最中に謝って足を滑らせ、崖下へと転落したエレオノールを助け出し、
ルイズとコルベールの下へと送り届けるや、再び姿を消したのだった。

トリスタニアへと戻ったルイズ達は王宮へと事の次第を報告した。
全ての事件はバラナスドラゴンの生き残りの仕業であり、”彼”は無関係だと。
しかし、絶滅したはずのバラナスドラゴンが生き残っているなど在り得ない、と否定された。
更には、使い魔だからと問題の亜人を庇っているのではないか、と言われる始末だ。
結局、何を言っても信じてはもらえなかった。

そして、バラナスドラゴンの生き残りである怪物は再び現れた。
夜闇に隠れ、シエスタの生まれ故郷であるタルブの村の人々に襲い掛かったのだ。
次々と家が壊され、村人が老若男女の区別無く食べられていく。
タルブ領主のアストン伯が慌てて討伐隊を率いたが、一人残らず熱戦に焼かれたり食物にされた。
そんな地獄の様な光景を見ながら震えるシエスタに怪物は迫った。

その時、再び”彼”が姿を現し、怪物へと立ち向かった。怪物の首を締め上げ、投げ飛ばす。
だが、怪物もやられてばかりではなかった。二度も食事を邪魔された事は怒りを爆発させるには十分だった。
怒りの所為か、威力の増した熱戦が怪物の口から迸り”彼”に命中する。
最初は耐えられたそれも、威力の増している状態では耐え切れなかった。
僅かに怯んだ”彼”の隙を突き、怪物は大きく跳躍して覆い被さる。
鋭い牙で噛み付こうとする怪物の口へ、”彼”は岩を押し込み蹴り飛ばした。
ひっくり返る怪物に”彼”は更に岩を投げつける。
怒り狂う怪物は熱戦を吐き散らしながら”彼”に襲い掛かる。
”彼”は怪物の注意を自分に引きつけ、村から引き離していった。

遅れて村へとやって来たルイズは、”彼”の意図を理解し、馬に乗るや後を追って森へと入った。

移動を続けながら二体の戦いは激しさを増していく。
やがて森を抜け、二体はハルケギニア随一の巨大な湖『ラグドリアン湖』へと辿り着いた。
そこで遂に戦いは終わりを迎えようとしていた。
”彼”に投げ飛ばされ、地面に叩きつけられた怪物はフラフラになる。
その怪物の首を”彼”は渾身の力で締め上げる。
怪物は苦しみ、激しく暴れたが、”彼”も必死に締め上げる。
やがて、怪物の鳴き声が弱々しくなっていき、大きく一声鳴くとそのまま口を閉じた。
直後、骨が折れる音が首から響いた。
不自然に首が折れ曲がった怪物は地面に力なく横たわる。
その怪物の身体を”彼”は二、三度蹴り飛ばしたが反応は無い。完全に事切れていた。
”彼”は怪物の死骸を持ち上げると、湖に向かって力任せに放り投げた。
大きな水飛沫を上げて怪物の身体は湖底へと沈んでいった。
怪物が沈んだのを見届け、”彼”は勝利の雄叫びを上げる。
その彼の勇姿に駆けつけたルイズだけでなくエレオノールやコルベールも笑顔を浮かべた。

――だが、事はそれで終わらなかった。

突如、ラグドリアン湖の水面から巨大な水柱が立ち上り、そこから声が辺りに響き渡る。
声の主はラグドリアン湖の水の精霊だと名乗った。
水の精霊は自らの領域を侵した”彼”へと制裁を加えると言った。
直後、水面が盛り上がり、巨大な蛸が姿を現した。それは水の精霊の使いだ。
呼吸する音が不気味な鳴き声のように聞こえ、足や胴体が動く度に粘液が嫌な音を立てる。
大ダコは八本の大蛇の様な足を振り回しながら”彼”へと襲い掛かった。
”彼”は必死に戦ったが、怪物とは勝手が違いすぎた。
柔らかい柔軟性に長けた身体は木や岩を投げつけられても大したダメージを受けずに弾き返してしまう。
業を煮やした”彼”は肉弾戦を仕掛けたが、逆に大ダコの足に絡め捕られてしまった。
そのまま”彼”は大ダコに力任せに湖へと引きずり込まれる。
”彼”の危機にルイズは助けようと杖を抜くが、エレオノールに止められる。
水の精霊を怒らせればどんな事になるか解らないのだ。
そんな事はルイズも解っている。だが、理屈では割り切れない事もあるのだ。
しかしエレオノールは譲らず、暴れるルイズの頬を叩いた。
そして、ルイズは気付いた。…姉もまた、自分の命の恩人の危機を見つめている事しか出来ないのに苦しんでいるのを。
結局、”彼”が大ダコによって湖底に引きずり込まれるのを見ている事しか出来なかった。

こうして、事件は一応の終わりを迎えた。
この日を境にルイズは一つの可能性を考える事となった。
それは”異種族との和解と共存”だった。

この後、ルイズはアルビオンで一人のハーフエルフの少女と出会い、
彼女と協力してエルフとの和解を実現させる事になる。
そして、彼女は和解成立のその後も毎日ラグドリアン湖へと通った。

何時の日にか”彼”が戻って来てくれる事を信じて…。

『終』



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