空には2つの月と星。
机の上に置いた藁を敷き詰めた箱の中で怪我をしたフェレットが寝ていた。
ルイズは腕を枕に机に突っ伏して、そのフェレットを見ているた。
今日は本当に疲れた。
人間用の回復の秘薬は小動物には強すぎるので薄めないと使えない。
それを何回も何回も傷口に塗り続けている。
それでやっと治ってきた。
「ねえ、元気になってよね」
返事はない。
「早く名前くらいつけさせてよ。私はルイズって言うのよ。ご主人様の名前よ。しっかり覚えなさい」
やっぱり返事はない。
また指先に薬をつけて塗っていく。
「そうよね。まだコントラクト・サーヴァントもしてないんだものね」
だんだんまぶたが重くなる。
「手間の……かかる……使い魔ね……」
疲れ果てたルイズはそのまま夢の世界へ落ちるように旅立った。
机の上に置いた藁を敷き詰めた箱の中で怪我をしたフェレットが寝ていた。
ルイズは腕を枕に机に突っ伏して、そのフェレットを見ているた。
今日は本当に疲れた。
人間用の回復の秘薬は小動物には強すぎるので薄めないと使えない。
それを何回も何回も傷口に塗り続けている。
それでやっと治ってきた。
「ねえ、元気になってよね」
返事はない。
「早く名前くらいつけさせてよ。私はルイズって言うのよ。ご主人様の名前よ。しっかり覚えなさい」
やっぱり返事はない。
また指先に薬をつけて塗っていく。
「そうよね。まだコントラクト・サーヴァントもしてないんだものね」
だんだんまぶたが重くなる。
「手間の……かかる……使い魔ね……」
疲れ果てたルイズはそのまま夢の世界へ落ちるように旅立った。
ルイズが夢の世界へ旅立ってから少し立った頃、箱の中のフェレットは前足を立て、体を起こした。
ルイズの体をしげしげと見て、机から飛び降りる。
扉が少し開いているのを見つけると、フェレットはその隙間から部屋を出ていった。
ルイズの体をしげしげと見て、机から飛び降りる。
扉が少し開いているのを見つけると、フェレットはその隙間から部屋を出ていった。
ルイズが目を冷ましたのはまだ暗いときだった。
薬を塗る時間が過ぎたのにあわてて箱の中を手で探るがなにもない。
「どこ?私の使い魔、どこに行ったの?」
窓の外に赤く光る小さな点が見えた。
何か根拠があるわけではないがルイズはそれが使い魔が首からかけていた赤い宝石だと思った。
あわてて部屋を出て階段を駆け下りる。
外に出ると赤い光が消えるのが見えた。
あの先には学院の出入り口がある。
「外に出ちゃったの!?」
あわててルイズは追いかける足を速めた。
薬を塗る時間が過ぎたのにあわてて箱の中を手で探るがなにもない。
「どこ?私の使い魔、どこに行ったの?」
窓の外に赤く光る小さな点が見えた。
何か根拠があるわけではないがルイズはそれが使い魔が首からかけていた赤い宝石だと思った。
あわてて部屋を出て階段を駆け下りる。
外に出ると赤い光が消えるのが見えた。
あの先には学院の出入り口がある。
「外に出ちゃったの!?」
あわててルイズは追いかける足を速めた。
木の生い茂る森の中でも見失ったりはしなかった。
見えなくなる度に赤い光が見えて方向を教えてくれる。
木の根につまづいたり、枝が服を破いたりしたけど使い魔に逃げられるよりはずっとましだ。
走っているうちに随分遠くに来た気がする。
やがて少し開けた場所で赤い光が止まった。
追いついて使い魔をつかまえようと思ったが止めた。
使い魔が光りだしたからだ。
「な、なに?」
茂みに隠れてのぞき見ると、フェレットだった使い魔は人間の姿に変わっていった。
「あの男の子……」
どこかで……夢で見たような気がする。
男の子は周りを見回す。
ルイズの方を見た。
見つかった!と思ったとき、ルイズの後ろでうなり声がした。
「きゃあーーーーっ」
目だけが爛々と光る獣のような者がいた。
襲いかかってくる歪んだ影を見ると、ルイズの身はすくみ、思わず目をを閉じてしまった。
「ルイズ!」
名前を呼ばれ、目を開ける。
さっきのフェレットが変身した男の子がいた。
手を前に突きだし、光の魔法陣で獣を防いでいる。
「来ちゃったんだ……」
「え?なに?どういうこと?なんで私の名前を知ってるの?」
「それは……う……」
男の子がうめき出し、魔法陣の光が霞む。
獣が魔法陣から下がり、着地した反動で縮めた体を伸ばし、もう一度魔方陣めがけて突進する。
「うぁああああああ!」
「きゃああああ!」
消えかけた魔法陣では二人を守りきれない。
はじき飛ばされ、何度も地面を転がった。
「なにあれ。逃げないと」
手を引っ張って走り出そうとしたけど男の子の子はうずくまったまま動かない。
苦しそうに手で体を押さえていた。
フェレットだったらルイズが薬を塗った場所だ。
「あなた、やっぱり」
獣のうなり声がまたした。今度は上から。
ルイズは少年を引きずって飛び退く。
そばにある木が真っ二つに割れた。
「あんなのって……どうすればいいの?」
地面にめり込んだ獣が触手を出してもがいている。
すぐには出られないみたいだが、そんなに長くはかからないだろう。
あそこから出られたら捕まってしまう。
逃げても獣の方がずっと早い。
ルイズの手が男の子に引かれた。
「ルイズ……使って。魔法の力を」
「だめよ」
ルイズは叫ぶ。
「私には魔法が、魔法なんて使えないの!」
「大丈夫」
男の子は苦しそうだ。
「君には資質がある。だから、これを」
男の子はルイズに赤い宝石を握らせる。
「これ……」
「それを手に、目をとじて、心を澄ませて」
「え?これを」
何が何だか解らなかった。
「はやく!」
男の子が叫ぶ。
ルイズは男の子の言葉通りに目を閉じた。
「僕の言ったとおりに繰り返して」
「わかったわ」
「いい?いくよ」
「いいわ」
男の子が目を閉じる。
「我、使命を受けし者なり」「我、使命を受けし者なり」
男の子の言葉にルイズが続く。
宝石の光が強くなる。
「契約のもと、その力を解き放て」「契約のもと、その力を解き放て」
宝石から鼓動が聞こえた。
「風は空に、星は天に」「風は空に、星は天に」
ルイズの鼓動と宝石の鼓動が1つになる。
「そして不屈の心は」「そして不屈の心は」
宝石の力とルイズの魔力が合わさる。
ルイズと男の子の言葉も同時に響く。
「この胸に。この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」
「stand by ready.set up.」
召喚の時に聞こえた異国の言葉をもう一度聞いた。
宝石の光がさらに広がった。光は天をつき、獣をひるませ、ルイズを驚かせる。
「落ち着いてイメージして。君の魔法を制御する魔法の杖の力を、そして君の身を守る強い衣服の姿を」
「いきなり言われてもそんなの……あ……」
思い出した。
学院に入学する少し前。わくわくしながらベッドの中で思い描いたこと。
誰にも負けないすごいメイジになった自分の姿を。
途端に、ルイズ自身が光り出す。服がほどけ、別の服が編み上げられる。手にはいつも持っている杖ではなく、もっと強い杖が握られる。
「成功だ」
光が消えたとき、男の子はルイズの新しい姿を見た。
ルイズは自分が考えたとおりの服着て、新しい杖を持った自分自身を見つけた。
見えなくなる度に赤い光が見えて方向を教えてくれる。
木の根につまづいたり、枝が服を破いたりしたけど使い魔に逃げられるよりはずっとましだ。
走っているうちに随分遠くに来た気がする。
やがて少し開けた場所で赤い光が止まった。
追いついて使い魔をつかまえようと思ったが止めた。
使い魔が光りだしたからだ。
「な、なに?」
茂みに隠れてのぞき見ると、フェレットだった使い魔は人間の姿に変わっていった。
「あの男の子……」
どこかで……夢で見たような気がする。
男の子は周りを見回す。
ルイズの方を見た。
見つかった!と思ったとき、ルイズの後ろでうなり声がした。
「きゃあーーーーっ」
目だけが爛々と光る獣のような者がいた。
襲いかかってくる歪んだ影を見ると、ルイズの身はすくみ、思わず目をを閉じてしまった。
「ルイズ!」
名前を呼ばれ、目を開ける。
さっきのフェレットが変身した男の子がいた。
手を前に突きだし、光の魔法陣で獣を防いでいる。
「来ちゃったんだ……」
「え?なに?どういうこと?なんで私の名前を知ってるの?」
「それは……う……」
男の子がうめき出し、魔法陣の光が霞む。
獣が魔法陣から下がり、着地した反動で縮めた体を伸ばし、もう一度魔方陣めがけて突進する。
「うぁああああああ!」
「きゃああああ!」
消えかけた魔法陣では二人を守りきれない。
はじき飛ばされ、何度も地面を転がった。
「なにあれ。逃げないと」
手を引っ張って走り出そうとしたけど男の子の子はうずくまったまま動かない。
苦しそうに手で体を押さえていた。
フェレットだったらルイズが薬を塗った場所だ。
「あなた、やっぱり」
獣のうなり声がまたした。今度は上から。
ルイズは少年を引きずって飛び退く。
そばにある木が真っ二つに割れた。
「あんなのって……どうすればいいの?」
地面にめり込んだ獣が触手を出してもがいている。
すぐには出られないみたいだが、そんなに長くはかからないだろう。
あそこから出られたら捕まってしまう。
逃げても獣の方がずっと早い。
ルイズの手が男の子に引かれた。
「ルイズ……使って。魔法の力を」
「だめよ」
ルイズは叫ぶ。
「私には魔法が、魔法なんて使えないの!」
「大丈夫」
男の子は苦しそうだ。
「君には資質がある。だから、これを」
男の子はルイズに赤い宝石を握らせる。
「これ……」
「それを手に、目をとじて、心を澄ませて」
「え?これを」
何が何だか解らなかった。
「はやく!」
男の子が叫ぶ。
ルイズは男の子の言葉通りに目を閉じた。
「僕の言ったとおりに繰り返して」
「わかったわ」
「いい?いくよ」
「いいわ」
男の子が目を閉じる。
「我、使命を受けし者なり」「我、使命を受けし者なり」
男の子の言葉にルイズが続く。
宝石の光が強くなる。
「契約のもと、その力を解き放て」「契約のもと、その力を解き放て」
宝石から鼓動が聞こえた。
「風は空に、星は天に」「風は空に、星は天に」
ルイズの鼓動と宝石の鼓動が1つになる。
「そして不屈の心は」「そして不屈の心は」
宝石の力とルイズの魔力が合わさる。
ルイズと男の子の言葉も同時に響く。
「この胸に。この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」
「stand by ready.set up.」
召喚の時に聞こえた異国の言葉をもう一度聞いた。
宝石の光がさらに広がった。光は天をつき、獣をひるませ、ルイズを驚かせる。
「落ち着いてイメージして。君の魔法を制御する魔法の杖の力を、そして君の身を守る強い衣服の姿を」
「いきなり言われてもそんなの……あ……」
思い出した。
学院に入学する少し前。わくわくしながらベッドの中で思い描いたこと。
誰にも負けないすごいメイジになった自分の姿を。
途端に、ルイズ自身が光り出す。服がほどけ、別の服が編み上げられる。手にはいつも持っている杖ではなく、もっと強い杖が握られる。
「成功だ」
光が消えたとき、男の子はルイズの新しい姿を見た。
ルイズは自分が考えたとおりの服着て、新しい杖を持った自分自身を見つけた。