あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

単なる酒場の短い話

「黄色い亜人」が、どこぞの色素的に何か異常が生じているのでは、という程にド桃色ヘヤー幼女基少女に召喚されはや数ヶ月。
ハルケギニアの特にトリステイン方面の人々は、平和と言う名の滴る甘い贅肉を、それはそれはロメロ映画のゾンビが如く、
いや寧ろルチオ・フルチの芸術的な人体解体ショー並みの勢いで貪り喰らっていた。
別に皮肉ってる訳では無く、こういった贅肉は無理して搾り取る必要はあらず、なるたけ留めておくが吉だったりするのだ。
中には「平和すぎてだらけきった世の中だ許さん」とまぁお前は何処かの赤いサイバトロンかと疑いたくなるような、
血の気の多い主張する輩もいるにはいるが、そう言う奴に限って性能の悪いミサイルをぽんぽん飛ばす独立主義国には
不届き旋盤だ何考えてんだあの国はと怒るようなザ・平和ボケなので言わせて放置が適切である。
とは言えそりゃ人間社会において、ストレスとはジャンキーフードのハッピーセットに付いてくる安っぽい玩具並に、
別段欲しくも無いのに附属される厄介要素なので、それが起因で髪が薄くなるのは至極当然、
特に運良く出世したからと人を顎で使うのはともかくとして貴重な時間を割いてまで部下にいちゃもんつけるアホ上司とか
年端のいかねぇ癖にいっちょまえに批判と反論の言葉だけ覚えて大人と社会に楯突くような糞ガキと接すりゃ尚更な、
だからそう気にしなさんなコルベール先生に実は帽子で若ハゲを隠しているワルドよ。

――と、キンキンに冷えた麦酒、つまるところビールを飲んでとジャーキーをカッ喰らいながら豪語するは、
「黄色い亜人」ことホーマー・シンプソンである。ちなみに、彼の語りは文章の二行目から始まっている。多少の改編有。
今日も元気だビールが美味い、とこうして一週間の終わりを街の酒場魅惑のなんちゃらで過ごす男というかおっさん3人、
件のホーマー・シンプソンにコルベール、してもって若ハゲという衝撃的なようなそうでもないような事実が発覚したワルド、
といったメンツ。この人選には、物事には何事もきっかけがあるように、
例えばハイヒールが発明されたのが当時の汚い便所事情に原因があったように、ちゃんとした経由がある。
コルベールは、ある日至って真面目な理由でオスマン学院長と口論になり、その後腸を煮えくり返らせながら
廊下を歩いていた処を、ギーシュとの決闘でボロ負けしてフラフラと擦り寄って来たホーマーに
「どっかマシな酒が飲める所はないか、こう財布の中身が気にならないでいらんサービス料が無いとこ」という言葉を振られ、
済し崩し的にたまたま知っていたこの魅惑の妖精亭に馬車を使ってまで脚を運んで以来、周期的に訪れるようになった次第だ。
最初こそ鬱憤が溜まった勢いで酒場に出向き、我に返って少し戸惑いながらホーマーと杯を交わしたコルベールであったが、
たまたまオスマンの秘書ロングビルについての話題が挙がり、少しばかり気はあってアプローチはすれど中々うまくいかない、
とほろ酔いのついでホーマーに相談したところ、彼から返ってきた
「女が男のどの部分を見てるのか、よぉぉく考えな、結局俺達男も女も昔は原始人なんだからな」という答えにえらく感心し、
以来、コルベールはホーマーと積極的に交流を深める決意をしたのである。
ちなみに、ホーマーがルイズの使い魔であるという点には一切関心が無く、
そもそも召喚当初にホーマーの手の甲に浮んだルーン自体が、実は粘着力の弱いシールだったのでペロンと剥がれ、
ガンダールブだかガンダーロボだか判らぬままに風と共にそこいらの森の中に去ったので、最早その辺すらあやふやなのだ。
つまりともかくコルベールは、ホーマーとは頼れる人生の先輩として接しているのである。妙に気持ち悪いが。



ワルドはと言うと、こいつはまた御丁寧にルイズは俺の嫁だぞ誰にも渡さんとシラフで言うようなチト変わり者で、
しかも厄介な存在になりえた「ルイズの使い魔」がどうしようもないメタボリック万歳な黄色いおっさんだったもんだで
こいつぁ仕事が速いぜと余裕をぶっこいていたのだが、実はホーマーが召喚された際、
彼の首元にくっついて吸血最中だったがめつい雌の蚊も1匹紛れ込んでいた。
して、その蚊が何も知らずふらふらとトリステインの地平を越え、余所の国でも吸血し始めたからさぁアイカランバ、
タンカー船が運搬先の外国でばらまくバラスト水が生態系に異変を及ぼすが如く、
ホーマーの元住居地スプリング・フィールドの空気(発電所から漏れた微量の放射能付き)を
存分に浴びた蚊がばらまくは、ハルケギニア人にとってそれはそれは有害な目に見えない物質であった。
結果、運悪く蚊の餌食になった人間はマラリアだかデング熱だかも判別の付かない謎の病気に襲われ、
しかもその発祥がピンポイントにレコン・キスタの拠点であり、感染した人間の殆どがレコンキ・キスタの人間、
勿論総司令官(ほぁぁぁとは叫ばない)のオリヴァー・クロムウェル
(※オリバーと書くとカーンとかソースとか頭の良い猿みたいになるので注意されたし)もばっちり感染し、
レコン・キスタは事実上壊滅したのである。
尚、感染源である蚊は、メンヌヴィルが焼失してくれた(スピキュゥゥッル! と叫んだとか叫んでないとか)ので、
これ以上の感染拡大は静止された。そして彼が最後の感染者だった。敬礼及び合掌。
補足すると、本来蚊は生態上重力の井戸の底でしか生きていられないのだが、
例の蚊は恐ろしいタフネスの持ち主だったらしく、アルビオン渡りも何とかクリアしたと考えられる。

さてレコン・キスタが、トライポッドで侵略しようとして失敗した宇宙人ばりにあっけない最期を遂げた後、
トリステインに取り残されたワルドは、僕には帰る所が無くなったどうしようママァと母親の肖像に泣き付き、
途端にルイズへの虚無の力への欲望も途絶え、あるのはただただ虚無感のみである。
虚無に縋った私が虚無に看まわれるとはな、愚かなものだハハハ、
とつまらんジョークで己を誤魔化しているワルドの元に、
手を差し伸べたのは他ならぬホーマーであった。思わずその黄色い手をとったワルド。
彼の心に、母親ではなく父親という感情が湧いてあふれ出た瞬間であった。



~生卵大安売り・お一人様につき1パックまで~
なるスーパーの商法があるが、まぁ2、3回くらいなら知らん顔してレジに並びなおしてもバレはしないのだが、
この点だとホーマーは微妙に律儀で、この日行きつけの魅惑の妖精亭で行われた
~魅惑の妖精亭感謝祭・お一人様につきビール1杯サービス~
では、きちんと3人で3杯のビールを頂こうと、急遽角の隅っこで酸素欠乏症な状態に陥ってたワルドを引っ張り、
見事にビール2人分をせしめたホーマー(内訳・1杯はコルベール、2杯はホーマー。ワルドはカウントしない)。
と、こんな適当な具合に飲み仲間になったワルドであったが、こうでもならなっかたら、彼は孤独な死を選んだであろう。

それからというもの、3人は暇さえあれば酒場で落ち合い、適当にグチを漏らし、適当に酔っ払う。
そんな彼等の周辺には、彼等によって生活が変わった者も少なくない。
例えば、今しがたホーマー達の陣取るテーブルに追加の酒を運んできた、
薄緑色の薄生地ドレスを身に纏い、僅かに露出させた胸元と肩がほのかな色気を感じさせる、仏頂面のアニエス。
元はと言えばアンリエッタの親衛隊体長候補であった彼女だが、レコン・キスタが自然消滅して俄然平和になり、
それはそれは暇で暇で暇を持て余すのも持て余し、アンリエッタの計らいでトリステイン学院の特別体育講師として
学院に派遣されたのが数週間前。同じ頃ホーマーは使い魔の仕事として薬品整理を嫌々こなしていたのだが、その際、
かつて原子発電所のセクター7Gでしょっちゅうミスを起してた要領で、薬品と飲料水のそれぞれ容器を入れ違え、
その結果モンモランシーに対抗してルイズがこさえていた特製惚れ薬が、天文学的確立を突き抜け、
特別授業の後に汗をかき喉を渇かせていたアニエスの口元に渡ったのである。
遅効性だったルイズの惚れ薬、しかし効き目は覿面で、その翌日大勢の生徒の目の前で、
アニエスは半裸になって目を露骨なハートマークに変形させながら、ギーシュに求愛行動を仕掛けるのであった。
その光景をたまたま見たホーマー曰く「何考えてんだあの女は、保健体育も行き過ぎたもんだ」。

さて、薬の効果が切れたアニエス、なまじ記憶は残ってるものだから、
学院には戻れんわアンリエッタの元へは情けなくて帰れないわで、八方塞になってしまう。
見兼ねたシエスタが、しばらくは私の親戚の店で住み込んではどうか、丁度バイトを探していた、と案を提示してくれた。
接点の薄い少女からの助言に己の醜態を悔やみ、
しかし感謝しながら、アニエスはその案に身を委ねてみる事にしたのである。
ところが蓋を開けてみればそこはニューハーフな店長が仕切る、やや日頃疲れた中年男性を身も心も癒してアゲル系の店で、
しかも常連に顔見知り、それどころか辞表を提出して何処かに消えた筈のグリフォン隊元隊長がいるもんだからさぁ大変。
といってこれ以上現実から背くのも己の精神論から脱線しかねるので、ぐっと踏ん張って頑張るのだった。
運命をむっちゃらもっちゃらにした黄色い亜人に、歪んだ笑顔を振り舞いながら――

夜も更け、日付も変わる直前、大抵この時間帯に、魅惑の妖精亭に小さな客人が訪れる。
最後に、毎週末深夜に繰り広げられる、テンプレートというか、お決まりの会話を連ねて終幕としたい。

「――ちょっとホーマー! またこんなとこでアホみたいに飲んでたのね!」
「勘弁してくれよ、腹の出た中年男性から飲酒という娯楽を取ったら何が残る? なぁセンセ?」
「あー、そこで私に振るのかね。まー、これ以上のアルコール摂取は明日に響くから、んー、帰ろうか」
「ワルドたいちょ……じゃなくてお客様、いい加減ツケ払っていただけません? だいぶたまっているんですが」
「……次の職が見つかるまでもう暫く待ってもらえないかな……魔法が使える奴なら吐いて捨てる程いるって職業難でね……」
「よしルイズ、俺は今から最後の一杯を飲む、これが酒の味と別れのキス代わり」
「んなヒマ無いわよ! さっさと帰る!」

「ドオッ!」



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