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堕天召喚録カイジ 第6話


第六話「厨房」

ざわ…… ざわ……

(なぜだっ……! なぜっ……! なぜっ……!
 俺は……貴族だぞっ……! 平民たちの支配者っ……!
 グラモン家っ……名門に生まれた男だぞっ……!
 こんなっ…… こんな平民ごときにっ……!
 くそっ…… くそっ……! くそっ……!
 なんでこんなことになったんだっ……!)

ギーシュ・ド・グラモンは滝のように冷や汗を流しながら、目の前の男を見つめていた。
男はヴァリエールが呼び出した使い魔の平民である……

「ククク……どうしたっ……貴族の坊ちゃんよっ……!
 そろそろ……覚悟を決めるんだなっ……!」

平民がニヤリと嗤った。


ルイズに昼食を抜きにされ、カイジは空腹に苦しんでいた。
帝愛の地下収容所で粗末な食事に慣れているとはいえ、20代のカイジにとって、一食を抜くのはやはり堪える。

(くっ……自分の無能をっ……俺に八つ当たりっ……
 つくづく……許せねぇっ……! ガキがっ……!
 本当の生死に直面したことのないガキの発想っ……!)

カイジは唇を噛みながらも、学院の敷地を歩き出した。
空腹はつらいが、何よりもまずこの学院の地理を頭に入れておきたいと考えたからである。
貴族の部屋には入らないように注意しつつ、ゆっくりと教室や通路の間取りを頭に叩き込んでいく。


(こりゃあ……フレイムさんについてきて貰ったようが良かったかもな……)

一瞬そんな考えがよぎるが、カイジは頭を振って打ち消した。
フレイムはフレイムで使い魔として働いているだろう。安易に人に頼るべきではない。
自分から動かなければ、いざと言うときに人は動いてくれないものであることを、カイジは経験的に知っていた。

ぐぅ~……

ああ、それにしても空腹っ……!!

「ハァ……」

カイジは溜息をついた。粗末な朝食に昼食抜き……なんとかしなければと思う。
そんなカイジに、一人のメイドがおそるおそる声をかけた。

「あの……ひょっとして……おなかが空いているんでしょうか……?」
「げぇっ……!! 美心っ……!!」

ぐにゃ~

振り向いたカイジの顔が、その少女を見てぐにゃりと歪む。

「え? いえ、私の名前はシエスタですが」
「そ、そうか……わるかった……」


ニコ…… ニコ……

メイドの笑顔に、ぞぞぞとカイジの全身に震えが走った。

(くっ……! 似てやがるっ……!! 笑い方もっ……声もっ……!
 坂崎のおっちゃんの娘っ……! 美心そっくりっ……生き写しっ……!
 なんでっ……! どうしてついてまわるっ……!
 畜生っ……この後の展開が読めるっ……バレバレっ……!)

ボロ…… ボロ……

カイジは絶望の涙を流す。美心……いや、シエスタは、そんなカイジを心配そうに覗き込んだ。

「泣くほどお腹が減っているんですね……ぜひ、厨房にいらしてください!」
「ちょ、まって…… おろひて…… おろひてくらはい……!」

おろへませんっ……!

美心……いや、シエスタは、がっちりとカイジの腕を掴むと厨房に引き立てていった。



「さあさあっ……どんどん喰ってくれっ……!
 わしの自慢料理だっ……! もっとも、あまりモノで作ったんだがな……ガハハ……」
「こちら、料理長のマルトーさんです!」

マルトーの厚意で、カイジは暖かく美味い食事にありつくことができた。
なるべく笑顔の二人を見ないようにしながら、カイジは食事をがつがつと平らげる。

「ありがとう……すごく美味かったですっ……!
 ありがとう、マルトーさんっ……! ありがとう、シエスタさんっ……!
 本当に、ありがとうっ……言葉にできないっ……!」

ニコ…… ニコ……

カイジの言葉に、やさしく笑顔を見せるマルトーとシエスタ。
使い魔たちと教室で出合ったときと同じように、カイジはここでも人間の優しさに触れた気がした。


がっ……顔は坂崎親子っ……!

(どう見ても坂崎のおっちゃんっ……そして、その娘の美心っ……
 くっ……それ以外にみえねぇっ……! こんなにいい人たちなのにっ……!)

顔はっ……坂崎親子なのだっ……! どうみてもっ……


第六話「厨房」終わり


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