子供が森を走っていた。
男の子だ。
たぶん学院の周りにある森のどこか。
秘薬の授業で行った覚えがある。
走って走って走って走る。
息を切らせた男の子が立ち止まる。
よく見ると腕から血を流している。
怪我をしているようだ。
男の子は周りを見回す。
なにかを探しているのだろうか。
動きが止まる。
なにかを見つけたのだろうか。
男の子は突然赤く丸い宝石を持ち、手を伸ばす。
溢れる光が魔法陣を作りだす。
今度は男の子が見ている方から音がした。
なにかは解らない。
2つの目だけがぎらぎら光る獣のようなもの。
それが男の子に向かい突進してくる。
危ない、と思った。
でも少年は動かない。
かわりに呪文の詠唱を始める。
「たえなる響き
光となれ
許されざる者を
封印の輪に」
獣が男の子に飛びかかる。
「ジュエルシード封印!」
獣が魔法陣にぶつかった。
光が強くなる。
魔法陣の魔力が吹き出す。
木を揺らし、獣が引き裂きさかれていった。
だけどそれだけ。
獣は弱った体を引きずりながら逃げ、男の子は膝をつく。
「逃がしちゃった。追いかけなくっちゃ」
男の子は倒れる。
動かない。
だけど、その子の声は聞こえた。
「誰か、僕の声を聞いて……力を貸して……魔法の力を」
男の子が光に包まれる。
やがて光は消え、男の子のいたところにはフェレットと赤く丸い宝石があった。
男の子だ。
たぶん学院の周りにある森のどこか。
秘薬の授業で行った覚えがある。
走って走って走って走る。
息を切らせた男の子が立ち止まる。
よく見ると腕から血を流している。
怪我をしているようだ。
男の子は周りを見回す。
なにかを探しているのだろうか。
動きが止まる。
なにかを見つけたのだろうか。
男の子は突然赤く丸い宝石を持ち、手を伸ばす。
溢れる光が魔法陣を作りだす。
今度は男の子が見ている方から音がした。
なにかは解らない。
2つの目だけがぎらぎら光る獣のようなもの。
それが男の子に向かい突進してくる。
危ない、と思った。
でも少年は動かない。
かわりに呪文の詠唱を始める。
「たえなる響き
光となれ
許されざる者を
封印の輪に」
獣が男の子に飛びかかる。
「ジュエルシード封印!」
獣が魔法陣にぶつかった。
光が強くなる。
魔法陣の魔力が吹き出す。
木を揺らし、獣が引き裂きさかれていった。
だけどそれだけ。
獣は弱った体を引きずりながら逃げ、男の子は膝をつく。
「逃がしちゃった。追いかけなくっちゃ」
男の子は倒れる。
動かない。
だけど、その子の声は聞こえた。
「誰か、僕の声を聞いて……力を貸して……魔法の力を」
男の子が光に包まれる。
やがて光は消え、男の子のいたところにはフェレットと赤く丸い宝石があった。
「……変な夢」
寝ぼけ眼で朝起きたルイズの第一声がそれだ。
なんであんな夢を見たのか解らない。
フェレットも、宝石も、男の子も、獣も、どれも聞いたこともないし見覚えもない。
第一あの言葉
「力を貸して……魔法の力を」
あれはなんなんだろう。
「私の夢で言わなくてもいいじゃない!私の……夢で」
落ち込みかけた気分を顔を思いっきり回して振り飛ばした。
今日は大切な日、春の使い魔召喚なのだ。
そのためにルイズは身支度を調えると、召喚の場へと走った。
寝ぼけ眼で朝起きたルイズの第一声がそれだ。
なんであんな夢を見たのか解らない。
フェレットも、宝石も、男の子も、獣も、どれも聞いたこともないし見覚えもない。
第一あの言葉
「力を貸して……魔法の力を」
あれはなんなんだろう。
「私の夢で言わなくてもいいじゃない!私の……夢で」
落ち込みかけた気分を顔を思いっきり回して振り飛ばした。
今日は大切な日、春の使い魔召喚なのだ。
そのためにルイズは身支度を調えると、召喚の場へと走った。
みんな召喚を終わらせていく。
ルイズは最後だったが、自分の番が近づくたびに心臓が大きく動いていくのを押さえられなかった。
犬、猫、土竜、バグベアード、サラマンダー。
中には竜を召喚した者までいる。
みんなうまくいってる。
──でも、でも私は……
「ミス・ヴァリエール」
突然、教師のミスタ・コルベールに呼ばれぼうっとしていたルイズは辺りをきょろきょろ見回した。
「なにをしているのです?あなたの番ですよ」
ルイズを笑う声があちこちから聞こえてくる。
「お、ルイズが召喚するぜ」
「どうせ、できないよ。ゼロだからな」
そんな声をルイズは無視して広場の真ん中まで歩いた。
「さあ、始めなさい」
ルイズはうなずく。
いつも失敗している魔法。
でも、今日だけは成功させないといけない。
深呼吸をして目をつぶる。
杖を突き出し、精神を集中。
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!」
いつもとちがった。
魔力が集まっていく。
「強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 」
使い魔のイメージまで見えてくる。
思っていたのとは違うみたいだが、それでもそのイメージを放さない。
「私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
異国の言葉が聞こえた。
「all right.」
「え?」
ルイズは最後だったが、自分の番が近づくたびに心臓が大きく動いていくのを押さえられなかった。
犬、猫、土竜、バグベアード、サラマンダー。
中には竜を召喚した者までいる。
みんなうまくいってる。
──でも、でも私は……
「ミス・ヴァリエール」
突然、教師のミスタ・コルベールに呼ばれぼうっとしていたルイズは辺りをきょろきょろ見回した。
「なにをしているのです?あなたの番ですよ」
ルイズを笑う声があちこちから聞こえてくる。
「お、ルイズが召喚するぜ」
「どうせ、できないよ。ゼロだからな」
そんな声をルイズは無視して広場の真ん中まで歩いた。
「さあ、始めなさい」
ルイズはうなずく。
いつも失敗している魔法。
でも、今日だけは成功させないといけない。
深呼吸をして目をつぶる。
杖を突き出し、精神を集中。
「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!」
いつもとちがった。
魔力が集まっていく。
「強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 」
使い魔のイメージまで見えてくる。
思っていたのとは違うみたいだが、それでもそのイメージを放さない。
「私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」
異国の言葉が聞こえた。
「all right.」
「え?」
爆発が起こった。
いつもの爆発。
「あ……」
だけど今日は違っていた。
爆発の後には首に宝石をかけた薄い黄色のフェレットが一匹。
「できた……私の使い魔、召喚できた」
ルイズは駆け出し、フェレットを抱き上げる。
「つぎは……そう、コンストラクト・サーヴァント」
「待ちなさい!」
ミスタ・コルベールに止められた。
「君の使い魔は弱っているようだね。コンストラクト・サーヴァントは待ちなさい」
よく観るとフェレットは怪我をしている。
それに、息はしているが動かない。
「コンストラクト・サーヴァンは使い魔が回復してからにしなさい。薬を用意しよう」
「はい」
「他のみんなは、教室に戻りなさい」
返事をした生徒達は未だ落ち着かないルイズを残し、フライの魔法で空を飛んで教室に戻っていく。
「使い魔、ちゃんと治せよ」
「わかってるわよ」
いつもと変わらない気の強そうな目でルイズは空を飛ぶ生徒を見返していた。
「なにをしてるんだね。早く来なさい」
ルイズは自分の召喚したフェレットをしっかりと抱きしめ、コルベールの後を追った。
いつもの爆発。
「あ……」
だけど今日は違っていた。
爆発の後には首に宝石をかけた薄い黄色のフェレットが一匹。
「できた……私の使い魔、召喚できた」
ルイズは駆け出し、フェレットを抱き上げる。
「つぎは……そう、コンストラクト・サーヴァント」
「待ちなさい!」
ミスタ・コルベールに止められた。
「君の使い魔は弱っているようだね。コンストラクト・サーヴァントは待ちなさい」
よく観るとフェレットは怪我をしている。
それに、息はしているが動かない。
「コンストラクト・サーヴァンは使い魔が回復してからにしなさい。薬を用意しよう」
「はい」
「他のみんなは、教室に戻りなさい」
返事をした生徒達は未だ落ち着かないルイズを残し、フライの魔法で空を飛んで教室に戻っていく。
「使い魔、ちゃんと治せよ」
「わかってるわよ」
いつもと変わらない気の強そうな目でルイズは空を飛ぶ生徒を見返していた。
「なにをしてるんだね。早く来なさい」
ルイズは自分の召喚したフェレットをしっかりと抱きしめ、コルベールの後を追った。