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ときめき☆ぜろのけ女学園-07


 森の中、黒い和服姿のベニの視線の先には無防備に眠っている河童・キザクラの姿があった。
(キザクラ……)
 頬を赤らめてキザクラの寝姿を眺めるベニ。
(可愛いな)
 その寝顔にそっと顔を近付けていった時、ベニの髪がざわめいた。
「あ! しまっ……」
 ぶちゅ
 しまったと思った時には時既に遅く、ベニの後頭部にある第2の口がキザクラの顔面に濃厚なキスをしていた。
 そう、ベニは二口女だったのだ。
「わーっ!」

 ――あの日からキザクラは私の(後ろの)唇がお気に入りらしい。
 ――気持ちいい事が好き、楽しい事が好き、面白い事が好き。もののけは快楽に素直。
 教室ではキザクラがベニの後頭部の唇をぺたぺたと触りまくっていた。
「ふわふわー、気持ちいいー。ベニの唇堪んなーい」
(本当に素直)
 しかしベニの胸中には、ある1つの願望があった。
(私も素直になりたい)
 一方のキザクラは、そんなベニの心情にはおかまいなしに後頭部の唇にキスしようと自身の唇を近付けていった。
(キザクラとちゃんとキスしたい)
 その想いに後頭部の唇がぴくりと反応し……、
「きゃーっ」
「あっ」
 と思った時にはもう遅い。
「ベニってば何すんのよーっ!」
 ブチュルルル……
 ベニの後頭部の口は、キザクラの顔面に激しく吸い付いていたのだった。
「ごめっ」
 ――快楽に素直なのは後ろの口ばかり。

 ――リーンゴーン……
 ベニは授業中も上の空で憂鬱な表情をしていた。
(そりゃ確かに後ろの口も私の口だけど……)
 その背後では、後頭部の口が髪を触手のようにして大量のおにぎりを頬張っている。
(いまいち意思の疎通が図れないし欲求の自制が聞かないのよね……あ、そうだ!)
 そう考えていたベニの脳裏に妙案が浮かんだ。
(それを利用したらいいんだわ!)

 その日の放課後、学校近くの墓地に呼び出されたキザクラの前には、凄まじい勢いで後頭部の口からおにぎりを食べているベニの姿があった。
「ベニってばいつまで食べてるの?」
「昨日から何も食べてなくて、もの凄いお腹空いてるの」
「ちゅっちゅできない」
 不満そうにそう言って頬を膨らませたキザクラにかすかに頬を赤らめ、ベニはそっと自分の口を指差す。
「こ……、こっちの口なら空いてるけど」
「え?」
 呆気に取られた表情のキザクラだったがすぐに、
「ふわふわじゃないからやだ」
 と不満を隠そうともせず拒絶の意思を示した。
「なっ……、キスしてみないとわかんないでしょ!」
「わかるよ! 見た目からして違うもん」
「何よ、人の気も知らないで! 四六時中後ろでちゅっちゅされてる私の身にもなってよ!」
「最初に後ろの口でキスしてきたのはベニの方じゃんか!」
「それはそうだけどっ! でも私は後ろの口じゃなくてちゃんとキスしたいの!」
「やだっ、私は後ろの口がいいー!!」
「前!」
「後ろ!」
「前!」
「後ろ!」
「前!」
「後ろ!」
 しばらく激しい口論を繰り広げていた2人だったがやがて大きく息を吐き、
「わかったわよ。キザクラがそうやって選り好みするなら私もそうするわ。私はキザクラの下の口としかキスしない」
「えっ、ちょっ……」
 抵抗する間も無くキザクラは倒され、ベニの両手と髪に無防備な下の口をさらけ出す羽目になった。
「何それ何それ! きゃー!」
「駄目ー」
 必死で下の口を隠す手もベニの髪に絡め取られて無理矢理引き離される。
(うわ、キザクラの可愛い……)
 赤面しつつそっとキザクラの下の口に舌を伸ばしていく。
(可愛いよう可愛いよう可愛いよう)
 ……と思った瞬間、
「あっ」
 ベニの体が勝手に180度回転、後頭部の口がキザクラの下の口を激しくいじっていた。
「あーん! 何でまた後ろの口なのよー!!」
「ああんっ」

(何か凄い事になってるんだけど!!)
 そんな2人の様子を、ルイズはすぐ傍に立っている木の上で見聞きしていた。
「ここここ、こんにちは、ルイズ・ヴァリエールです!! ……とか自己紹介してみたり。何でこんな所にいるかというと、えー、かくれんぼをしていてですね……」
 そんな誰に対してかわからない自己紹介をしている間にも、眼下では2人が激しさを増していた。
「あんっ……すごっ……」
「ひんっ!」
(は……、早く終わってくれないかしら)
 ルイズが思わず目を背けたその先に、
「ルイズ、見ーつけた」
「わーっ!」
 突然頭上からキリが逆さまになって顔を出した。
「あれ? ルイズどうしたの。顔真っ赤」
 赤面して顔を背けたルイズをいぶかしむように心配するように眺めていたキリだったが、やがてその理由に思い至り悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「あー、興奮しちゃった?」
「しししし、してないわよっ! だって女同士よ!」
「女の子同士なら興奮しない?」
「し……、しないわよ! だって私も女の子だし!」
「本当に?」
「本当にっ!」
「じゃあ試してもいい?」
「え?」
 呆気に取られるルイズの唇に、キリはそっと自身の唇を重ねた。
(わ……、舌がっ)
 家族からのキスは何度も経験してきたルイズだったが、今回はそれとは明らかに異なるものだった。
(こんなキス初めてしたわーっ)
「ルイズ」
 初めての感覚に、ルイズの中でわずかな興奮とふとした疑問が湧きあがってきた。
(キリは何でこんなキス慣れてるの?)
「これでも興奮しない?」
 脳内を巡る疑問で頭がいっぱいになり、キリの言葉も耳に入らない。
(今までにいっぱいしてきたから? ……今までにいっぱい……)
 それに思い当たった時、ルイズの中でルイズ自身にも理解できない感情が弾けた。
「ええええ、そんなの嫌ああ!」
「ル……、ルイズ!?」
 突然頭を抱えて狼狽し始めたルイズに、キリはその理由が自分にあるとも知らず困惑を隠せないでいた。


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