あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

凄絶な使い魔‐05


第五話「元親の朝」


 朝、ルイズは目を覚ました。
 寝ぼけたまま、目を擦ると、自分が制服のブラウスを着たままだと言う事に気が付いた。
 とりあえず、ムク~っと上体を起こし、そのまま自分の着た服をしばらく、見つめていたが、
やがてパタリと、再びベッドに寝っころがる。

 なんで私、服のまま寝てるんだろう、いつもならネグリジェに着替えて寝るのに……。
 えーと、昨日何があったっけ……、昨日…、昨日…、……あっ!!
 バネ仕掛けの人形のように跳ね起きたルイズは、ようやく、昨日の出来事を思い出した。

 「私、チョーソカベを召喚して、使い魔にしたんだ」

 ……そして、着替えるのが面倒だったんで、そのまま寝たんだ…、わたし。

 部屋を見渡すが、元親の姿は見えない。
 「……どこ行ったのよ、ご主人様を一人にして、ホントにもうっ、帰ってきたら罰として、御飯抜きね!」

  ル:「ご飯抜きよ!」
  元:「そうか……、ルイズを一人にしてしまうとは使い魔失格だな」
  ル:「まったく、朝、ご主人様を起こすのも、使い魔の大事な仕事のひとつよ!忘れちゃダメなんだから」
  元:「そうなのか、……知らぬ事とはいえ、俺は凄絶にダメすぎる男だ、自分が恥ずかしい」
  ル:「……反省してるようね、……いいわ、許してあげる、さぁ一緒にご飯食べましょ!」
  元:「ルイズ……、天よ、俺を良い主に巡り会わせてくれた事を感謝する!」

 「デヘヘ……、これイイかも!」、

 そんな学園内で使い魔相手に妄想を膨らませている唯一の少女は、のそのそとベッドから降りる。
 そして、改めて、着たままの制服を見てみると、やはりブラウスとスカートは皺がばっちりがついていた。

 「ハァ……、当然よね、……着替えなきゃ」

 元親がいないのは好都合だ、今のうちに着替えてしまおう。
 ルイズはクローゼットを開けて、替えの制服を取り出す。
 その時、掛けてある薄手のネグリジェが目に止まった。
 ふと、考え込む。
 元親の前で体の線が見えるスケスケのネグリジェを着ることが、果たして自分に出来るだろうか……。

 「……なななな何考えてるのかしら、私たら!
元親は使い魔よ、私が意識したら、向こうだって恥ずかしいに違いないんだからっ!
普通にすればいいのよ、普通に!」

 落着き無く、クローゼットを閉めると、変な考えを頭の中から振り払って、さっさと着替える事にした。

 ……ああ、ルイズ、彼女の不幸はその時、ドアの鍵を確認しなかった事だ。
 いつもなら鍵を閉めて寝るが、昨日の晩は元親がいたので鍵をかけ忘れている事に彼女は気づいていなかった。

 ルイズの指がブラウスのボタンを外しにかかった。、


 その1時間ほど前、元親は廊下から聞こえる足音で目を覚ました。
 住み込みの使用人たちが女子寮の廊下を忙しく渡り歩いているのである。
 彼女たちも極力足音を立てないように努力はしているが、どうしても消しきれるものではない。
 元親は壁に背を預けて寝ていたため、余計に響いて聞こえていたのだ。
 元親は低血圧風にしばらくあたりを見回していたが、状況を理解すると、無造作に頭をかいた。

 「この世界の朝か…、月は二つでも、日は一つしかないようだな」

 立ち上がって背伸びをし、部屋を眺めてみる。
 思えばここにあるものすべてが物珍しいはずであるのに、ずいぶん順応している自分にふと気がつく。
 たとえばこの窓はギヤマンの板が付いている。
 これほど大きさと、透明なものは見た事がないが、それほどの感動を元親は感じない。

 (物珍しくはあるが)

 昨日の夜もそうだ、ルイズが指を鳴らすと、部屋の灯りが独りでに消えた。

 (あれはまあ便利だ)

 日本よりも数段進んだ国の文化に触れながらも、なぜ、ここまで冷静か考えてみた。
 思い当たるのは、それは全て魔法を前提として存在しているという、一辺倒な見方をしている事だった。
 なにせ、人が鳥のように自在に空を飛ぶ世界である。
 要するになんでもありだ、そう思えば大概の事は納得してしまう元親だった。

 ふと振り返って、寝台で寝ているルイズを見てみる。
 まだ完全に夢の中のようだ。
 とりあえず、まだ起こすには早かろう、そう思い、再び外を眺めると、大きな洗濯衣類らしきものを抱えた女が
歩いてゆくのが見えた。
 そう言えば自分の服も関ヶ原の合戦後、着たきりだった事に気がつく。

 「……服の替えはないが、洗うしかあるまい」

 主の前で何時までも戦場の死臭をつけておくわけにもいくまいからな……。
 そう思うと、ドアへと向かった。

 …が、ドアが開かない。
 おかしい……、しばし、思案に暮れていたが、昨日コルベールが学院長室に入る時を思い出し、ノブを回してドアを引く。
 カチャ…、開いたドアを興味深げに観察した後、静かに閉めると、屋敷内の見物も兼ねながら、外を目指した。


 「そこの娘よ」
 「はい?……あら貴方は」

 シエスタは大量の衣類の入った籠を抱えたまま振り返ると、そこには楽器を背負った、変わった服装の男が立っていた。

 「ん、……たしか昨日の…」
 「ええ、食事をお届けしたシエスタと言います」

 一度見たら忘れるはずのない元親の姿は、ただ食事を届けただけのメイドにもはっきりと覚えられていた。

 「大変な量だ……、毎日これだけの服を洗うのか?」

 シエスタが抱える洗濯の量に元親は目を見張る。

 「そうですね、私が担当する分はこれ位です、あと3人、私と同じ使用人がいて、手分けして洗うんです」

 たとえ3人で洗うにしても、それなりの量に見える。

 「どうかなさいました?」
 「ああ……、実は俺も服を洗いたいのだが……洗濯の仕方を知らん」
 「そうでしたか、ならばお任せ下さい、私が一緒に洗いますよ、お届けはヴァリエール様のお部屋にお運びすれば
よろしいですね?」

 そうにこやかに笑うシエスタの言葉に元親は甘えることにした。

 「……恩に着る」

 そう言うと、元親はシエスタからひょいっと洗濯物籠を取り上げた、驚いた様子のシエスタはひたすら恐縮したが、
元親はさっさと、籠を肩に担ぎあげた。

 「気にするな……、届けよう、……ついでに水場を教えてくれ、体を洗いたい」
 「え、あの……、あ、ありがとうございます…、えっと…こっちです!」

 余談だが、その日の洗濯はいつも以上に時間がかかる事になった。
 シエスタを含む3人の使用人は水浴びをする元親を盗み見ながらの作業だったので、大幅に時間がかかったのである。

 「はぁ……イケメン…、しかも、……痩せマッチョ……、はっ!いけないこんな時間!」
 「…っちょっと、シエスタっ!急がないと食事間に合わないよ!!」
 「ぎゃぁぁぁ、あんた鼻血でてる、シーツ汚しちゃダメーッ」

 一方、元親はシエスタからタオルを一枚借りるとそれを腰に巻く、とりあえず、部屋へと急いだ。
 まだ、早朝で人の姿は少ない、さっさと部屋に帰った方がいいだろう。
 元親自身は別に裸を見られたからと言って、恥ずべき物は何もない。
 むしろ、立派な身体だろ、と思うくらいだが、先ほどの娘達の反応から思うに、
 何かいらぬ騒ぎが起きそうだ、という予感がした。

 予感というか、この格好で歩けば騒ぎが起きないわけがないだろ、とツッコミたくなる。とにかく
元親はもと来た道を帰り始めた。


 女子寮を腰に巻いたタオルと背には蝙蝠髑髏という、どこの風呂上がりのヘビメタの兄ちゃん?で歩く元親の姿は、
さすがに使用人からギョッとした視線を受ける。

「……理由あってこんなナリをしているだけだ、(ry」

 と説明して部屋へと向かうが、廊下の曲がり角で出会いがしらにメイドに遭遇したりする。
 一瞬の空白の後、金切り声をあげようとする女を、とっさに口を押さえて声をふさぐと、理由を説明する。

(その光景を客観的に説明すると、「静かにしろ…」と押さえつけた後、震える上がるメイドに一方的に
理由を説明して、解放、メイドは脱兎の如く走り去る、となる。)

 ……そんな事が2回あった。

 ルイズの部屋も近くなり、もう、さすがに人に会うまいと思っていたが、2度ある事は3度あった、
ただし3度目の遭遇は……。

 廊下の先の扉が開き、青い髪の少女が出てきた。
 その少女は、元親の姿を見ても全く反応がなく、スタスタとこちらに歩いてきた。
 そしてその少女のあまりの無反応ぶりに、元親は、このまま普通に通り過ぎて構うまい、と思った。

 彼は気がつかなかったが、彼女はルイズに召喚されたあの広間にいた少女の一人である。
 名をタバサといい、学生ながらトライアングルメイジという天才少女である。
 元親が召喚された時、彼女は元親に対し、少しだけ興味を持った。

 人間が召喚されるなんて聞いたことがなかったし、
 あの青年が見かけと裏腹に、相当な実力を持った人物である事を持前の洞察力で察知したのである。
 直観では傭兵、それも相当つかうタイプ…、でも何故楽器なんて持っているのか……。
 ……格好自体も変だ。

 そして、それ以降、昨日の午後からの授業には顔を見せてない事もあり、「今日は現れるだろうか?」と考えていた所、
朝一番に彼と遭遇したのだ。
 それはタバサとしては、それなりに驚くべき偶然の出来事であり、そして、その元親の格好は予想外の出来事だった。

 ……何故、半裸?
 ……その格好で背中に楽器背負う姿を客観的に想像した事は?
 ……女子寮で生徒と遭遇しても普通にスルーするつもりとは、…どういう神経?

 昨日感じた関心より、さらに強いインパクトを彼女に与えたようだった。
 そんな彼女に、ふといたずら心が沸き起こったのは元親とすれ違う瞬間だった。

 ……この人、どの位、つかうんだろう?

 そう思った時、彼女はすれ違いざま、子供のような外見から想像もつかない敏捷さで杖を振るい、元親に足払いをかけた。
 ……が、いつの間にか背に背負っていたはずの楽器が、その杖を受け止めていた。
 仕掛けたタバサもよく分からない出来事だった。
 無表情のまま少女は元親を見上げる。

 「どうして?」
 「……何がだ?」
 「背負っていたはず」

 元親は指で蝙蝠髑髏を差した、帯紐がほどけて垂れ下がっている。

 「紐をほどいて下ろしただけ?」
 「それ以外に何がある?……あとは体が反応しただけだ」

 それ自体が人間の常識を超えた速度で行われたのだから、説明されたとして、タバサにとっては理解に苦しむことだろう。
 だが、タバサがこの青年に対して持っていた疑問の一つは解消した。

 ……楽器は…この人の武器だ。
 おそらくどんな体勢だろうと、体の一部のように使うに違いない
 そう、だからこんな格好でも身につけてる。

 「こんな遊びは、ほどほどにしておけ……」

 そう言うと元親は立ち去って行った。

 ……さっき彼の左手が光っているようだったが……、気のせい?

 タバサは相変わらず無表情に元親の後姿を見ていたが、その後、食堂へと向かっていった。

 突然、ドアが開けられた時、ルイズは下着に足を通した状態のまま硬直した。
 開いたドアには元親が無表情に立っていた。
 ……数瞬後、何事もなかったように再びドアを閉め、元親は出て行った。

 部屋の中から、ドタンバタンと激しい音が聞こえている。
 元親は腕組しながら、ルイズの着替えが終わるのをまっていたが、突然、扉が勢いよく開くと、中から
伸びてきた腕に部屋に引きずりこまれた。

 ぜーはー、ぜーはーと荒い息を立てるルイズはチラっと元親を見るや、
 「あああああああああアンタ、なんて格好してんのよ!!!」と盛大に手で顔を覆った。

 際どい所は隠れていたが、元親の腰のタオルがはだけていた。

 「さあな……、引っ張り込まれた時に結びがほどけたんだろう」

 いや、さっきの立ち回りの時に、結び目が緩んだのかもしれん…、などと冷静に考えながら元親は
腰にタオルを巻きなおす。

 「この格好は……服を洗ったからだ、他に着替えもないのでこの布を借りた」
 「なに、パンがなかったから、代わりにケーキを食べたみたいな口調で言ってるのよ、普通じゃないでしょ、その格好!」

 怒涛の勢いでルイズは元親に詰め寄るが、やはり当の本人はたいして気にしてない。

 「まさか、ここに来るまでに誰かに見られたり……」
 「一応は急いだ、……最低限の人数だ」

 ノオオオオオオ……裸の男が部屋に入っていったら間違いなく変な噂が立つじゃないの……、
 キュルケだって男引き込む時は窓から出入りさせてるのに……。

 「はぁ、はぁ、……まぁ、起きてしまった事はしょうがないし、……貴方の替えの服がないのは
私が用意しないと、どうしようもない事よね………」

 その後、俯きながらルイズは何か言い辛そうにそっぽを向いていた。

 「あのさ、チョーソカベ……」
 「なんだ?」
 「ッ…………あの」
 「……?」
 「その……、あれよ」
 「……?」
 「つまり……、見た?」
 「……ああ、裸の事か」

 フラッ……、ルイズが倒れそうだったので、元親が支えてやる。
 「……いい、自分で立てるから、うっ、うううううっ……」と泣きながら元親の手を拒否する。

 「……そうよ、貴方は使い魔、……グスッ、……使い魔に見られたからって、グスッ、どうって事ない、……グスッ」

 泣きながら自己弁論を繰り返すルイズ、それを見ながら元親は、確かに婦女子には辛いかもしれんなと思いなおした。
 元親自身は土佐を治めていた頃は、正室、側室あわせて数人を囲っていた為、やや女性に対してドライな所もある。
 裸を見られたからどうした?子が産めなくなるのか?と女性団体からクレームが来そうな発言を普段ならしそうな所だが……、
 どんな心境の変化か、元親は泣きじゃくるルイズの肩をそっと手を置いた。

 「ルイズ……、実はな、一瞬で見えてなかったのだ、…だから気に病む必要はない」
 「………ほんと?」
 「ああ……、だから涙をふくのだ」

 そう言って涙を指で拭いてやる元親。
 だが、そんな元親の行為とは裏腹に、滝のように涙は流れつづけた。

 (ううう、実は見てるに違いないけど、その優しさが、素直にうれしい……うううううっ……)
 ……今度はうれし涙であった。

 恥ずかしーやら、うれしーやら、……とにかく泣きやんだ後、ルイズは朝食に向かう事になったが、
半裸の元親を連れていくわけにはいかない。

 「私は朝食に行ってくるから、こっちの部屋に食事と替えの服は届けさせるわ、絶対部屋から出ちゃダメよ」
 「ああ、承知した……」

 じゃ、また後でね、そう言うとルイズは食堂へと向かっていった。


 元親は寝台に腰かけ、食事が届くまでの時間つぶしに蝙蝠髑髏を触り始めた。
 すると、ゆっくりとドアが開く。
 使用人が食事を持ってきたにしては、ルイズが出て行って幾ばくも経ってない。

 「……誰だ?」

 元親は開いたドアの向こうへ声をかけると、そこに現れたのは、情熱的な赤毛が印象的で、豊満な体つきの若い女だった。

 「ミスタ・使い魔さん、お暇なら、…アタシとお話するのはどう?」

 彼女は妖艶にほほ笑んだ。


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