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ゼロの使い魔はメイド-09



 ジュール・ド・モットがトリステイン魔法学院を訪れたのは、近々行われる使い魔の品評会について……というのは表向きのこと。
 そういうのは、いささか間違っているかもしれない。
 いわゆる、公務のためにやってきた――それ自体は別に間違いのないことなのだ。
 とはいえもう一つの、私的な用向きがあるというのも、これまた真実であった。
 やや詩的な表現をすれば、色の道に関わることだった。
 あけっぴろげにいうのなら、助平根性のためである。
 この学院の勤める、平民の娘を屋敷に買い入れよう、そういう魂胆があってのことだった。
 あちこちに持っているその手の情報網から、魔法学院に器量の良い、しかもなかなか『いい肢体』をしたメイドがいると聞き込んだ。
 そこで公務のついでに、
「我が物にしよう……」
 こう考えていたわけだ。
 情報というのは、いくら隠蔽しても結局あちこち漏れるものだが――
 三十路をとっくに過ぎたモットだが。
 そちらにおいては、思春期の少年ばりに壮健で、あちらこちらへ小金を巻いて、情報収集は怠らない。
 そういう情報は男から、と思われがちだが、実際は女からの〝おしらせ〟も多いのだ。
 確かに女のことゆえ、女同士のほうが、詳しい情報は知りやすいのかもしれない。
 現代においても、女子トイレへの盗撮カメラなどは、女に仕掛けさせることが多いのだという。
 怖いところは、なまじっか器量に秀でた娘ほど、モットなぞより、もっとたちの悪い貴族へ情報が舞い込んだりする。
 モットとて、決して品行方正な男ではない。
 むしろ、分類されるのなら悪徳貴族のほうが近いのだろう。
 それでも妾・愛人とした女たちには、それなりの扱いや見返りはしている。
 しかし貴族の中には、慰みにするという言葉では追いつかぬような淫虐にふける連中もいるのだ。
 そういう者の餌食になった娘は、大抵が二度と日の目を見るということはない。
 買い入れたとか、愛人にしたという情報すら漏れることなく、毒牙にかけられ、その後は言わずと知れていた。
 そして、そんな連中ほど表は貴族然と取り繕うのだから始末が悪い。
 堂々と平民の娘をあさるモットは悪には違いないが、小悪党というやつだろう。
 学院についたモットは、まず王室よりの書状を届けるべく院内を歩いていたが、その視線はチラチラと学院のメイドたちに向けられる。
(あれかな? いや、あれがそうだろうか?)
 ついつい話に聞いたタルブ出身のメイドを、探してしまう。
(確か黒い髪とか言ったから、すぐに見つかるだろうが……)
 視線を走らせるうちに、一人の小柄なメイドが洗濯籠を手に歩いているのを見かけた。
 その髪の毛から、
(おっ。この娘か?)
 と、思ったのだが、どうも違うらしい。
 小柄というよりも、年齢そのものが低いのだ。
 年齢は十六、七と聞いていたのだが、そのメイドはどう見ても、十三、四かそこらだった。
 なんだ、人違いか。
 モットは肩透かしを食ったような気分だったが、なかなかそのメイドから目が離せなかった。
 いつの間にか、歩くのさえやめている。
 ハッキリというなら、地味な娘であった。
 確かに磨けば光るものを持っていそうではあるが、それだけならば、そのへんにいる娘とそう大差はない。
 メイド服姿で働くのその様は、どうしようもなく使用人であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。
 しかし、可愛らしくはある。
 すれた女にはない、純朴さというのか、初々しさというのか。
(ま、たまには青い果実というのも悪くはないかな?)
 モットは少女を見ながら、良からぬことを考える。
 明らかに犯罪そのまま逮捕な思考であるが……。
 生憎とここはファンタジー世界。
 ロリコンは犯罪? 何それ、美味しいの? なのである。
 まして相手は平民であり、モットは貴族。
 やろうと思えば何だってやれます、なのであった。
 実際、十三歳ほどの年齢で結婚というのは、貴族や王族では珍しくないし、平民にしたって農村部では結婚年齢はかなり早い。
 現代の女子高生、あるいは女子中学生という年代で一児の母になっている娘など、珍しくもなかった。
(さあて、どうしようか?)
 頭で色々と策を考えながら、モットはまずは公務のほうを片付けるべくオスマン学院長のもとへ急いだ。
 途中、何度か少女のほうを振り返りながら。


「は? 使い魔?」
 思いがけぬ言葉に、モットは目を丸くした。
 オールド・オスマンにそれとなく件の少女のことを尋ねてみたところ、
「ああ、シャーリーかね? 彼女はうちの生徒、ミス・ヴァリエールの使い魔じゃよ」
 こんな返事をよこしたのである。
「ははは。またまたご冗談を」
 モットは笑った。
 人間が使い魔などという話は、後にも先にも聞いたことがない。
 使い魔はメイジの実力を表すバロメーターというが、メイドを使役するメイジというのは一体どういう属性なのだ。
 まさか、始祖の再来――伝説の虚無とでもいうのか。
 それこそ、ありえぬ話である。
「いや、本当じゃよ」
 オスマンはにこりとしないで、モットの笑いを切って捨てた。
「……本当にですか?」
「もちろん」
 と、オスマンはうなずく。
「珍しい話ですな」
 モットは感心したような顔をしてみせるが、内心では舌打ちをしていた。
 仮に使い魔というのは眉唾であるとしても、ヴァリエール家とつながるというのは面倒臭い。
 愛人にしたいから、ちょっとそのメイドを譲ってくれ、などと言って、はいそうですかとうなずくであろうか。
 うまく手を回せぬこともないだろうが、なかなか手間がいりそうだ。
 本当に使い魔なら、なおのことだろう。
 例えどんなものであれ、他人に譲れと言われて、使い魔を手放すメイジなどいるわけがない。
(どうも……出鼻をくじかれたな)
 ちょっと食指を動かされたといっても、ヴァリエールに睨まれてまで欲しいものでもない。
(ここは当初の予定通り、胸のでかいメイドのほうにしておくか)
 そう思いつつ、モットは学院を歩いていたが。
 あれやこれやと考えごとをしていたせいか、うっかりと道を間違えたらしい。
 いつの間にか奥内のほうへと足を運んでいた。
 目の前に、白いものがいくつもなびいている。
 洗濯されたばかりの衣類やシーツが風を受けているのだ。
(こりゃいかん。迷ったな)
 あわてて引き返そうとすると、人の声が聞こえた。
 若い女の声である。
 根っから助平であるモットは、つい条件反射的にそちらのほうを振り向いた。
 干された洗濯物の向こう側、一人のメイドがかがみこんで何かしている。
 一瞬犬か何かとじゃれているのかと思ったが、少女と戯れるその生き物は、犬よりもはるかに大きい。
 赤い巨大なトカゲ。
 見事なサラマンダーだった。
 恐らくは、生徒か教師の使い魔なのだろう。
 これほどのものを召喚したメイジ、おそらくはトライアングルクラスに違いない。
 それにしても、ずいぶんと懐いている。
 恐ろしげな火蜥蜴が、まるで子犬みたいに少女に頭を摺り寄せる光景は、何かの絵画みたいだ。
 使い魔ならば、主人に懐くのは納得できるが、見たところ平民で少女に、何故ああも懐いているのか。
(あ!)
 よく見るとそのメイドは、先ほどちょっと興味を持った、あのメイドではないか。
 あの時はそれほどハッキリと顔が見えなかったが、今度は比較的近くのせいか、よく見えた。
 ブルネットの髪に、憂いを含んだもの静かで穏やかな瞳。
 華奢な肉体に、メイド服がよく似合っている。
 やはり、地味といえば地味だ。
 しかし。
 小動物的な愛らしさと、人形のような可憐さ。
 地味な娘と見えたの誤りであった。
 清楚な雰囲気は、少女の周辺だけ空気が清浄なものになっているような錯覚を覚えさせる。
 美しい。
 素直にそう思えた。
 それも、外見をゴテゴテと飾り立てた貴婦人や娼婦のようなものではない。
 内面から発せされる、健全な美であった。
 たまらぬような美であった。
 思わず、モットは見惚れた。
 時間の感覚が狂ったような気がした。
 どれほど少女を見つめていたか。
 少女はモットのほうに気づいたらしく、さっと顔に緊張の色を浮かべた。
 それを見て、モットもハッと我に返る。
 そばのサラマンダーも、モットを見ている。
 だが、そこには少女に対していた時の人懐っこさは欠片もない。
 うなり声こそ出さないが、まるで敵でも見ているような威嚇の視線である。
 邪悪から聖女を守護する聖獣といった雰囲気だった。
 メイドの少女は、少し脅えを含んだ瞳で、そっと会釈をした。
「お、おっほん」
 モットは何か悪事を見咎められたような後ろめたい気持ちになった。
 わざとらしく芝居じみた咳払いをしてから、こそこそと逃げるようにその場を離れる。
「?」
 残ったメイド――シャーリー・メディスンは、
(なんだったんだろ?)
 妙だと思いはしたものの、まだ仕事が残っていることを思い出すと、見かけない貴族のことはすぐに忘れてしまった。
 きびきびと動き出す少女の後を、サラマンダーはのそのそとついていく。
「もう、だめだよ、フレイム! ミス・ツェルプストーに叱られるってば!」
 シャーリーは火蜥蜴を見て、困った顔で言った。
 それでも、フレイムは純な瞳で、シャーリーを見上げていた。


 屋敷に帰った後、モットはぼうっとしてろくに食事も摂らなかった。
 椅子に座り込んだまま、どこか遠くを見るような目で、時々溜め息をつく。
 そんな主人の様子を、使用人たちは薄気味の悪いものでも見るように遠巻きに見ていた。
 病気にでもかかったのか。
 女遊びに飽きて、おかしな薬にでも手を出すようになったのか。
 自分がそんな風に見られているとも知らず、モットは一人自室にこもって、溜め息を吐いたり、ウロウロと歩き回ったりしていた。
 そんなことが二、三日続いた後のことだった。
 この日も相変わらずだったモットのもとへ、一人の女がやってきた。
 家の使用人であり、モットの妾の一人である。
 妾とはいっても、なかなか才気のある女だった。
 秘書の真似事のようなことをしたり、あちこちのルートから諸所の情報を集めてくる仕事をしている。
 女としてよりも、むしろそちらのほうで重宝されているのだ。
 男女の関係もあるにはあるが、どちらかというと、上司と部下のそれに近い。
「旦那様、例のメイドについて調べてまいりました」
「おお、そうか!」
 女の報告に、モットはガバリと顔を上げた。
 それによると――
 やはり、あの少女がヴァリエール家の三女・ルイズの使い魔であることは間違いないらしい。
 右手に、使い魔のルーンもしっかり刻まれているという。
「年は十三歳。正式な名前は、シャーリー・メディスンというそうですわ」
「アルビオン風の家名だな……いや、待て? あの娘は平民ではなかったのか?」
「正真正銘の平民です。ただ、あの娘の出身地では、平民にも家名があるのが、当たり前らしいですわねえ」
「そんな国は聞いたことがないが……?」
「イギリス、とかいう国だそうです。詳しいことはわかりませんが、恐ろしく遠い国みたいですね」
 詳細は、これに――と、女は報告書をモットに渡した。
「ごくろう。下がってもいいぞ」
「はい。では……」
 女が出て行った後、狂ったよう報告書を読んでいたモットだったが、
「シャーリー。おおお、シャーリーか……。私は歓びで戦慄を覚える。俺は何を求めてあの学院に行った? 公務?否、肉欲を求めてだ」
 顔を突っ伏し、ぶるぶると頭を振った。
 それからおもむろに立ち上がり、まるで舞台に立つ役者のような身振り手振りで独り言をつぶやき続ける。
「――しかし、俺はあの場所で心を洗われ、求めているものが変わった」
 両手を広げ、モットは天井を仰いだ。
 その視線はそこに映る少女の、シャーリーの幻を見ている。
「惨めな男、ジュール・ド・モットよ、今お前がなすべきことは、彼女の前にひざまずいて真の愛を訴えることだけだ!!」
 感極まるという様子だった。
 が、しかし。
 出て行ったはずの妾兼秘書が、ドアの向こうで呆れ顔で立ち聞きしているのを、モットは全く気づいていなかった。
「まったく……あんな田舎娘のどこがそんなにいいのやら」
 つぶやいた後、女は笑った。
 自嘲の笑いだった。
 まさか、こんな気分を味わうことになるなんて。
 やるせないような、敗北感だった。
 自分がモットの妾になったのは、十五の時だった。
 別にモットは白馬の王子でも何でもなかったが、自分がつくづくラッキーだと思ったものだ。
 当時の自分はまだ子供で生娘だったけど、それでも特に思うこともなかった。
 だからこそ、モットは自分を妾にしたのだろうし。
 舞台か何かなら、モットは上品で若く美しい貴公子、さもなくば権力で無理やり平民の娘を我が物にする悪党だろうか。
 まあ、後のほうは当たらずとも遠からずだが。
 それでも、吹けば飛ぶような平民の、その中でも貧乏人の小娘にはまたとないチャンスでもあった。
 自分の先が知れていることなど、当にわかっていたし、この世に『イヴァールディの勇者』なんてものがいないことも理解していた。
 むしろ、である。
 自分の経験からすれば、おとぎ話の勇者なんてものは、実際にいれば恐ろしく迷惑な存在なのではないかと思う。
 何の見返りもなく、正義のためとか、愛のためとか、そんなお題目をかかげる奴ほど胡散臭いものはない。
 あるいは、世の中のことなど、何もわかっていないただの馬鹿か。
 そんなものに比べれば、モットのような小悪党のほうがよっぽど信用できるのだ。
 どうせそのへんの貧乏人の女房におさまるか、安い娼婦として夜の花となるか。
 ろくに字も読めない貧乏人では、そのあたりが関の山。
 なら貴族の妾になるほうが、よほど良い暮らしができる。
 そういう打算の元での選択だった。
 実際それは正しかった。
 自分が妾になることで、家の暮らしは良くなった。
 その日食いかねているような貧乏暮らしが、大金持ちとは言えないが、それなりのものになったのだ。
 貴族に仕えるにために字やマナー、その他の教養も学んだ。
 もっとも、もう何年も実家に帰っていない。
 時々家族と街で会うくらいだった。
 昔の知り合いには、あまり会いたくない。
 蔑んだ目をするような男。
 哀れみの中に、嫉妬をこめた女。
 どいつもこいつも気に入らない。
(ふん。貴族の妾になったが、そんなに汚らしいのかい)
 女は舌打ちをして首を振った。
(まったく、こっちが色々苦労してるってのにさ……)
 あの、使い魔の娘は、
(何にもしないで、ただいるだけで、生のままで貴族の男を骨抜きにしちまった。女好きの小悪党をさ……)
 そう考えてから、女はまた自嘲した。
(だからこそかねえ。化粧と媚びに長けた女よりも、あんな小娘のほうが――)
 と、いきなりモットから呼びつけられ、女は思わず声を上げそうになって口をふさいだ。
 声をかけられたわけではない。
 ポケットに入れた小さな鈴が鳴ったのである。
 鳴るというより、軽い振動を発したというほうがいい。
 これはモットから渡されたマジックアイテムで、対になっている呼び鈴を鳴らすと、この鈴が振動するようになっているのだ。
 女は呼吸を整えてから、いくらか間を置いて部屋に入った。
「お呼びですか?」
「む、うむ」
 モットは何か興奮した様子だったのが……。
 女の顔を見ると、何か奥歯にものの引っかかったような態度になり、まるで思春期の童貞小僧みたいになった。
(なんとまあ、惚れたはれたでここまで変わるもん?)
 内心で冷笑しながらも、女は忠実な秘書の仮面をかぶったまま、
「失礼ながら、あの娘のことでございますか?」
「そ、そうだ」
 モットはうなずいた。
「ハッキリと申しますが、あの子は難しいですわ。自然に話しかけるきっかけを作るのも、少々骨かと」
 『まともな手段では……』と、女は付け加える。
「わかっている。別にお前に恋愛指南を頼んどるわけじゃない」
 モットは不機嫌な声で言った。
「まあまあ、そう怒らないでくださいな。報告書にも書きましたが……」
 と、秘書はモットをなだめて、
「彼女はヴァリエール家の令嬢の使い魔、だそうですが……。近々学院では恒例の使い魔の品評会があるそうですね」
「ああ、私も一応出席することになってる」
「人間とはいえ、使い魔である以上彼女もそれに出るようですね。で、ここから肝心なのですが……」
 そっと耳打ちをするように、
「メイドたちの噂ですが、先日ミス・ヴァリエールは使い魔、つまりシャーリー・メディスンに着せる服がないと困っていたとか」
「服だと?」
「ええ、普段着、ではなくって、品評会の時に着せる服が」
 なるほど、とモットは膝を打った。
「確かにそういう場ではメイドの格好なんぞでは具合が悪いしな。よし、そこで彼女に服を贈れば……うん、よし!」
 と、モットは一人で何度もうなずいている。
「いくら金がかかってもいい! 上品で、豪華なものを贈ろう!」
「ですが、いきなりそんなプレゼントなんてしても、かえって怪しまれるかもしれませんわ。主人のほうならともかく、平民の娘に……」
「なんだと?」
「ですからね、ご主人であるミス・ヴァリエールに怪しいやつと疑われるかもしれない、そういうことですわ」
「別にあんな小娘に用はないぞ。あくまでもあのシャーリーに……」
「ですから、それが余計に怪しいんですよ」
 あのシャーリーって子も、小娘だけどね……と、女は内心笑いながら、
「ミス・ヴァリエールというか、ヴァリエールとお近づきになるためと装って、あの子に服を贈るんですよ。いかが?」
「ふうん? そんなものかな……。まどろっこしいだけの気もするが……」
「普通のメイドならどうとでもなりましょうが、ヴァリエール家の使い魔でしょう? でしたら、まずそちらから攻略しないと」
「うむ……」
 秘書兼妾の意見に、モットは考えこんだ。


 そして、いくらか日にちは過ぎて。
 ルイズは、困惑していた。
 モットという貴族から、シャーリーにと贈られた服を見てひたすら困惑する羽目になった。
 素材はかなり高級なものらしいが、全体の造りはシックかつ上品で、大変に出来が良い。
 下手にけばけばしく飾り立てたドレスよりもはるかに上等なものだろう。
 念のために調べてみたが、別に変なマジックアイテムでもないらしい。
 本当に普通の服のようだ(おそらく値段は普通ではないのだろうが――)
(何でこんなものもらうことになったのかしら?)
 ルイズにはそこがよくわからない。
 賄賂か何かのつもりだろうか?
 だが、自分にそんなものを贈る理由は……。
(ヴァリエール家とお近づきになりたい?)
 確かにヴァリエールは王家の流れを汲む名門の家柄だが……。
 何か腑に落ちないものを感じはするものの、服を見ながら驚きと感動で頬を高潮させるシャーリーを見ていると、
(ま、いいか――。服のことは助かったし)
 つい気楽に考えてしまうのだった。



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