あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

鏡の中の使い魔1

少女、ルイズ・フランソワーズ・ルブラン・ド・ラ・ヴァリエールがもう幾度と無く失敗したサモンサーヴァント。
担当教官であるコルベールに
『時間が押しているから、この次ダメならまた後日改めて儀式を行いなさい』
と言われてしまった最後のチャンス。
詠唱・爆発、そして煙が晴れたところには、緑とも黄色ともつかぬ不思議な輝きをした
高さ3メートルほどの【鏡】が“浮かんで”いた。


鏡の中の使い魔


「ロック、そっちの計器の様子はどうだい?」
「あぁ、問題ないよ。ちゃんと正常値だ。【剣】の様に『こちらへ広がる』兆候は見られないね」
【生きている岩】が起こす現象を解析し、【入口】と【出口】として活用する技術である【ゲート】。
『【岩】は新しい宇宙を生み、それが【剣】から我々の宇宙へ侵食、入れ替わる』
ニンバスやオメガが引き起こした事件は、【ゲート】が実用化されて既に長い年月がたつ現在においても
連邦最悪の出来事の一つだ。
それゆえ、当時を知る唯一の人物であるロックは、ごくまれに連邦の研究機関に招かれることがある。
今回もそんな、ある意味『確認試験』のようなもののはずだった。

突如【岩】が活性化するまでは!

「ゲートはどうなっている!」
研究員の一人が叫ぶ。
「多少活性化しているようですが、何かが『落ち込む』と言った現象は今のところ発生していません」
「エスパーたちは!」
「岩とコンタクトを試みているようですが反応無いようです」
【岩】は何万年単位で“生きて”おり、活性化する時期も期間も条件もほとんどわかっていない。
【岩】が持つ力【第3波動】を使うエスパーも連邦内には数は少なくとも存在する。
この実験の際には必ず1人は常駐しているが、
彼らですら【岩】と【会話】できずにいるこの状況は非常に危険だ!

「僕が岩にコンタクトしてみます。そちらは実験用ゲートの終息を」
「すまん、ロック」
ロックがスタッフの一人に告げ岩のセクションへ向かう。
果たして、岩はパリパリと放電のような現象を起こしていた。
「テレパスで接触する。最悪【剣】が発生したら、僕が戻っていなくても【ゲート】で【剣】を消滅させてくれ」
そう言って【ラフノールの鏡】を張って“接触”する。
ロックが岩の宇宙に転移したと感じた瞬間、岩は非活性化し、後には、沈黙した【岩】、そして
『ロックが入ったままの鏡』
が残された。

「なにこれ、鏡?」
出てくるわけのない代物が現れて、ルイズは困惑していた。
「サモン・サーヴァントで生き物でもないものを召喚するなんて、さすがはゼロのルイズ」
などと言った囃子声が聞こえるがそれすら頭に入ってこない。
鏡を覗き込む。自分の姿が映る、当たり前だ。
しかし、当たり前でないモノが見えてギョッとした。
『鏡の中に、見たこともない顔の、刺々しい髪形をした青年が倒れている』のだ!
驚いて後ろを振り向く。いない。覗く。いる。ふりむく、いない、のぞく、いる。
「おばけーーーーーーー!」
叫んだ、そりゃもう大声で。お化けの苦手なタバサ(この当時はルイズと交流なし)が気絶するくらいの勢いだ。
「どうしました? ミス・ヴァリエール。大声を上げるとははしたないですよ」
おっとり刀で近寄ってきてコルベールがそう言うが、
「ミミミミ、ミ、ミスタ・コルベール? か、か、かが、鏡の、な、中に…」
そういって腰を抜かしながら鏡を指差すルイズにつられて、他の生徒も鏡を覗き込む。
「!!!!」
コルベールはともかく、生徒はパニックになった。
せっかくたった今契約したばかりの使い魔が逃げ出しているのにも気づかない生徒までいる。

と思うと、皆の頭の中に声が響いた。
“ここはどこですか?”

さらにパニックになる生徒たち。
「先住魔法?」「エルフ? エルフが攻めてきたのか」などなど口走りながら
どこに逃げるでもなく駆け回っている。
“言葉が通じないかと思ってテレパスで話しかけたんだが、失敗したかな?”
微妙にのんきに聞こえるまた同じ声が響く。
唯一正気を保って辺りを見回していたコルベールがまさかと思い鏡を覗き込んだところ、
先ほどまで倒れていた若者が起き上がって微笑んでいるではないか。
「今の声は君かね?」
意を決して話しかける。話ができるなら生徒が怖がらなければならない道理もないはずと思いながら。
“ええ。ちょっとうまくコントロールができていないようで。脅かしちゃったみたいですね”
「まずはパニックを抑えたい。君が幽霊の類や危害を加えるものではないことを証明したいのだが」
“なるほど。ならちょっと目をつぶってください”
「何をする気だね? 生徒に危害が加わるようでは私は君を打ち倒さなくてはならない立場だ」
“え~と、催眠術のようなものです。みんなには眠ってもらいます”
「害はないのだな」
“ありません”
ふむ、と逡巡する。【炎蛇】の二つ名を持つコルベールだが、これほどの広範囲で生徒を眠らせる術はない。
水系統のメイジに眠りの秘薬でも使ってもらうか、風系統に眠りの雲を使ってもらうか。
「信用する、やりたまえ」
“ありがとう。では目を”

カッ!
というほどの一瞬の光を閉じた目にも感じたコルベールが再び目を開くと、確かに生徒たちは皆眠っているよ
うだ。使い魔もそれに応じてパニックから脱し、主人の元に戻ってくる。
『ふむ、流石に幻獣はただおとなしくなる、というわけでも無い様だな』
タバサのシルフィードなどは主人を守るように警戒しているのが目に入った。
“君はシルフィードと言うのかい。ごめんよ、君の大好きなご主人様を傷つけるつもりは無いんだ”
「君は幻獣とも話ができるのか!」
コルベールはシルフィードが風韻竜であることを知らない。
『ミス・ヴァリエールはいったい何を召喚したのだ?』との、危惧に近い感情が肥大する。
“えぇと、今の、聞こえちゃいました?”
鏡の中の青年がちょっと困ったような顔をしている。
“テレパスが漏れているのか。サイコ・ブラストに近い現象かな。
ユージンが言っていたのは本当だったのかもしれない”
「何だねそれは、そもそも君はなにものなんだ?」
“詳しい話はきちんとします。その前に彼らを遠ざけるか僕がどこかへ行かないと。
たぶんそろそろ目を覚ますかと”
「君は自力で移動できるのかね?」
“ええ。どうしましょうか?”
「ならば…、ミス・ヴァリエール、起きなさい!
オールド・オスマンのところにこの【鏡】を案内して、私が行くのを一緒に待っているのです」
いきなり起こされたルイズは目の前にまだ先ほどの鏡が浮かんでいて、
相変わらず鏡の中だけにいる青年にびびりまくっている。って言うか半泣きに近い。
「ミスタ・コルベール。そんな…」
「ミス・ヴァリエール、この鏡は君が召喚したのだ。この儀式は神聖なものであり、
例外を認めるわけにはいかない。だからと言ってこのままでは皆がパニックになる。
ですから、早くオスマン師の元へ行ってください」
立て板に水で反論の余地はない。気味は悪いがこうなったらもうどうしようもないのだろう。
どんよりとしたオーラを背負ってこの場を離れるルイズと、その後ろをふわふわ漂う鏡。
ある意味とてもシュールだった。

「ところで」
“なんだい? 確かミス・ヴァリエールだっけ”
声だけ聞くと優しそうなんだけどな、とか場違いなことを考えるルイズ。
「ルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。アンタ名前あるの?
【鏡】なんて呼びにくくていけないわ」
“ロック。ただのロックだよ”

これが【虚無】と【超人】の邂逅であった。

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