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僕らは、恋をして生きていく-02


第1話「こいわな」

春の使い魔召喚儀式から、一夜明けた朝。
今日は、土系統の魔法の基礎である『錬金』の授業の日だけど、僕は一年の時に単位を取っているので出なくて良い。
なので、本当はずっと寝ていられるんだけど、休みだと思うとウキウキして、かえって早起きしてしまったよ。
この機会に昨日召喚した、僕の愛らしいヴェルダンテ(使い魔になったグランドモールさ。土のメイジである僕にこのうえなく相応しいと思わないかい?)と親交を深めるため庭に朝の散歩+軽食としゃれ込んでいる。
おっ、どばどばミミズを見つけたのかい?
ああ、大食らいな所も可愛いよ~中略~やっぱり君は、最高の使い魔だね!?
日差しもいいし、う~ん、今日は素晴らしい一日になる予感がするよ!

おや? こんな朝からバルコニーに誰かいるね。女の子だ。僕は辺りを見まわして、近くに人がいないことを確かめると何気なく近寄っていった。
シルエットからさっするに、かなり可愛い娘だと僕の紳士の直感が告げている!
やっぱり、今日はいい日だね。僕はウキウキしながら、ヴェルダンテに待つように言うとバルコニーに近づいていった。
勘違いしないで欲しいが、貴族にして紳士たる僕が婦女子のスカートの中を覗くなんて、下劣かつ低俗な真似をするはずがない。
ただ、たまたま散歩中にバルコニーの下にいったら、見えてしまったというのは、不可抗力。そう不可抗力であって、何の悪意も介さない不幸な偶発的事故と言えるのではないだろうか!?
あれっ? 手すりを乗り越えようとしているような……しかも、手に杖を持っていない!!
慌てて、フライの呪文を使って、少女の目の前に飛び出す。
驚いた少女が、後ろに転んで尻餅をつく。目にまぶしい青と白の縞々の布地が見える。もちろん僕は紳士の嗜みとして「見て」見ない振りをしたけど、さっさと隠されてしまった。

「やあ、美しいお嬢さん。驚かせてしまってすまないね。お詫びにこれから僕と一緒にモーニングティでもいかが?」
警戒を解くため、軽いお誘いをしてみる。

「け、けっこうです駄目です行きませんっ、ほんとすみませんごめんなさい、でも私なんか本当に誘う価値なんてないですよ一緒に居るだけで周りの空気が汚染されてしまいます、それにお茶なんて私にはもったいないです!
わ、私なんかお風呂の残り湯で十分なんです、お願いですから私にはかまわないでくださいごめんなさいすみません生まれてきてすみません!」
……この反応は、どこかで見た気が……。おとなしそうな感じのする、長い黒髪の可愛い女の子。両手首には黒い布を巻いている。その布地に何か赤黒いシミが付いているような気もするけど、全力で見なかった事にしよう。
この娘は確か、昨日、ヴァリエールの使い魔になった――、

「ええっと、君はルイズの召喚した平民の娘!」
「ごめんなさいすみませんごめんなさい! 私のような何のとりえも無い卑しい出来そこないのゴミ虫がこんな立派な場所にいるなんて身分不相応ですよね。
貴族様からみたら私なんて道端に落ちている犬の○ンみたいなものですもんね。見るだけでも不快になりますよね。存在自体が不快ですよね! 
生きていてすみません、生まれてきてすみません……ごめんなさい、うう……ごめんなさい、ごめんなさい……」
いきなり顔をうずめて泣き崩れる少女。ど、どうしよう、どうしたらいいんだ。
だけど、このまま泣いている女の子を見過ごしては薔薇の沽券にかかわる。とりあえずは自己紹介をして、知り合ってから慰めよう。

「あ、いや、ごめん、そういう意味じゃなくて、ほら、僕のこと憶えてない?」
「え……?」
少女が顔を上げて僕の顔を見た。僕は薔薇を掲げてポーズをとってあげる。我ながら美しすぎるね。

「あ、あの……全然まったくさっぱりこれっぽちも記憶に有りません……」
うぅ、まあ、昨日は遠くから見ていただけだし、無理もないけど。

「な、なら、これから知り合おう。僕の名はギーシュ・ド・グラモン。二年生で、名門であるグラモン家の四男で、土のドットメイジだ。『青銅』の二つ名を持っている。この学院きっての色男さ」
「は、はい私は、昨日ルイズ様の使い魔になった紀史元ひかりです。姓が紀史元で名がひかり」
そういってペコペコ頭を下げる。
ああ、ほんと、こうしていると素材はすごく可愛い娘なんだなぁ――中身がかなり台無しにしているけど。
それにしても、

「ふーんヒカリか。凄く変わった名前だね」
僕が何気なく言った言葉に、ヒカリの顔が凍りついた。

「……変わってますか、変人ですか、奇人ですか、おかしいですか、社会不適合者ですか。そうですよね……。
私なんて、春になった事を嫌な実感のさせかたさせるぐらいしかとりえの無い、生きている価値ゼロの駄目人間ですよね……触ると駄目人間がうつるくらい駄目人間です。
ギーシュ様の言うとおり、半径5メートルに駄目人間特有の不快オーラを撒き散らしちゃってますよね」
「い、言ってない! そんなこと言ってないよ!」
そりゃあ、変人だとは……思わなくも無いけど。

「でも安心してください! 私、今から死にますから! ここから飛び降りて、綺麗なお星様になりますから! 生きている価値ゼロの虫けらは、最期に大地に真っ赤な花を咲かせて散るのです! 
ギーシュ様! ルイズ様に、身のほど知らずの役立たずの虫ケラが使い魔になってごめんなさい。感覚の共有も秘薬の材料とりもご主人様を守ることも出来ないダメダメな使い魔でごめんなさい。
洗濯とか雑用ぐらいしか出来ないのに迷子なってしまうような無能な使い魔は死にますので、私の事なんか忘れて、もっと立派な使い魔を召喚してくださいって、伝えてください! 
私はルイズさまに、生まれて初めて大勢の中から選ばれて、かけがえがないって言われて幸せでしたっ! この思い出は、天国でも忘れません!」
再びバルコニーの手すりに駆け寄るヒカリを僕は、慌てて押さえつける。

「早まるなヒカリ、落ち着いて話し合おう。自分に生きる価値がないなんて、悲しいこと言わないでくれたまえ! 大丈夫、君にはいいところがたくさんあるじゃないか!」
するとヒカリは、すがるような目で僕を見た。

「え……た、たとえばどんなところですか?」
「え~と……」
問われて言葉に詰まる。いや、昨日あったばかりだし、今日初めて会話したんだしね? でも、何か答えないと駄目か、駄目だよね。

「た、たとえば……」
「たとえば?」
「……思いやりがある?」
「なんで首を傾げつつ疑問形なんですか!?」
「だ、大丈夫だよ! 人生は長いんだ。これから探していけばいいじゃないか」
「…それってつまり、今はいいところが無いってことですよね……?」
「…………」
僕は思わず目を逸らしてしまった。

「や、やっぱり私にはいいところなんて一つも無いんですね! ギーシュ様も遠まわしに私のことを人間的魅力ゼロのゴミ人間だって言っているんですね! 早く死ねっ、この世からいなくなれって言いたいんですねそうなんですね!?
ギ、ギーシュ様ひどいです! 死にます、もう死にます! 私、死んでもギーシュ様のことを恨み続けますから! 絶対に化けて出ます!」
だ、誰か助けてくれ。死のうとするのを止めていたら、いつのまにか、僕の所為で死ぬみたいになっているし。

「お、思いついた! 君のいいところ!」
ヒカリは疑わしそうな目で僕を見る。僕はそんな彼女に言った。

「君のいいところ、あれだ! そう、顔だ! 君は顔がいい!」
咄嗟に口をついて出た自分の言葉に自分で納得する。うん、確かにこの娘は(見た目だけは)フツーに可愛い。おおっ、やっぱり僕は多くの人(女性限定)を楽しませる薔薇だけのことは有る。

「顔……ですか?」
「そう、ヒカリ、君はすごく可愛い。美がつく少女、つまり美少女だ!」
「や、やめて、からかわないでください」
顔を赤くして俯くヒカリ。……意外と単純な性格なのかもしれないね。しかし確かに、口元をむにゅむにゅ動かしながら上目遣いでこちらを見るその仕草は、美少女と呼んでも過言ではないくらい心が浮き立つ姿なのは事実だ。
……今までの過程を綺麗さっぱり忘れさえすればね。

「いいややめないね、からかっているつもりも無い。これは僕の本心だよ。美しいものを前にして賛辞を述べないのは僕のポリシーに反するからね。
君は美しい、その髪その目その口その鼻その眉その頬その首筋その足その手その腕その胸……もまあ控えめな感じでいいんじゃないかな、君を形作る全てが美の結晶であると言っても過言ではないよ、
花も恥らうとはまさにこのこと。史上に残る傾城・傾国の美女でさえ君の美しさの前には嫉妬することだろう君の瞳はライトニング・クラウド地上に降り立った美の化身、君を創り出した君の両親を僕は尊敬するね、
まさに君はブリミルの最高芸術品にして自然界の生み出した奇跡。
そんな君に出会えた素晴らしい幸運を僕は心から始祖ブリミルに感謝するああブリミルよこの出会いを我に与えたたもうてありがとうございます今なら愛でハルケギニアが救えそうな気がするよ!」
後半は息継ぎ無しに言い切って、「どうだ!」とばかりにヒカリを見る。あー息が苦しい。ぜえぜえ。すると、

「あ、あの、愛しのギーシュ様」
「ぜーはーぜーはー、……ん?」
「そ、それってつまり」
「うん」
「ギーシュ様が、私のことを」
「うん」
「そ、その、す、好きだということでよろしいんでしょうか?」
「うん」
………………。
…………。
……。

「……あれ?」
なんか、
今、
僕、
とんでもないところで頷いてしまったようが気がするんだけど……。

「い、愛しのギーシュ様」
ヒカリは目を潤ませ、顔を真っ赤にして僕を見ている。

「あ、、いや、その、今のはね……」
僕が慌てて取り消すより早く、

「う、嬉しいです……私、男の人にこんなこと言われたの初めてです。少女漫画とか、コバルトとかティーンズハートとかビーンズとかを読んであこがれてて……でも私なんかにそんな事、起こるはずが無いと思っていて……!
こんな素敵なことがあっていいんでしょうか……まるで夢の中にいるようです……ほんと、私、すごく、嬉しい……愛しのギーシュ様、私、生きる勇気が湧いてきました。ありがとうございます、ありがとうございますギーシュ様!」
目から大粒の涙をこぼしながらヒカリは言った。……後戻り不能?
…………これで「ごめん、今のは成り行きで頷いちゃっただけなんだ」とか言ったら……やばいよなあ。……絶対飛び降りちゃうよなあこの娘……。

「と、とりあえず部屋の中に入ろうよ。いつまでもこんなところに居ても仕方ないし」
「は、はいっ! 私、もう死ぬなんて言いません! リストカットも三日に一回ぐらいで我慢します!」
なにげに怖いことをいいながら、ヒカリは僕の先導で室内に入ってくる。
・・・・・・ふー、これで一人の少女の自殺を止めることに成功したぞ。
僕はなんて偉いんだ。その代わり取り返しのつかないことをやらかした気もするけど。
とてとてと僕に近寄ってくるヒカリ。1メイル位のところで止まり、熱っぽい目で僕を見つめる。

「愛しのギーシュ様……」
「……あのー、あー、いやヒカリ?」
僕は女の子が好きだ。僕は女の子が大好きだ。僕は女の子がダイダイ大好きだ。
でも多くの人を楽しませるべき薔薇が一人のものになってはイケナイとか、
モンモランシーにばれたらこまるとか、……ぶっちゃけ、
この娘は遠くから眺めるだけならともかく、付き合うにはエキセントリックすぎるし。

「は、はいっ、何でしょうか!」
僕はあさっての方に目をやりながら、

「い、愛しのって言うの……止めてくれない……かな?」
ちらりとヒカリの顔を見ると、表情が消えていた。完全に無表情でまるでそういう仮面でもつけているみたいだ。怖っ!

「嘘、だったんですか?」
感情の無い声でぽつりと言うヒカリ。

「ギーシュ様、私を騙したんですか? ……そう、そうですよね……私なんかを好きになってくれる人がこの宇宙に存在するわけがありませんよね。騙された私が悪いんですよ、えへへ、すみません、ちょっと調子に乗ってました。
私なんかに好かれたら気持悪いですもんね。私なんか、せいぜい、つぶれて死にかけたチャバネゴキブリとかがお似合いですもんね。はは、あははは……ギーシュ様さよなら! 私やっぱりここで死にます!」
「わー! ま、待ちたまえ、早まるな!」
またしてもバルコニーの方へ駆け寄ろうとするヒカリの腕をどうにか捕まえる。

「放してくださいギーシュ様! 私なんてどうせ生きてる価値ないんですもう死なせてくださいお願いします! で、でないとギーシュ様も道連れにしちゃいますよ!?」
えーい、もうどうにでもなれ!
僕は力ずくでヒカリを振り返らせ、がばーっとその身体を抱きしめた。

「ギ、ギーシュ様?」
腕に少し力を込める。やわらかいなぁ、それにいい匂いがする……はっ、とろけている場合じゃない。

「ギ、ギーシュ様、わ、私……」
「誤解しないでくれ。君みたいな可愛い娘に、面と向かって言われるのが、
ちょっと恥ずかしかっただけなんだよ!」
きっと、アリジゴクの巣穴に落ちていくアリってこんな気分なんだろうな。

「……だから、死ぬなんて悲しいことを言わないでくれ」
これは本心だ。可愛い女の子が減るのはイヤだしね。うん、わかっているさ、
自分がでっかい墓穴を掘っていることは。

「ギーシュ様……」
ヒカリはもう逃げようとはせず、潤んだ目で僕を見上げてきた。
それから、なぜか目を閉じ、唇を少し前に突き出した。
……あの……これは……もしかして、あれかい?
ほんのり桜色に上気した頬と、それよりもさらに赤い薄い唇。
あれだよなあ……。ええい、腹くくれ、僕。女の子の二人や三人、
同時に幸せに出来なくて何の薔薇だ。
……いただきます。
自分の顔を彼女の顔にゆっくりと接近させ。その唇に、ちゅーをした。
脳裏にモンモランシーとキスをしたときのことがよぎる。あのときは大変だったんよなあ、
思いっきり歯をぶつけ合って一週間は口を聞いてくれなくなって。

「ん……ん、ん……ん…………」
……息が苦しくなるほど堪能したあと、唇を離す。
人生で二度目のキスは、とてもうまくいったと思う。

「ギーシュ様……」
耳まで真っ赤なヒカリが口を開いた。

「わ、私……今……ギーシュ様と……! し、失礼しますっ!」
そう言って、彼女は走り去って行った。
やれやれ、困った。これも全て僕が魅力的すぎるのが悪いのだね。
あっ、戻ってきた。

「あ、あのう、すみません。お、お洗濯をする場所は何所なのでしょうか?」
僕は案内してあげようとしたけど、男の僕には見られたくないものもあるとかで、
そこらを歩いていた学院付きのメイドに連れていってもらう様頼んだ。
きっちりした地味な服装をしているけど、その下には豊満な膨らみを隠し持っているであろう事を感じ取れるメイドも僕のことを、なんて親切で頼りになる素敵な紳士なんだろうと言う目で見ていた。
僕がニコっと微笑めば、女の子はポッと赤くなって僕に惚れてしまうのさ。
これを略して「ニコポ」!
まあ、実際には慎み深いトリステインの女性達は赤くなる様子を滅多に表には出さないけど、
心の中では赤くなっているのは、まず間違いない。
実際に口説くと、貴族の女の子は、僕の話術があんまりにも巧み過ぎて
「ギーシュ様って、ほんとに面白い方」っていって本気にしてくれないし、
メイドの娘は間が悪く、いつも用事を言いつけられているのを思い出しちゃうんで、
実際にはモテモテの取り合いにはなってないけど、何かきっかけがあれば、
そうなってしまうだろう。
いやあ、まいったね。もてすぎて困るなんて人には言えない悩みだよ、これは!


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